免疫低下『帯状疱疹』注意=ワクチン有り
2023.01.16

加齢と共に発症率が高まるとされる『帯状疱疹』…ここ10年増え続けているという理由や対策は

長引くコロナ禍によるストレスが、発症するリスクを高める一因になっていると指摘されている「帯状疱疹」。
体に帯状の発疹が出て、加齢とともに発症率が高くなるとされる病気ですが、ここ10年、発症する人が増え続けていると言うことです。
患者が増えた理由と対策について取材しました。

*富山市の50代女性「痛くて痛くてしかたなくて、ちょっとやけどみたいなかんじになってしまった。皮膚科に行ったら、そこで帯状疱疹と診断された」

富山市に住む50代の女性です。
10年ほど前、帯状疱疹と診断されました。
はじめは虫刺されと思いましたが、次第に皮膚がやけどのようにただれ、完治した今も跡が残っています。

*富山市の50代女性「一日二日はだるくて階段を登るのも大変だった。ちょうど体の疲れや、仕事の忙しい時期で睡眠不足もあったと思う」

帯状疱疹は、肌に赤く小さな水ぶくれを伴う発疹があらわれ、チクチクと強く痛み、ただれることもあります。
その原因は「水ぼうそうのウイルス」。

*皮膚科神経内科 白崎医院 白崎文朗理事長「誰でもなる病気で、80歳までに3人に1人がなると言われる。帯状疱疹は子どものころにやった水ぼうそうが再活性化して起きる。水ぼうそうは治るが、体の中にずっと(ウイルスが)残っている。それを潜伏感染という」

このウイルスは、(ヘルペスウイルスの一種)子どものころに最初にかかると、水ぼうそうとして発症します。
水ぼうそうが治っても体内にはウイルスが残っていて、大人になって免疫が落ちてくるとウイルスが再活性化し帯状疱疹となって表れます。
もともと高齢者に多い病気ですが、年々患者が増えているといいます。

*皮膚科神経内科 白崎医院 白崎文朗理事長「宮崎スタディといって、宮崎県内の患者を調べた(大規模疫学調査)研究があるが、今から10年ぐらい前と比べたら、1.3倍から1.5倍ぐらいに増えている」

その理由のひとつが、水ぼうそうにかかる子どもが減ったこと。
2014年から、子どもへの水ぼうそうワクチンの定期接種が始まり流行を防いでいます。

ところが、帯状疱疹の予防には水ぼうそうのウイルスに少し触れて免疫を活性化させた方が良く、これをブースター効果といいますが、水ぼうそうの子どもが減ったため、家族などがブースター効果を得る機会がなくなったことから、帯状疱疹が増えたと考えられています。

実は取材した白崎医師自身も、数年前に発症したといいます。

*皮膚科神経内科 白崎医院 白崎文朗理事長「自分では帯状疱疹にならないんじゃないかと実は思っていた。もともと水ぼうそうの患者をよく診察してきた。診察の時に患者から水ぼうそうのウイルスをもらって、免疫が活性化して強まることを日々やっていたから(帯状疱疹に)ならないのではないかと思っていたが、(水ぼうそうワクチンの)定期接種化で水ぼうそうの患者がすごく減ったら、自分も帯状疱疹になってしまった」

帯状疱疹の主な治療は飲み薬で(抗ヘルペスウイルス薬)、1週間から10日ほどで
治ります。
ただ、皮膚症状が治った後も神経の痛みだけが残る、合併症が(帯状疱疹後神経痛)長引くこともあるため、早期の治療が重要です。

では、帯状疱疹のサインに気づくにはどうしたらよいのでしょうか。

*皮膚科神経内科 白崎医院 白崎文朗理事長「一番特徴的なのは身体のどちらか半分に出る、右も左も出ることはまずなくて右だけとか左だけとか、どちらかに出る。症状としては痛み。チクチクとかズキンズキンとか、神経痛が出る」

予防する手立てはあるのでしょうか

*白崎医院 白崎文朗理事長「基本的には規則正しい生活を送る、無理をしない。最近は50歳以上に限ってだが、ワクチンがあるので、ワクチンで予防が可能」

50歳以上なら任意で接種できるワクチン。
2種類あり、費用や効果に違いがあり、高いものでは1回2万円程度と高額なので、医療機関などへの相談がおすすめです。
50歳以上の3人に1人が発症するといわれますが、世代を問わず、早期発見と予防に注意が必要です。

*皮膚科神経内科 白崎医院 白崎文朗理事長「誰でもなる可能性がある。9割以上の人は水ぼうそうにかかっているとと言われているので、みなさん注意が必要」

50歳以上の人が接種できるワクチンは、「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類です。
生ワクチンは1回の接種で費用は8000円程度。
抗がん剤やリウマチなどの薬を服用している人は接種できません。
不活化ワクチンは2回の接種が必要で、1回あたり2万2千円。
効果と値段に違いがあります。
接種は医師と相談の上、検討してください。

白崎医師によりますと、アメリカのある研究では50歳以上でコロナに感染した人はかからなかった人に比べて帯状疱疹が1.3倍に増えたという結果もあということです。
コロナで免疫力が落ちるためとみられています。
感染予防に努めて免疫力を落とさないようにすることが、必要なようです。
2023.01.16 20:49 | 固定リンク | 医療

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