習近平体制は本当に安定期か?
2024.04.17
習近平体制は現在安定期に入り暫く続くのではないかについては、習近平政権の現状について、以下の情報があります。

習近平政権の三期目の政策の方向性 2022年10月に開催された中国共産党第20回全国代表大会を経て、習近平政権は三期目に入りました。この10年間で「中国式現代化による中華民族の偉大な復興」を推進してきたとされています。経済面では、鄧小平路線の下での市場化改革と対外開放から、習近平政権では政府の役割と国内循環を重視し、共同富裕を目標としています。政治面では、指導者の任期制・定年制、集団指導体制が実質上廃止され、権力が総書記一人に集中するようになりました。外交面では、中国は既存の国際秩序の支持者から挑戦者に変わり、米中摩擦は激化しています。

習近平政権の安定性と今後の展望

習近平政権は、三期目に入り、盤石な政治体制を構築したかに見えますが、習近平路線にはいくつかの問題点があり、不安定な要素もあると指摘されています。経済運営に不安があり、習近平体制そのものは安定しているように見えますが、官僚機構の疲弊や経済の停滞などの試練に直面しているとの見方もあります。

官僚機構の疲弊

習近平政権は、官僚機構の疲弊という大きな課題に直面しています。これは、長期にわたる厳しい腐敗取り締まりと政敵の排除、機構改革によるものです。これらの措置は、一時的には政権基盤を強化する効果があったものの、官僚機構のモチベーション低下や能力の低下を招いていると指摘されています。

経済の停滞

中国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、長期停滞の兆しを見せています。特に不動産市場の危機や若年層の失業率の上昇は、社会的な不安を増大させており、政権の安定性にも影響を与えかねない状況です。

政治的試練

習近平政権は、政治的な試練にも直面しています。党大会での圧倒的な権力の確立にも関わらず、その後の統治においてほころびが見え始めており、政治体制の不安定な要素があるとの見方も出ています。

国際関係の課題

米中関係は、軍事衝突の可能性を含め、困難なかじ取りが続いています。また、中国の実業家たちの間では、習近平によるワンマン支配体制下での居場所の不安や、経済よりも安全保障を優先する政策に対する懸念が高まっています。

国内外の危機と習政権の対応

習政権は、安定を重視した政権運営に徹してきましたが、国内外でかつてないほどの危機に見舞われています。ウクライナ危機を受けて米国との金融デカップリング加速の可能性もあり、「ゼロコロナ」戦略による潜在的な危機との指摘もあります。

中国とアメリカの対立は世界経済に多くの影響を及ぼしています。以下に詳細を説明します。

貿易戦争

両国の貿易戦争は、世界経済に連鎖的な影響を及ぼしています。関税の引き上げや輸出入制限などが世界的な供給チェーンに影響を与えています。

世界的な景気後退や成長率の低下につながる可能性があります。

投資への不確実性

両国の対立は、企業の投資判断に影響を与えています。不確実性が高まり、投資家は慎重になっています。
世界的な投資流動に影響を及ぼす可能性があります。

技術分断

アメリカと中国は、技術分野で競合しています。特に5G通信技術や人工知能などの分野での競争が激化しています。

世界的な技術の進歩や共同研究に制約をもたらす可能性があります。

金融市場への影響

両国の対立は、金融市場にも影響を及ぼしています。株式市場の変動や為替相場の不安定化が見られています。

世界的な金融システムにリスクをもたらす可能性があります。

緊張が高まる中で、世界経済は両国の対立によって大きく左右されています。


経済の停滞

中国経済は新型コロナウイルスの感染拡大により、長期的な停滞を経験しています。住宅市場の混乱やデフォルトの増加、大手テクノロジー企業への政府の締め付けなどが影響しています。

習近平政権は、成長と雇用を直ちに後押しするために、経済の立て直しに注力する必要があります。

外交政策と台湾問題

台湾の総統選挙で「一つの中国」を認めない民主進歩党の頼清徳氏が勝利したことで、統一を掲げる習政権は台湾への圧力を強めています。

外交的緊張

アメリカは台湾を最大の同盟国と考えており、台湾の自衛への支援を国内法で義務づけています。

中国は他国に対して台湾を主権国家として承認しないよう外交圧力をかけています。

緊張が高まる中で、両国は言葉の応酬を続けていますが、現在のところ戦争に向かう意思はないとされています。

台湾海峡の緊張が高まれば、経済を立て直す余裕はなくなる可能性があります。

台湾海峡の緊張が高まると、中国政府は軍事的な対応や外交政策に多くの資源を割り当てる必要があるため、経済の立て直しに必要な資金や政策的な注意をそちらに向けなければならなくなる可能性があります。

これは、国内経済の回復という目標と相反する可能性があり、以下のような影響が考えられます。

資源の再配分

軍事的な準備や対応には莫大な費用がかかり、これが経済再生のための投資や社会福祉プログラムへの影響を及ぼす可能性があります。

投資家の信頼の低下

地政学的なリスクが高まると、国内外の投資家は中国市場に対する信頼を失い、投資を引き揚げる可能性があります。

貿易と供給網の混乱

台湾海峡は重要な航行路であり、緊張が高まると世界の貿易と供給網に影響を及ぼす可能性があります。
国際関係の悪化: 台湾問題に関する国際社会の反応は、中国と他国との関係に悪影響を及ぼし、経済制裁などのリスクを高める可能性があります。

中国政府はこれらのリスクを認識しており、平和的な手段による台湾問題の解決を模索することが、経済の安定と成長にとって最善の道であると考えられます。しかし、実際の政策や対応は、国内外の政治的な状況や戦略的な判断によって左右されるため、今後の展開に注目が集まっています。

世界経済の成長を促進するためには、複数の戦略が必要です。以下に主要な方法を挙げます。

貿易摩擦の解消

貿易摩擦は世界経済の成長を阻害する要因の一つです。国際通貨基金(IMF)は、貿易摩擦を解消し、国際貿易体制の現代化を推進することで、世界経済の成長を促進できると指摘しています。

イノベーションと技術革新: 新しい技術の開発とイノベーションは、生産性を向上させ、経済成長を加速します。特にサービス貿易の自由化は、世界GDPを大幅に増加させる可能性があります。

構造改革: 労働市場の分断化を解消し、女性や移民、少数者、高齢労働者などの労働市場への参加を改善することが重要です。また、課税ベースを所得から財産に移行させることも、経済成長を促進するとされています。

持続可能な政策の実施: 債務免除の供与、貿易統合の促進、気候変動への対処、食料不安の軽減など、持続可能な成長には国際協調が不可欠です。

教育と人材育成: 高度な教育とスキル開発は、労働力の質を高め、経済成長を支える基盤を築きます。

これらの方法は、世界経済の成長を促進し、より高い生活水準への収斂を加速するために、国際的な協力と各国政府の政策によって実現されるべきです。





高官の消息不明

習近平政権発足後、学者、ジャーナリスト、人権派弁護士らが「騒動挑発罪」「国家分裂罪」などの容疑で検挙されており、言論統制が強化されています。

高官の消息不明は、政権の安定性に影響を与えている可能性があります。

習近平核心体制の確立

習近平は国家主席に再選され、定年で党政治局常務委員を退いた盟友の王岐山も国家副主席に選ばれました。これにより、習国家主席(総書記)による「習近平核心体制」が事実上確立したとする見方もあります。

高官の消息不明と習指導部の安定性 習指導部の安定性が、一連の消息不明によって長期的な影響を受ける可能性は低いとの見方もあります。

権力の集中と政策の軌跡 習近平氏は2012年の就任以来、改革開放後の中国では考えられないほどの権力を掌握してきました。全国人民代表大会(全人代)では、習氏の圧倒的優位性が強調され、財政省を含む多くの公式声明で共産党の「核心」としての習氏の理論や立場に触れられています。

中国共産党の「核心」とは、党内で最も重要な指導者の地位を指します。この用語は、党の中央委員会や全国人民代表大会などの重要な会議で使用され、党の最高指導者が持つ権威とリーダーシップを象徴しています。

習近平氏は、中国共産党の「核心」としての地位を確立しており、これは党規約にも明記されています。党員は「習近平総書記の党中央、全党の核心としての地位を断固として守り抜き、党中央の権威と集中的統一的な領導を断固として守り抜く」という義務を負っています。

この「核心」という言葉は、中国共産党の歴史において、毛沢東、鄧小平、江沢民など、過去の最高指導者に対しても使用されてきました。習近平氏がこの称号を持つことは、彼が中国共産党および国家において非常に強い権力を持っていることを示しています。

また、党規約の改正により、習近平氏の新時代の特色ある社会主義思想が「現代中国のマルクス主義、21世紀のマルクス主義、中華文化と中国精神の時代的精華」と評価され、中国共産党の指導思想として位置付けられています。

このように、習近平氏の「核心」としての地位は、中国共産党内での彼の権威を強化し、彼の指導下での政策や方針が中国の将来に大きな影響を与えることが期待されています。

中国とアメリカの対立が台湾問題に影響を及ぼしています。以下に詳細を説明します。

台湾の地政学的重要性

台湾はアジア太平洋地域で重要な位置にあり、アメリカの外交政策において戦略的な役割を果たしています。

中国が台湾を統一すれば、西太平洋地域でより自由に力を誇示できるようになり、米国の遠隔地にある基地さえも脅かす可能性があると指摘されています。

軍事的緊張

中国は台湾の防空識別圏に軍用機を送り込むなど、軍事的な圧力を強めています。

アメリカは台湾の防衛を明言し、台湾が攻撃されれば軍事的に保護すると表明しています。

経済的影響

台湾は世界経済において重要な役割を果たしています。台湾製の半導体などが多くの電子機器に使用されています。

中国が台湾を支配すれば、世界市場の半数以上を占める半導体産業を手中に収めることになる可能性があります。

経済成長の鈍化

中国経済は減速しており、長引く住宅危機や「ゼロコロナ」政策が消費者心理を冷え込ませ、世界需要の低迷や人口の高齢化、物価下落も重しとなっています。それでも、習氏は「質の高い発展」を提唱し、革新的なハイテク産業による持続可能な成長を優先させる方針を示しています。

住宅市場の課題

中国は住宅バブルに穴を開け、地方政府に債務返済を促すことで金融リスクを軽減しようとしていますが、いわゆる「3つのレッドライン」政策は投機の横行を食い止める一方で、多くの不動産開発会社を財務面で追い詰めています。

所得格差の問題

所得は個人レベルで伸びていますが、習氏が「共同富裕」を掲げるも、所得格差は拡大しています。中国は2035年までに中進国になることを目指していますが、成長鈍化が続くと予想されるため、この目標達成は難しくなるかもしれません。

再生可能エネルギーの推進

中国は電気自動車(EV)の世界的リーダーとなり、ソーラーパネルや風力発電能力の設置を進めています。これらは、中国政府が成長の原動力として期待を寄せている「新しい3つ」のセクターです。

党規約と「二つの擁護」

党規約には習氏への忠誠を事実上義務付ける「二つの擁護」が明記されており、習氏の考えや指示に異を唱えた場合、処分の対象になる可能性があります。これは国内での締め付けが強まる可能性を示唆しています。

以上の情報を踏まえると、習近平政権は現在安定期に入っていると考えられますが、経済や外交、政治体制の面で多くの課題を抱えており、今後も様々な試練に直面する可能性があると言えるでしょう。習近平政権がどのようにこれらの課題に対応していくかが、今後の中国の政治と経済の安定に大きく影響を与えることになります。
2024.04.17 18:46 | 固定リンク | 国際

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