北朝鮮の「ICBM級発射実験」を分析する
2023.12.18
「ICBM級」過去最長73分飛行 北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を繰り返すことで、得るものがあるのか、また、背景に何があるのか、分析し、効果を導き出してみる。

はじめに

北朝鮮は2023年に入ってから、短距離弾道ミサイルや極超音速ミサイルなど、様々なタイプのミサイルの発射実験を行っている。これらのミサイルは、米国や日本、韓国などの敵対国に対する核抑止力や交渉力を高めることを目的としていると考えられる。本論文では、北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を繰り返す理由と効果について分析する。

弾道ミサイル発射実験の背景

北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を繰り返す理由には、以下のようなものがあると考えられる

核抑止力の確保: 北朝鮮は、米国や韓国などの敵対国に対抗するために、核兵器を運搬する手段として弾道ミサイルの開発を進めてきた。北朝鮮は、核兵器の小型化や弾頭化を既に実現し、日本や韓国を射程に収める弾道ミサイルに搭載して攻撃する能力を保有している可能性が高い。また、2021年1月には、極超音速ミサイルや固体燃料推進方式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発などを目標として提示した。

北朝鮮は、核兵器と弾道ミサイルによる核抑止力を強化することで、体制の維持や生存を確保しようとしている。

国内外での威信の確立: 北朝鮮は、新型コロナウイルスのパンデミックや自然災害、国際的な制裁などによる経済的苦境に直面している。このような状況下で、金正恩指導部は、国内の士気を高めるために、弾道ミサイルの発射実験を行うことで、国防科学の発展や武器体系の開発をアピールしている。

また、国外に対しては、弾道ミサイルの発射実験を通じて、北朝鮮の存在感や交渉力を示すことで、米国や韓国などとの対話や協議の条件を有利にしようとしている。

■国際政治構造の変化への対応

北朝鮮は、米中対立の激化やウクライナ侵攻を巡るロシアと西側諸国との関係緊迫など、国際政治構造の変化に対応するために、弾道ミサイルの発射実験を行っていると考えられる。北朝鮮は、米国のバイデン政権が北朝鮮問題に対して積極的な姿勢をとることを警戒し、対話の前提として核放棄を求めることを拒否している。

一方で、中国やロシアとの関係を強化することで、米国の圧力に対抗しようとしている。北朝鮮は、弾道ミサイルの発射実験を通じて、米国や韓国に対する牽制や挑発を行うとともに、中国やロシアに対する協力や支援を求めることで、自らの立場を強化しようとしている。

弾道ミサイル発射のメリット

■北朝鮮が弾道ミサイルを発射するメリットには、以下のようなものがあると考えられる。

技術的な成

北朝鮮は、弾道ミサイルの発射実験を通じて、ミサイルの性能や信頼性を評価し、技術的な問題を解決することができる。北朝鮮は、近年、秘匿性や即時性、BMD突破能力などを向上させるために、様々なタイプや飛翔経路の弾道ミサイルを開発してきた。また、発射台付き車両(TEL)や潜水艦、鉄道といった様々なプラットフォームからの発射により、兆候把握や探知、迎撃を困難にすることで、より実戦的なミサイル戦力を拡充してきた。北朝鮮は、弾道ミサイルの発射実験を繰り返すことで、これらの技術や能力を確認し、改良することができる。

政治的な効果

北朝鮮は、弾道ミサイルの発射実験を通じて、政治的な効果を得ることができる。国内に対しては、金正恩指導部の権威や国防力の強化をアピールし、国民の結束や忠誠を高めることができる。国外に対しては、北朝鮮の存在感や交渉力を示し、米国や韓国などの対応を誘導することができる。北朝鮮は、弾道ミサイルの発射実験を通じて、自らの主張や要求を表明し、対話や協議の条件を有利にすることができる。

■おわりに

北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を繰り返す理由と効果について分析した。

北朝鮮は、技術的な成果や政治的な効果を得ることで、核抑止力や国際社会への影響力を強化しようとしていると考えられる。しかし、このような行動は、国連決議違反であり、日本や韓国などの周辺国の平和と安全を脅かすものである。

また、米国や韓国などとの対話や協議の可能性を低下させるものである。北朝鮮は、弾道ミサイル発射実験をやめ、核放棄に向けた対話に応じるべきである。

本文では、北朝鮮が弾道ミサイルを発射する背景とメリットについて、歴史的、政治的、外交的な観点から分析した。北朝鮮は、核兵器と弾道ミサイルによる核抑止力の確保、国内外での威信の確立、国際政治構造の変化への対応と合致させるものと位置付けていると思わせるものだ。

しかし、このような行動は、国連決議違反であり、日本や韓国などの周辺国の平和と安全を脅かすものである。また、米国や韓国などとの対話や協議の可能性を低下させるものである。北朝鮮は、弾道ミサイル発射実験をやめ、核放棄に向けた対話に応じるべきである。

■北朝鮮が18日発射のミサイルは「ICBM級」 過去最長に近い73分間飛行か

北朝鮮が18日午前に日本海に向けて発射したミサイルについて、複数の日本政府関係者は、大陸間弾道ミサイル=ICBM級のミサイルで、高い角度で打ち上げるロフテッド軌道で発射されたとの見解を示した。

政府関係者によると、今回のミサイルは午前8時24分頃に内陸部から北東方向に発射され、9時37分頃、北海道奥尻島の西約250kmの日本のEEZ外に落下したと推定される。

飛行時間は約73分間で、北朝鮮が7月に発射した過去最長のミサイル飛行時間、74分間とほぼ同じ長さにあたる。

■「領海」と「接続水域」の違い

南シナ海の領有権や尖閣諸島などの問題をはじめ、中国の海洋調査船の活動をめぐって「接続水域」や「排他的経済水域(EEZ)」などの言葉をニュースでひんぱんにみかけるようになりました。どれも同じ海を指す言葉ですが、それぞれどう違うのでしょうか?

海はみんなのものです。およそ危害でも加えようとしない限り、基本的にどこを航行しようとも自由でおおらかな場所です。しかし、自国の領土に近ければ近いほど、その国が及ぼす力が強くなるという国際ルールがあります。

その力の大きさによって、海は大きく4つのエリアに分類できます。それぞれ領土からの距離で決めていて、「領海」(12海里=約22.2km)、「接続水域」(24海里=約44.4km)、「排他的経済水域(EEZ)」(200海里=約370.4km)、「公海」と呼ばれます。公海は、どこの国からの影響を受けず、一番自由に航行でき、だれの物でもない場所です。

「領海」「接続水域」「排他的経済水域」の違いを見てみましょう。

「領海」は領土から一番近い場所にあります。言ってみれば“海の領土”なのですが、瀬戸内海のように陸の内側にある海(内水と言います)でない限り、外国の船は、安全を害さない範囲で通航する権利があります。しかし、外国の船が勝手に漁業をしたり、密輸を企んでいるようなら、日本の法律に基づいて船長らを逮捕する権利が国にあります。

領海の外側に接しているのが「接続水域」です。密輸など怪しい船を見つけた場合は、予防的に取り締まることができます。接続水域は、基本的に公海と同じで、どこの船でも自由に航行してよい場所なのですが、「海警」や「漁政」といった、何かやってしまいそうな怪しい船がやってくると、日本は「領海に近づくな」と警告したり、監視したりできるのです。

領土から続く200海里向こうまでの一番範囲の広い場所が「排他的経済水域(EEZ)」です。領海や接続水域を含むエリアです。日本の場合、広さは、国土面積の約10倍にあたる405万平方キロメートルあります。ここでも船は自由に航行できますが、魚などの漁業資源やレアメタルやメタンハイドレートといった鉱物資源などに関してのみ、日本の法律を適用できます。EEZでは国の許可があれば外国船でも操業ができますが、そうでない場合は取り締まりの対象になります。日本では、海上保安庁や水産庁が、船だけでなく飛行機を使ってこの広い範囲を日々パトロールしています。
2023.12.18 12:29 | 固定リンク | 速報

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