米国イラン直接攻撃も示唆
2024.04.14
イスラエル政府高官は、イランの攻撃に対して「重大な対応をする」と発言 イランが反撃に出れば「措置はかなり厳しくなる」と警告 米国はイランとの直接衝突は望んでいないが、アメリカの要員が攻撃された場合は、迅速かつ断固とした対応を取る考えを示した

イランがイスラエルに対して直接ミサイル攻撃を行った原因についての要点は以下の通りです。

在シリアのイラン大使館への攻撃

イランは、今月1日にシリアのイラン大使館が攻撃を受けたことに対する報復として、イスラエルに対する攻撃を実施しました。この攻撃で革命防衛隊の司令官らが殺害されたとされています。

イラン革命以来、イランはシリアに軍を駐留させ、ヒズボラの訓練と資金提供に関与しています。シリア内戦が勃発して以来、イスラエルはシリア国内のヒズボラ拠点を標的に数百回の空爆を実施してきました。

詳細は2024年4月1日、シリアのダマスカスにあるイラン大使館領事館別館がイスラエル国防軍によって空爆され、破壊されました。この空爆でイラン革命防衛隊兵士7名、イラン支援の民兵5名、ヒズボラ戦闘員1名、イラン人顧問1名、民間人2名を含む合計16名が殺害されました。

攻撃の主な標的は革命防衛隊の精鋭部隊ゴドス軍司令官であるモハマド・レザー・ザヘディ准将でした。ニューヨーク・タイムズ紙は、今回の攻撃はガザ戦争について話し合っていたイラン諜報当局者とパレスチナ・イスラム聖戦の指導者らパレスチナ過激派との会談を標的としたものだと報じています。

イラン最高指導者はこの攻撃を非難し、報復を誓いました。イスラエル国防軍は、攻撃された標的は「ダマスカスにある民間施設を装ったゴドス軍の軍事施設」だったと述べています。

イランの声明

イランは、この攻撃が「正当防衛」であると主張しており、自国内からイスラエルを攻撃するのは今回が初めてです。

イラン最高指導者アリー・ハメネイは、「憎しみに満ちたイスラエルの政権による犯罪だ」と非難し、「邪悪な政権は罰せられるだろう。我々はこの犯罪を後悔させる」として報復を誓いました。

エブラーヒーム・ライースィー大統領は、「抵抗戦線の意志を打ち砕くことに失敗したシオニスト政権(イスラエル)は、自国を救うために再び無差別的な暗殺を実行した」と非難しました。

また、ハメネイの政治顧問アリー・シャムハーニーは、「この攻撃を実行する意図を認識していたか否かにかかわらず、米国には直接責任がある」と述べました。

イランは国連安全保障理事会に書簡を送り、「断固たる対応をする正当かつ固有の権利を留保する」と述べました。

イラン国内の反応は、首都テヘランをはじめ、タブリーズやイスファハーンを含むイラン全土のいくつかの都市では、大群衆がパレスチナとイランの旗を振りながら復讐を要求して集まりました。





攻撃の規模と効果

イランは約200以上の無人機やミサイルでイスラエルに攻撃を加え、攻撃は約5時間続きました。

イランは、大規模なドローンやミサイル攻撃を行いました。この攻撃は、イスラエルの防衛システム「アイアンドーム」によって大半が撃墜されましたが、いくつかはイスラエル領内に落下し、南部の軍基地に着弾する事例もありました。

イスラエルの救急医療組織によると、イランの攻撃が直接の原因となった負傷者は発生していません。しかし、避難場所へ向かう際やパニック状態に陥った際に軽傷を負った人が31人いました。

市民生活への影響は、攻撃により、イスラエルでは全地球測位システム(GPS)の信号が遮断され、位置情報を使うアプリが使用できなくなるなど市民生活にも影響が出ました。また、戦争規模の拡大を懸念して発電機の購入や飲料水、食料の買いだめ、ATMからの現金引き出しが急増しました。



イスラエルの対応は厳しいものへ

イスラエルは、イランの攻撃の大半を迎撃しました。イスラエル軍は、攻撃が収まったと判断し、市民に対する避難場所近くでの待機要請を解除しました。

人的被害: 攻撃による直接的な負傷者は報告されていませんが、避難中やパニック状態に陥った際に軽傷を負った人がいるとされています。

イスラエル政府の声明は、イスラエルの政府高官は、イランの攻撃に対して「重大な対応をする」と発言しました。イスラエルメディアは、この方針を伝えており、イランが反撃に出れば「措置はかなり厳しくなる」と警告しています。

イスラエル軍の報道官によると、イランはイスラエルに対して200以上の無人機や巡航ミサイルのほか、120発以上の弾道ミサイルを発射しましたが、その99%の迎撃に成功したと発表しました。

また、米国家安全保障会議(NSC)の報道官は、イランのイスラエル攻撃について、「数時間にわたって行われた可能性が高い」との見方を示し、バイデン大統領はイスラエルの対応について協議を行っていると述べました。

米国の対応

米国は、イランが中東でイスラエルあるいは米国の権益を狙った「相当な規模」の攻撃を仕掛けるとの判断を強め、高度な警戒態勢に入り、対応措置の準備を急いでいると報じられています。バイデン米政権の高官がこの情報を明らかにし、攻撃は「不可避」との見方をしており、イスラエル側も同様の認識を抱いているとのことです。

また、イランはシリアの首都ダマスカスにある自国の大使館施設が空爆された後、イスラエルの仕業と断定し、報復を宣言していました。米国、イスラエル両国政府はイランによる攻撃は異なった多数の方法で起こされる可能性があると予期し、この事態に対処する態勢づくりを急速に進めているとのことです。

このような状況の中で、米国はイランとの直接対決を避けつつ、イスラエルへの支持を表明していると考えられます。ただし、具体的な対応策や今後の展開については、公式な声明や詳細な情報は限られています。米国は中東地域での緊張の高まりを警戒しており、パレスチナ自治区ガザ地区での軍事衝突がより広い範囲に飛び火する地域紛争が勃発することを回避しようとしているとの見方が強いです。

しかし、イランと関係のある基地と司令官らを攻撃も。イラクとシリアには、イランが支援する武装勢力の基地、武器庫、訓練施設が多数存在し、アメリカはこれらの施設を精密誘導ミサイルで攻撃することができます。これは、過去にも使用された方法ですが、抑止としての効果は限定的であるとされています。

また第二の対策は、イランを直接的に攻撃も。しかし、これは大規模な軍事行動の激化を意味し、アメリカが軽々しく検討するものではありません。アメリカもイランも本格的な戦争を望んでおらず、その可能性は極めて低いとされています。

報復しない選択肢も。しかし否定される可能性も。一部のアメリカの権力者は、現在の中東情勢の緊張を考慮すると、イラン側を攻撃することは無責任であり、特に大統領選の年に実施するのは適切ではないと主張しています。しかし、この選択肢は、アメリカの抑止政策が失敗していると主張する人々によって否定される可能性があります。

また、アメリカはミサイル迎撃システムの配備など抑止力の強化に動いており、イランとの衝突は望んでいないが、アメリカの要員が攻撃された場合は、迅速かつ断固とした対応を取る考えを強調しています。

これらの選択肢は、アメリカが中東地域での緊張の高まりを警戒し、地域紛争の拡大を回避するための態勢づくりを進めていることを示しています。具体的な対応策は、状況の変化に応じて決定されることになるでしょう。さらに詳細な情報が必要な場合は、お知らせください。
2024.04.14 18:45 | 固定リンク | 戦争

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