北朝鮮偵察衛星「空中分解」
2024.05.28
北朝鮮「軍事偵察衛星打ち上げ 新型ロケットが空中爆発 失敗」

北朝鮮は27日、去年11月以来、4回目となる軍事偵察衛星の打ち上げを強行したものの、新型ロケットの1段目が空中爆発して失敗したと発表しました。原因究明を進めて再び打ち上げを試みるとみられますが、欠陥の克服に時間がかかれば、ことし追加で3基打ち上げる計画に影響が出ることも予想されます。

北朝鮮の国家航空宇宙技術総局が28日未明、国営の朝鮮中央通信を通じて発表したところによりますと、27日、北西部トンチャンリ(東倉里)にある「ソヘ(西海)衛星発射場」から軍事偵察衛星を搭載した新型ロケットが打ち上げられたものの、1段目が空中爆発して失敗したということです。

原因については、現時点での結論と断った上で、新たに開発したエンジンの動作の信頼性に問題があったとしていて、今後詳しく調べるとしています。

北朝鮮と国境を接する中国東北部・遼寧省の東港で日本時間の27日午後10時40分すぎ、NHKが撮影した映像では「ソヘ衛星発射場」の付近から光の点が夜空を上昇したあと、突然、オレンジ色の炎とともに爆発したように見える様子が確認できました。

北朝鮮による軍事偵察衛星の打ち上げは去年11月以来、4回目で、1回目の去年5月は2段目のエンジンに、2回目の去年8月は3段目にそれぞれ異常が発生し、失敗した経緯があります。

北朝鮮は、原因究明を進めて再び打ち上げを試みるとみられますが、欠陥の克服に時間がかかれば、ことし追加で3基打ち上げる計画に影響が出ることも予想されます。

韓国軍「北朝鮮側の海上で多数の破片探知 空中爆発か」
韓国軍は、北朝鮮が27日夜、軍事偵察衛星と主張するものを発射し、空中爆発したとの見方を示しました。

韓国軍合同参謀本部の発表によりますと、北朝鮮が27日午後10時44分ごろ、北西部のトンチャンリ(東倉里)付近から朝鮮半島西側の黄海の南側に向けて、軍事偵察衛星と主張するものを発射したということです。

そして、2分後の午後10時46分ごろ、北朝鮮側の海上で多数の破片が探知され、発射されたものが空中爆発したとの見方を示し、米韓両国が詳しく分析しているとしています。

また、発射を受けて韓国大統領府は安全保障に関する会議を開いて状況を確認し、北朝鮮による発射は国連安全保障理事会の決議違反であり、国際社会の平和を脅かす挑発行為だと非難しました。

韓国の通信社、連合ニュースは韓国政府関係者の話として、衛星打ち上げを支援するため、これまでに多くのロシアの技術者が北朝鮮を訪問し、エンジンの燃焼実験を繰り返していたと報じていました。

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、ことし3基の軍事偵察衛星を打ち上げる計画を明らかにしていました。

防衛省「黄海上空で消失 宇宙空間へ投入されず」
防衛省によりますと、27日午後10時43分ごろ、北朝鮮北西部沿岸地域の東倉里地区から南の方向に向けて、衛星の打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を行いました。

発射されたものは数分後に朝鮮半島西側の黄海の上空で消失し、宇宙空間への物体の投入はされていないとみられるということです。

政府はJアラート=全国瞬時警報システムで、北朝鮮からミサイルが発射されたとみられるとして沖縄県を対象に避難を呼びかけましたが、その後、日本には飛来しないとみられるとして呼びかけを解除しました。

防衛省は万が一、日本に落下する場合に備えて、迎撃ミサイルの部隊を展開させていましたが、破壊措置は実施しておらず、船舶や航空機への被害の情報もないということです。

北朝鮮は去年5月と8月に軍事偵察衛星の打ち上げに失敗したあと、11月に打ち上げ成功を初めて発表し、27日、6月4日までの間に衛星を打ち上げると日本に通報していました。

ことしは軍事偵察衛星3基を追加で打ち上げる計画を示していて、防衛省が計画への影響など情報収集と分析を進めています。

木原防衛相「通告期間内 さらなる挑発行為に出る可能性」
木原防衛大臣は記者団に対し、「日米韓の緊密な情報共有によりますと北朝鮮は午後10時43分ごろ、北西部沿岸地域のトンチャンリ(東倉里)地区から南方向に向けて衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行したが、発射から数分後、黄海上空で消失し、宇宙空間への何らかの物体の投入はされていないものと推定をしている。失敗の可能性を含め、詳細については日米韓において現在分析中だ。今回の発射について防衛省から政府内および関係機関に対して速やかに情報共有を行った。現在までのところ航空機や船舶からの被害報告等の情報は確認されていない」と述べました。

木原防衛大臣は記者団に対し「今後も衛星発射の通告期間内にさらなる挑発行為に出る可能性はあると考えられ、防衛省としては必要な情報の収集分析および警戒監視に万全を期していく」と述べました。

政府 先島諸島へのPAC3部隊の派遣継続 引き続き警戒監視
林官房長官は27日夜、記者会見で「これまでのたび重なるミサイル発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、わが国や地域、国際社会の平和と安全を脅かすもので、このような発射は国連安保理決議に違反し、国民の安全に関わる重大な問題だ」と非難しました。

政府としては、北朝鮮が通報した衛星の打ち上げ期間が来月4日まで続き、期間内にさらなる挑発行為に出る可能性があることやことし軍事偵察衛星3基を追加で打ち上げるとしていることから、沖縄の先島諸島への迎撃ミサイル「PAC3」の部隊の派遣を継続するなど、引き続き、警戒監視に万全を期すことにしています。

また防衛省は、今回の発射時のデータなどを詳細に調べたうえで、今後の打ち上げ計画への影響についても分析を進めたいとしています。

米 インド太平洋軍「安全保障情勢を不安定化させる危険」
アメリカのインド太平洋軍は、北朝鮮が発表した軍事偵察衛星の打ち上げについて声明を出し、「国連安全保障理事会の複数の決議に対する明白な違反であり、緊張を高め、地域内外の安全保障情勢を不安定化させる危険があるものだ」と非難しました。

その上で「今回の発射は北朝鮮の大陸間弾道ミサイル開発に直接、関連する技術を用いたもので、同盟国などと緊密な連携のもと、状況を分析している。アメリカの国土の防衛と、韓国と日本の防衛への関与は揺るぎない」と強調しました。

日米韓が電話協議
今回の発射を受けて、
▽外務省の濱本アジア大洋州局参事官は
▽アメリカ国務省のジュン・パク北朝鮮担当特別代表代行、
▽韓国外務省のイ・ジュンイル北朝鮮核外交企画団長と
28日未明、電話協議を行いました。

3氏は、弾道ミサイル技術を使用した発射が、関連する国連安全保障理事会決議に違反することを確認した上で、地域の安全保障にとって重大で差し迫った脅威であるという認識を改めて共有しました。

そして引き続き、高い警戒感を持って状況を注視していくことで一致し、日米韓3か国の抑止力の強化や国連安保理での対応などについて、緊密に連携していくことを確認しました。

専門家「北朝鮮 打ち上げ延期した可能性」
北朝鮮情勢に詳しい南山大学の平岩俊司教授は、今回の打ち上げのタイミングについて、「北朝鮮は、もう少し早く打ち上げたかったのかもしれないが、延期した可能性がある」との見方を示しました。

その理由については、「1つは日中韓の首脳会談があったため、中国に配慮した。もう1つは、準備をする段階で技術的な問題が発生して、それを克服するのに時間がかかった可能性がある」と分析しました。

その上で、北朝鮮が年内に3基の軍事偵察衛星を追加で打ち上げる計画を明らかにしていることについて、「今回、失敗したことで、年内中に3基を打ち上げるのはかなり難しくなったという印象を受けるが、非常に短期間の間に打ち上げの準備を進めて、自分たちが宣言したものを実現したいという思いはあるだろう」と話していました。

専門家「ロケットの姿勢が制御不能になったか」
27日、北朝鮮が軍事偵察衛星の打ち上げに失敗したことについて、専門家は、ロケットの上昇中に姿勢の制御ができなくなったとみられるとしたうえで、新たに開発したエンジンか、ロケットの誘導制御装置に問題があった可能性があると指摘しています。

航空宇宙工学などが専門の東京都立大学の佐原宏典教授は、NHKが撮影した映像で、打ち上げ直後はロケットの噴流がまっすぐ伸びていたものの、途中から噴流が曲がっているとして、上昇中にロケットの姿勢が制御不能になり地上からの指令で爆発させた可能性があると指摘しています。

北朝鮮が「新たに開発した液体酸素と石油エンジン」に問題があったとしていることについては「この燃料の組み合わせはアメリカのアポロ計画で1969年に人類を初めて月面に送り込んだ『サターンV』ロケットでも使われていて、決して新しいものではないが、北朝鮮にとっては新たな挑戦だっただろう」としたうえで、新たに開発したエンジンか、ロケットの誘導制御装置に問題があった可能性があると指摘しています。

一方、今回、北朝鮮が打ち上げを行ったのは午後10時43分ごろで、前回、打ち上げに成功したとする去年11月と同じ時間でした。

去年11月に打ち上げられた物体は、ほぼ5日ごとに日本の自衛隊基地やアメリカにある基地周辺などの上空を通過しているとみられ、佐原教授は今回、打ち上げに成功していた場合は、同一の地点を違う日の同じ時間に通過する可能性があったと指摘しています。

佐原教授は「北朝鮮としては特定の場所を毎日同じ時間に偵察したいのだろう。技術的な問題点を解決したうえで今後も複数の衛星を同じ時間帯に打ち上げる可能性がある」と指摘しています。

木原防衛相「発射は失敗したものと認識」




北朝鮮が偵察衛星打ち上げ失敗を発表 ロケットが空中爆発

北「衛星」発射、夜の沖縄で住民や観光客が避難・待機…石垣市長「上空で爆発を否定できない」

北朝鮮が軍事偵察衛星をロケットに搭載して発射、失敗してから一夜明けた28日、全国瞬時警報システム「Jアラート」が発令された沖縄県では市民生活への影響が明らかになり、憤りの声が上がった。

沖縄県庁では27日深夜、Jアラートを受けて職員が駆けつけ、市町村の担当者と連絡を取り合うなど情報収集に追われた。県は28日午前に危機管理対策本部会議を開き、影響について情報を共有した。

那覇市中心部などを走る沖縄都市モノレール「ゆいレール」は、27日午後10時47分から同11時6分にかけて全線で運行を一時停止し、約400人に影響が出た。各駅の構内や最寄り駅に停車した車両内では、駅員が利用客に対し安全な場所に避難するよう呼びかけたという。

那覇空港では発令から解除までの間、地上係員の避難などに伴い、民間機2機が待機を余儀なくされた。

28日は公務で沖縄本島北部を視察中の玉城デニー知事はオンラインで会議に参加し、「県民に大きな不安を与えたことは大変遺憾だ。今後も情報収集し、引き続き、国、市町村と緊密な連携に努める」と述べた。

石垣市の中山義隆市長は28日、報道陣の取材に対し、「正確な軌道で飛んだわけでもなく、今後、石垣の上空で爆発する可能性も否定できない。危機感を持って対応していかないといけない」と気を引き締めた。

 北朝鮮が「人工衛星」を打ち上げると通告した期間は、6月4日午前0時まで。中山市長は「(市民には)引き続き緊張感を持ってもらい、Jアラートなどの情報が出た場合には速やかに避難行動をとってもらいたい」と語った。

 観光で石垣島を訪れていた埼玉県川越市の会社員(54)は「昨夜は飲食店で仲間と食事中にJアラートが鳴り、店内のテレビで状況を見守った。威嚇するための発射だと思っているが、不気味に感じた」と振り返った。




北朝鮮の朝鮮中央通信は28日未明、国家航空宇宙技術総局が27日に偵察衛星を新型の衛星運搬ロケットに搭載して打ち上げたが、失敗したと伝えた。新たに開発したエンジン部分に問題があり、ロケットは飛行中に空中爆発したとしている。

韓国軍は27日、北朝鮮が同日午後10時44分ごろ(日本時間同)、北西部の東倉里(トンチャンリ)付近から黄海の南方向に向けて「軍事偵察衛星」と推定される飛翔(ひしょう)体を打ち上げたのを捕捉。発射から約2分後には北朝鮮側の海上で多数の破片が探知されたという。韓国軍も、空中爆発したと分析している。

北朝鮮が軍事偵察衛星をロケットに搭載して発射した際、失敗したことが報じられています123. この発射は国際法違反の暴挙であり、科学技術を使う目的が根本的に誤っていると言えます。

具体的には、北朝鮮は北西部の西海(ソヘ)衛星発射場から、偵察衛星「万里鏡(マンリギョン)1-1」号を新型衛星運搬ロケットに搭載して発射しましたが、運搬ロケットが1段目の飛行中に空中爆発し、発射は失敗したとのことです4. この失敗は、今年5月に続き、2回連続のものとなりました。

日本の領土と、航空機・船舶の安全を脅かす危険な発射に対して、怒りを禁じ得ません。北朝鮮は10月に3回目の発射を予告しており、国際社会にとって懸念材料となっています。5

このような行動は、独裁体制のゆがみを示すものであり、核とミサイルで安全を確保しようとする北朝鮮の戦術が地域の緊張を高め、軍備拡張を続ける悪循環を招いていることを考慮すべきです。56

国際社会は、北朝鮮の度重なる発射を容認する無責任な態度を改め、制裁履行に協力する必要があります。56 日米韓は、安全保障協力を新たな高みに引き上げることを確認しており、北朝鮮のミサイルに関する情報共有体制を構築し、抑止力を高める取り組みを継続していくことが重要です。
2024.05.28 18:46 | 固定リンク | 国際
お花畑 NEWS
2024.05.28
政治経済国際ニュースを重点的に報道してます

以下は最新の海外も含めたニュースの要約です:

日本のAI戦略とマイクロソフト:

日本マイクロソフトは、日本政府のIT国家戦略を先取りする形で「公共イノベーション推進室」を立ち上げ、政府や地方自治体向けのサービスを充実させています。特に災害時に自治体の行政基盤と情報発信力の確保を支援しており、日本国内の企業の追随を許さない試みとして高く評価されています。

日本国内における生成AIに関するサービスの需要は30年には1兆7,700億円と予想され、23年比では15倍に拡大する可能性を秘めています。マイクロソフトを含むアマゾン・ウェブサービスやGoogleも日本進出と投資を加速させています。

米中関税引き上げとEV:

米国が中国製品の関税を引き上げる動きがあり、中国のEVに新たな関税を課すことが「典型的な保護貿易」とされていま1。

米テスラは上海市で大型蓄電池「メガパック」工場の施工許可証を取得しました。

ハーベイ・ワインスタインの有罪判決破棄:

米東部ニューヨーク州の最高裁が、性的暴行などの罪に問われたハリウッドの元大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン受刑者に対する有罪判決を破棄しました。これは「#MeToo(私も被害者)」運動に広がりをもたらした事件であり、衝撃が広がっています。

これらのニュースは国際的な動向に影響を与えており、注目されています。
2024.05.28 15:44 | 固定リンク | チャンネル
中国衰退論【反スパイ法】適用か
2024.05.28
※【反スパイ法適用】国家安全部「中国衰退論」への対応示唆、経済安全保障への関与強化

中国衰退論については、様々な意見があります。一部の専門家や分析家は、中国経済が直面している問題に注目し、その衰退を懸念しています。不動産市場の危機、若者の高い失業率、地方政府の借金などが、中国の経済的困難として指摘されています。

「中国の奇跡」は終わった。弱体化する大国に世界が巻き込まれるという地政学リスク

我々が知っていた中国はもう存在しない。

急成長しながら徐々に社会を開放しつつあった中国はもはやなくなった。それに取って代わるのは、萎みゆく経済、そして習近平国家主席という一人の人物の支配で独裁化していく政府だ。

この新たな中国は、以前の中国よりも危険だ。揺らぐ不動産業界と社会の高齢化が、世界経済全体の足を引っ張るおそれがある。産業界を攻撃して外資からの投資を遮断することをも厭わない習氏の姿勢は、世界金融の安定を脅かす。そして軍事力の強化と台湾統一への野望が、地政学的な安定の脅威となっている。

※【反スパイ法適用】国家安全部「中国衰退論」への対応示唆、経済安全保障への関与強化

中国の国家安全部は12月15日、メッセンジャーアプリ「微信」上の公式アカウントで「経済安全保障の防壁を断固として築き上げる」と題した文書を発表した。12月11~12日に開催された中央経済工作会議(注1)を受けて、経済安全保障に対する関与の方向性を述べたもの。

文書では「経済安全保障は国家安全の基礎」とし、その上で、経済分野は大国間競争の重要な戦場となっており、外部環境の複雑さ、厳しさ、不確実さが増しているとの認識を示した。その上で、経済回復をさらに進めるには、国内の困難を克服するとともに、外部からの挑戦にも対応する必要があるとした。

具体的には、中国経済をおとしめる意図を持つ各種の「常とう句」が絶えず現れているとし、その本質は虚偽を述べて「中国の衰退」という「言葉のわな」「認知のわな」を作り出し、中国の特色ある社会主義制度とその進む道を攻撃、否定し、中国に対する戦略的な包囲・抑圧をたくらむものだとした。

外部による中国経済への見方については、過去3年間の新型コロナウイルス感染拡大、地政学的衝突のグローバル経済への影響、「西側」による「デカップリング」の影響などが無視されているとした。また「安全保障が発展にとって代わる」「(中国が)外資を排斥する」「民間企業を抑圧する」といった虚偽を悪意を持って作り出し、「中国は脅威」という使い古された文句で、安全保障と経済発展の間にあるという矛盾を故意に作り出し、扇動し、拡大していると批判した。その上で、このような行為の本当の目的は市場の期待と秩序を乱し、中国経済の好転する勢いを妨げようとするものだとした。

同部の公式アカウントは12月13日から3日連続で、中央経済工作会議に関する内容を掲載している。13日に「4つの面から中央経済工作会議の精神を学習・会得する」と題した新華社報道を引用、14日には「『6つの全面的な把握』により中央経済工作会議の精神を学習し貫徹する」と題した部内会議の内容を伝える文書を掲載した。14日の記事では国家安全を守るための手段として、経済の質の高い発展に向けて(1)安全保障の安定した環境創出、(2)経済・科学技術の自立自強へのサービス、(3)現代化された産業システム建設の保障、(4)高いレベルの対外開放に対する護衛、(5)経済宣伝と世論誘導強化への協力といった点を挙げた(注2)。

(注1)中央経済工作会議については2023年12月14日、2023年12月14日記事参照。

(注2)また、11月2日には「金融安全の断固とした守護者となる」との文章を発表、一部の国が金融を地政学的競争の道具にしていると非難し、「空売り」により国際社会の中国に対する投資意欲を動揺させようとするものだとした。








独ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは14日、「中国は危機にひんしているが、共産主義支配は揺るがない」とするスイスのドイツ語紙、ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングの論評を取り上げた。

論評によると、中国では景気の冷え込みを受け、「政治的自由の代わりに経済的繁栄を得る」という中国共産党と国民の間の暗黙の了解が崩壊しつつあるとの声も多い。しかし、習近平(シー・ジンピン)国家主席の統治基盤は実際にははるかに強固だ。

中国はピークを過ぎ、衰退期に入っていると主張する声が海外でますます増えている。しかし、それは性急な判断だ。

この国は、経済崩壊に直面しているわけでも、景気後退や金融危機が目前に迫っているわけでもなく、成長の鈍化が予想されているにすぎない。

政治的衰退を示すものもない。どの政権も永遠に権力を維持し続けることはあり得ないが、70年余りにわたって中国を統治してきた中国共産党は、経済成長の鈍化と信頼の危機の両方を乗り越えることができる。その安定した権力基盤は、革命の歴史を持つ独裁政治の回復力、適応能力、疑う余地のないパフォーマンス、そして洗練された抑圧システムで構成されている。

中国共産党は文化大革命という致命的な間違いから学び、修正した。改革開放政策の成功により、世界第2の経済大国となり、巨大な中間所得層が台頭した。中国共産党は多くの政治運動を経験し、改革開放が政治変革をもたらさず、むしろ権力基盤をさらに強固なものにする十分な能力を政府に備えさせた。

中国は国民を監視する技術を急速に進歩させ、ハイテク独裁政権を作り上げた。国民には多くの自由があるが、それは一定の範囲にとどまる。抑圧機構は時には巧妙に、時には残忍に行動を起こす。

習氏が、在任期間中に課題が増大する中、自由と改革を脇に置き、安全保障機構の拡大を支持したことは、経済にダメージを与え、構造的な問題と併せて現在の停滞の原因の一部となっている。しかし、党が適応能力を失ったことを意味するわけではない。習氏は驚くべき方針転換でゼロコロナ政策を終了させた。

中国は巨大な経済的困難に直面している。不動産市場の危機、若者の高い失業率、地方政府の借金は、国家指導部にとって政治的リスクとなっている。しかし、このことから衰退していると結論付けるのは言い過ぎだろう。中国衰退論は、2000年代に入ってから国際的な議論に定期的に現れるようになったが、それが誤りであることは常に証明されてきた。中国経済が危機に陥った今、こうした論調は再び活況を呈している。それはある種の満足感が得られる奇妙な希望的観測だ。中国が失敗すれば、世界的な影響が及ぶだろう。中国の衰退に賭けない方が賢明だ。われわれは引き続き、強い中国に期待しなければならない。

しかし、他の観点からは、中国衰退論を時期尚早で危険とする意見もあります。例えば、リチャード・フォンテイン氏は、中国衰退論を前提にすることは米国の政策にとって愚かであり、中国の挑戦に対する必要な力の結集ができなくなると述べています2。また、中国の李強首相はダボスで、中国経済には莫大な潜在力があり、それを選ぶことはリスクではなく、機会であるとアピールしています。

中国経済は依然として膨大な利点を有しており、その経済は非常に大きく、いくつかの指標では米国の経済よりも大きいとされています。中国は120以上の国の主要な貿易相手国であり、人工知能や量子コンピューターといった重要技術分野で革新を続けています。










CNAS理事長のリチャード・フォンテインが、中国衰退論は尚早、危険であり、それを前提にすることは愚かだ、これが米国の政策の前提になれば米国は中国の挑戦に対する必要な力の結集ができなくなると、2024年1月22日付のワシントン・ポスト紙で述べている。

中国の李強首相は、ダボスで、自国を安定した投資先としてアピールした。彼は、「中国経済には莫大な潜在力があり、それを選ぶことはリスクではなく、機会である」と述べた。

 聴衆は懐疑的だった。中国は、過去2年間、成功よりも問題が増えている。そのため中国経済の不可逆的な衰退を心配する分析家もいる。

 しかし、これらの懸念は全く早計だ。さらに、これが米国の政策の前提になれば、米国は中国の挑戦に対する十分な力の結集ができなくなる。近い将来の主要リスクは、中国台頭の頓挫ではなく、米国が必要な力を結集することができないことだ。

 中国は依然として膨大な利点を有する。その経済は非常に大きく、いくつかの指標では米国の経済よりも大きい。

 昨年の中国の国内総生産(GDP)の成長は恐らく米国よりも高いだろう。中国は120以上の国の主要な貿易相手国であり、人工知能や量子コンピューターといった重要技術分野で米国主導の制約を克服し乍ら革新を続けている。

 中国は、これらの利点を戦略的な力に転換しようとしている。米の国防予算よりは小さいが、中国の国防予算は拡大しており、それは少なくとも向こう5年または10年以上継続する可能性がある。

中国は、現在アジア最大の空軍と世界最大の海軍を有し、艦船や潜水艦は370隻以上保有している。新たな弾道ミサイル等核兵器や運搬手段を急速も拡大している。多くの国々で軍事基地や拠点を拡大しようとしている。

 また、習近平の下でその野心は依然として壮大だ。昨年、中国は新興5カ国(BRICS)を拡大した。中国の船舶は、南シナ海で攻撃的な行動をとり、領域主張水域で比船舶に激突する等の行為をしている。

 国防省によれば、中国は、数十回に亘り米軍機に対し危険な妨害行為を行い、中国の戦闘機は今や台湾海峡の中間線を定期的に越境飛行している。先週、中国は台湾の総統選挙の2日後、太平洋のナウルに台湾承認から中国承認に変えさせた。中国の指導者は、特にグローバル・サウスで指導力を発揮している。

 中国は依然として台頭し、地域支配と国際的修正主義に取り組んでいる。しかし、中国の絶対的な力は方程式の半分に過ぎない。この種の競争では相対的な力が重要であり、米の力の強化が極めて重要だ。

 米国の力(経済の規模と活力、軍事的な能力と容量、同盟と連携の強さ、必要な時の政治的結束力)をもってすれば、中国の台頭に十分対応できる。しかし、これらの利点は自動的に結合するものではない。米国は、中国の挑戦を前提に、自らの力の強化を図るべきだ。

巨大な人口と経済圏は続く

正論である。フォンテインは、中国衰退論は尚早で、危険であり、それを米国の政策の前提にすることは愚かだ、米国は中国の挑戦を前提に自らの力の強化と結集を図るべきだと言う。指摘の通りであり、追加することはない。

 中国の力を過小評価してはならないし、過剰評価する必要もない。中国の成長は、発展に連れて必然的に鈍化するだろうし、それに連れて国民統治も一層難しくなるだろう。しかし共産一党統治はなかなか崩れないだろうし、中国共産党はソ連共産党の歴史を反面教師として、反対にそのイデオロギーを強めている。

 西側および中国の周辺国は、当面中国の力を常に警戒する必要がある。そして、その巨大な国土と人口に具現される中国の単なる大きさは将来にわたって力として残るだろう。

 人口減少が指摘されるが、他国と比較すれば中国の人口はいまだ並外れて巨大だ。それらは潜在的な脅威となり、中国は世界の問題として、半永久的に残るのではないだろうか。

 中国が世界を不安定化させないためには、中国との対話と中国自身の変化(国際協調化)が必要である。中国の孤立化は、打開策にならないだろう。幻想は禁物だが、中国と関与し、辛抱強く中国の変化を求めることが肝要ではないか。

近年、世界貿易機関(WTO)加盟後の西側の対中関与政策が失敗したことを指摘する論調が多いが、関与の誤りと言うよりも、そのやり方が問題だったのではないか。西側は、余りに無防備に、競って中国に進出し、結果として中国に最大限利用された。西側の過度のナイーブさが問題だったのではないか。

近年の変化の実態は

中国の変化については、次のようなことが求められるだろう。

 ⑴ 中国の発展自体ではなく、中国が増大する富と力を如何に獲得し、それを何に使うかが問題だ。西欧の技術を詐取し、あるいはネット等で非合法に取得することは止めるべきだ。外国人材の確保についても、国際標準に沿ってやっていくべきだ。

 ⑵国防偏重は修正すべきだ。南シナ海の領有権主張は国際規範と関係裁判所の決定に従うべきであり、南シナ海の軍事化は止めるべき。海外への軍事拠点、ネットワークの拡大にも警戒させられる。今の中国の政策は、一世紀余前の帝国主義的、覇権主義的先例と基本的に違わない。一方的な現状変更は支持されない。

 ⑶大国になったから当然だとの世界観が中国にはあるように思える。可笑しな議論だ。歴史の流れを正しく理解し、戦後世界の足跡をもっと理解する必要がある。戦後の国際社会の発展は、人類共有の歴史であり、価値あるものだ。それは西洋が造った歴史だといった修正主義的議論には違和感を覚える。戦後秩序のルールを守り、協力して発展していくべきだ。更に言行一致が大事だ。

 ⑷人権や民主化は抑圧されてはならない。国家の正直さも必要だ。偵察気球の他国領域飛来やコロナ禍等については問題があった。








このように、中国経済に関する議論は多角的であり、一概に衰退しているとは言えない複雑な状況があります。経済の規模、技術革新、国際関係など、多くの要因が絡み合っています。将来の展望については、さらなる情報と分析が必要です。
2024.05.28 11:10 | 固定リンク | 国際

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