無人機航続距離1000キロで「露軍エンゲルス空軍基地」攻撃
2022.12.27

また面目つぶれたプーチン政権…防空網誇示の直後、無人機で再攻撃受ける

ドローンによるロシア海軍艦艇2隻破壊映像…黒海の「蛇島」付近

 AP通信は5日、ウクライナ軍が軍事用ドローンを使って2隻のロシア海軍の艦艇を破壊したとする映像を配信した。ウクライナ国防省は2日、ドローンはトルコ製の「TB2」としたうえで、「本日朝に黒海のズミイヌイ(蛇)島付近でロシア軍の哨戒艇2隻を破壊した」と発表していた。映像では、海上で停まっている艦艇が被弾し破壊されたように見える。その後、突然スピードを出そうとする別の艦艇も破壊されている

 ロシア軍が戦略爆撃機の拠点としている南部サラトフ州のエンゲルス空軍基地が26日、無人機で今月2度目の攻撃を受け、再発防止に躍起になっていたプーチン露政権の威信は再び傷ついた。攻撃への関与を公式には認めていないウクライナ軍は、ロシアの首都モスクワにも届く無人機の開発を急いでおり、無人機を使った攻防が激しくなる可能性がある。

 5日の無人機による攻撃後、エンゲルス空軍基地は無人機攻撃の防止を目的にした防衛強化策が講じられたと伝えられていた。20日には、プーチン大統領が、空軍基地への攻撃やエネルギー関連施設などでの火災が頻発していることを踏まえ、情報機関に活動強化を指示していた。

 露国防省は26日、ウクライナとの国境地帯を管轄する露軍西部軍管区が、高性能地対空ミサイル「S300V」を使って24時間態勢で警戒していると発表したが、その直後に空軍基地に対する今回の攻撃が明らかになった。プーチン氏は米国がウクライナへの供与を表明した地対空ミサイル「パトリオット」よりもS300が優れているとも語っていただけに、面目がつぶれた形だ。

 ウクライナはロシアが一方的に併合した南部クリミアと露本土を結ぶ「クリミア大橋」で発生した10月の爆発や越境攻撃について、関与を公式には認めていないが、今後も露領内深くへの攻撃を続けるものとみられる。米国のオースティン国防長官は今月上旬、ウクライナが兵器を独自に開発し、露本土を攻撃することは許容する考えを示している。

 ウクライナは露本土を攻撃可能な無人機の開発を急いでいる。ウクライナの国防相は今月8日、過去1か月に自前の無人機7機種の実戦配備を決めたことを明らかにした。航続距離が1000キロ・メートルの無人機も近く投入する見通しだ。

 5日の空軍基地への攻撃には、旧ソ連の偵察用無人機「Tu(ツポレフ)141」の改造型を使ったと指摘されている。ウクライナ政府高官は露領内で特殊部隊が協力したと述べており、持ち運びが可能な小型の自爆型無人機で攻撃した可能性も排除できないとの見方が出ている。
2022.12.27 12:21 | 固定リンク | 戦争

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