NATO「ウクライナへ戦闘車両1700両超提供」
2023.04.28

■NATO、ウクライナへ戦闘車両1700両超提供 約束の98%以上 中国がロシアの違法な侵略を非難できていないと牽制 ストルテンベルグ事務総

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は27日、ブリュッセルで記者会見し、NATO加盟国と友好国がこれまでに、ロシアの侵攻を受けるウクライナに提供した戦闘車両が1700両超に上ることを明らかにした。内訳は装甲車が1550両以上、戦車が230両。各国がウクライナに約束したうちの98%以上が引き渡されたことになるという。

ストルテンベルグ氏は「ウクライナに膨大な量の弾薬も提供し、同国の9つ以上の旅団を訓練した。占領地奪還を続けるための強力な態勢を保持することになる」と成果を強調した。

25日付米紙ニューヨーク・タイムズは、ウクライナが5月にも大規模反攻に出る準備を進めていると報道。今月末までに12旅団を編成する予定で、うち9旅団はNATO加盟国が訓練などを支援していると伝えていた。

AP通信によると、NATO加盟国だけでなく、スウェーデンやオーストラリアなどの友好国も装甲車を提供している。

(NATO)のストルテンベルグ事務総長は27日、ブリュッセルで記者会見し、NATO加盟国と友好国がこれまでに、ロシアの侵攻を受けるウクライナに提供した装甲車は1550両以上、戦車は230両に上ると明らかにした。各国がウクライナに約束したうちの98%以上が既に引き渡されたことになるという。

ストルテンベルグ氏は、ウクライナのゼレンスキー大統領と中国の習近平国家主席が26日に電話会談したことについて「歓迎するが、中国がロシアの違法な侵略を非難できていない事実に変わりはない」とけん制した。

■ウクライナ、装甲車1550台と戦車230両受領 NATO総長

北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は27日、NATOの加盟国およびパートナー国はこれまでに装甲車1550台と戦車230両をウクライナに供与したと明らかにした。

 ストルテンベルグ氏は記者会見で、これは昨年2月のロシアによる侵攻開始以降の累計で、ウクライナに供与を約束した「戦闘用車両の98%以上」に当たると述べた。

 また、「これまでに九つのウクライナ軍機甲旅団を訓練し、装備を提供した。失地奪還に向け優位に立てるだろう」と語った。

 ストルテンベルグ氏は一方で、「ロシアを見くびってはならない」とも警告。侵攻の長期化が予想される中、NATO加盟国は「ウクライナが勝利するために必要なものを提供し続ける必要がある」と訴えた。

 7月にリトアニアで開催されるNATO首脳会議では、ウクライナへの「複数年にわたる支援プログラム」が協議される見通しだと明かした。


■ウクライナ、米製迎撃ミサイル「パトリオット」を初受領

ウクライナのオレクシー・レズニコフ(Oleksiy Reznikov)国防相は19日、米国製の地対空迎撃ミサイルシステム「パトリオット(Patriot)」を初めて受領したと発表した。パトリオットは米軍の最新鋭の防空システムの一つとして知られている。

 レズニコフ氏はツイッター(Twitter)に「きょう、防空システムのパトリオットがウクライナに到着した。ウクライナの美しい空がより安全になった」と投稿し、米国、ドイツ、オランダが「約束を守ってくれた」と謝意を表した。

 ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は先に、ロシアの攻撃に対する防衛能力はパトリオットによって「大きく」向上すると期待を示していた。

 米政府は昨年末、ウクライナへのパトリオット供与を発表。これに反発したロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、「解毒剤(対抗手段)」を見つけると述べていた。

 さらに今年に入り、ドイツがシステム一式を、オランダも発射台2基とミサイルなどの供与を発表していた。

 またウクライナ軍は19日、フランスが供与した装輪装甲車「AMX10RC」がすでに配備されていることも明らかにした。

■ドイツ政府は、同国製の主力戦車「レオパルト(Leopard)2」をウクライナに供与すると決定した。

 独「レオパルト2」 ウクライナが熱望した戦闘力ある戦車

 ドイツ政府は、同国製の主力戦車「レオパルト(Leopard)2」をウクライナに供与すると決定した。戦車の供与は、ロシアに対する反転攻勢を強めるウクライナを強力に援護する可能性がある。

 ただ、課題もある。戦車を実戦稼働させるための迅速な訓練と保守管理だ。

 欧州諸国は、近代化させた旧ソ連時代の戦車を数百両供与してきたが、ウクライナ政府は西側諸国が保有する、より先進的な戦車が必要だと訴えてきた。

 レオパルト2は、機能的に最も優れた戦車の一つと世界的に認識されている。欧州各国で運用されていることから、部品や弾薬の調達も容易だ。

■世界が認めた「万能選手」

 レオパルトの製造は、米国製戦車「M48パットン(M48 Patton)」と入れ替えるため1970年代後半に始まり、改良型のレオパルト1やレオパルト2は、強力な火力や機動性、強固な装甲で知られてきた。

 独日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ(Frankfurter Allgemeine Zeitung)はレオパルト2を、ドイツの戦車製造業界における自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の「ゴルフ(Golf)」のような存在だと形容し、「世界が認めた万能選手だ」と評している。

 重量約60トンに及ぶレオパルトは、ドイツの武器産業企業クラウス・マッファイ・ベクマン(KMW)が開発し、これまでに約3500両が造られた。

 120ミリ滑腔(かっこう)砲を搭載し、走行しながら敵と交戦することが可能。最高速度は最大で時速70キロ、航続距離は約450キロ。

 メーカーの説明によると、レオパルトは地雷や対戦車砲、即席爆発装置(IED)などに対して部隊を守る「全方位防御」機能を有している。また、4人の乗員が広範囲にわたって敵を探知して攻撃を可能にする技術が搭載されている。

 現在運用が続けられているのは、レオパルト2A4からA7の型。英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)によると、2000年代初めに生産されたA6型は、旧型モデルに比べてより強力な主砲を搭載している。ドイツは、レオパルト2のA5からA7までのモデル計320両前後を保有している。

 ドイツ政府に対して戦車をウクライナに送るよう圧力を強めてきたポーランドは、レオパルト2A4型を、ウクライナに14両供与する意向を示している。IISSによると、A4型は1980年代中盤に生産され、装甲や火力の電子制御システムに改良が施されている。

■2個の戦車大隊

 ドイツ政府報道官は25日の発表に際して、ウクライナ軍がレオパルト2による戦車大隊2個を速やかに編成できるようにするのが狙いだと説明し、当初の14両の供与は「最初の一歩」だと述べた。

 ドイツ政府は、戦車大隊2個が何両の戦車で編成されるのかについては明言していないが、ドイツ連邦軍においては戦車大隊1個は44両で編成されている。

 独誌シュピーゲル(Der Spiegel)は電子版で、ウクライナに対する今後の供与は、兵器産業が保有している分が割り当てられる可能性があると伝えている。

 ただ、しばらく稼働していなかった戦車は修理や整備を要するため、ウクライナへの供与には時間がかかりそうだ。

■訓練は速やかに開始

 ドイツ政府は、ウクライナ軍に対する戦車運用の訓練が「速やかに開始される」としている。

 軍事専門家は、旧ソ連時代の戦車よりも複雑な機構を有するレオパルト2の装備に関する基礎的な訓練には、数週間を要するとの見方を示している。

 専門家は、レオパルトが戦局を変えることになる可能性があると予測。IISSは最近の報告で、もしウクライナ軍が約100両のレオパルト2を受領すれば、前線での効果は「絶大」だとの分析を示している。

 レオパルトの砲身を供給する兵器メーカー、ラインメタル(Rheinmetall)のアーミン・パッパージャー(Armin Papperger)最高経営責任者(CEO)は、独メディアに対し、「(ウクライナ)軍は敵のラインを突破できるようになり、長期にわたる塹壕(ざんごう)戦に終止符が打たれるだろう」との見方を示した。「レオパルトがあれば、部隊は一度に数十キロ前進することが可能だ」

■今後は捕虜取らず「全員殺す」 ワグネル創設者発言

 ロシアの民間軍事会社ワグネル(Wagner)の創設者エフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏は23日、ウクライナ東部激戦地バフムート(Bakhmut)をめぐり、同市で戦闘任務に当たっている自社戦闘員は今後、敵兵を全員殺害し、捕虜は取らないと発言した。

 ワグネルと関連のあるテレグラム(Telegram)チャンネルがこれに先立ち、ウクライナ兵2人がロシア兵捕虜を撃ち殺そうと話す様子を映した動画を投稿していた。チャンネルは動画の出所には触れておらず、AFPも裏付けを取れていない。
2023.04.28 12:26 | 固定リンク | 戦争

- -