銀河の真ん中に不老不死の秘密が
2024.07.15

最近の研究によると、銀河の中心にはダークマターを吸収して「不死身」になった星が存在する可能性があるとされています。これらの星は、通常の恒星とは異なり、ダークマターの対消滅からエネルギーを得ることで、ほぼ無限に輝き続けることができると考えられています。

この現象は、特に銀河の中心部にある「Sクラスター星」と呼ばれる星々で観測されています。これらの星は、ダークマターの影響を受けることで、通常の恒星進化モデルから逸脱し、非常に長寿命である可能性が示唆されています。

この研究はまだ初期段階であり、さらなる観測と検証が必要ですが、非常に興味深い発見です。宇宙の謎が少しずつ解明されていくのはワクワクしますね!

スピッツァー宇宙望遠鏡から見た、天の川銀河の中心

あらゆる命に限りがあるように、星もいつかは死を迎える…はず。でも私たちのいる銀河の中心のごく近くに、不死の星があるのかもしれない、という論文が発表されました。そして不死たりえる理由は、ダークマターにありそうなんだとか。

天の川銀河の中心から3光年の距離に存在する「S星団」と呼ばれる星の集合体。地球の位置は銀河の中心から約2万6000光年なので、限りなくコアに近い場所です。

銀河の中心には巨大ブラックホールがあり、新たな星が生まれるには厳しい環境だと考えられていますが、S星団は若く見え、他の場所で形成されてから移動してきた風でもありません。またS星団には古い星が通常より少なかったり、重い星が多かったりと、従来のモデルでは説明できない特徴がいろいろあるのだそう。

この謎に対し、Kavli Institute for Particle Astrophysics and Cosmologyの研究チームリーダー・Isabelle John氏がSpace.comで解説しています。John氏によると、銀河の中心近くにはダークマターが大量にあるため、S星団の星にダークマターが降着することで「永遠に若い」ままでいられると考えられるのだとか。

ただこの論文は現在arXivのプレプリントサーバーにホストされている段階、つまり査読はまだ終わっていません。果たしてダークマターによる影響なのか、真相は如何に。

銀河の真ん中に、不老不死の秘密が。

動植物の命に限りがあるように、星もいつかは死を迎える…はずですよね。でも私たちのいる銀河の中心のごく近くに、不死の星があるのかもしれない、という論文が発表されました。そして不死たりえる理由は、ダークマターにありそうだ、とも。どういうことなんでしょうか?

銀河の中心にある異常な星団
天の川銀河の中心から3光年の距離に、「S星団」と呼ばれる星の集合体があります。地球の位置は銀河の中心から約2万6000光年なので、限りなくコアに近い感じです。

銀河の中心には巨大ブラックホールがあり、新たな星が生まれるには厳しい環境だと考えられるのですが、S星団は若く見え、他の場所で形成されてから移動してきた風でもありません。またS星団には古い星が通常より少なかったり、重い星が多かったりと、従来のモデルでは説明できない特徴がいろいろあります。

※星の形成モデルは、中心のブラックホールの0.326光年以内では形成できないことを示しているが、S星団はまさにその領域で発見された。

つまりむしろ、これらの星は別の領域で形成され、銀河の中心に移動してきたのであろう。だが逆に観測結果からは、この領域の星は若い(約1500万年以下)ことが示唆されており、これらの星はより近傍で形成された可能性もある。

ともあり、星はどこでできたんだ!となります。

異常の原因はダークマター?

この謎に対し、論文主著者のJohn氏がSpace.comで解説しています。John氏によれば、銀河の中心近くにはダークマターが大量にあるため、S星団の星にダークマターが降着することで「永遠に若い」ままでいられると考えられます。

John氏らが銀河の中心でダークマターの影響を受ける星の進化をシミュレーションした結果、それはS星団の観測データに近いものとなりました。ただこの論文は現在arXivのプレプリントサーバーにホストされている段階、つまり査読はまだ終わっていません。

従来、星の進化の過程を表すモデルとしては、星の光度と有効温度をマッピングしたヘルツシュプルング・ラッセル図なるものがありました。John氏らは、ダークマターの影響を受ける星の進化をよりよく記述すべく、ヘルツシュプルング・ラッセル図のダークマター版を提案したのです。ダークマター版にある星は、従来の図で説明される星より温度が低いのですが、ダークマターの影響で、光度は同じくらいになっています。

ダークマターの影響を受ける星の進化・退化をマッピングできれば、ダークマターが宇宙の中でどう現れ、非ダークマターにどう影響しているかをよりよく理解できるかもしれません。研究チームはまた、今後建設予定の30m望遠鏡で、銀河の中心に近い星をもっと観測できれば、ダークマターの影響も検知しやすくなると期待を表明しています。

見えぬものでも、あるんだよ

ダークマターは宇宙の27%を占めると考えられていますが、今のところ直接検出はできていないし、その正体がひとつなのか(たとえば未発見の素粒子アクシオンなど)、または複数あるのかもまだわかっていません。ただダークマターは、星や星団といった天体の動きや見え方への影響から間接的に検知されていて、とくに巨大な質量で光を歪める「重力レンズ」現象がよく知られています。

ダークマターと星の相互作用についての研究は、今までにもいろいろ行なわれてきました。最近では別のチームが、中性子星(きわめて高密度な星の残骸)が、ダークマターの源でありうると主張しています。去年7月にはまた別のチームが、ウェッブ宇宙望遠鏡を使い、ダークマターからエネルギーを得る星を見つけたと示唆しています。

ダークマターにそんなにエネルギーがあるなら、それを何かに役立てられないのかな?などと妄想しましたが、Space.comがJohn氏に、「太陽も不死になれないの?」と聞いてくれてました。

答えはノー、理由は太陽の位置では(というか銀河系のほとんどの場所で)「ダークマターの密度が銀河の中心ほど高くないから」だそうです。でも太陽の死まではあと数十億年ありそうだから、なんとかなるかも。


最後にもう一つ、壮大な映像を見ていきましょう。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した星雲「創造の柱」。NASAがその詳細な3Dグラフィックスを公開しました。

「創造の柱(Pillars of Creation)」とは、地球から6500光年ほど離れた“わし星雲”の一部であるガスと塵でできた巨大構造体のこと。そのサイズは、約4光年から5光年ほどあります。ちなみに、わし星雲は55光年から70光年ほどの大きさで超巨大。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、神の手にもゾンビの手にも見えるとても神秘的な画像を撮影し、2022年にNASAが公開しました。そして、今回NASAが新たに公開したのは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡が収集したデータから作成された創造の柱の3Dグラフィックスです。

約2分半の動画は、ハッブルがとらえた可視光線とウェッブがとらえた赤外線のどちらもビジュアル化されているのが特徴。

「その違いを理解することで、なぜ同じプロジェクトに異なる宇宙望遠鏡を活用するのかを知る手助けとなればと思う」と、今回のグラフィック映像の開発チームを率いたFrank Summers科学者は語っています。

柱の横を呼び抜けることで、ユーザーは3D構造を観察し、ハッブルの可視光線とウェッブの赤外線による異なる画を見ることができます。その違いを理解することで、なぜ同じプロジェクトに異なる宇宙望遠鏡を活用するのかを知る手助けとなればと思います。

ハッブルとウェッブの違い

2つの宇宙望遠鏡、収集するデータも搭載機材もミッションもそれぞれ異なります。

が、今回の創造の柱に関して簡単に言えば、ハッブルは高音の可視光線をキャッチするのに対し、ウェッブの赤外線カメラは温度の低いモノをキャッチします。その結果、ハッブルのデータ画像は深い緑の背景に、柱の黒・茶色の部分や不透明な塵、明るい黄色の電離ガスを、ウェッブの画像は紺色背景に明るいオレンジの塵と半透明なブルーの電離ガスが描かれています。

NASAの天体物理部門Mark Clampin氏は、こう語っています。

※NASAの宇宙望遠鏡による異なる光の波長を合わせて観測することで、私たちは宇宙への理解をさらに深めていくことができます。創造の柱の周囲から、私たちは新たなインサイトを得て、星の成り立ちに関する理解を研ぎ澄ましていくのです。今回、この新たなグラフィックスによって、みなさんが新たな見方で豊かで興味深い体験ができたらいいですね。
2024.07.15 09:27 | 固定リンク | 化学

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