NATOロシア攻撃「即応部隊30万人以上」
2024.03.17
NATOロシア攻撃 即応部隊を30万人以上「ロシア攻撃・時間との競争」 大規模演習も

ロシアはNATOの動きに対して、自国の安全保障を脅かすものと見なしています。NATOが即応部隊を30万人以上に増強を発表したことに対し、ロシアは欧州の安全保障を直接脅かす存在として位置づけられており、これは冷戦以来最大の規模での集団抑止と防衛体制の調整とされています。

また、NATOが新たな戦略概念を採択し、ロシアを「同盟国の安全保障と欧州大西洋地域の平和と安定に対する最も重要かつ直接の脅威」と位置づけたことに対しても、ロシアは反応しています。NATOは対立を求めず、ロシアに脅威を与えることはないとしていますが、防衛体制強化による抑止力を追求する方針を示しています。

ロシアはこれらの動きに対して、東欧からのNATO軍の撤退と過去約25年にわたる勢力拡大の巻き戻し、新たな加盟国の受け入れの停止を公然と要求しています。これは、NATOとの緊張関係が高まっていることを示しており、今後の国際政治の動向に注目が集まっています。

NATOは最近、数十年で最大規模の軍事演習を開始しました。これには約90,000人の人員が参加し、数ヶ月にわたる戦争ゲームが行われ、NATOがその領土全体を守る能力を示しています。

また、NATOは、変化するグローバルな安全保障環境において競争に先んじるために、NATOの戦争概念を策定しています。これには、技術革新や政治経済的な要因が含まれ、戦争の性質を変える可能性があります。NATOは、平和と紛争の境界が曖昧になり、戦略的および戦術的なレベルでの挑戦に直面しています。そのため、同盟国は焦点を合わせ、努力を同期させ、一致させる必要があります。

NATOは、ロシアのウクライナ侵攻に対する最強の非難を表明しており、ウクライナに前例のないレベルの支援を提供しています。

これには、寒冷地用衣類、ボディアーマー、燃料、輸送車両、安全な通信、戦闘用食料、地雷除去装置、医療用品などが含まれます。さらに、NATOはウクライナのソビエト時代の基準からNATO基準への移行を支援するための多年にわたる支援プログラムを約束しています。NATOはまた、NATOウクライナ評議会を設立し、すべてのNATO加盟国とウクライナが平等に座る危機協議と意思決定のフォーラムを提供しています。

ドイツ外交政策協会(DGAP)のシンクタンクが発表した報告書によると、NATOはロシアとの大規模な戦争を5年から9年以内に行う能力を持つ必要があり、モスクワがウクライナでの無期限の戦争を西側同盟とのより広範な対立に拡大する「機会の窓」を否定すると警告しています。

報告書によると、NATOはロシアとの「時間との競争」にあり、ウクライナでの激しい戦闘が終わった後、モスクワは武装勢力を再構築するのに6年から10年しかかからないかもしれません。その時間枠内で、ドイツとNATOは、必要に応じてロシアとの戦争を抑止し、戦うために自国の軍隊を有効にする必要があります。そうすることで、ヨーロッパで別の戦争が勃発するリスクを減らすことができます。

これらの情報は、NATOがロシアの侵攻にどのように対応しているか、そしてウクライナをどのように支援しているかについての最新の情報を提供しています。詳細については、NATOの公式ウェブサイトをご覧ください。また、NATOがロシアとの戦争に備えるための「時間との競争」にあるという報告書の詳細については、Newsweekの記事を参照してください。

NATO即応部隊、大規模増強へ ロシアの脅威受けて

北大西洋条約機構(NATO)は、即応部隊を30万人超の態勢に増強する計画を発表した。イェンス・ストルテンベルグ事務総長は記者会見で、ロシアが欧州の安全保障を直接脅かしている事態を受けての措置だと説明した。

即応部隊は現在4万人からなり、その多くはNATOの東端に配備されている。

で構成し、そのうち高機動部隊が2万人を数えるが、これを何倍もの規模に拡大する。28日夕からマドリードで開く首脳会議で決定するという。

ストルテンベルグ事務総長は、東欧に展開するNATO戦闘群の一部を、兵数千人からなる「旅団規模」に増強する方針を示した。これはロシアに対する明確な抑止の合図になると、事務総長は述べた。

「ロシア政府と(ウラジーミル)プーチン大統領は、我々の集団安全保障の仕組みを理解し、NATO加盟国を攻撃するとどうなるかも理解していると、確信している」と、ストルテンベルグ氏は記者会見で述べた。

NATO加盟国を攻撃すれば「同盟全体が反応することになる。そのメッセージを裏打ちするため、NATOのプレゼンスを拡大する」と、事務総長は話した。

NATO即応部隊は、攻撃された時点で素早く対応するため、陸海空の兵力を組み合わせて作られた。2014年に兵1万3000人で発足して以来、現在の4万人規模へと拡大してきた。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、即応部隊の多くは初めて「高度の即応態勢」に置かれた。多国籍の戦闘群が現在、ロシアと国境を接するラトヴィア、エストニア、リトアニア、ポーランドなどに展開している。さらに、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロヴァキアにも戦闘群を増派する計画もある。

ストルテンベルグ事務総長が発表した計画は、28日夕からマドリードで開かれるNATO首脳会議で決定される見通し。

NATOにとってロシアの位置づけは

マドリード会議ではこのほか、ロシアに対するNATOの正式な姿勢を変更するものとみられている。NATOは2010年に採択した新戦略概念で、ロシアを「戦略的パートナー」と位置付けていた。

「マドリードで合意する戦略概念では、そのようなことにならない」と、ストルテンベルグ氏は記者会見で述べた。「ロシアは我々の安全保障や価値観、ルールにのっとった国際秩序を、直接脅かす存在だと、同盟各国は言明するものと思う」。

これに加えて米政府筋は、マドリード会議では中国についても「強い表現」が採択されることになると、報道陣に説明している。

アメリカもイギリスも、中国による台湾攻撃の脅威が高まっているという認識で、これに対抗するため、従来より強硬な姿勢をNATOとして示すことを強く求めているとされる。

他方、NATO関係者はロイター通信に対し、中国に対してフランスやドイツはそれよりも抑制的な姿勢を重視していると話した。

解説

ストルテンベルグ事務総長、NATO即応部隊の大幅な拡大について、「我々の集団抑止と防衛体制を、冷戦以来最大の規模で調整することになる」と説明している。

現在のNATO即応部隊は4万人強で、理論的には15日以内で兵員が現場に配備される。これに対して新しい即応部隊は、はるかに大勢が陸・海・空で高度の即応体制をとることになると、NATOは説明している。

理論的には、約30万人のうちの一部が数日で配備され、残りはさらに長期間にわたり展開することになる。NATO関係者は、「様々なレベルの即応態勢」を用意すると話す。

これは明らかに、ロシアへメッセージを送るための措置だ。ロシアは今や「同盟にとって最も重大で、直接的な脅威」になったのだから。

加えて、ロシアと最も国境が近いNATO加盟国を安心させるための措置でもある。2014年にロシアがクリミアに侵攻した際、NATOは真っ先にバルト各国にそれぞれ1000人規模の戦闘群を送り込んだ。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、NATOはすでに兵数百人を増派しており、さらに戦闘群を増強する用意がある。しかし、バルト諸国のように自国内に展開するNATO軍の大幅拡大を期待してきた加盟国は、これで満足するだろうか?

高度な警戒態勢にある即応部隊を国内に置くのは、明らかに譲歩だ。しかも、その方が選択肢としては安上がりだ。

NATO、「ロシアは直接の脅威」 アメリカは欧州での軍事プレゼンス拡大へ

北大西洋条約機構(NATO)首脳は29日、ロシアによるウクライナ侵攻に対処するため、抑止力と防衛の「根本的な転換」を行うことで合意した。アメリカは欧州全域で軍事的プレゼンスを高める。

NATOはこの日、スペイン・マドリードで開かれている首脳会談で、今後10年の指針となる新たな「戦略概念」を採択した。ウクライナに侵攻したロシアについては、「同盟国の安全保障と欧州大西洋地域の平和と安定に対する最も重要かつ直接の脅威」だとした。

また、「同盟国の主権と領土保全に対する攻撃の可能性を否定することはできない」としている。

NATOはさらに、2023年以降、緊急時に対応する即応部隊を現在の4万人から30万人以上に増強することで合意した。

米軍はポーランドに司令部設置へ

アメリカは、ポーランドに恒久的な陸軍司令部を設置し、軍艦をスペインに、戦闘機をイギリスに、地上部隊をルーマニアに配備するなど、欧州での米軍態勢を強化する方針を明らかにした。

ジョー・バイデン米大統領は、NATOは「かつてないほど必要とされている」と主張。「陸空海すべての領域で強化される」と述べた。

英国防省も、軍艦や戦闘機、陸上の待機部隊を増やし、NATOの集団防衛に利用できる軍事力を大幅に増強するとしている。ただ、「軍事機密」であるため具体的な数は明かしていない。

欧州での米軍態勢強化

バイデン氏は同盟国の領土を「隅々まで守る」というNATOの取り組みについて繰り返し言及。「1カ国に対する攻撃は全加盟国に対する攻撃だ」と述べた。

アメリカは今後、スペインに駐留する米海軍の駆逐艦を4隻から6隻に増やす。

ルーマニアには戦闘機3000機と2000人の戦闘チームからなる「交替制旅団」を追加配備する。

イギリスにはステルス戦闘機「F-35」の2部隊を増派し、ドイツとイタリアの防空能力なども高める。

イギリスはすでにエストニアでの軍事的プレゼンスをほぼ倍増させ、1600人強の部隊を配置している。

NATOがロシアを敵国認定、中国の「組織的な挑戦」初明記…首脳会議で新たな「戦略概念」採択

北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が28日夜、スペインの首都マドリードで開幕した。29日には、今後10年間の行動指針となる新たな「戦略概念」を採択し、ウクライナを侵略したロシアを事実上の敵国と認定した。中国についても欧米への「組織的な挑戦」を突きつけていると初めて明記し、NATOは冷戦後最大の転換点を迎えている。

NATOの戦略概念の改訂は冷戦後4回目で、2010年以来となる。

 ロシアは破壊的な手段で直接的な支配の確立を試みているとして、米欧の安全保障への「最も重大で直接的な脅威」と位置づけた。現行の戦略概念では、ロシアを「戦略的パートナー」としており、NATOの危機管理の指針を大きく転換させた。ただ「NATOは対立を求めず、ロシアに脅威を与えることはない」として、防衛体制強化による抑止力を追求する方針を改めて示した。

中国については「多岐にわたる政治的、経済的、軍事的な手段を使って、力を誇示しようとしている」と覇権的な行動のリスクに言及した。経済面でも「重要インフラや戦略物資を握ろうとしている」と強調した。欧州とインド太平洋の安全保障は不可分として、日本、韓国、豪州、ニュージーランドとの協力強化を推進する方針だ。

29日午後~30日には具体的な戦略も協議される。欧州東部の防衛体制を大幅に見直し、強化を図る方針を打ち出す。安全保障上の危機が起きた際に出動する「即応部隊」を現在の4万人規模から30万人以上まで増員する考えだ。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は29日の首脳会議で「ロシアや中国のような権威主義体制が、ルールに基づく国際秩序に挑戦している。NATOは組織を強化する」と訴えた。

ウクライナ支援策には、長期の軍事支援を強調し、旧ソ連製が主流のウクライナ軍の兵器をNATO基準に近づけることを含めた「包括的支援」策も盛り込む。29日の会議には、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がオンライン形式で出席し、追加支援を訴えた。

スウェーデンとフィンランドのNATO新規加盟を巡っては、反対していたトルコが28日、北欧2国と首脳協議を開き、加盟を認める覚書に署名した。北欧2国は、トルコが求めるクルド人勢力らの引き渡しなどに応じる。これにより、29日の首脳会議では、北欧2国の加盟申請が全会一致で認められ、近く、加盟に向けた手続きが始まる。
2024.03.17 06:04 | 固定リンク | 戦争

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