ウクライナ戦争どうなってるの?
2024.02.11
ウクライナ軍のザルジニー総司令官の解任について、以下のような情報があります。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、2024年2月8日にザルジニー総司令官の解任を発表しました。

ザルジニー総司令官は、ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まった2022年から、ウクライナ軍を指揮してきました。

ザルジニー総司令官は、首都キーウの防衛や東部ハルキウ州、南部ヘルソン州での反転攻勢などで成果を上げ、国民から高い支持を得ていました。

しかし、2023年に始めた大規模な反転攻勢が思うように進まず、戦況がこう着状態にあるとザルジニー総司令官が発言したことで、ゼレンスキー大統領との確執が生じました。

また、ザルジニー総司令官がゼレンスキー大統領にとって政治的なライバルになる可能性も指摘されていました。

ゼレンスキー大統領は、最高司令部を「刷新」する必要があると述べ、後任には陸軍のシルスキー司令官を任命しました。

シルスキー司令官は、キーウの防衛やハルキウ州での電撃的な反転攻勢を指揮した経験がありますが、兵士たちからの支持は低いと伝えられています。

総司令官の交代が戦況や国民の結束にどのような影響を与えるかは、まだ見通せない状況です。

ウクライナのゼレンスキー大統領は2月8日、ロシアによる侵攻に対抗するウクライナ軍のザルジニー総司令官を解任し、陸軍のシルスキー司令官を後任に任命しました。この人事は、ザルジニー氏とゼレンスキー氏の間に確執があったことや、ザルジニー氏が国民の人気が高く政治的なライバルになる可能性があったことなどが背景にあるとみられています。

ザルジニー氏は首都キーウの防衛や南部へルソン州での反転攻勢などを成功させ、国民から高い支持を集めていましたが、去年の大規模な反転攻勢が思うように進まない中、戦況が「こう着状態に陥った」と発言したことで、ゼレンスキー氏とのあつれきが生じていました。また、最近では、50万人規模の新たな動員をめぐって、ゼレンスキー氏と意見が対立していると伝えられていました。

後任のシルスキー氏は旧ソビエト式の指揮スタイルで、東部バフムトの戦いで撤退を拒み多くの兵士の命や弾薬を失ったことを兵士から批判されているという報道もあります。シルスキー氏は首都キーウの防衛や東部ハルキウ州の電撃的な反転攻勢で成果を収めた一方、兵士たちからの支持は低いと伝えられています。

欧州連合(EU)やアメリカなどの西側諸国は、ウクライナの軍事的な支援を続けていますが、この総司令官の交代が戦況にどのような影響を与えるかは不透明です。EUは2月1日のサミットで、ウクライナに対する500億ユーロ(約7兆9500億円)相当の支援パッケージを承認しました。アメリカもウクライナに対する武器や弾薬の供給を行っていますが、連邦議会での承認が遅れているという問題もあります。

■ウクライナ、結束にほころび

軍総司令官解任「ロシア利する」―権力闘争の指摘も

ウクライナのゼレンスキー大統領は8日、軍トップのザルジニー総司令官を解任した。長らく続いていた政権と軍トップの反目に終止符を打った形だが、ロシアの軍事侵攻から間もなく2年となる中、ウクライナが誇る結束にほころびが生じつつある実態を露呈した。一部の国民や将兵が解任に反発するのは必至で、「ロシアを利するだけだ」と危惧する声も出ている。

 ◇不信が噴出

 「兵士を増員できないウクライナの国家機関と比べ、ロシアは追加動員で大きな優位性を謳歌(おうか)している」。ザルジニー氏は米CNNテレビ(電子版)に1日掲載された寄稿で、追加動員に後ろ向きな政権をこう批判した。

 ゼレンスキー氏は昨年12月、軍指導部から最大50万人の追加動員を提案されたが、支持しなかったと述べた。ザルジニー氏は「具体的数字を示して要請したことはない」とこれに反論。国民の不評を買う追加動員を巡り、責任の押し付け合いを演じた。

 両者の確執はかなり前から水面下で続いていたとされる。ゼレンスキー氏は特に、国民の人気が高いザルジニー氏の政治的野心を警戒していた。昨年6月に始めた反転攻勢が大きな成果を生まず、戦況が行き詰まったことで、蓄積した互いへの不信が噴き出たもようだ。

■ウクライナのザルジニー軍総司令官解任に市民が反発

ウクライナの首都キーウ(キエフ)中心部の独立広場で9日、軍総司令官だったザルジニー氏の解任に反発する市民ら約100人がデモを実施した。ゼレンスキー大統領との確執が伝えられてきたザルジニー氏は、国民の人気が高い。市民らは「ザルジニーを戻せ」と書かれた国旗を手に抗議した。

ゼレンスキー氏は8日のザルジニー氏解任に続き、9日にはシャプタラ参謀総長の解任も発表した。人事や戦略の見直しにより、戦況膠着(こうちゃく)を打開する考えだ。

この日のデモに参加したミコラ・ポメンチュクさん(40)は「ザルジニー氏は大統領よりも厚い信頼を得ていた。解任は間違いだ」と訴えた。

国防省は9日、新たに軍総司令官となったシルスキー氏が就任後初めてウメロフ国防相と会談したと発表した。

「ザルジニーを戻せ」と書かれた国旗

ウクライナ・キーウで軍総司令官解任に反対する市民デモ

ウクライナの首都キーウ(キエフ)中心部の独立広場で9日、軍総司令官だったザルジニー氏の解任に反発する市民ら約100人がデモを実施した。ゼレンスキー大統領との確執が伝えられてきたザルジニー氏は、国民の人気が高い。市民らは「ザルジニーを戻せ」と書かれた国旗を手に抗議した。

ゼレンスキー氏は8日のザルジニー氏解任に続き、9日にはシャプタラ参謀総長の解任も発表した。人事や戦略の見直しにより、戦況膠着(こうちゃく)を打開する考えだ。

この日のデモに参加したミコラ・ポメンチュクさん(40)は「ザルジニー氏は大統領よりも厚い信頼を得ていた。解任は間違いだ」と訴えた。

国防省は9日、新たに軍総司令官となったシルスキー氏が就任後初めてウメロフ国防相と会談したと発表した。軍の補給などのほか、ゼレンスキー氏が創設を表明した無人兵器に特化した軍部門についても協議した。

■米国の腰砕けが露呈

また米国は2023年5月20日、バイデン大統領は、広島で開かれたG7サミットで、欧州各国によるF16戦闘機のウクライナへの供与と同国軍操縦士の訓練を支持すると表明しました。

2023年8月21日、オランダとデンマークがウクライナにF16戦闘機を供与すると正式に表明しました。オランダは42機、デンマークは19機のF16をウクライナに送る予定です。

2023年10月24日、米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、広島市での記者会見で、欧州各国によるウクライナへのF16の供与を容認する方針を明らかにしました。米国は他国と共同でウクライナ軍のパイロットに対し、F16を含む戦闘機の訓練支援も行うとしました。

2023年11月12日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、オランダから最初の6機のF16戦闘機を受け取ったと発表しました。ゼレンスキー大統領は、F16の供与はウクライナの防衛力の強化に貢献すると述べました。

しかしバイデン大統領が宣言したような、米国からのF16直接供与受けてない理由は、以下のようなものが考えられます。

米国は、F16戦闘機を供与すると、ロシアとの対立を激化させる恐れがあると考えています。米国は、ウクライナの主権と領土の保全を支持していますが、直接的な軍事介入は行っていません。

米国は、F16戦闘機を供与するには、機体の調達や訓練などに時間がかかると見ています。米国のカール国防次官は、機体の供与や訓練も含めて実戦配備するまでにはおよそ1年半かかるとの見通しを示しました。また、新しい機体を供与するには最大で6年かかるとも述べました。

米国は、F16戦闘機を供与することが最良の選択だとは言えないと考えています。米国は、F16戦闘機よりも地対空ミサイルや歩兵戦闘車、155ミリりゅう弾砲などの方が合理的だと判断しています。これらの兵器は、ウクライナの防衛力の強化に貢献すると考えられています。米国の腰砕けが露呈した瞬間です。

西側諸国は、ウクライナの主権と領土の保全を支持し、ロシアの侵略を非難していますが、直接的な軍事介入は行っていません。ウクライナは、西側諸国からの支援だけでなく、自国の軍事力や戦略も見直す必要があると言えるでしょう。

■戦局はどう変わった?

ウクライナでの戦いは3年目に入ろうとしている。この数カ月、前線はほとんど動いていないが、2024年に戦争の流れは変わり得るのだろうか。

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、今年春からウクライナが開始した反転攻勢が期待したほどの成果を収めていないと認めている。ウクライナ国土の約18%はいまだにロシアの支配下にある。

これからの12カ月間で事態はどう推移するのか。

「戦争は長引くが、延々と続けるのは無理」 

ウクライナでの終戦の見通しは、依然として暗いままだ。昨年のこの時期に比べて、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は力を増している。軍事的にというより、政治的に。

戦況は不透明なままだ。最近では、ウクライナの冬の攻勢が止まったようだ。しかし、ロシア側が状況を打開したというわけでもない。これまでにも増して戦いの決着は、紛争の中心から遠く離れたワシントンやブリュッセルでの政治的判断に依存している。

西側諸国が2022年に示した見事な結束は、2023年を耐え抜いた。しかし、揺らぎ始めている。

アメリカの包括的防衛支援パッケージは、ジョー・バイデン米大統領が正しく指摘した通り、ワシントンの「つまらない政局」の人質になっている。そして欧州連合(EU)による経済援助の今後は、ハンガリーの矛盾に満ちた姿勢に左右されている様子だ。

西側諸国がためらいを見せていることで、プーチン氏は大胆さを増している。公の場での最近の様子や強気の発言からは、少なくともプーチン氏に関しては、ロシアは長期戦を戦うつもりでいることが見て取れる。

その場合、プーチン氏本人と彼が体現するすべてのものに対抗し続けるだけの力と体力が、西側にはあるのだろうか。

EUがウクライナやモルドヴァと加盟交渉を開始することにしたのは、象徴的な動きというだけではない。ウクライナ政府を引き続き支援し続けるという意味が、そこには込められている。ロシアが全面勝利を収めた場合に、ウクライナがEUに加盟するなど、あり得ないからだ。

ワシントンで、政策が完全にひっくり返る事態もあり得ない。

ドナルド・トランプ前米大統領の支持率が世論調査で上がり続けるなか、アメリカの支援について破局的なシナリオを想定したくなりがちだが、前大統領は数々の派手な言動とは裏腹に、2016年にNATOを離脱しなかった。そして、75年の歴史を持つアメリカと欧州の協力関係に、前大統領が一人だけで革命を引き起こすのは不可能だ。

だからといって、最近の西側陣営の結束にひびが入っていることは、決して無意味ではない。西側にとって、そしてそれに伴いウクライナにとって、2024年は厳しさを増す年になる。

説明責任のない独裁者と異なり、民主国家においては、長期にわたり戦争を支持し続ける世論形成は、複雑な作業なのだ。

ウクライナでの戦争はおそらく2024年の間はずっと続くだろうが、だからといって果てしなく延々と続くのは無理だ。

西側諸国の逡巡(しゅんじゅん)にロシアが勢いづくなか、クーデターや健康問題などの理由でプーチン氏が失脚しない限り、予測可能な展望といえば、交渉による協定しかない。しかし今のところ両国とも、それは拒み続けている。

「まとめの1年に」

ロシアによる2022年のウクライナ侵攻は、欧州大陸にとって本格な戦争の再来を意味した。2023年の戦況は、工業化時代の戦争の再来をも意味した。

工業化時代の戦争では、国の経済の主要部分、場合によっては経済活動の全てにおいて、軍需品の生産を最優先するようになる。ロシアの防衛予算は2021年から3倍に増えており、来年には政府支出の3割が国防費に充てられる見通しだ。

こうしたことからウクライナでの戦争は、欧州大陸が20世紀半ば以来経験したことのない、長期にわたる、しかも大きいトラウマの伴う取り組みとなる。2024年は、果たしてロシア(ならびに支援国の北朝鮮とイラン)とウクライナ(ならびに支援国の西側諸国)が、工業化時代の戦争の際限ない要求に応え続けられるのか、試されることになる。

ウクライナの前線が手詰まり状態にあると言えば、それは間違いになる。しかし、ウクライナとロシアのどちらも、戦略的な上手(うわて)をとろうと戦い続けて、お互いを膠着状態にまで追い詰めることは可能だ。

ロシア軍は再び前線の全てで総攻撃をかけるかもしれない。少なくとも、ドンバス地方全域を確保するために。

ウクライナはおそらく、黒海の西側部分とボスポラス海峡に至る重要な通商回廊の支配権奪還という戦果を、利用しようとするはずだ。

そして、ウクライナ政府はおそらく今後も侵略者の意表を突いた奇襲攻撃を重ねて、ロシアのバランスをところどころで崩そうとするだろう。

それでも2024年はつまるところ、ウクライナとロシアの両政府にとって、まとめ作業の1年になりそうだ。

装備や訓練された兵員が不足しているロシアは、どれだけ早くても2025年春までは、戦略的な攻勢を仕掛けられそうにない。

他方、ウクライナが2024年も戦い続けるには西側の資金と軍事援助が必要だ。ウクライナはそうやって戦い続けながら、将来的に国土解放につながる連続攻勢の条件整備に向けて、自分たちの本質的な国力を蓄えていくことになるだろう。

工業化時代の戦争は、社会と社会の争いだ。戦場で起きることは究極的に、社会同士の争いの症状にしかならない。

2024年においてこの戦争の軍事的な展開は、アウディイウカやトクマクやクラマトルスクなど、前線に点在する悲惨な戦場の数々よりも、モスクワやキーウ、ワシントン、ブリュッセル、北京、テヘラン、平壌などで決まっていくことになる。

「ウクライナはクリミア周辺でロシアに圧力をかける」

ロシアは、ウクライナを制覇するだけの決定的な突破力を欠いている。そのため、現在占領している地域を維持するため、できる限りのことをするはずだ。西側がウクライナ支援を続ける意欲を失うのを待ちながら、自国の防衛力を強化するだろう。

しかし、ウクライナは戦うのを止めない。ウクライナは自分たちの存亡をかけて戦っているし、もし戦うのを止めればロシアが何をするか、理解しているからだ。アメリカの意志が弱まると懸念されるだけに、欧州では支援拡大の必要性を話し合う国が増えている。

新年早々にもアメリカは戦略的な気骨を再発見し、連邦議会が12月に可決を遅らせた包括支援案を成立させるものと予想している。

それだけに私は、ウクライナが今後数カ月のうちに戦場で上手を取り戻そうと、次の対策をとると予想する。

何カ月もの戦闘で疲弊した部隊を再編し、攻勢再開に備える

ウクライナの兵力を最大限、有効活用するため、国内の募兵制度を改善する

砲弾や兵器を増産する

ロシアの強力な電子戦力(電波妨害、傍受、位置特定)に対抗する能力を向上させる

初夏までにウクライナは、アメリカ製のF16戦闘機が初めて使えるようになる。そうすればロシア戦闘機への対抗力が向上し、防空能力の強化につながると期待されている。

ロシアが占領し続けるウクライナの国土のうち、最も戦略的に重要なのはクリミア半島だ。こうした場所を、私たちは「決定的地形」と呼ぶ。

ウクライナはクリミアで全力を尽くして、ロシアに圧力をかけ続けるだろう。セヴァストポリの海軍拠点も、半島にあるいくらかの空軍基地も、ジャンコイの兵站(へいたん)基地も、いずれもロシアが維持できなくなるよう、追い込んでいくはずだ。

ウクライナ軍はすでに、この考え方を立証している。イギリスが提供した巡航ミサイル「ストームシャドウ」わずか3基で、ウクライナはロシア黒海艦隊司令官に圧力をかけ、艦隊の3割をセヴァストポリから引き上げさせたのだ。

もちろんウクライナの兵力は無限ではない。特に砲弾や長距離の精密兵器の数には限りがある。

それでも、状態が悪いのはロシア兵の方だ。戦争とは意志を試す。そして、兵站を試す。ロシアの兵站体制は脆弱で、ウクライナから絶え間ない圧力をかけられている。
2024.02.11 09:06 | 固定リンク | 戦争

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