沖縄観光住民の不満も
2024.03.06
沖縄における本土からの観光客に関する感情は複雑で、一部の住民からは不満の声も上がっています。しかし、これは一般化できるものではなく、多くの沖縄県民は観光客を歓迎しています。以下に、沖縄の観光に関する最近の動向と課題についてのリポートを作成しました。

沖縄の観光業に関するリポート

観光業の現状 沖縄は日本国内外から多くの観光客を引き寄せる人気の観光地です。しかし、新型コロナウイルスの影響により、観光客数は大幅に減少しました。令和2年度には、国内観光客及び外国人観光客数が共に減少し、観光収入も前年度比で減少しています。

観光客と地域住民との関係 観光客の増加は経済的利益をもたらす一方で、地域の環境や文化に影響を与えることがあります。特に、本土からの観光客に対する地元住民の感情は、時に負の側面を持つことがあります。これは、観光客による環境への影響や、文化的な違いから生じる誤解や摩擦に起因することがあります。

課題と展望 沖縄の観光業は、滞在日数の短さや消費額の少なさ、季節に偏った需要などの課題に直面しています。これらの課題に対処し、観光業の持続可能な発展を図るためには、長期滞在客の開拓や観光産業の構造改革が必要です。

このリポートは、公開されている情報に基づいており、沖縄の観光業に関する最新の動向や課題についての概要を提供しています。地域住民と観光客との関係は複雑であり、互いの理解と協力が必要です。観光業の持続可能な発展のためには、地域住民の声を聞き、適切な対策を講じることが重要です。また、観光客には地域の文化や環境を尊重することが求められます。

沖縄の観光と地域住民の不満

沖縄は美しい自然と独特の文化で知られる日本の主要な観光地ですが、観光業の急速な発展が地域住民の生活に影響を与えているという報告があります。以下は、観光客と地域住民との間の主な不満点に関する情報です。

交通とインフラストラクチャ

観光客の増加により、交通渋滞が悪化しています。特に、バスの運行が不規則になり、追い越し車線をゆっくり走る車が多いという不満があります。

レンタカーの料金が高いと感じる観光客もいます。また、那覇以外の地域へのアクセスが困難で、地方への移動がしにくいという声もあります。

観光客の行動

一部の住民は、観光客が地域の自然環境や文化を尊重しないことに不満を持っています。海や森などの自然保護に対する意識が低いと感じることもあるようです。

観光産業の影響

観光業に依存する経済は、地域の伝統的な産業や生活様式に変化をもたらしています。これにより、文化的なアイデンティティの喪失を懸念する声もあります。

観光客の満足度

一方で、観光客自身も満足度が低いと感じることがあります。特に、外国人観光客が戻ってきたことで混雑が増し、人手不足の影響で閉店する飲食店も多く、サービスの質が低下していると感じる観光客もいます。






沖縄人の特有な感情や特徴についてお話ししましょう。

以下は、沖縄県民に特有の感情や独自の文化的要素です。

食べ物への愛と郷土愛

沖縄の食文化は豊かで、県民は伝統的な料理やスイーツに強い愛着を持っています。例えば、シーサーと呼ばれる独特のアイスキャンディーは、地元の人々にとって特別な存在です。

月桃の葉っぱで餅を包む伝統もあり、これを見るとお餅が食べたくなると言われています。

音楽と歌への情熱

沖縄の伝統的な音楽や民謡は、県民にとって重要な存在です。特に、**「島唄」**と呼ばれる歌は、沖縄人の心を打つものです。

方言と誇り

沖縄方言(うちなーぐち)は、県民の間で広く使われています。一人称が「私」ではなく、自分の名前で呼ぶことが多いです。

また、方言を使うことで、沖縄人同士の結束を感じます。

海と自然への愛

沖縄は美しい海と自然に囲まれています。県民は海に親しんで育ち、海で過ごすことが日常的です。

観光客として訪れる人々に対して、海にいる人は「観光客だ〜」と思うこともあるそうです。

伝統的な文化と祭りへの熱狂

沖縄には多くの伝統的な祭りや行事があります。県民はこれらの祭りに熱心に参加し、文化を守り続けています。

家族との絆

沖縄の文化では、家族との絆が非常に重要です。親や祖父母との関係は特に深く、家族が支え合うことが大切にされています。

独自の価値観と誇り

沖縄人は自分たちの文化や歴史に誇りを持っています。そのため、独自の価値観を大切にしています。

以上が、沖縄人の感情や特徴の一部です。沖縄の美しい自然や独自の文化を大切にし、愛する心を持つ県民が多いことでしょう。

沖縄の伝統的な音楽である「島唄」についてお話ししましょう。

「島唄」は、沖縄県の伝統的な音楽の一種で、県民にとって特別な存在です。以下に「島唄」の要点をご紹介します。

歌詞と感情

「島唄」は三線の音色や島の言葉を用いた歌で、沖縄文化の象徴とされています。

歌詞は沖縄の方言で歌われることが多く、自然や文化、人々の暮らしなどを歌ったものです。

背景と歴史

1986年に結成され、2014年に解散したバンド・THE BOOMの代表曲として知られています。

1992年に発表された「ウチナーグチ・ヴァージョン」は沖縄限定発売でしたが、大河ドラマで起用され話題になりました。

この楽曲は、沖縄のひめゆり平和祈念資料館で出会った女性の実体験をもとに制作されました。彼女は第二次世界大戦末期の沖縄戦で奇跡的に生き残った一人であり、この歌は戦争で犠牲になった沖縄の人々に捧げられています。

歌詞の意味

「でいごの花」や「ウージ」などの歌詞は、沖縄の風景や戦争の惨状を描写しています。

「ウージの森」での出会いや「千代にさよなら」など、幸せと別れの感情が歌詞に込められています。

祈りと願い

サビの歌詞では、自身の感情が記されています。歌手は、亡くなった人々の思いをニライカナイに届けたいと願っています。

「海よ 宇宙よ 神よ いのちよ このまま永遠に夕凪を」という部分は、命や愛を祈るメッセージです。

「島唄」は、沖縄の歴史や感情を歌に込めた名曲であり、多くの人々に愛されています。

でいごぬ花が咲き 風を呼び 嵐が来た
でいごが咲き乱れ 風を呼び 嵐が来た

くり返す悲しみは 島渡る波のよう

ウージぬ森であなたと出会い
ウージぬ下で千代にさよなら

島唄よ 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
島唄よ 風に乗り 届けておくれ 私の涙

でいごぬ花も散り さざ波がゆれるだけ
ささやかな幸せは うたかたぬ波ぬ花

ウージぬ森で歌った友よ
ウージぬ下で八千代ぬ別れ

島唄よ 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
島唄よ 風に乗り 届けておくれ 私の愛を

海よ 宇宙よ 神よ いのちよ このまま永遠に夕凪を

島唄ぐゎ 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
島唄ぐゎ 風に乗り 届けてたぼれ わんくぬ涙(なだ)ぐゎ
島唄ぐゎ 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ
島唄ぐゎ 風に乗り 届けてたぼれ わんくぬ愛を

最後に「島唄」を聞きながらお別れしましょう。
2024.03.06 18:32 | 固定リンク | 観光
王毅氏全人代出席せず「死亡説も」
2024.03.06
王毅氏が中国共産党政治局員であり、外相に再登板したことが記載されています。また、中国政府の重要な会議やイベントにおける彼の役割についての言及もありますが、全人代への参加に関する具体的な言及はありません。

王毅氏は中国共産党中央政治局委員であり、外交部長を務めているため、全人代のような重要な国家行事に参加する可能性は高いです。

ただし、具体的な参加状況や彼の役割については、公式の発表や信頼できるニュースソースを参照する必要があります。全人代は中国の最高立法機関であり、国家の重要な政策や法律が審議される場です。王毅氏のような高位の政治家や外交官が出席することは、中国の政治システムにおいて一般的なことです。

王毅氏の全人代出席せず

王毅氏は、中国共産党中央政治局委員であり、党中央外事工作委員会弁公室主任として活動しています。彼は第13代外交部長を務め、中国の外交政策のトップと見なされています。

最近の報道によると、王毅氏は全国人民代表大会(全人代)の常務委員会に出席していません。これに関連して、彼の健康状態や死亡に関する憶測が流れていますが、公式な情報源からの確認は得られていません。

王毅氏の公の場での活動は続いており、最近では「人類運命共同体」という中国の外交政策の理念を強調しています。これは、世界の国々が共通の運命を共有し、協力して発展していくべきだという考え方です。

王毅氏の全人代への不出席については、具体的な理由は明らかにされていませんが、彼の公務の多忙さや、中国の外交政策における重要な役割を果たしていることが影響している可能性があります。

王毅氏「失踪・死亡説」

中国の王毅外相は、ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議で、紛争当事国に対して殺傷力のある武器を売らないと述べました。この発言は、ウクライナのクレバ外相との会談で行われ、中国がロシアとウクライナの戦争を終結させるために建設的な役割を果たし続ける意向を示しています。

中国は中立の立場を主張しつつも、ロシア政府による違法な侵攻を非難することは拒否しており、ロシア経済にとって重要な命綱となっています。また、米情報機関の報告によると、中国企業がロシアにウクライナで使う殺傷力のない装備品を売却している可能性が指摘されています。

詳細な情報が必要な場合は、信頼できるニュースソースをご確認ください。また、今後の報道で新しい情報が提供される可能性がありますので、注目しておくと良いでしょう。

全人代王毅外相「出席か否か」

全国人民代表大会(全人代)の開幕に関する最新の情報によると、王毅外相が政治局員として参加したかどうかについての具体的な情報はありません。

しかし、全人代は3月5日に開幕し、経済や外交の主要政策を審議する予定です。王毅氏は以前、中国共産党の第20期中央委員会第1回全体会議で政治局員に選ばれたことがあります。全人代の準備のための会議では、法案や人事を討議し、王毅外相の後任が決まるかどうかに関心が集まっていました。

詳細な情報が必要な場合は、信頼できるニュースソースをご確認ください。また、今後の報道で新しい情報が提供される可能性がありますので、注目しておくと良いでしょう

彼の経歴には以下のような重要なポストが含まれています。

外交部長

王毅氏は2013年3月16日から2022年12月30日まで、第11代外交部長を務めました。この役職では、中国の外交政策の策定と実行に大きな役割を果たしました。

国務院台湾事務弁公室主任: 2008年6月3日からこのポストを担い、中国と台湾の関係において重要な役割を果たしました。

駐日中国大使

2004年9月から2007年9月21日まで、日本における中国の大使として活動しました。日本語に堪能で、日中関係の改善に尽力しました。

党中央委員

第17期から20期まで、中国共産党中央委員を務めています。

王毅氏は、外交官としてのキャリアを通じて、多くの国際的な交渉や会議に参加し、中国の外交政策を推進してきました。また、彼は日本語と英語に堪能で、国際的なコミュニケーションにおいても重要な役割を果たしています。彼の経歴は、中国の外交政策における彼の影響力と、国際舞台での中国の立場を強化するための彼の努力を示しています。

王毅氏1953年10月19日は、中華人民共和国の政治家、外交官です。彼は中国共産党中央政治局委員であり、党中央外事工作委員会弁公室主任を務めています。また、第13代外交部長として中国の外交政策を指導しています。

王毅は日本語と英語に堪能で、日本人相手の会見や講演をしばしば日本語で行っています。彼は日本との外交関係を重視しており、日中の協力と友好を推進しています。

なお、最近の報道によれば、中国の外交部長である秦剛氏が公の場に姿を見せていないとの報道があります。彼の健康状態や動静については憶測が飛び交っており、中国の秘密主義に再び注目が集まっています。

王毅外相の死亡説についての具体的な報告はありませんが、最新の情報に注意を払っていることをお伝えします。

王毅外相の今

いま、中国で一番忙しい党幹部は誰だろうか?

最高指導者として、自らが多くの事柄を決めなければならない習近平国家主席を除いては、私は王毅外相の名前を挙げたい。

本来、王毅氏は外相より1ランク上の政治局委員として、外交全体を統括する立場だった。しかし、7月に外相を務めていた秦剛氏が理由も公表されないまま解任され、外相も兼任することとなる。2人で手分けしてやるべき仕事が一気に降ってくるわけで、忙しくなるのは道理だろう。

9月中旬の日程だけを見ても、9月16日から17日までは地中海のマルタでアメリカのサリバン大統領補佐官と会談、その足でロシアへと向かい、18日にラブロフ外相、20日にプーチン大統領と相次いで会談した。さらに23日には、浙江省の杭州市に飛び、アジア大会でのスポーツ外交を積極的に展開している。
このような過密日程の中、ニューヨークで開かれていた国連総会への出席は見送られることとなった。

■“中国一忙しい”王毅氏が記者の前に 語った“外交の大方針”

そんな“中国一忙しい”王毅氏が26日、記者会見を行うという知らせが飛び込んできた。テーマは「人類運命共同体」についてだという。
「人類運命共同体」とは、習近平国家主席が10年前に打ち出した外交の大方針で、簡単に言うと「一つの地球上で暮らす全ての民族や国家は運命共同体なので、ともに発展していきましょう」という理念だ。

「人類運命共同体を作ることが、人類の発展にとって必然の選択だと、過去10年の成功が証明している」
集まった多くの記者たちを前に、王毅氏は「人類運命共同体」が成し遂げた成果を強調した。中国が提唱する巨大経済圏「一帯一路」もその一つで、ほかにも「発展」「安全」「文明」といった分野ごとに、中国は世界に様々な貢献を行っているという。

そして印象的だったのは、この「人類運命共同体」の思想は中華民族古来の伝統文化に基づくもので、中国は「西側の大国とは違う現代化の道」を歩むと強調したことだ。「東洋の大国」中国が、これまで世界をリードしてきた「西側の世界秩序」とは異なる世界秩序を、自らが主導して作るという宣言にも聞こえる。

忙しい王毅氏が記者を集めてわざわざ説明したということは、それだけ伝えたいメッセージだったということだろう。そして、最近の中国外交をみていても、「中国主導」の国際秩序を重視する、変化を感じることができる。

■「中国主導」にこだわって? G20を欠席

象徴的なのは、9月にインド・ニューデリーで開かれたG20サミットに、習近平国家主席が欠席したことだ。これまで中国は、西側諸国が作ったG7に対抗する枠組みとして、G20を重視し、毎回習近平国家主席が出席していた。しかし、今年は習主席が欠席し、ナンバー2の李強首相を派遣したのだ。

欠席の理由については、例によって全く説明がない。開催国のインドと仲が悪いため、アメリカとの対話の条件が整っていないためなどという外交上の理由に加え、体調不良説などが取りざたされた。

ある外交筋は「G20とはいえ、西側諸国が入っている枠組みなので、居心地が悪かったのではないか」という分析を教えてくれた。中国が主導できないのであれば、あえて出席せず、自らが主導できる枠組みに力を入れるメッセージだというのだ。
実は同時期に、習近平氏は経済低迷で苦しむ東北地方の黒竜江省を視察し、水害の被災者を慰問するなど、内政重視の姿勢をアピールしている。G20を欠席し、わざわざ国内視察を行う姿を見て、現行の国際秩序とあえて距離を取るアピールを感じ取ったのは、私だけではあるまい。ちなみに、王毅外相も、李強首相には同行せず、G20サミットを欠席したとみられている。

■国慶節レセプションに異変 習主席が自ら挨拶

10月1日からの国慶節を前に、9月29日には人民大会堂で「建国74周年」の国慶節レセプションが開かれた。我々記者は1日前に久しぶりのPCR検査を受け、陰性であれば、宴会場で遠巻きに取材をすることが許された。
待つこと1時間近く、会場に習主席を中心とする最高指導部のメンバーが現れた。そして、その後のあいさつで、異変が起きた。

これまで、ナンバー2の首相が行うことが慣例だった開会のあいさつを、習主席自らが行ったのだ。集団指導体制で、国家主席と首相が権力を分担していた時代は終わり、一強体制が実現したことの、表れと言えるかもしれない。
習主席は自らが掲げる「人類運命共同体」や「一帯一路」などの構想を含め、中国を「強国」にする決意を述べ、高々とワイングラスを掲げた。

この晴れやかなレセプションの会場には、本来ならば参加しているはずの、李尚福国防相の姿は無かった。秦剛前外相に続いて、国防相も1カ月以上姿を消すという異常事態だ。もちろん、何が起きているのか、一切発表は無い。

一方、“中国一多忙な”王毅外相は、習主席と同じ中央のテーブルにつき、グラスを重ねていた。10月中旬には、今年の中国外務省の最重要イベントともいえる「一帯一路フォーラム」が開催される。100カ国以上が参加し、ロシアから、プーチン大統領も参加する予定だ。「一帯一路」にどのくらいコミットするかで、中国と「運命を共にする」国かどうか、リトマス試験紙のように使っていくのかもしれない。
また、同じ10月には、王毅外相が訪米し、習近平国家主席とバイデン大統領の会談の事前調整を行うという報道もある。

経済問題

経済成長の鈍化、若者の失業率の上昇、不動産市場の崩壊など、中国は複数の経済問題に直面しています。特に不動産開発大手の中国恒大集団が経営危機に陥り、許家印会長が警察の監視下に置かれたことや、株式の取引が再停止となったことが報じられています。

消費行動の抑制

国家が強権を発動してロックダウンを連発した結果、全国の経済が萎縮し、未曾有のデフレ不況が起きつつあるとの報告があります。

不動産危機

中国の不動産大手「中国恒大集団」が、米連邦破産法第15条の適用をニューヨークの裁判所に申請したとのニュースもあります。
2024.03.06 06:04 | 固定リンク | 国際
なぜ、中国は偽物を振り回すの?
2024.03.02
世界各国で偽のニュースサイトが発見されてます。発信先は「中国「三戦」(世論戦、心理戦、法律戦)」を展開。 年間数十億ドルを投入 なぜ、世界を敵に情報戦を...

米国務省は、中国が世界中で偽情報や検閲などの手段を駆使した情報戦を展開していると指摘しています。

中国共産党は有利な情報操作を目的として、年間数十億ドルを投入しています。

具体的には、中国は以下の分野で情報戦を展開しています。

台湾、中国の不利な情報を抑え込むために偽情報を流しています。

人権問題、人権問題に関する情報を操作しています。

南シナ海、中国の立場を強調するために情報操作を行っています。

経済、経済に関する情報をコントロールしています。

中国は特にアフリカ、アジア、ラテンアメリカで力を入れており、情報戦において人工知能(AI)を活用しています。

米国務省は28日、中国の「情報戦」に関する報告書を初めて発表した。中国が世界中で偽情報や検閲などの手段を駆使した情報戦を展開し、自国や中国共産党にとって有利な情報操作をしていると指摘し、強い警戒感を示した。

報告書によると、中国は情報操作のために年間、数十億ドルを投入し、台湾、人権問題、南シナ海、経済などの分野で、自国に不利な情報を抑え込むために偽情報を流すなどの情報戦を展開している。特に、アフリカ、アジア、ラテンアメリカで力を入れているという。

SNSでの検閲も強化し、「微信(ウィーチャット)」を議論の監視に利用していると指摘。動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国のバイトダンスは、中国に批判的な人の使用を制限しているとの見方を示した。

報告書は、人工知能(AI)の発展は、情報戦において中国に有利に働くと分析している。

情報戦で中国とロシアとは協力関係にあり、ウクライナ侵略を正当化するロシアの一方的な主張を中国国営メディアが拡散する一方、台湾問題を巡っては、ロシアが中国の宣伝活動を後押ししているという。

偽情報などを使って、他国の政治や社会を揺さぶる情報戦は、安全保障上も脅威となっている。中国は2000年代に入り、「三戦」(世論戦、心理戦、法律戦)を重視し、情報戦を活発化させている。

中国企業が世界30カ国でなりすましサイトを運営、親中反米フェイクニュースをばらまいていた

中国のあるPR会社が100以上のサイトを現地メディアと偽り、欧州、アジア、南米など各国で中国を称賛し米国を非難するフェイクニュースをばらまいていることが分かった。

ハイマイは各国に現地メディアを装った偽ニュースサイトを開設し、中国国営メディアが配布した宣伝用資料などを広める手口を使っているという。シチズンラボが指摘した。

シチズンラボはその一つの事例として「ローマ・ジャーナル」というサイトを紹介した。ローマ・ジャーナルはサイトの最初の画面にイタリア首相の政治的展望、北イタリアの熱気球大会、出版に関するヘッドラインニュースなどを伝えており、一見するとイタリアの地元メディアのように見える。ところがホームページの「プレスリリース」をクリックすると、世界経済の回復に対する中国の貢献や中国による技術革新の推進など、中国国営メディアが報じた記事が紹介されている。

シチズンラボの研究員は「この種のウェブサイトは今のところ現地でさほど知られているわけではない」としながらも「同じようなサイトは急速に増えており、現地のネット情報なども伝えているため、知らない間に広がる恐れがある」と懸念を示した。

一方で中国は一連の疑惑への関与を否定している。駐米中国大使館は「中国に好意的な内容はフェイクニュースと決め付け、反中であれば正しい情報と主張するのは典型的な偏見であり、ダブルスタンダードだ」とシチズンラボにコメントした。

またこの問題でハイマイは一切反応を示していない。シチズンラボはハイマイのウェブサイトに掲載されているアドレスにメールを送り、電話もかけたが回答は得られなかったという。

ハイマイについては昨年11月に韓国の情報機関である国家情報院も「偽サイトを次々と立ち上げる会社」と指摘した。国家情報院が当時発表した内容によると、ハイマイが運営している韓国の偽メディアサイトは18あり、その名称やドメインを実際に存在する地域メディアとよく似たものとする手口で出所が分からない親中・反米のニュースを広めたという。さらに韓国メディアの記事を無断で掲載し、韓国デジタルニュース協会の会員企業であるかのように装っていた。






偽情報を使って他国の政治や社会を揺さぶる情報戦は、安全保障上も脅威となっていることに注意してください。中国は「三戦」(世論戦、心理戦、法律戦)を重視し、情報戦を活発化させています1。

カナダのトロント大学の研究機関「シチズンラボ」による報告書によれば、中国は世界中で偽情報サイトを運営しており、その数は少なくとも123に上ります。これらの偽情報サイトは、現地のメディアを装い、各国の地元メディアの記事やニュースリリースを無断転載しています。さらに、中国の国営メディアが配布した宣伝用資料などを紛れ込ませていることも判明しています。

日本でも自治体を装って…中国企業が世界各地で「なりすましサイト」、親中反米ニュースを拡散

要注意、かつて使用していた自治体の「ドメイン」がオークションサイトを通じて流出、悪用されているケースも

偽情報の発信元は、中国・深圳市に籍を置くPR会社「ハイマイ」であることが特定されています。これらの偽情報サイトは、2020年春に最初に開設され、日本を含む約30カ国で展開されています。日本では9つの偽サイトが確認されており、その中には「fujiyama-times.com」も含まれています。

韓国の「中央日報」(2月9日付)によれば、2023年11月に韓国の情報機関である国家情報院もハイマイを「偽サイトを次々と立ち上げる会社」だと指摘。

ハイマイが運営する韓国の偽メディアは18(23年11月現在)あり、その名称やドメインが実際に存在する地域メディアとよく似たものを使用して、韓国デジタルニュース協会の会員企業であるかのように装い、出所不明の親中・反米ニュースを広め、韓国メディアの記事を無断転載していたと発表した。

「シチズンラボ」の報告書には、具体的なドメイン名が公表されている。日本のメディアを装う15の偽情報サイトとは、次のものである。

【dy-press.com】【fujiyama-times.com】【fukuitoday.com】【fukuoka-ken.com】【ginzadaily.com】【hokkaidotr.com】【kanagawa-ken.com】【meiji-mura.com】【nihondaily.com】【nikkonews.com】【saitama-ken.com】【sendaishimbun.com】【tokushima-ken.com】【tokyobuilder.com】【yamatocore.com】

一見して日本を想起させる「フジヤマ」、「銀座」、「東京」、「大和」などの他、「福井デイリー」、「福岡県」、「北海道」、「神奈川県」、「明治村」、「日本デイリー」、「日光ニュース」、「埼玉県」、「仙台新聞」、「徳島県」など、地方自治体や公共団体と誤解しそうなドメインが並んでいる。

なぜ、地方自治体や公共団体に似せたドメインが多いのか。

ひとつには、使用済みのドメインが情報資産としての価値を持ち、広く売買されるドメインマーケットが過熱しているためである。

通常、ドメインは失効後、オークションに出品することができ、第三者が落札できる仕組みになっている。とりわけ大企業や金融機関、地方自治体のドメインなど、公共性の高いものは信用力が大きく、失効後も検索エンジンに評価情報が残ることで、アクセス数が期待されるために、オークションでの販売価格が高騰する。価格は安いものでは数百円から数千円、数万円程度だが、天井知らずで、世界で最も高いものでは40億円以上で取引された例もある。

そのため悪用されるリスクが高まる。購入した悪意の第三者が、ドメインを利用して本来のサイトと酷似したデザインのサイトを作成し、個人情報や金融情報を取得するフィッシングのほか、別のサイトにリダイレクトして利用者を誘導するよう操作する危険性もある。

責任あるドメインオークションでは、悪用が発覚した場合、紛争解決のための法的手続を取ったり、被害を最小限に抑える対策を講じているが、予防措置は整備されておらず、デジタル時代の急激な変化に追いついていないのが現状だ。

2月13日、島根県で新たに3つのドメインが流出したことが判明した(NHK報道)。島根県が2023年10月まで、全国植樹祭の告知などに使っていた3つのドメインが失効後、オークションで売買され、第三者の手に渡っていたことが分かったのだ。

 3つのドメインは、「島根県新型コロナ対策認証店認証制度」、「スモウルビー・プログラミング甲子園開催事業」、「しまねものづくり人材育成支援Navi」で、これらのサイトにアクセスすると、県とは無関係のサイトが表示されるという。島根県は悪用されることが懸念されるとして、注意喚起を呼びかけている。

この3つのドメインが政治的に悪用されているかどうかは不明だが、冒頭にあげた「シチズンラボ」の報告書では、「デジタル分野での影響力拡大で、中国政府が民間企業を利用する傾向があることが裏付けられた」と指摘していることから、今後ますます警戒が必要になってくるだろう。

中国の偽情報サイトは今のところ目立った存在ではない。しかし日本語など、現地の言語で発信されていることから、利用者が不用意に拡散する可能性があり、知らず知らずのうちに中国流の価値観に洗脳されてしまう危険性もある。

時事通信によれば、在米中国大使館の報道官はロイター通信に対し、「親中的な情報は『偽情報』、反中的な情報を『真実』と主張するのは偏見の最たるものだ」とコメントしたという。

確かに、親中情報がすべて偽物とは限らない。だが、最大の問題点は、他国の現地メディアの信用力を隠れ蓑にして、秘かに中国の公式見解を紛れ込ませようとする、姑息な手段を使っていることである。

ひょっとして、中国は「オオカミ少年」だと自覚していて、たまに本当のことを言っても信用されないので、他国の信用力を頼っているのだろうか。

「シチズンラボ」は7日(以下、現地時間)に報告書を公表し、その中で「中国系メディアが運営する100社以上の偽サイトが全世界30カ国に親中、反米のニュースをばらまいている」と指摘した。ロイター通信などが8日に報じた。シチズンラボはネットワーク上を追跡し、中国の深センに拠点を置くPR会社「ハイマイ」がこれら偽メディアの運営に関わっていることを突き止めたという。

ハイマイは各国に現地メディアを装った偽ニュースサイトを開設し、中国国営メディアが配布した宣伝用資料などを広める手口を使っているという。シチズンラボが指摘した。

シチズンラボはその一つの事例として「ローマ・ジャーナル」というサイトを紹介した。ローマ・ジャーナルはサイトの最初の画面にイタリア首相の政治的展望、北イタリアの熱気球大会、出版に関するヘッドラインニュースなどを伝えており、一見するとイタリアの地元メディアのように見える。ところがホームページの「プレスリリース」をクリックすると、世界経済の回復に対する中国の貢献や中国による技術革新の推進など、中国国営メディアが報じた記事が紹介されている。

シチズンラボの研究員は「この種のウェブサイトは今のところ現地でさほど知られているわけではない」としながらも「同じようなサイトは急速に増えており、現地のネット情報なども伝えているため、知らない間に広がる恐れがある」と懸念を示した。

一方で中国は一連の疑惑への関与を否定している。駐米中国大使館は「中国に好意的な内容はフェイクニュースと決め付け、反中であれば正しい情報と主張するのは典型的な偏見であり、ダブルスタンダードだ」とシチズンラボにコメントした。

またこの問題でハイマイは一切反応を示していない。シチズンラボはハイマイのウェブサイトに掲載されているアドレスにメールを送り、電話もかけたが回答は得られなかったという。

ハイマイについては昨年11月に韓国の情報機関である国家情報院も「偽サイトを次々と立ち上げる会社」と指摘した。国家情報院が当時発表した内容によると、ハイマイが運営している韓国の偽メディアサイトは18あり、その名称やドメインを実際に存在する地域メディアとよく似たものとする手口で出所が分からない親中・反米のニュースを広めたという。さらに韓国メディアの記事を無断で掲載し、韓国デジタルニュース協会の会員企業であるかのように装っていた。

中国の偽情報サイトは、様々なテーマで虚偽の情報を発信しています。以下にいくつかの例を示します。

政治的な陰謀論

偽情報サイトは、政治的な事件やリーダーに対する陰謀論を広めています。これには、他国の指導者や国際的な組織に対する陰謀論も含まれます。

例えば、COVID-19パンデミックについての陰謀論や、他国の選挙に対する虚偽の主張があります。

健康と医療に関する虚偽の情報

偽情報サイトは、健康や医療に関する虚偽の情報を広めています。これには、偽薬や健康製品の宣伝、ワクチンに対する誤った主張も含まれます。

例えば、がん治療の偽薬や、COVID-19ワクチンに対する誤った情報が広まっています。

社会問題に対する誤情報

偽情報サイトは、社会的な問題に対する虚偽の情報を拡散しています。これには、人種差別、性差別、宗教的な偏見などが含まれます。

例えば、特定の宗教や民族に対する誤った主張や、社会的な不平等についての虚偽の報道があります。

偽情報サイトの国別内訳は以下の通りです。

韓国: 17サイト

日本: 15サイト

ロシア: 15サイト

イギリス: 11サイト

フランス: 10サイト

ブラジル: 7サイト

トルコ: 6サイト

イタリア: 6サイト

スペイン: 5サイト

その他の国々にも各々2サイトずつ存在しています。

これらの偽情報サイトは、地域のメディアリテラシーを向上させるために注意深く対処する必要があります。

さらに偽ニュースサイトを見分けるためにいくつかのポイントがあります。以下は注意すべき要点です。

信頼性の評価

ウェブサイトのドメインを調査し、信頼性のある出典からの情報を提供しているかどうかを確認します。信頼性のあるメディアや公共機関のウェブサイトは、偽情報を拡散する可能性が低いです。
ウェブサイトの「About Us」または「Contact」ページをチェックして、運営者の情報や目的を確認します。

記事の品質

記事の文法やスペルミス、不自然な表現をチェックします。偽ニュースはしばしば誤った情報や奇妙な表現を含んでいます。

記事が感情的な言葉遣いや誇張を多用している場合、注意が必要です。

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2024.03.02 21:29 | 固定リンク | 速報
安倍晋三銃撃事件「CIA暗躍」
2024.03.01
北方領土交渉はなぜ進まなかったのか――前安倍政権の安保政策を振り返る 日米安保破棄に米国は強く反発 

2012年末に発足した第二次安倍政権が、最も精力的に取り組んだ外交課題のひとつが、ロシアとの間で長年の懸案事項となってきた北方領土問題、平和条約問題であった。安倍首相(当時、以下に同じ)は在任中、ロシアのプーチン大統領との間で27回もの首脳会談を行い、首相の訪露は11回を数えた。なお、対するプーチン氏のこの間の訪日は2回にとどまる。

時に「前のめり」などと評されることもあったが、この困難な問題にこれほどの熱意をもって正面から取り組んだ日本の首相は、かつていなかったといってよい。しかし、結局、安倍首相の在任期間中に北方領土問題、平和条約問題解決への具体的な端緒が開かれることはなかった。

日露間に広がるギャップ

就任後の早い段階で、安倍首相は日本の首脳による10年ぶりの公式訪露を果たし(2013年4月)、2014年2月にはソチ冬季五輪の開会式に出席するなど、積極的にロシアとの関係改善を目指してきた。同年3月以降は、ロシアによるクリミア併合を受け、欧米諸国とロシアとの関係が急激に悪化の一途を辿ったが、日本は北方領土問題、平和条約問題の解決へと邁進した。

安倍政権下での対露交渉において、最初の大きな転機となったのは、2016年5月の安倍首相の訪露である。当時のオバマ米政権の強い反対を押し切る形で、安倍首相は再びソチを訪問、ロシアに「8項目の経済協力プラン」を提示し、北方領土問題、平和条約問題に関して「新しいアプローチ」で交渉を進めていく方針を打ち出した。ソチでの会談後、安倍首相は「突破口を開く手ごたえを得た」と述べたが、同年12月にプーチン大統領が訪日して開かれた長門会談は、成果らしい成果を生むことなく終わった。

日露の平和条約交渉において次の大きな転機となったのは、2018年11月のシンガポールでの首脳会談だ。北方四島のうち、歯舞群島および色丹島の二島の日本への引き渡しが明記された「1956年日ソ共同宣言」を基礎に、平和条約交渉を加速させることでロシアと合意したのである。

これまで日本は、ロシアとの間で「北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」ことを交渉の基本方針としてきたが、シンガポール合意は、日本が「(最大で)二島」へと大きく舵を切った瞬間とも言え、その意味で日本の一大方針転換であった。

しかし、日本側の大きな決断にも関わらず、その後も交渉は難航。昨年7月には、領土割譲禁止条項が新たに加えられた改正憲法がロシア国内で成立し、今後の交渉の見通しがますますつかなくなるなか、安倍政権は退陣した。

一方で、この間に明らかになったのは、日本との北方領土問題、平和条約交渉に対するロシア側の非常に硬いスタンスである。ロシアのこの問題に対する主張は、ロシア国内での報道や、日本側で交渉に直接関与した谷内正太郎・前国家安全保障局長の証言(注1)、これまでのプーチン大統領自身およびラブロフ外相の発言などから、おおよそ次の二点に集約し得る。

第一は、日本との間で平和条約を締結するとしても、それは島の引き渡し等に関する条件なしに、つまり、領土問題とは無関係に締結するというものだ。

しかし、平和条約を締結してしまえば、当然、その後領土問題を協議していくためのロシア側の動機は、今よりさらに失われることになる。プーチン大統領自身が、「日本との間に領土問題は存在しない」と繰り返し述べている現状を勘案すれば、平和条約を締結した後に、ロシア側が真摯に日本との領土問題に向き合うとは考えにくい。当然、日本として受け入れられるものではない。

第二は、平和条約締結の条件として、日本が第二次大戦の結果、南クリル(北方領土のロシア側の呼称)が正式にロシア領になったと認め、かつ、島に在日米軍基地を展開させないという日本側の保障が不可欠とするもの。

これについて、あるロシアの有力メディアは、ロシア側政府関係筋の話として、そもそも日本へ島を引き渡す計画などないが、直接交渉を拒否することは“外交的配慮”から控え、代わりに日本側が到底受け入れられない条件を提示しているのだと伝えた(注2)。にわかには信じがたいほどの強弁だが、ロシア側の報道によると、プーチン大統領自身、実際にこの条件を安倍首相に提示したことを強く示唆する発言を行っている(注3)。

いずれにせよ、1956年日ソ共同宣言を足掛かりに、領土問題解決、平和条約締結へと突き進もうとした日本との温度差は、相当なものだ。だが、実は北方領土問題、平和条約交渉に対する温度差は、これほどまでに顕在化するずっと以前より、日露間に存在してきた。安倍政権はその温度差を見誤った可能性がある。そして先に述べた通り、筆者はその背景には、ロシアに対する3つの幻想が存在してきたと考えている。

2020年9月、安倍首相は、連続在任2822日の最長記録を残して退任し、その後は菅首相に引き継がれたが、わが国の今後の対露外交の在り方を考える上で、安倍政権時代に交渉が進展を見なかった原因はどこにあるのか、その検証を行うことが重要と思われる。筆者は、日本のこの間の対露外交の背景には、ロシアに対する3つの幻想が存在したと考えている。

本稿では、近年の日露交渉の過程を簡単に振り返ったのち、ロシアへの幻想、特にわが国の安全保障とも直接かかわりのある中国とロシアの関係を中心に、安倍政権下の対露外交について考察してみたい。

日露間に広がるギャップ

就任後の早い段階で、安倍首相は日本の首脳による10年ぶりの公式訪露を果たし(2013年4月)、2014年2月にはソチ冬季五輪の開会式に出席するなど、積極的にロシアとの関係改善を目指してきた。同年3月以降は、ロシアによるクリミア併合を受け、欧米諸国とロシアとの関係が急激に悪化の一途を辿ったが、日本は北方領土問題、平和条約問題の解決へと邁進した。

安倍政権下での対露交渉において、最初の大きな転機となったのは、2016年5月の安倍首相の訪露である。当時のオバマ米政権の強い反対を押し切る形で、安倍首相は再びソチを訪問、ロシアに「8項目の経済協力プラン」を提示し、北方領土問題、平和条約問題に関して「新しいアプローチ」で交渉を進めていく方針を打ち出した。ソチでの会談後、安倍首相は「突破口を開く手ごたえを得た」と述べたが、同年12月にプーチン大統領が訪日して開かれた長門会談は、成果らしい成果を生むことなく終わった。

日露の平和条約交渉において次の大きな転機となったのは、2018年11月のシンガポールでの首脳会談だ。北方四島のうち、歯舞群島および色丹島の二島の日本への引き渡しが明記された「1956年日ソ共同宣言」を基礎に、平和条約交渉を加速させることでロシアと合意したのである。

これまで日本は、ロシアとの間で「北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」ことを交渉の基本方針としてきたが、シンガポール合意は、日本が「(最大で)二島」へと大きく舵を切った瞬間とも言え、その意味で日本の一大方針転換であった。

しかし、日本側の大きな決断にも関わらず、その後も交渉は難航。昨年7月には、領土割譲禁止条項が新たに加えられた改正憲法がロシア国内で成立し、今後の交渉の見通しがますますつかなくなるなか、安倍政権は退陣した。

一方で、この間に明らかになったのは、日本との北方領土問題、平和条約交渉に対するロシア側の非常に硬いスタンスである。ロシアのこの問題に対する主張は、ロシア国内での報道や、日本側で交渉に直接関与した谷内正太郎・前国家安全保障局長の証言(注1)、これまでのプーチン大統領自身およびラブロフ外相の発言などから、おおよそ次の二点に集約し得る。

第一は、日本との間で平和条約を締結するとしても、それは島の引き渡し等に関する条件なしに、つまり、領土問題とは無関係に締結するというものだ。

しかし、平和条約を締結してしまえば、当然、その後領土問題を協議していくためのロシア側の動機は、今よりさらに失われることになる。プーチン大統領自身が、「日本との間に領土問題は存在しない」と繰り返し述べている現状を勘案すれば、平和条約を締結した後に、ロシア側が真摯に日本との領土問題に向き合うとは考えにくい。当然、日本として受け入れられるものではない。

第二は、平和条約締結の条件として、日本が第二次大戦の結果、南クリル(北方領土のロシア側の呼称)が正式にロシア領になったと認め、かつ、島に在日米軍基地を展開させないという日本側の保障が不可欠とするもの。

これについて、あるロシアの有力メディアは、ロシア側政府関係筋の話として、そもそも日本へ島を引き渡す計画などないが、直接交渉を拒否することは“外交的配慮”から控え、代わりに日本側が到底受け入れられない条件を提示しているのだと伝えた(注2)。にわかには信じがたいほどの強弁だが、ロシア側の報道によると、プーチン大統領自身、実際にこの条件を安倍首相に提示したことを強く示唆する発言を行っている(注3)。

いずれにせよ、1956年日ソ共同宣言を足掛かりに、領土問題解決、平和条約締結へと突き進もうとした日本との温度差は、相当なものだ。だが、実は北方領土問題、平和条約交渉に対する温度差は、これほどまでに顕在化するずっと以前より、日露間に存在してきた。安倍政権はその温度差を見誤った可能性がある。そして先に述べた通り、筆者はその背景には、ロシアに対する3つの幻想が存在してきたと考えている。

ロシアに対する3つの幻想

日本が安倍政権下でロシアに対して抱いてきたと思われる3つの幻想の第一は、プーチン大統領は北方領土問題に熱心だという幻想だ。

確かにプーチン大統領は2000年代前半には、「1956年宣言」の有効性を認め、その履行はロシアの義務だと発言するなど、北方領土問題に前向きととれる姿勢を示したことがあった。しかし、2004~05年を境にその発言内容は一変、以降は「南クリルが第二次大戦の結果正式にロシア領になったことは、国際法で認められており、これについて一切議論するつもりはない」、あるいは「1956年宣言には、島を引き渡すとしても、どこの国の主権が及ぶかは書かれていない」、「日本との間に領土問題は存在しない」などという、日本としては理解しがたいレトリックを繰り返し、一貫して強硬な姿勢を示してきた(注4)。

特にここ数年のプーチン大統領の発言は、どれも2000年代前半の時分とはかけ離れたものだ。それにもかかわらず、安倍政権は当時のプーチン氏の発言に引きずられてきた可能性が高い。シンガポール合意で、日本が1956年宣言まで下りる決断をしたのも、まさにプーチン氏が当時、1956年宣言の履行はロシアの義務と認めたという一点に、望みをつないだ結果だったと考えられる(注5)。

第二は、プーチン政権は盤石だという幻想である。

1990年代、新生ロシアを率いたエリツィン大統領は、議会をはじめ国内での政治基盤が極めて脆弱だったため、同大統領との間で平和条約交渉を進めることができなかったという苦い経験が日本にはある。その点、プーチン政権は安定しており、プーチンは領土問題で決断し得る指導者だという幻想は、広く日本に存在してきた。

実際に、日本の政界やメディアの一部からは、「プーチン大統領が在任中の今が、北方領土問題を解決する最後のチャンス」という見解が度々聞かれた。日本がロシアとの関係を、プーチン大統領と安倍首相との個人的な関係を軸に動かそうとしたのも、その表れであろう。

しかし、ロシアの政治は、実はそれほど単純な構図で動いているわけではない。近年、欧米のロシア専門家やロシアの政治学者、あるいは独立系のジャーナリストらが指摘しているのは、プーチン大統領の力は、国内でも、国外でも、誇大に評価されているという点だ。

プーチン治世において、確かに政治・経済の隅々まで「権力の垂直化」が図られてきたことは事実である。しかし、石油や天然ガスといったエネルギー資源、あるいは巨大化した国営企業に依拠した垂直型の経済システムは、既に10年ほど前からほころびを見せ始めており(注6)、2014年以降は、そこに原油価格の低迷と欧米諸国からの経済制裁も加わった。プーチン政権下のロシアを、ソ連末期の「停滞の時代」とまで比喩する論が、ロシア国内でも散見されるようになっている。

経済が停滞すれば、経済的な利権構造を基盤に築かれたロシアの政治システムそのものも、同時にほころびを見せ始める。エネルギー資源や国営企業に依拠する経済の構造改革が、大統領の掛け声に反して遅々として進まないのも、それらが政治の利権の温床になってきたからだ。

経済の低迷が続くなか、2018年のロシアの統一地方選挙で、いくつかの地域で与党が敗北したことは、政治システムのほころびを示すひとつの象徴であった。近年相次ぐ有名政治家や著名人らの逮捕、またプーチン氏自身に関する健康不安説やスキャンダルがメディアに流れ始めた背景にも、プーチン大統領のレームダック化、あるいは政権内の権力闘争の激化が存在しているとの指摘が、ロシア国内の専門家らから多々示されている。

こうしたなか、国民の間に漂う閉塞感のはけ口として、あるいは政治システムにおける利権に代わる接着剤として、プーチン政権はこれまでも、大国主義とナショナリズムを利用してきた。近年では、これに加えて、第二次世界大戦におけるロシア(ソ連)の「歴史の正当化」というテーマも積極的に活用されるようになっている。

2014年にロシアで成立した第二次大戦の記憶に関する法律も、プーチン大統領自身が2020年6月に発表した論文「偉大な勝利75周年~歴史と未来への責任」も、同大戦におけるロシアの正当性を強く主張するものだ。

もちろん、プーチン大統領がロシアの最高権力者であることは事実である。また、多少の困難な問題を解決するだけの力は依然として保持しているとする考えも、完全に否定することはできない。だが、第二次大戦におけるロシアの「歴史の正当化」を、大統領自らが旗振り役となって推進するさなか、まさに同大戦によって引き起こされた日本との北方領土問題を協議することが、いかに困難かは、想像に難くない。

対中牽制としての日露接近の幻想

第三の幻想は、日露の接近は、日本とロシアがそれぞれ中国に対する「カード」となり得るという日本側の認識であり、さらに言えば、その認識を日露が共有しているという幻想である。こうした幻想を生む背景となったのは、プーチン・ロシアが進めてきたロシアの「東方シフト」政策がある。

プーチン大統領は2000年の就任以降、ロシアの国土の大半はアジアに属すという点をことあるごとに強調し、ロシアのアジア太平洋地域への統合を目標に掲げ、その拠点となるべきロシア極東地域の振興を、「21世紀を通じた国家優先事項」に据えてきた。

プーチン大統領の意識のなかにあったのは、経済的に大幅に立ち遅れたロシア極東地域からの著しい人口流出への危機感と、国境を接する中国からの人口的・経済的浸食、つまりは同地域の「中国化」への強い警戒感があったとされる。

だがそれだけではない。同時に、エネルギー資源等の欧州に代わる貿易パートナーとしてのアジアへの期待、さらには米国を中心とした世界秩序からの脱却・アジアを中心とした新しい世界構造への移行という政治・安全保障上の期待もあった(注7)。

特に2012年は、ロシアは極東の街ウラジオストクでAPECを開催したほか、極東発展省という極東の開発を専門とする政府機関を新たに創設するなど、ロシアの「東方シフト」が目に見える形で具体化され始めた年となった。以降も、ロシア極東への投資誘致に向けた経済特区制度が整備され、ウラジオストクでは、プーチン大統領自らが参加する大規模な「東方経済フォーラム」が毎年開催されるようになる。

日本としても、ロシアの「東方シフト」は歓迎する動きであった。安倍首相は、「中露が緊密に手を組む事態だけは避けなければならない」と周囲に語ったとされるが(注8)、ロシアの東方シフトの動きは、強大化する中国とどう向き合っていくかという安全保障上の観点から、日本にとっても好都合と映ったことが伺える。日本がロシアに提示した「8項目の経済協力プラン」には極東振興の項目が入れられ、安倍首相自らもプーチン大統領に対し、極東における両国の協力を「格好の共同作業の場」と表現してみせた。

これに関連して、自民党の河井克行総裁外交特別補佐(当時)は、2019年1月にワシントンでスピーチを行った際、日本のロシアへの接近は中国の脅威に日露が共同で対処するためとの説明まで行っている。なお、河井氏のこの時のスピーチは、ロシア側から猛反発を受けたことは後で少し触れる。

ロシア国内でも、ロシアの「東方シフト」を日本と結びつける議論もあった。例えば、カーネギー・モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長は、「ロシアと台頭するアジア」(2013年11月)というレポートのなかで、ロシアのドイツとの良好な関係を引き合いに、日本を「東方のドイツ」にすることはロシアにとって意味があるとし、今後の露日関係の発展に期待を寄せている。

トレーニンは、露中関係の肯定的な側面を評価しつつも、ロシアと中国の間には様々な矛盾があることを指摘し、ロシアは、強大化した中国との関係をより効果的に構築するためにも、日本をはじめとする他のアジア諸国との関係も同時に強化すべきだと考えていたのである。

トレーニンが「ロシアと台頭するアジア」のなかで指摘したように、中露関係は、首脳同士による「蜜月」の演出とは裏腹に、当時からさまざまな矛盾を抱えていた。ロシアと中国の経済力の差は拡大する一方であり、両国間の貿易構造の不均衡は、ロシアが中国の産業発展に寄与する資源供給国の地位に落ちたことを意味した。経済的な面だけではない。ロシアが自国の勢力圏と目する中央アジアや北極圏においても、中国との利害がいつ本格的に対立するか分からない状況が当時から指摘されてきた。

特に中国と直接国境を接するロシア極東地域の住民の間では、中国の不法移民の問題が、「(中国の)静かなる拡張」と呼ばれ、時折沸き起こる「中国脅威論」の動機となってきた。また、ロシア領内での中国人農家による収奪的な農法や森林の違法伐採など環境問題ともリンクし、一部極東の市民らの間では、中国に対する一種のアレルギー反応が引き起こされることもあった(注9)。

ただし、そうしたなかでも、トレーニンの「日本を東方のドイツに」という考えは、ロシアではごく限られた少数意見であり、多くのモスクワの政治エリートや専門家らの見方は、あくまでロシアのアジアにおけるパートナーは中国であり、日本はアジアにおける「複数の選択肢のうちのひとつ」に過ぎないという認識が大半であったことは、注意しておく必要がある。

そのうえ、ロシアの中国偏重の比重はその後ますます高まっていくこととなる。2014年のロシアによるクリミア半島の併合とそれに続く欧米諸国との対立が、ロシアの「東方シフト」の性格そのものを一変させたのである。

中国との軍事同盟も排除しない

ロシアの中国専門家アレクサンドル・ガブエフによると、21世紀のロシアと中国の関係は、三つの支柱によって支えられてきた。第一に長大な国境ゆえに安全の保障が不可欠という両国の認識の一致、第二に経済的な相互補完性、第三に政治体制の類似性である(注10)。

第一については、2004年に両国間で最終的に国境が画定したことが大きな役割を果たした。第二は、裏返せば貿易構造の不均衡を意味するが、それでも欧州に代わる資源の販売先として、ロシアにとって中国の存在は大きい。第三は人権や言論統制など、欧米諸国の民主主義の理想と大きく乖離する両国は、いずれも欧米とは異なり互いに内政不干渉の立場だ。

そうしたなかで起こった2014年のクリミア併合後のロシアの孤立、特に米国との間の激しい対立と経済制裁は、ロシアの「東方シフト」を「中国シフト」へと向かわせ、結果的に日本という選択肢をさらに縮小させる結果へと導いた。

例えば、ロシアの対外貿易に占める中国の割合は、2013年の10.5%から、2019年には16.6%まで伸びている。経済制裁で輸入が減った欧州からの機械設備に取って代わったのも、主に中国からの輸入である。金額で見ても、2018年には両国間の貿易高は1,000憶ドルという大台に乗り、2024年までに2,000憶ドルを目指すことで合意している。

対する日本は、2013年にはロシアとの貿易高は350憶ドル近くまで増加したものの、その後減少、2019年も200憶ドル程度にとどまり、その比重も3.7%から3.1%へと縮小している。

ロシア極東地域を中心とした「中国脅威論」にも、変化の兆しが見られる。2014年にロシアの通貨ルーブルの価値が半減して以降、中国からの出稼ぎ労働者の数は激減した。代わって極東に多く見られるようになったのは、中国人観光客の存在だ。2019年、ウラジオストクなどの街がある沿海地方を訪れた外国人観光客は、そのおよそ半分が中国人であった。

ただし、ロシア極東を訪れる中国人観光客らは、中国資本のホテルやレストランを利用するため、地元経済へのインバウンド効果を疑問視する声もある。だがそうした点を考慮しても、2014年の前と後とでは、状況は様変わりした。

中国とロシアの安全保障面での連携も、ますます活発化している。中露海軍は2012年以降、毎年合同演習を実施してきたが、2016年には南シナ海、2017年にはクリミア危機後、特に緊張が高まるバルト海でそれぞれ初めての合同演習を行った。2018年には、ロシアの領内での大規模軍事演習「東方2018」に、初めて中国人民解放軍が参加し大きな話題となったが、その後も同様の合同演習は場所を変えロシア領内で毎年実施されている。

数年前までは、ロシアでは中国よるロシア製兵器のコピーといった問題が指摘されてきたが、ロシアは昨今、中国に対しSu-35戦闘機やS-400地対空ミサイルシステムといった最新鋭兵器の売却を再開させ、さらに中国におけるミサイル攻撃早期警戒システム構築に向けた協力も行っているとされる。

中露の軍事的な接近は、日本にとって当然他人事ではない。2019年7月には、ロシアと中国の空軍機が初めてアジア太平洋地域で共同巡回飛行を行い、そのうちロシア軍2機が竹島上空の領空を侵犯するという出来事があった。この時は韓国軍が警告射撃を行い、日本の自衛隊も緊急発進している。また、2020年12月にも、中露の軍用機が合同で日本海と東シナ海の上空を巡回し、韓国軍の発表によると、相次いで韓国の防空識別圏に侵入するなどした。

そうしたなか、2020年10月に行われた国際会議の場で、プーチン大統領が露中の軍事同盟結成について肯定的な発言を行い、世界中の注目を集めた。具体的には、露中の軍事同盟は「両国はそれが必要ないほどの信頼レベルに達している」という認識を示したうえで、それでも露中軍事同盟は「理論的には十分想像可能」であり「排除はしない」と述べたのである。

では実際に、ロシアと中国は軍事同盟に向かうのだろうか。同盟の実現については、実はロシアの中国専門家や安全保障の専門家らは、現時点ではほとんどが懐疑的な見方を示している。プーチン大統領があえて同盟に言及したのは、米国への牽制の狙いがあったとする解釈が大半だ。

というのも、中露は世界の多くの問題で実は利害が一致しておらず、それを互いが冷静に認識してきたからこそ、現在の関係が保たれてきたからである。ロシアはこれまで、中国の南シナ海をめぐる主張に同調することは控え、中国の領土問題についても基本的には中立を保ってきた。また、ロシアは中国と領土紛争を抱えるインドに対しても高性能な武器を売却するなど、あくまで自律的な姿勢を崩そうとはしていない。

一方の中国のほうでも、ロシアが独立を認めたジョージアのアプハジアや南オセチアを認めておらず、クリミアもロシア領とは認めていない。

両国とも、自国の利害が少ない地域で、不要な対立に巻き込まれるリスクは極力避けたいというのが本音なのである。また、同盟を組めば、どちらがリーダーかという競争が、改めて顕在化するリスクもある。

今後の行方

いずれにせよ、プーチン大統領が推し進めてきた「東方シフト」は、2014年以降、経済・安全保障のいずれにおいても、ロシアの「中国シフト」を加速させた。そのなかで、今のロシアの懸念は、中国はロシアにとって近年ますます重要で他に代えがたいパートナーになった一方で、中国にとってのロシアはそこまでの特別な存在にはなり得ていないという点にある。

中国の貿易総額におけるロシアの割合は、この10年間ほぼ2~3%で横這いだ。ロシア製兵器の供与は、今の中国にとっては重要だが、今後中国の技術の発展次第でその価値を下げるだろう。エネルギー資源に関しても、欧州が2050年までに二酸化炭素の排出実質ゼロを目指す方針を打ち出すなど、販売先として期待が持てないなか、中国へのパイプラインで手足を縛られたロシアは、価格交渉でこれまで以上に中国に強い立場を握られる可能性もある。

それでもロシアには今、中国接近以外の選択肢はない。前述の自民党の河井総裁外交特別補佐のスピーチに、ロシア側が過剰に反発したのはそのためだ(注11)。日本が期待した「対中牽制で日露接近」という幻想は、ロシアと共有されることはなかった。

では、ロシアのこうした中国偏重は、今後変わることはないのだろうか。

おそらく、短期的には大きく変わることはないだろう。米国で2021年にバイデン政権が発足する見通しだが、ロシアでは、トランプ大統領より民主主義や人権問題に厳しい同政権の発足で、米国はさらにロシアへの態度を硬化させるとの悲観的な予測が一般的だ。そうなれば、ロシアはますます中国との連携へと傾くほかない。

しかし10年先、15年先はどうか。中国とロシアのGDPは既に8~9倍の開きがあり、今後その差は拡大していくことが予想される。経済面、軍事面での自信をつけた中国が、中央アジアや北極圏での利害をめぐり、あるいはエネルギー資源価格等で、ロシアに対し何らかの圧力をかけてくる可能性もあり得る。あるいは中国と米国の関係が改善されることになれば、中国のロシア離れを引き起こす可能性も否定できない。

なお、短期的に大きく変わる見通しは低いと述べたが、ただし2024年がひとつの転換点となる可能性は残されている。プーチン大統領は2020年に、現在の任期が終了する2024年の後も、大統領として残ることを可能とする憲法改正を行った。しかし、プーチン氏が2024年に引退、あるいは院政へと移行する可能性が完全になくなったわけではない。筆者はむしろ、プーチン氏にとって都合の良い後継者が見つかれば、大統領を交代する可能性もあると考えている。

また、2024年は米国の次回大統領選挙の年でもある。バイデン氏は年齢的に二期目に出馬しないとの見方も多く、そうなると2024年から25年にかけて、新たな指導者が米露両国に誕生する可能性がある。その時には、米露対立と中露協商という現在の構図に、何らかの変化が生じることもあり得るだろう。

いずれにせよ、日本が今行うべきは、ロシアに幻想を抱くことなく、成果を焦ることなく、今一度、北方領土問題、平和条約交渉のわが国としての基軸をしっかりと立て直すことである。そのうえで、経済やエネルギー、人的・文化交流など、可能な協力については前向きに行っていき、いずれ訪れる可能性のある好機に備えるしかあるまい。

■北方領土返還に伴う日米安保破棄に米国は強く反発

米国の前安倍政権に対する反応は以下のようになります。

1・北方領土返還については、日本の主権回復を支持する立場から、日本の決断を尊重するという姿勢を示した。ただし、ロシアとの関係が悪化していることや、北方領土におけるロシアの軍事的存在が継続することを懸念し、日本に対して、ロシアとの安全保障上の対話を維持するよう促した。

2・日米安保破棄については、日米同盟をアジア太平洋地域の安定と平和の基盤と考える立場から、強く反発。日米安保破棄は、米国の地域戦略に大きな影響を与えるだけでなく、中国や北朝鮮などの挑発的な行動を助長する恐れがあると指摘。また、日米安保破棄は、日本の安全保障にも深刻なリスクをもたらすと警告。日本に対して、日米安保破棄の決断を撤回するよう強く求めた。

2022年7月8日、安倍晋三元首相が凶弾に倒れた事件から1年が経ちました。この事件は世界に衝撃を与えました。私たちは、これまで1度も世に出ていない、犯行の瞬間を捉えた映像にたどり着いたことを報告します。

事件の背後には、特定の宗教団体との関係がみられた容疑者、山上徹也氏がいました。彼は、母親がその宗教団体に入信し、多額の寄付をしたため家が破産したことから、団体への恨みを抱いていたと供述しています。

事件の瞬間を捉えた映像には、「空白の2.7秒」が映し出されていました。山上被告が安倍氏に近づく中で、警護員の配置に「穴」が生じていたことが明らかになりました。この「空白の2.7秒」に何があったのか、そしてなぜ悲劇が起きてしまったのか、私たちは徹底解析しました。

安倍氏は戦後最年少の総理大臣として、日本の憲政史上最長の任期を務め、選挙の強さで知られていました。彼の選挙への執念が事件の背後にあったことを考えると、この大事件は決して繰り返させてはならないものです。

しかし事件の背後にあるものを深く抉っていけば

北方領土問題は、日本とロシアの間で続いている重要な課題です。この問題は単に帰属権に関するものだけでなく、返還後の領土に日米安全保障条約を適用するかどうかという点でも議論されています。

ロシアは、返還後の領土に日米安保条約を適用しないよう求めていますが、日本政府はこの要求を認めていません。一方、ロシアのクリミア半島編入については、ロシア内で承認されている一方で、日本は別個に対処する方針を取っており、火種となる可能性があります。

この問題は、両国の外交的な緊張を伴うものであり、解決に向けてさらなる努力が必要です。

北方領土問題に絡んで日米安保条約破棄に発展如かねない問題に関してリポートします。

北方領土問題は、日本とロシアの間で続いている重要な課題です。この問題は単に帰属権に関するものだけでなく、返還後の領土に日米安全保障条約を適用するかどうかという点でも議論されています。

ロシアは、返還後の領土に日米安保条約を適用しないよう求めていますが、日本政府はこの要求を認めていません。一方、ロシアのクリミア半島編入については、ロシア内で承認されている一方で、日本は別個に対処する方針を取っており、火種となる可能性があります。

この問題は、両国の外交的な緊張を伴うものであり、解決に向けてさらなる努力が必要です。

また、日米安保条約については、クローリー米国務次官補が「米国は北方領土に対する日本の主権を認めている」と述べており、北方領土は日本の領土との米政府見解をオバマ政権として初めて正式に表明しています。ただし、日米安保条約は北方領土には適用されないとされています。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も、平和条約交渉は「失速した」と述べ、「まず日本が日米安保条約から離脱しなければならない」と強調していますが、日米安保条約破棄を交渉の条件にするなら、妥結の可能性はあり得ないと言えるでしょう。

この問題は、国際的な政治的な複雑さを持ち、解決には両国の意思と外交的な調整が不可欠です。

日米安保条約見直しは、北方領土返還には追い風か?

「もし日本が攻撃されたら、我々は、全軍で日本のために戦うのに、米国が攻撃された場合、日本は戦う必要がない。不公平だ」――。日米安全保障条約に対してトランプ米大統領が「不公平だ」と不満を表明しています。

トランプ氏は、日米安全保障条約を持ち出して、日本に対し揺さぶりをかけることで、駐留米軍経費の日本の負担増や米国製装備の更なる購入という金銭的な貢献を引き出そうとしていると考えられます。また、貿易交渉で、日本に譲歩を迫る狙いもあると考えられます。

日米安全保障条約は、第5条で、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」に、日米両国が「共通の危険に対処するよう行動する」としています。これが、米国の日本防衛義務です。

第6条は、「日本国の安全に寄与し、極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカの陸海空軍は、日本国において、施設及び区域を使用することを許される」としています。これが、日本の基地提供義務です。

ロシアが北方領土を日本に引き渡すと、上記の第5条と第6条が適用されることになり、米軍基地が北方領土に誕生する脅威をロシアは恐れています。これが、領土交渉が先に進まない一つの大きな要因とされています。

あくまで仮定の話にはなりますが、日米安全保障条約を見直し、北方領土を米軍の守備範囲に入れないとすると、引き渡し交渉を進展させるきっかけにできる可能性があると、BBT大学院・大前研一学長と言います。もし安倍晋三首相だとすれば、米国とロシアに対してどのような交渉すれば北方領土の返還を実現できそうか、大前学長にアイデアを聞きました。

ロシアは、国後島と択捉島の軍備を強化

ロシアのプーチン大統領は国営テレビのインタビューで、「北方領土の施設からロシアの国旗を下ろす考えはあるか」と質問され、「そのような計画はない」と断言した。つまり、「北方領土を日本に引き渡す計画はない」ということである。プーチン氏は過去に何回も言っていることを改めて強調した。

国後島と択捉島について、プーチン氏は返すつもりはまったくない。この2島では、逆にロシア軍をどんどん強化し、さらに水産や観光で経済的に自立できるようにしている。

『防衛白書』(令和5年度版)によると、北方領土におけるロシア軍の展開状況は以下のようである。

北方領土などにおけるロシア軍

旧ソ連時代の1978年以来、ロシアは、わが国固有の領土である北方領土のうち国後島、択捉島と色丹島に地上軍部隊を再配備してきた。

その規模は、ピーク時に比べ大幅に縮小した状態にあると考えられるものの、現在も南樺太に所在する1個軍団に属する1個師団が国後島と択捉島に所在しており、戦車、装甲車、各種火砲、対空ミサイル、偵察用無人機などが配備されている。

さらに近年ロシアは、北方領土所在部隊の施設整備を進めているほか、海軍所属の沿岸(地対艦)ミサイルや航空宇宙軍所属の戦闘機などの新たな装備も配備し、大規模な演習も実施するなど、わが国固有の領土である北方領土において、不法占拠のもと、軍の活動をより活発化させている。

こうした動向の背景として、SSBNの活動領域であるオホーツク海一帯の軍事的重要性が高まっているといった指摘があり、北方領土のほか、帰属先未定地である南樺太や千島列島においてもロシア軍の活動は活発化の傾向にある。

近年の北方領土への主要な新型装備の配備として、2016年に択捉島及び国後島への沿岸(地対艦)ミサイル配備が発表されたほか、2018年8月、同年1月に軍民共用化された択捉島の新民間空港にSu-35戦闘機が3機配備されたと伝えられている。

地上軍の装備では、2020年12月、ロシア国防省系メディアは、択捉島及び国後島への地対空ミサイル・システム「S-300V4」(最大射程400km)の実戦配備を報じた。さらに、2022年1月、前年に北方領土所在部隊の戦車が寒冷地での運用に適した「T-80BV」に換装されたことが発表された。
2024.03.01 10:42 | 固定リンク | 防衛

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