ワクチン接種後に血栓症が起きる因果関係
2024.05.30
ワクチン接種後に血栓症が起きる因果関係

アストラゼネカ社のワクチンでは、稀に珍しいタイプの血栓症が起きるという報告がありますが、適切な診断・治療方法も報告されています。なお、ファイザー社やモデルナ社のmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンについては、現時点において、血栓症の発症との因果関係は明らかとされていません1。

アストラゼネカ社のワクチンでは、頻度にばらつきはありますが、極めて稀に起こるものであり、ワクチン接種約10万~25万回に1回程度といった報告があります。ワクチン接種後1か月以内に生じ、男性に比べて女性、特に若い女性の方が頻度が高いと報告されています。一般的にみられる下肢静脈等の血栓症と比べて頻度は稀と考えられていますが、注意深く情報収集が行われています1。

この血栓症は、ヘパリンという薬を使った後に稀に生じる「ヘパリン起因性血小板減少症」と似ていることが報告されています。アストラゼネカ社のワクチン接種後に生じた血栓症は、脳の静脈やお腹の中の静脈などにも生じ、脳静脈洞の血栓症を起こした方では、脳出血も同時に起きやすくなることが報告されています。早期に診断して、適切な治療を行うことが重要です1。

ファイザー社やモデルナ社のワクチンについては、現時点では血栓症の発症との因果関係は明らかとされていませんが、ワクチン接種を受けた後に激しい頭痛や強い腹痛、脚の痛み、息切れなど、血栓の存在を示唆する症状が出た場合はかかりつけ医に連絡するように助言されています2。

ワクチン接種を受けた方々が動揺する必要はないと専門家は強調しており、このような副反応が非常にまれにしか生じないことが明らかです2。
2024.05.30 13:58 | 固定リンク | 医療

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