妖怪大戦争
容疑者 室井慎次
善き人のためのソナタ
四人の食卓
黄泉がえり
LIFE!
ライフ・アクアティック
ラストサムライ
ラストシーン
ラッキーナンバー
ラブ・アクチュアリー
ラブストーリー
ランド・オブ・ザ・デッド
ラン・ローラ・ラン
リズと青い鳥
リターナー
リトルダンサー
リトル・ミス・サンシャイン
リバー、流れないでよ
リベラ・メ
リメンバー・ミー
猟奇的な彼女
リリイ・シュシュのすべて
レイクサイドマーダーケース
冷静と情熱の間
レディ・プレイヤー1
RED SHADOW 赤影
レミーのおいしいレストラン
レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語
烈車戦隊トッキュウジャーVSキョウリュウジャー THE MOVIE
ロスト・イン・ラ・マンチャ
ロスト・メモリーズ
ロック・ユー!
ローズ・イン・タイドランド
ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間
ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔
ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還
ロード・トゥ・パーディション
ローレライ
ロング・エンゲージメント
ワイルド・ワイルド・ウエスト
若おかみは小学生!
WATARIDORI
笑の大学
笑う大天使(ミカエル)
ONE PIECE FILM STRONG WORLD(ワンピース劇場版)
ONE PIECE FILM Z ワンピース フィルム ゼット
ONE PIECE STAMPEDE
ONE PIECE FILM RED
かつて仲間だった詐欺師達5人+1人が3年ぶりに大阪駅に集まる。
再びチームを組んで、北海道のイベントで大きな“仕事”をやろうと言うのだ。
北海道に向かう列車の中で、列車の一室を借りきって彼等は計画を練り込んでいく。
そして上手く仕事を成功させた彼等だったが、帰りの電車の中、仕事で得た大金を収めたバッグが消えてしまうのだった・・
★
大部分が列車内で描かれる半密室物です。
予告の印象からナンセンスな犯罪コメディかミステリーかと思っていましたが、
見終わった後の印象では、コメディにもミステリーにもなりきれない中途半端な作品と感じました。
限定された空間で起きる事件、
大がかりな詐欺の仕事、
互いに因縁深く、それぞれに腹に一物ある人物達の探り合い、
タイトルにもなっているいくつもの“嘘”・・・
と、プロットを見るとすごく面白そうに思えたのですが、実際の作品は非常にゆるゆるで印象が薄かったです。
限定された舞台であることも、列車が舞台であることの独自性も大して生かされず、
詐欺の仕事のシーンは全く描かれず、
プロの詐欺師達は皆(コメディであると見ても)頭が悪く、気の利いたやりとりも、高度な騙しあいもなく、プロの片鱗も見せてくれず、かといってギャグとして面白いと言える描写もなく、(この辺は個人的な感覚なのですが)ギャグ的な描写も正直言って今一寒く、
タイトルの「嘘」も大したインパクトもなく、
謎解きと言うほどの謎もなくただ淡々と進むだけ・・
どう楽しめばいいのか困る作品でした。
ゆるいやり取りを楽しめばいいのかも知れなかったですが、私には合わなかったのだと思います。
詐欺師達もみな考えがあらゆる意味で甘々で、その精神年齢は中学〜高校生位にしか見えません。
詐欺師の映画というより中学■日記を見ているような気分になりました。
ネタバレで言ってしまいますが、共感出来るだけの描写も正当性もない甘っちょろい“犯罪者”の“友情や愛情、仲間意識”を最後にテーマのように描かれても、感情移入も感動も出来ずに困ってしまいます。
個人的には犯罪者を主人公にしていい作品を作ろうと言うなら、それなりの工夫がいると思います。
本来なら犯罪者は市民の敵で、そのままでは感情移入の対象には成り難い物なのですから。
犯罪者を描くなら色々な方向性があると思いますが、例えば犯罪のテクニックを徹底的に面白く、或いは華麗に描写して娯楽作品として仕上げるも良し、ナンセンスに徹してコメディを目指すも良し、犯罪者の意識や状況の変化をシリアスに描いて悲哀のある作品に仕上げるも良し、シリアスでなくとも人物描写を掘り下げて観客の興味や共感を誘うも良し、或いは犯罪者と言いつつ自分以上に悪い奴を相手にする偽悪物、ダーティーヒーローとして描くも良し、悪の美学(笑)を貫くも良し、勿論これらを複合して描くも良しでしょう。
いずれにせよ、いい映画を目指すのならどの方向を向くにせよ、一定のライン以上の“踏み込み”が必要なはずです。
そういう意味で、ペテン師の騙し騙されを軽快に描いた「ライライライ」や、詐欺のテクニックを娯楽性高く描きつつ主人公の心情に迫っていった「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」、殺し屋と少女の悲哀を見せてくれた「レオン」などはとても面白かったと思うのです。
「ルパン3世シリーズ」もこういった作品として分かりやすいものかと思います。
ちなみに個人的には、犯罪者映画で変に“いい話”にしようとして失敗した映画では「スペーストラベラーズ」を思い出します。(私感)
今回の映画も、最後に変に“いい話”にしようとして失敗してる(あくまで私感)ように見えてスペーストラベラーズを思い出しました。
まああそこまで酷いとまでは言わないですが・・・、
色々書いてしまいましたが、今作は酷評する程に酷い映画と言うわけでもありません。
ただ、どうにも印象の薄い、踏み込みの足りない、中途半端な、面白くなりそうな要素は多いのに開花させられなかった残念な作品だったと私的には感じたのでした。
個人的には、宣伝で表に出されている「ゴンゾウ」(目つきの悪いパンダ)がストーリーに全然関わってこないどころか、出るシーン自体も数分しかないのも、また残念でした。
アリエル・ゼトゥン監督、リュック・ベッソン原案/脚本/提供の作品です。
ちなみに、
『ヤマカシ』とは、ザイール、リンガラ語で「強い精神、強い肉体、強い男」=「超人」の意味で、
パリのストリート・パフォーマーたちの呼び名だそうです。
とゆーか、パリで有名になった身軽集団「ヤマカシ」達自身が主演してます。
詳しくはこちら↓
http://www.tv-tokyo.co.jp/telecine/cinema/yamakasi/index.html
*** *** *** ***
フランスのパリの街で、毎日朝になると
高いビルの外壁を、道具も使わず軽々と上っていく『ヤマカシ』と呼ばれる7人の男達がいた。
実際ビルに上ることが罪になるかどーかは不明だが、
彼等を追いかける警察の追撃を軽々とかわして逃げ切るヤマカシ達は
子供達の間でヒーローになっていた。
だが、ある日ヤマカシを真似て木に上ろうとした子供が転落する事故が起きてしまう。
少年は24時間以内に心臓移植しなければ助からない。しかし
それには膨大な費用が必要だった。
少年を救うため、ヤマカシ達の街を駈け、ビルを飛び回る活躍が始まる・・・
*** *** *** ***
私は映画を見る前はあまり情報を得ないようにしていますが、それでもこの映画については
『ビルを自在に飛び回るヤマカシと呼ばれる男達が、少年の命を助けるために活躍する痛快活劇』
程度の情報を得ていて、なんだかすごく面白そうだと思えました。
★★★以下はネタばれ含みの感想です。★★★
ビルを上り階段や屋根を飛び回る、そのアクションは見事で迫力満点で見応えがありました。
ただ、個人的な感想としては、映画としては期待はずれだったよーな気がします・・・
この映画、私は今一痛快さを感じれませんでした。
何故かとゆーと、
結局彼等が少年を救うためにとった手段が「強盗」だったからですな。
彼等ならではの技能を生かしてどうやって少年を救うのだろうとわくわくしていたのですが、
その手段が犯罪ってのに抵抗が捨てきれなかったんですな、私は
映画で犯罪が描かれるのは良くあることで、
それは作品にもよりますが必ずしも否定的に描かれているとは限らないのはよく分かります。
映画じゃヒーローでも大なり小なり犯罪はしてますわな。
犯罪者の末路の悲哀を描く作品もあれば、痛快さで押し切る物もあり、ナンセンスで笑わせる物もある。
アンチヒーローのダークさを魅力的に見せる手もある。
現実での犯罪は否定しますが、
映画でなら許せるもしくは気にならない場合は多いです。
ただ主役の犯罪を『痛快』に見せるには、
映画としての見せ方にもっと工夫がいると思うのですよ。
この作品では主役達は「正義だ」と言ってますが、
盗まれる側は一部を除いて別に悪でも、気分の悪い敵役でもない。
主役に懲らしめられ無ければならないほどの存在でもないのに、
財産を盗まれ、銃で脅され、主役達は無罪放免。めでたしめでたし。
これではとても痛快にはなれません。
世の無常、不条理を描くならこれでもいーかも知れませんが。
まあ、私には合わなかったというだけの事かも知れません。
その他にも、少年の姉“アイラ”とヤマカシ達の関係がよく分からないこととか、
(描かれていたのを見逃したのかも知れませんが)
個性豊かなメンバーで構成されているはずのヤマカシ達の個人個人としての特徴を生かした活躍が
描かれておらず(せいぜい「音楽」くらい)、
キャラクターとしての印象があまり残らなかった事とか、
(一番印象的なキャラって“ヴァンサン刑事”なんですね)
アイラが自分では何もせず、文句ばかりで礼も言えない失礼女に見えるとか、
(状況的に仕方ないかもしれんけど)
どーにも不満の残るところが多かったです。
マジかギャグか中途半端な印象も残って、残念に感じた作品でした。
素材はいいのに勿体なかった印象です。
「戦後13年目」と「現代」という2つの時代を通して原爆の被害者の姿を描いた、こうの史代氏原作の漫画の実写化作品です。
2つの時代をそれぞれに生きる2人の女性を主人公に、2部構成で描いています。
原作とはややテイストは違いますが、良い出来だったと思います。
戦後間もない時代と現代とのそれぞれの時代における、原爆を受けた人やその血を引く人といった"ごく普通の人"の"なかなか表に出てこないであろう"思いを伝える作品で、
そういうデリケートなテーマを、固くはなりすぎずに"取っつきやすく"伝えてくれる作品ですので(実際のところはその"取っつきやすさ"が曲者でもあるんですけど^^;)、
特に若い世代の人には見て欲しい作品だと思います。
とりあえず"原作だけ"でも"映画だけ"でもいいから見るべし。(個人的には原作がお勧め)
原作とのテイストの違いについては、漫画を邦画で実写化した場合にはよくある事ですが、原作よりも大分「ウェット」な作品になっていました。
原作は、残酷な事実を柔らかなタッチでさらっと描きながらも、それがかえって「重み」を鋭く心に刻みつけてくるのですが、
映画版ではよりストレートに、ドラマチックに感情を揺さぶる形で描かれています。
ちょっと"ドラマチック"に"綺麗"に演出し過ぎで、原作にあった『主人公自身の罪の意識』を省いてしまったのは残念でありました。
あと、「ギャグ要素」がかなり減らされてしまったのも残念だなあ(^^;(卵子は残してくれてもいいのに)
また、人間関係がかなり"分かり易く"整理されてしまっていますので、原作での『ちょっとした謎解き』の要素は薄くなっているかと思います。
まあ、本であれば「おや?」と思ったところはすぐに既読のページを読み返せますが、映像作品ではそうもいかないですから、仕方ないんでしょうねえ。
それぞれの時代の主人公を演じる麻生久美子と田中麗奈が共に良かったです。特に現代の桜の国編での田中麗奈の演技はキャラクターに合っていて良かったかと。
■ユナイテッド93(ポール・グリーングラス監督)(2006/08/15)
2001年の9.11テロの際、ハイジャックされた4機の旅客機のうち、ホワイトハウスに突入「しなかった」ユナイテッド93便の内部の状況を軸に、
各管制センターや関係当局の当日の状況を淡々刻々と積み上げて描いたノンフィクション“的”な作品です。
関係当局や遺族に綿密な取材を行い、管制官や当局の関係者の多くを「本人」が演じているようなドキュメント指向的な作品ですが、
ハイジャック犯に乗客が立ち向かっていった93便内部の様子は、機内から遺族にあった電話などから想像された、あくまでフィクションの内容ですので、その辺りはちゃんと認識してから見るべきではあります。
とはいえ、余分な感情や善悪的な判断を極力廃して、ひたすらに淡々と状況だけを積み上げていく描写は恐ろしく臨場感と緊張感があり、当時の各現場の混乱ぶりも実によく伝わります。
WTCビルへの突入を初めて知った機長の反応などは、第一報を聞いた時にそれを現実的に感じられず悪い冗談と思えてしまったような当時の“自分”の感覚も思い出させてくれて、
まだこんな事件が起きることを想像もしていなかった当時のアメリカの空気感までもがリアルに感じられて、非常に様々に複雑な思いで感情を揺さぶられる作品でありました。
状況の描写に徹して声高なメッセージを謳っている作品ではありませんが、それだけに無言の迫力と映像の力を感じさせられる映画でした。
最後に93便がどうなるかは、見る前から観客は分かっていますし、
決して見ていて楽しい作品ではありませんが、一見の価値はある映画かと思います。
ああいう状況で家族に電話が出来るとしたら、やはり最後のセリフは「愛している」なのでしょうか。
それを言う自分はいまいち想像出来ないですが、日本人だったとしても大なり小なり似たようなセリフになるのかなあ…
多数の死者を出したバスジャック事件、
その事件を生き延びたのは、運転手と小中学生の兄妹の3人だけだった。
心に深い傷を負った3人。
運転手は仕事を辞め町を出て各地を転々とし、
兄妹は家族が離散し学校にも行かずに2人きりで生活していた。
事件の2年後、彼等は再会し、疑似家族として生活を始める。
彼等は心の再生を果たせるのか・・・
北九州を舞台に、モノトーンで撮影された、とても美しい作品です。
画面上、じっくり描かれた静かな展開ながらも、なかなか引き込まれる映画ではありました。
・・・ただ、
3時間40分は長すぎ。
途中でトイレに立つ人が続出するってのは、やっぱ映画として問題ではなかろーか。
主人公の生き方にどーしても共感出来ないのも個人的には辛かったです。
事件の背景を背負った3人はともかく、周りの人々もどーにも好感が持てなくて辛い・・・
(特に主人公のやくざの如き同僚)
あの人々は「リアル」とは思えないけどなあ。(あくまで個人的にはですが)
後、映画自体のせいかどうかは分からないけど、音声が聞きとりずらいのもちょっと・・・
余韻のある映画なのは確かなんですけどね。
★
田舎を出て東京で写真家として成功した弟・猛と、
田舎で偏屈な父と家業を継いで暮らす温厚な兄・稔。
彼等は幼馴染みの女性・智恵子と3人で思い出の渓谷を訪れるが、
そこで兄と吊り橋を渡っていた智恵子が橋から落ちてしまう。
これは事故なのか事件なのか、公判が進む中で兄妹の関係もゆれていく』
★
と、いう話。ちなみに邦画。
タイトル通り、吊り橋のようにゆれまくって変化していく兄弟の内面と関係性を描いた心理劇です。
相手に対しての感情が変化するとともに、事故の記憶までもが(当人の自覚・無自覚に関わらず)揺れ動いていきます。
兄妹2人の(必ずしも分かりやすく描かれるとは限らない)内面の細かい描写がとても目を引きつけられる映画で、
そして「記憶」というものの曖昧さがとてもリアルに感じられる、何とも複雑な気持ちにさせられる作品でした。
面白かったですが、自分的には重い気分が残りました。この映画が「好きかどうか?」と聞かれればちょっと悩みます。
結局「真実」はどうだったのでしょう。
弟が最後の最後に辿り着いた結論が本当に真実だったのか、
だとしたら、ラストの兄の表情は正直しっくり来ないのですが、
それさえも人の感情のゆれ幅の内だと考えるべきなのか、
それともあれが「兄弟」というものなのでしょうか?
一人っ子の私には分かり難い事なのかも知れません。
弟の無軌道さと彼女の夢見がちで無邪気な残酷さに、途中までは正直嫌悪感を感じていましたが、
なかなか本心を現さない兄の内面が垣間見えてくると、印象も変わって見えたりします。
かなり周到な構成の作品です。兄の「背中」の演技が凄い。
劇場の音響のせいなのかも知れませんが、セリフが聞き取り難い所がチラホラあったのが残念です。
1968年の作品のリメイクのようですが旧作は未見です。
少年が妖怪と共に、加藤保憲率いる悪霊軍団と戦う活劇です。
えー、意外にと言うか、予告での印象通りと言うか、
かなりお子さま向けなおばかチックな映画でした。
お子さま向けと言いつつ結構えろいのが不思議ですけど(笑)
とりあえずふとももがえろいです。
怖さは全然無かったり、少々物足りない面もありますが、
水木漫画(アニメ)等で見覚えのある妖怪がわらわら出る妖怪てんこ盛りお祭り映画としてなかなか楽しめたかと思います。
もうちょっと妖怪それぞれの個性を押し出して欲しかった気はしますけどね。
「出てるだけ」な妖怪が多いのがちと勿体ない。
何故か敵キャラが“加藤保憲”ですが、帝都物語の加藤と同じ人物とは思わない方が良いかと。
“あずきに負ける加藤”と思うと涙がこぼれそうになりましたが、
笑えたからOKです。
とりあえずあの展開を見ると、嶋田久作が演じて無くて良かったかもと思いました(^^;
「大戦争」と言いつつ妖怪がまじめに戦争をしないのは、人間とは違う存在として良かったかと。
「戦争は腹が減るだけだ」のセリフのさり気なさ、押しつけがましさの無さがいい感じです。
映画を見ていると、作中でも出てくる水木しげるロードや記念館に行きたくなりました。
鳥取はちょっと遠いですが。
http://yokai-movie.com/index.html
警視庁の室井管理官はある殺人事件の捜査の責任を取らされ逮捕されるのだった。
★
「交渉人 真下正義」に続いての“踊る大捜査線”シリーズのスピンオフ作品第2弾です。
今回はシリーズで青島刑事と並んでの重要キャラである室井管理官が逮捕されると言う衝撃的な内容・・・のはずなのですが、
正直言ってイマイチ食い足りない作品でした。
正直内容は薄いです。心理描写も事件の内容も捜査の展開も法律関連の描写も。
シリーズの番外編として見ればそれなりに楽しめましたが、正直言うとTVスペシャルでもいい話かと思えます。
見ていると、
・「現場の捜査員を尊重する」室井の姿勢を否定する人物と“逮捕”と言う逆境で、室井の信念への試練を描く事
・現場主義の持つ危険性の一面への指摘(女弁護士の過去もこれ?)
・現場優先の姿勢を持つ室井と上層部との確執
・あくまで真実を捜査しようとする姿勢
と言った、シリーズを通しての室井という人物に深く関わりそうな複数のテーマが掲げられていると思えるのですが、
それぞれの描写・展開がどうにも踏み込みが足りず満足感が得られませんでした。
(特に上層部の顛末のお粗末なこと)
様々に浮かび上がる問題に対して室井が答えを出せていると見えないのも問題かと。
ずーっと黙ってるし、最後の犯人への応対は結果的には間違いで、彼の「正義と勇気」が最後まで空回りしてしまう展開も辛いですし、
最後にほとんど“運”で助かったように見えるのも肩すかしです。
室井さんという人物の生き様の重要な部分を見せる作品かと思ったのに、正直とても「わき道」的な話に見えてしまいました。
もっと話を絞った方が良かったんじゃないのかなあ。
室井さんの過去エピソードは興味深かったですが。
主人公の室井という人の重めの存在感は好きなのですが、
TV版での彼が、明るいキャラの中での重みのあるキャラとして作品にメリハリを与えていたのに対し、
今作は明るい人達がいないので、ずーっと重々しく、作品としてのテンションが一定で変わらないのもちょっと辛かったです。
彼が寡黙であまりに話さない事もあって、映画のテンポが悪くて正直イライラしました。
つーか、「そこはちゃんと話をしないとダメだろ」と言う場面でも何も言わないのはどうかと。
ただ黙っていても不当な立場は改善されませんよ。人間戦うときには戦わないと。
出てくる人物や状況はあまりリアリティは無く、演劇的、もしくは漫画的に感じました。
「超映画批評」さんで書かれていた“警察を題材にしたファンタジー映画”の表現がしっくり来ます。
室井を追い詰める役の弁護士のはっちゃけぶりが有り得なさすぎてかえって笑いました。
人を苛つかせる演技が上手いわあ八嶋智人(笑)
室井につく田中麗奈演じる女弁護士は、正直ちょっと痛かった気もします。(後半はともかく序盤がちょっと)
ところで、「交渉人 真下正義」の時に、事件の解決があやふやにも感じたので、今作に何か引っ張るのかと思いましたが、ほとんど関連は無かったですな。
ところで2「○○さんも心配してる」は反則です。ホロリと来ました。
■善き人のためのソナタ(フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督)(2007/02/27)
冷戦時代の東ドイツで国家保安省(シュタージ)によって行われていた国民の相互監視システムという国家の暗部に切り込んだ映画です。
多くの人間がシュタージの諜報・盗聴等の活動により"政治犯"として拘束された影には、約17万人の密告者(IM)の存在があったとか。
そして東西統一後にシュタージの"公文書"が開示されたことで、シュタージの被害者を売ったIM=被害者の隣人・家族のことも明らかになって相互不信の種となっているとのことで、映画は4年にわたるシュタージに関するリサーチを生かして作られています。
映画のストーリーとしてはシュタージの大尉ヴィースラーが劇作家ドライマンとその恋人クリスタの日常を監視することになる中で心に変化が起き始めるという話で、
静かながらも重みのある展開で見応えのある映画です。
淡々とした描写にリアリティを感じさせられました。
"統一前"と"後"のギャップや、公文書の閲覧風景の描写なども興味深かったです。(もっとも、現在は公文書も電子化されていて、映画のような書類での閲覧は無くなっているようですが)
夜の電車で眠り込んでいる男がいた。
ある駅で、女と2人の幼い娘が乗ってくる。
女は居眠りをしている男の隣と、向かい側の空いている席にそれぞれ娘を座らせる。
終着駅で、アナウンスに起こされ男は電車を飛び降りる。
男が車内を振り返ると、小さな女の子が2人、車内に眠り込んで残っていたままだった。
男が家に帰ると婚約者が新しい食卓と照明を持ち込んでいた。
照明は料理ではなく座席に向けられている。
家族それぞれが主人公だからだと彼女は言った。
翌日、仕事場で男はラジオのニュースを聞いて驚く。
電車内で女の子2人の遺体が発見されたと言うのだ。
もしやあの娘達は死んでいたのか?
自宅で持ち帰った仕事を続けていた男。
ふと食卓を見ると、その座席にはあの2人の少女達が眠り込んでいた・・・
★
何と言って良いやら悩みます。
「見る人の数だけ謎が生まれる」の宣伝文句の通り、様々な疑問が重なり、答えが示されないまま映画は終わってしまいます。
映画の雰囲気は凄いものがあり、テクニックも優れたものだと思うのですが、
正直、何を描きたかったんだ?と思いました・・ と言うよりは、描きたい事が多すぎたのかも知れません。
幼児期のトラウマ、虐待、他人とのコミュニケーション不全、理解と不理解、集合住宅の情景等々、
気になるキーワードが様々に散らされていますが、それらを上手く一本の作品として整理仕切れなかったようにも思えます。
ストーリーは難解・・というか分かり難いですが、全体を通してみればシンプルな話とも言えます。
ただ、それで残った感想は私の場合“だから何?”という気分でした。
ホラーと言うよりはサイコサスペンスというべき物で、“恐い”映画ではありません。
ただ気持ち悪さと気分の悪さが残ります。
訳の分からなさという意味では先日見た「THREE
臨死」の韓国編を思い出しもしましたが、
あちらが本当に意味のないこけおどしだったのに対して、こちらは意味を作りすぎて分からないものになっていると言う事で、比べるのは失礼ですな。
ただ、もったいなく思う映画でした。
「猟奇的な彼女」のチャン・ジヒョンが挑んだ神経質そうな女性の演技は見応えがありました。
梶尾真治氏原作だったのですね。見に行くまで気付いていませんでした(それでもファンかい)
そんな訳で原作未読ですので、今度読んでみます。
既に死んでしまった大事な人達が、短い時間だけこの世に帰ってくるという群衆劇です。
恐怖路線に走るのでなければ、プロットだけで既に『泣き』が決定してしまっているような話で、
「感動させてやるぞ」という姿勢で見せられたとしたら、逆に冷めてしまうかもと思いつつ行ったのですが、
激情を抑えた静かな描写で、自然に、素直に見ることが出来ました。
泣けたとは言わないのですが、前向きに爽やかな印象が残って結構良かったです。
ただし、何故死者が帰ってくるのか、説明は一切と言っていいほどありませんので、
話の謎に説明が付かないと気が済まないという方にはお勧めしません。
話の主題はそういう所にはありませんので。
そのことを除いても、全体的に説明の少ない、観客が「察する」ことを要求されたつくりになっています。
クライマックスなど結構思い切った「省略」をしたなと感じましたが、
(具体的には主役達以外の成仏シーンが一切省略された事です)
無闇にだらだら全ての事象を見せられるよりも、考える余地があって好感を持ちました。
“観客に委ねる”という言葉がしっくり来る気がしました。
(描くべき事を描いてないだけなのに、「見る人に委ねた」とか言ってる作品もよくありますが、それとはちょっと違うかな、と)
一方で、今言ったこととは逆に、長すぎる。引っ張りすぎると感じるところもあるのですけどね^^;)(はっきり言うとクライマックスです)
必要な長さなのかも、と頭では思いつつ、・・・やっぱ長いっすよ>クライマックスシーン
序盤、なかなか事態が進行しなくて、話が進まないと思っていましたが、
後半になってくると序盤のシーンの意味が分かってきます。
見ながら“構成がイマイチでは?”と思ったりもしましたが、最後まで見ると割と満足してしまっていて、
少し“やられた”という印象です(いい意味で)
話は変わりますが、物語にのめり込めるか、泣けるほど感動出来るかどうかは、見る人の人生の経験で大きく変わってくるのだろうなと、
脈絡なく思ってしまいました。
つっこみたくなるところもチラホラありますが止めておきます。
おでんのシーンが良かったです。
■LIFE!(ベン・スティラー監督)(2014/03/23)
特に事前に調べずに吹替版で見ましたが、字幕で見るべきだったと後悔しました。
ロード・オブ・ザ・リングやオペラ座の怪人の字幕版でヒドい誤訳にあって以後、選択肢がある場合は吹替版を選ぶ事が多かったのですが、それでハズレ吹替に当たった事が無かったので油断してました。もうちょっと調べてから行くべきでしたよ…orz
何故アメリカ人の主人公の吹替が関西弁なのやら。もしかしたら言葉が訛っているという表現だったのかも知れませんが、最初から最後まで違和感しか感じられませんでした。
ですが、吹替以外はストーリーも映像も楽しめました。
雑誌「LIFE」の写真管理部に務める妄想癖を持った冴えない主人公が、「LIFE」最終号の表紙を飾る写真のネガが無いことに気付き、カメラマンを探す旅に出るという話でしたが、
平凡な変わりばえの無い人生を生きてきた主人公が日常を超えて一歩を踏み出すごとに逞しい顔つきになっていく辺りが良かったですよ。
序盤は頻繁に入っていた妄想シーンが、妄想以上に過酷な現実に踏み込む度に減っていきますが、序盤が序盤だけにどこまでが現実でどこまでが妄想か分からなくなる間隔がミソだったかなと。
しかし、ツッコミどころも多い映画でしたよ。
とりあえず教訓としては、もらったものはちゃんと確認しようとか、人の話はちゃんと聞こうってところでしょうか。
ところであんな険しい山中で携帯電話って通じるんですかね、と思ったら、2010年以後はエベレスト山頂でも携帯が通じるんだそうで。そうだったのか(^^;
そもそもストーリーのきっかけが雑誌のオンライン化で紙の雑誌が潰れることだし、現代的ネット時代の様相が強く現れた作品だったのかもとも思いました。
そんな中で携帯を持たず連絡先も定かでない、フィルムカメラ使用のカメラマンの存在が大きく浮き上がっているかなと。
携帯と言えば海に落ちた後も使えてましたが、その辺も納得いく理由はあるんでしょうか。
■ライフ・アクアティック(ウェス・アンダーソン監督)(2005/06/23)
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の監督の最新作です。
海洋探検家にしてドキュメンタリー映画監督のズィスー(ビル・マーレイ)は自分勝手で我が儘な男。
ある航海で彼の率いる映画制作集団“チーム・ズィスー”の仲間が撮影中に幻の“ジャガーザメ”に食べられてしまう。
その様子を上映し、次の撮影ではジャガーザメを追い仲間の仇を討つと息巻くズィスーだったが、
彼は落ち目の監督で、更に希少な生物を殺すという目的に投資家も引き気味で撮影航海の実現は難航する。
そんな中でズィスーの昔の恋人の息子で(たぶん)ズィスーの息子だという青年ネッドが現れる。
ネッドをチームに加え、航海は開始するが・・・
★
我が儘な爺さんが周りを振り回したり、思い通りにならない状況に悩まされつつ、自分のあり方と他者(家族や仲間など)との関わり方や人生を見つめ直していく、
ちょっとおかしな人々のコメディ・・と、正直やっていることは前作(テネンバウムズ)とあまり変わりません(笑)
爆笑とは言わないけどクスリと笑えるようなおかしな人間描写も健在ですが、
展開のヌルさや、悪趣味な差別ネタや動物ネタなども健在で、少々不愉快な部分が目に付くのも前作と同じです。
やー、犬の扱いは今回も非道いですねえ; 何か思惑があるんでしょうか(^^;
ヌルさも毒も含めて既にこの人の作品の味とも言える気がするので、いいか悪いかというよりも、
観る人の感覚に合うか合わないかの問題という気もしてきます。
年齢や立場でかなり感じ方の変わりそうな映画です。
私としては、嫌いではないけど微妙かなあと、前作・今作を観て思いました。
しかし人生や人(家族)との関わりのままならなさや苦さを(ちょっと強引ながらも)感じさせてくれる展開や、我が儘爺さんは嫌いじゃなかったです。
ナイトメアー・ビフォア・クリスマスのヘンリー・セリック監督が手がけたという海の生き物の映像は幻想的で非現実的で、
少々ファンタジックなこの作品には合っていて魅力的だったと思います。リアリティをあえて外した海洋描写は観ていて素直に楽しかったです。
http://www.movies.co.jp/lifeaquatic/index.html
■ラストサムライ(エドワード・ズウィック監督)(2003/12/18)
★
南北戦争の英雄“ネイサン大尉”(トム・クルーズ)。戦争中の行為から彼は名誉も誇りを失い、荒んだ日々を送っていた。
そんな彼に、開国した日本に行って近代軍隊の指導の仕事をして欲しいとの依頼が舞い込む。
日本は近代化の変化の波の真っ只中。
ネイサンはそんな日本で最後のサムライに出会い、そこにあるものを見出していく・・・
★
明治時代を舞台に渡辺謙やトム・クルーズが鎧刀で身を固め、近代軍隊と戦う話、
と聞くと、正直すごくイロモノっぽく思えそうですが、なかなかどうしてずっしり重量感のある正統派の映画でした。
それでいて小難しさの無い分かり易さがあって(かと言って安っぽくはない)、良いエンターテインメント作品でありました。
ネイサンが意識を変えていく心情の変化が自然に共感出来ました。
じっくりと描かれる侍の村での日々の描写がとても貴重に思えます。
“ゴメンナサイ”のシーンなど良かったですわ〜
ところで、この映画で最もオイシイ人物は渡辺謙演じる勝元だと思いますが、
トム・クルーズも鎧姿が予想以上に様になって正直見直す思いでした。(おぃ)
作中の二つの立場、大村を代表とする近代化側と勝元を代表とする侍側、
どちらが間違っているとも言い難いものですが、近代化側、というより大村がどうも単純な悪役っぽくなってしまったのが少し残念ではあります。
ところで、時代考証などのつっこみどころは多そうな映画ですが、印影のある描写や敷き詰められたディテールや、
“物語的な”締め方のおかげもあって、細かいところは気にならずに楽しめました。
ただ、妻は1ヶ所だけつっこみたくて仕方なかったようです。
曰く「吉野にソテツ(らしき木)は生えない」
・・・なるほど(笑)、人によって気になるポイントは違うのだなあ(笑)
ところで2、「ネイサン」と聞くと「おやつまだー?」とか続けたくなるのは私だけではないと信じています。何年もサザエさん見てないですが。
映画「リング」の監督の作品ですが、ホラーというわけではありません。
1965年の日本映画界がテレビの普及により衰退を始めた時代と、
2000年の、テレビ主導の映画が映画界を牛耳っている時代を舞台に
時代を超えても通じる映画を作ることへの意欲と精神が繋がる、人々の交流を描いた映画です。
映画としては小品ですが、最後がすがすがしい、いい映画でした。
テレビ業界の人間のあまりと言えばあまりの醜悪な描写に鬱になりますが、
誇張なのやら、実際あんな人達もいるのやら・・・、
いると言われてもすんなり納得出来そうでかなり嫌です。(偏見ですが)
映画としては、そういう人達にさえも影響を与えていく展開が小気味良いのですけどね。
劇中の映画「愛の果て」の描かれていない展開が非常に気になりましたが
パンフレットでストーリーが解説されていてちょっとすっきりしました。
「ドクター鮫島 THE MOVIE」のストーリーも載せておいて欲しかったなあ。
遺影撮影のシーンがいい感じでした。
http://www.omuro.co.jp/lastscene/
■ラッキーナンバー(ノーラ・エフロン監督)(2001/04/22)
舞台はアメリカのとある地方、テレビの天気予報で活躍し、
”デニーズ”に専用駐車場や専用座席を持ち、
高級車を乗り回す主人公(ジョン・トラボルタ)は町の有名人かつ人気者、人生の成功者であった。
(デニーズに専用席を持ってるってのが、どれ程度エリートなのかは謎なんですが^^;)
しかし彼は事業の失敗から財産の差し押さえをくらってしまう。
なんとか金を工面しようとして友人に相談し、
その友人にそそのかされて、ついには自分が持ってるスノーモービルの販売店に
狂言強盗を襲わせて、保険金をゲットしようとする主人公だったが、
たまたま夜中に店に従業員が残っていて、狂言強盗が逮捕されて失敗してしまう。
更には、狂言強盗を頼んだ相手からも金をたかられる始末。
またまた困った彼は、再度友人に相談し、
彼等はTVのロットくじに細工して大金をゲットしようと計画するのだった。
上映してる劇場、かなり少なそうな映画です。
まるっきり前情報なしで見ましたが、かなり面白かったです。
主人公が基本的に善人で悪事を巧く出来そうもない人物なコトもあり、
当然事態は思うように行かず、どんどん予想できない方向に転がっていきます。
ラストも予想を裏切ってくれてグッドです。
■ラブ・アクチュアリー(リチャード・カーティス監督)(2004/02/24)
10数組の男女や恋人や友人や親子や夫婦の愛のお話が、互いに微妙に重なりながら進展していくオムニバス的な映画です。
クリスマスまでの3週間程の時期を描いた作品で、
少し、いや、かなーり御都合チックな『おはなし』ではありますが、
素直に気持ちよく幸せな気分を感じられるいい映画でした。
基本的には甘いのですが、中にはほろ苦い部分も含んでいるところが結構好きです。
あえて文句をつけるなら、この映画、絶対クリスマス前に公開すべきでしたよねえ(^^;
(イギリス本国ではそうだったのかも知れませんが)
登場人物達の人間関係は、それぞれ意外なところで繋がっていたりするので、
2度目を見たら新たな発見がありそうです。またいずれ見直してみたいです。
以下、少しネタバレです。
前述で、御都合主義もあまり気にしないとは書きましたが一つだけ。
アメリカに軟派に行った彼の顛末には絶対何かオチがつくと思っていたので意外でした。
絶対軟派にひっかかった美女の正体が男だとかいうオチがあるかと。
全く関係無いですが、関連しながら複数のお話が進んでいく様子が、セガサターンのゲーム『街』のザッピングシステムを思い出したりしました(笑)
■ラブストーリー(クァク・ジェヨン監督)(2004/02/13)
旅行で母が不在の間に家の片付けをしていた女子大生のジヘは、母の想い出の手紙と日記を見つける。
今は亡き父と母が付き合っていたころの記録なのだろうか?
この手紙や日記を見返すたびに母が泣いていた事を思い出す。
ジヘは日記を読み始める。
それは少年が書いた日記だった・・・
★
昨年話題になった『猟奇的な彼女』の監督の作品で、韓国映画です。
タイトル通りのストレートなラブストーリーですが、原題は『ザ・クラシック』。
今の目では古めかしい程の純粋さとロマンのある恋物語です。
(個人的には原題の方がいいと思います)
少女だった頃の母の想い出の恋と、現代の娘の恋が交互に語られていきます。
そして二つの時代の恋物語はやがてリンクしていきます。
「猟奇的な彼女」と比べてしまうとどうしても少し印象が薄くなりますが、いい作品です。
(「猟奇的〜」はインパクトの塊ですから仕方ないとも言えます。今回はあまり笑いを追及した作品でもないですし、方向性の違いですな。(根源は近いとも感じますが))
母の時代の少年と少女の出会いの眩しさや、現代で雨の中を走るジヘのシーンなどは気持ちが浮き立つものを感じます。
心に残るいいシーンでした。
母の時代と娘の時代が交互に語られますが、正直、現代の娘の物語は母の物語に比べると魅力で落ちてしまう気はします。
母ジュヒと少年ジュナの物語は、少年ジュナの視点で語られていて、ジュヒとジュナのそれぞれの魅力が発揮されて眩しいほどの魅力を見せてくれます。
味のある友人テスや、時代の重みも手伝って、ジュナ・ジュヒ・テスに深く思い入れしてしまうのです。
それに対して現代では、ジヘの魅力が今ひとつ感じ難いのに加え、
ジヘの相手役のサンミンが、ジヘの視点からの描写しかなく、登場シーンが少ないこともあって、サンミンの人間的魅力がイマイチ感じられてこないのです。
サンミンをもう少し深く描ければラストの感動も増すだろうと思うわけです。
と、不満はあってもいい映画でしたし、好きな作品です。
ところで、テスがよく転んでいたのは伏線では無かったのでしょうか?
特に話に絡まずに終わりましたねえ。
http://www.klockworx.com/lovestory/
■ランド・オブ・ザ・デッド(ジョージ・A・ロメロ監督)(2005/09/01)
ロメロ監督のゾンビ物、4作目・・でしたっけ?
ちなみに1・2作目の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」「ゾンビ」は見たけど3作目は未見。
子供の頃はゾンビ映画は嫌だったので1・2作目も昨今まで見てなかったんですけどね(笑)
ちなみに今作は、冒頭で世界の状況の説明があるのでこれまでの作品を未見の人でも問題ないと思われます。
既にゾンビで溢れかえった世界で、
川とフェンスで閉鎖された島で安全に暮らしつつ最新の武器でゾンビを追い立てる人間相手に、
ゾンビが決起して立ち向かう話。
ちょっと違うかも知れないが間違いではないはず(・e・)
見ているとゾンビを応援したくなる不思議な映画でした。
ゾンビに感情移入させる場面が多く、またゾンビと対比して人間の汚い部分をえぐり出すように描かれている事もあって、
人間全滅したっていーやって気分になります(笑)
ゾンビを肴に社会への風刺を描く作品なのだとよく分かりました。
人間が(ゾンビに)包容されたり、(ゾンビに)熱烈なキスをされたり、腹からソーセージを出されたりしながらも、暗さが無くて不思議に爽やかです。
復讐(つーても逆恨みだけど)のためにあえてゾンビになる輩までいて妙に(間違ってるけど)男気を感じる映画でもありました。
やれやれー♪
それにしても今回のゾンビは戦闘的だったなあ。相変わらず遅いんだけど。
昨今のゾンビ物は「ドーン・オブ・ザ・デッド」や「28日後・・・」のように「速いゾンビ」が活躍していまして、それらはそれで怖さを見せてくれたのですが、
本家の「遅いゾンビ」は怖さというよりも悲哀や不思議な愛嬌を感じてやはり独特の味を感じました。
花火に見入るゾンビなんて絵は結構凄い絵だと思ったのでした。
http://www.lotd-movie.jp/top.html
ドイツ映画です。
出だしの内容を書いちゃうと
「20分の間に10万マルクの大金を造って恋人に届けないと
恋人が殺されてしまう事態に陥った女性「ローラ」が
恋人を助けるために街中を走り回る話」
なんですが、
とんでもない「仕掛け」をやってくれます。
一言で言えば「キラークイーン・パンツァダスト」…
(JOJOの第4部を知らないと分からんがね)
★★★以下ネタ晴れです★★★
20分の間に恋人を助けられなかったローラでしたが、
なんとそこで映画は振り出しに戻ってしまいます。
文字どおり「リセット」されて、冒頭の時間に戻ってしまうのです。
そして再びローラは走り出すのですが、
最初のタイミングが少しずれることでどんどん話が違ってきます。
ほんのちょっとしたタイミングのズレでどんどん人生が(ローラも、廻りの人々も)
変わっていくあたりがなかなか面白いです。
結局この映画ではローラは「3回」走ります。そしてそれぞれに結末が違います。
実にゲーム的な映画でした。
「キューブ」や「スライディングドア」もゲーム的だと思ったけど、
うまく当たれば面白い手法ですねえ
愛のすれ違いが重い…。
「リズと青い鳥」、観て来ました。いやあ…、美しくも残酷な作品でした。
“一応は”「響け!ユーフォニアム」2期の後の話で、シリーズ2期でも描かれた“みぞれと希美”の関係を描いた作品ですが、周囲から見ると仲良しの親友同士に見える2人の互いへの思いの差、噛み合わなさが見ていて心が痛くなります。
天然天才型だけど音楽以外はからっきしで「この子はちゃんと生きていけるのか」と心配になるみぞれが希美に依存しきっているのに対して、希美にとってのみぞれは“友達の1人”であり嫉妬の対象であり重しでもあってと、
近くにいるからといって分かりあえているわけでもないと言うのが辛いですね。この「人間関係の思いの差」はみぞれと希美に限った話ではなくて、2人に対しての新山先生や優子や夏紀でも大なり小なり描かれていて、人間関係の生々しさを感じます。
話の視点はどちらかと言うとみぞれ側から描かれますが(主観的と言うよりは俯瞰的にですが)、凡人としては希美に感情移入してしまったりするのがまた辛くなりますね。
最後、大好きのハグで希美が「みぞれのオーボエが好き」としか返せないままで終わるのが希美の心情の複雑さがホントに生々しいです。“2人がぶつかって分かり会えたわけでもない”2人で帰るラストシーンがまた綺麗で残酷さを感じるなあと。
ところで本作は「響け!ユーフォニアム」の続編で、原作の「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」(久美子2年生編)からのアニメ化ですが、
最初に“一応は”と書いたように、「響け!ユーフォニアム」であって「響け!ユーフォニアム」ではない、完全に“みぞれと希美”の関係“だけ”にテーマを絞り込んだ作品で、とても「純度が高い」作品になっていました。
等身の上がったキャラクターデザインも(最初に見た時は違和感が凄かったですが)効果的でした。ファンタジーな「リズと青い鳥」パートも良かったですよ。
事前に「久美子の出番が少ない」らしいとはチラリと知りましたが、本編主人公がまさかここまで「出ない」とは思わなかったですよ(^^;
原作で本来久美子が果たしていた役割も他のキャラに差し替えられていたりで、完全に久美子がモブになっていたのはちょっとビックリでした。
まあ、とある演奏シーンで久美子と麗奈が重要な役目を果たしてはいますけど、久美子本人には預かり知らぬ状況でのことになっていて徹底しています。あの2人演奏の場面での久美子と麗奈の仲睦まじさの残酷な事ですよ。
正直言うと、普通にアニメで「久美子の2年生編」として見たかったという気持ちもあるのですが、本作を“極限までテーマを絞った”作品にしたかったのも分からないでもないので仕方ないかなと。
久美子の話としては次作の映画でやるはずなので楽しみにしておきます。
ところで原作ではこの「第二楽章」は前後編で、みぞれと希美の話は後編部分の話なので、久美子二年生編より先に後編の話をやっちゃって時系列とかどうするのだろうと思っていたのですが、
本作はコンクールの決着とかとは関係ない部分での決着だったし何とかなりますかね。
次作の二年生編の映画でみぞれと希美がどう描かれるのか(描かれないのか)も気になるところです。
それにつけても「足」の描写への拘りが強い作品でした。山田尚子さんと言えば納得なんですけど。個人的にはけいおん!!最終回が印象的でした。
久美子の出番が少ない(ほぼ無い)と言ったけど、秀一は名前しか出なかった…ような(^^;(背景にいたかどうかは分かりませんでした)
がんばれ秀一(笑)
図書委員さんがちょっと可哀想な役回りでしたが、とりあえず「それだけ長期間借りるなら買え」と言いたい。
夏紀先輩はホントにイケメンだなあ。優子が部長職に追われて余裕が無くなっている分、夏紀先輩のフォロー力が光った気がします。
未来から歴史を変えに来た少女と、巻き込まれた男の話
「ターミネータ−」をベースに、「ET」と「マトリックス」と「レオン」と「ジュブナイル」と、
最近のムービー重視系のゲームとをトッピングしたような映画でした。
(って、ジュブナイルは監督本人の作ですが^^;)
必殺技は加速装置ですし(笑)(スター・プラチナ・ザ・ワールド、というよりは、やはり009ですな)
良くも悪くもつぎはぎで、監督が好きなものを詰め込んだらこうなったのだろうなあと言うか(^^;)、
指が光らなくてホッとしました。
まあまあ楽しめましたが、もうちょっと独自のものが見たかったです。
私的には監督の前作「ジュブナイル」の方が好きかなあ。
登場人物の年齢層がジュブナイルより上がった分、
話の嘘臭さが目立ってしまった気がします。警察いないですね。あの世界。
(ジュブナイルはそれこそ少年SF漫画の王道という印象なので、
少々強引でも、あまり気にしなかったのですが)
旅客機の変形は良かったです。
どうせなら、変形後にもっと動いて欲しかったですが。残念です。
主人公の男優がもう少し演技が上手ければ、と思いましたが、
敵役の壊れ方はなかなかイヤらしくて爽快でした。
ところでタイムパラドックスがまったく納得いきません。(^^;
・・・ツッコミどころの多い映画だったなあ。
バレエダンサーを目指すことになった男の子の話。
予告のイメージだとちと堅そうな映画かと思ってしまいそうだけど。
ノリのいい作品に仕上がっていて退屈しません。
前半なんて荒廃した家庭だと思ったけど、
歯車がかみ合いだしてからの家族の姿がとてもいい感じです。
個人的には大好き
■リトル・ミス・サンシャイン(ジョナサン・デイトン,ヴァレリー・ファリス監督)(2007/01/16)
「勝ち組」を夢見る「負け犬」家族が小さなバスで旅をする、ブラックな笑いの効いたロードムービーです。
父親は「9段階の成功プログラム」なる怪しげな""成功論"の出版を夢見て「人生勝ち組ゾナー!」と吹聴するも、彼のセミナーにはロクに客も来ない。
祖父はコカインの常習で老人ホームを追い出され、口を開けば下品なエロトークばかり。15歳の孫にも事あるごとに「複数の女をこませ」とハッパをかける。
叔父は「アメリカ最高のプルースト研究者」を自称しながらもライバルに出し抜かれて(同性の)恋人に振られ、職も失い自殺未遂。そのためこの一家に引き取られる。
息子はそんな家族に嫌気がさしてもいるのか、空軍パイロットを目指す願掛けとして、ニーチェに倣って口をきかない「沈黙の誓い」を実行中。(用事があるときは筆談で)
そんな、それぞれが自分勝手なしょーのない家族達だったが、
7歳の娘が出場することになったミスコンテスト「ミス・リトル・サンシャイン」に参加するために、遠いカリフォルニアまで一家総出で黄色いミニバスで旅に出ることになる。
自分勝手な人達が小さなバスに押し込められることで車内の雰囲気が険悪になる中で、次々トラブルが発生し、
家族もミニバスもどんどん壊れていくのだったが…
★
という話。
「勝ち組」に憧れる家族が「アメリカ的勝ち組の象徴」とも言えるミスコンに挑む中で家族の絆を再構築していくという、割と先が読める話ではありますが、
面白かったです。
お話は読めたとしても、家族の描写の痛さとおかしさが効いていて、本当にしょーのない人たちなのに、妙に思い入れしてしまえるのでした。(マイメロのバクに思い入れしちゃうようなものでしょうか)
あまりの「夢もチボーもない」痛さが逆に笑えてしまいつつも気持ちよく見られました。
あと、話が読みやすいとはいえ、"爺さんの運命"と"ミスコンでのダンス"は読めなかったです。爺さんの存在が効いてますわ。
バスがオンボロすぎて、家族で車を押さないと走り出せないのも、家族の状態をよく象徴していて面白いですな。何度も繰り返される乗車シーンが、間抜けさの中にも妙な緊張感があってナイスでした。
割といい気分で見終わることが出来ますが、実際には何の問題も解決していない投げっぱなしっぷりも良し(笑)
Twitterでの評判を見て行きました。いやー、面白かった。
京都・貴船の旅館を舞台に、館の従業員や宿泊客といった人達が「2分間のループ」に巻き込まれて(意識・記憶だけは連続したままで)延々時間のループを繰り返すと言う群像劇です。
ループ物は数あれど、たった「2分間」だけのループというのは初めてだったと思うので、そんな短すぎる時間でどう話を作るのだろうと思っていましたが、なるほどこう展開するのかと引き込まれました。
1つの旅館と言う舞台の小ささが上手く活かされていたなあと。
全員の意識は連続しているのに、2分のループで皆が「初期位置」に戻されてしまうので、ループのたびに皆で走って集まり直したり場所を移動したりしなくちゃが大変そうで、そこがとても面白かったです。
初期位置はそれぞれ川だったり客室だったりとバラバラですが、「風呂」に入っていた編集者さんが一番大変そうでしたねえ。
最初は半裸で飛び出していたのが段々身支度が上手くなっていたと思えたけど、それでも頭はずっとシャンプーが残ったままだったのが笑えます。撮影も大変そうだ(笑)
ところで、初期位置とか世界線とか、ゲームやSF的な用語が普通に使われるようになったのが時代だなあと。一番理解が遅そうな料理長も「リープ」は分かっていた感じでしたかね。
「リープ」と「ループ」の違いとか自然に使い分けて判断していたけど、真面目には考えたことが無かったなあ(^^; 「お前…タイムループしてね?(違)」
それにしてもエイジさんの有能なことよ。
理由のネタバレは避けますが、ループしても天候はその都度変わったりするのが面白いですよ。雪の日とか晴れの日とか撮影の準備も大変そうだ(^^;
ところであの状況だと、車で遠くまで行ければ逃げることは出来たんですかねえ。2分でやりきるのは難しいのでしょうけど。
物を壊しても怪我しても んでもループで戻るとは言え、次も確実にループする保証も無いのに、それを試してしまうのがおっそろしいですな。あそこで解決したりしなくてよかったです(^^;
ラストは相当力押しな解決で笑いました。炙りかー(笑)
貴船は昔行ったことがありますが、また行きたくなりますね。情景の魅力も伝わるよい映画でした。
■リベラ・メ(韓国:ヤン・ユノ監督)(2001/12/08)
火を知り尽くした知能犯と、火と戦う消防士達の戦いのドラマです。
とてつもなく熱い作品です(文字通り(おぃ))
火事の現場の撮影はCGではなく本物の炎が使われたそうで、
その迫力は恐るべきです。緊迫感に溢れていました。
火事の怖さを感覚に訴えかけてくる、実に「恐い」作品でした。
犯人役のヒス(チャ・スンウォン)が非常に強い存在感を放っています。
はっきり言って主人公のサンウよりよほど印象が強かった。
ヒスが放火をするに至る動機付けが、狂気には違いないですが、
説明は決して多くない物の、納得力があるように感じました。
炎を前に指揮者のように優雅に炎を操る様は見ていて震えます。
クライマックスの周到さを見るに付け、まさに悪魔的でした。
劇中で、火事現場で重傷を負った消防士に何の保証もないことが語られます。
保険は下りず、治療費は自腹なのだそうです。>現実にも。
(実はこれがこの映画で知った最大の驚きでした。)
この映画が韓国でヒットして、
金大中大統領がこの映画を見たことで「消防士基金」が設立されたということです。
高い重厚さと迫力と、メッセージを備えた作品で、一見の価値はあると思うのですが、
ただ、映画としては構成に難を感じないでもありません。
場面のつなぎが悪くて話が繋がりにくかったり、
ストーリー自体が映画を見ていてやや分かりづらい箇所があったり、
登場人物が多すぎて誰が誰やら分からなくなりそう、といった面を感じました。
後、「知能犯と消防士の戦い」と先に書いたけど、
ホントに文字通り「戦う」とは思わなかったよ。(^_^;)
やたらと人が死ぬのもちょっとなあ〜〜と、
少なくともラストで子供達と医者を助けた消防士は、
映画としては殺す必要は無かったんじゃないかな〜と、思います。
ところで、「シュリ」以来ちょいちょい韓国映画を見ていますが、
どの作品を見ても、なんだか決まって水槽で飼われた魚が登場するのですが、
韓国で流行ってるのでしょうか?
■リメンバー・ミー(キム・ジョングォン監督)(2001/12/03)
1979年、大学生の女性“ソウン”は壊れたハム無線機を手に入れる。
ある夜、壊れたはずの無線機から男の声が聞こえてくる。
彼は“イン”、同じ大学の学生だという。
2人は会う約束をするが、結局会うことが出来なかった。
何故ならインは、2000年の時代に生きていたのだ。
やがて二人は21年の時を超えて交信していることに気付いていく…
★★★以下ネタばれ★★★
時を越えた男女の交流という同様のテーマで創られた映画『イルマーレ』に先んじて
韓国で公開された作品です。
割と期待してたのですが、私的にはちょーっと期待はずれでした。
「時を越えた、会うことの出来ない男女の恋物語…」という感じの宣伝でしたが、
実際はソウンとその恋人(勿論1979年の)の問題に未来からの通信が絡んでくる形で、
時を超えた二人の交信自体は彼女に未来の情報を教える小道具以上の
物には感じられず、二人の間に心の交流がなされたとは言い難く感じました。
それがテーマでは無かったと言われればそれまでだし、
誤解したのはこちらと宣伝の責任かも知れません。
ただ、あちこち伏線(らしきもの)を張ってる割には、
ろくに消化されず意味不明に終わっている所が多く、
散文的にあっちこっちに手を出して色々な要素を詰め込んだまま、
一本の筋を通して話をまとめ上げることが出来なかったという印象を拭えませんでした。
時を越えて通信出来たのは何故?
二人の通信機が似ているのは理由があるのか?
2000年のインはパソコン(オレンジiBook)でインターネットをやりながら、
何故(時代遅れにも見える)ハム通信をやってるのか?
インのガールフレンドの意味ありげな言動は意味があったのか?
意味ありげな守衛は何者なのか?
…裏設定はあるようですが、映画を見てるだけではさっぱり分かりません。
『観客に判断をゆだねる』と『描くべき事を描かない』は別物だと思います。
(私が見逃した所もあるかも知れないし、
あるいは韓国の人には説明不要の部分もあるのかもしれませんが)
パンフによると現代でソウンがインに通信機を手渡すシーンが用意されていて、
実は二人の通信機は同じ物だったとするシーンが描かれる
予定だったらしいのですが、話が複雑になる為カットしたそうです。
それは必要なシーンだったんじゃないでしょうか?
分かり易く描けるかどうかは監督の力量の問題とも思えます。
この映画を見て思ったことが一つ、
「未来を知るなんざ、ろくな事じゃない」
■猟奇的な彼女(クァク・ジェヨン監督)(2003/02/12)
原作者が実体験を元にインターネット上で連載した小説が元になった韓国の恋愛映画です。
実に面白かったです。評判がいいのは知っていましたが、ここまで楽しいとは。
現時点で今年最高のお気に入りです。(まだ2月ですが)
映画を見る前は情報を入れないようにしていますので、ホラー好きな彼女に振り回される話なのかと思っていましたが、
そういう話ではありません。
タイトルの「猟奇的」は一般的なニュアンスとは違って、「ユニークな」といった意味で使われているようです。
お人よしでドン臭い主人公が、暴力的で強引でわがままな“彼女”と出会って振り回される話ですが、
チョン・ジヒョン演じる“彼女”が、すぐ人を殴るわ、行きずりの相手に説教を垂れるわ、酒を飲むたびに3杯で倒れるわで、
最初はあまりの凄さに「なんつー女だ(^^;)」と思ってしまいますが、
見ているうちに段々可愛く魅力的に見えてきて不思議です。
無茶苦茶な行動に見えて、言ってる事は実はまっすぐだったり、突き抜けっぷりがあまりに凄い事もあって、不快感を感じないのですな。
脚本・俳優どちらの勝利か、どちらにしてもお見事です。
(それでもこの“彼女”がイヤだという人はいるでしょうし、無理ないかもとも思います。そういう人はこの映画は受け入れられないでしょう)
主人公も、しょうのなさと、あまりの人の良さが合わさって、思わず泣けてきそうな程いい奴で、主役2人共なかなか魅力的なのです。
「前半戦」は2人のやり取りのおかしさに大笑いさせられ、
「後半戦」では彼らの心が垣間見えてぐっと来ます。
そして「延長戦」であるラストも、それまでの伏線が結集して上手いです。お見事です。
ラストは原作とは違うとの事ですが、こういう映画のラストはやはりああでなくては!
気持ちよく、大変満足させてもらいました。
シナリオライターを目指す彼女は物語のプロットを書いては主人公に(無理矢理)読ませるのですが、
その内容をいちいち映画内映画として見せてくれるのが芸コマです。
「夕立ち(改)」は爆笑物でした。
スピルバーグがリメイク権を獲得して、現在ハリウッド版が製作中らしいですが、
“彼女”を魅力的に見せるには、よほど上手いキャスティングをしないと成功は難しい気もしますが、さて。
■リリイ・シュシュのすべて(岩井俊二監督)(2002/01/15)
共感してしまう人には非常に痛い映画だろうと思います。
私の場合、自分の中にこの映画の「リアル」と重なる部分をあまり見つけられなかったのですが、
それは私が頭の固い大人だから、とは違う気がします。
分かりませんが、多分14歳の頃の私がこの作品を見ても「共感」は感じられなかったでしょう。
この映画のような状況に出合わなかったからかも知れませんが、
あるいは私がドライなのだろうと思います。
(まず「犯罪はあかんがな」とか思っちゃうところが、既に違うのでしょう)
<フィリア>と<青猫>にとって、リリイ・シュシュは、或いはインターネットの世界は
現実からの逃避の場だったのでしょうか。
その場所の中での彼らの言葉は本心だったのでしょうが、悲しい気がします。
田園の美しさとゲイラカイトが、目に鮮やかすぎて印象的でした。
http://www.lily-chou-chou.com/
■LOOPER/ルーパー(ライアン・ジョンソン監督)(2013/1/23)
未来から送られてくる人間を現代で殺す処刑人“ルーパー”を生業としていた主人公・ジョーだったが、ある日未来から送られてきたのは「30年後の自分(ブルース・ウィリス)」だったという話。
宣伝で見た時には、「未来から自分が送られてくる」なんてのは極めてレアケースなのかと思っていましたが、ルーパーが沢山いて職業として成り立っていて、更に「自分を殺す」ケースも「ループを閉じる」なんて名付けられているよくある現象と描かれていたのは意外でした。
ホント嫌な未来図ですよ。
未来の自分との戦い、ないし共闘が描かれるのかと思っていましたが、最後はかなり意外な結末でビックリしました。どちらかと言うとターミネーター的な話だったかなと。
本作でのタイムパラドックスの処理が面白かったです。過去の自分が(未来の自分から見て)別の行動を取ったり、未来の自分が現代で人を殺したりとかすると、どんどん“その時点から””変更された事象が上書き”されていく辺りが、ざっくり思い切り良いテンポで描かれていて良い感じでした。
アイデアの詰まったいいSF映画だったかと。
30年間のダイジェストでだんだん主人公が禿げていくあたりが…(笑)
■レイクサイドマーダーケース(青山真治監督)(2005/02/08)
山奥の湖畔の別荘にて、名門中学の“お受験”の為の合宿をする3組の親子と塾の講師の姿があった。
そのうちの1組の夫婦(役所広司・薬師丸ひろ子)は別居中で、業界人の父親・並木(役所)は娘との血の繋がりは無かったが、娘のことは可愛く思っており、名門信仰の“お受験”を複雑に感じながらも、娘の為と言われれば参加せざるを得なかった。
そんな最中、合宿所の別荘に並木の同僚(カメラマン)でもある愛人が現れる。
割り切った関係で並木の家庭を壊すつもりは無いと言っていた愛人は何故ここに現れたのか?
仕事の書類を届けに来ただけと言う愛人だったが、彼女はどうやらお受験対象の名門中学出身らしく、塾講師とも知り合いの様子だった。
ところが、愛人は並木の妻(薬師丸)によって殺されてしまう。
すぐに警察を呼ばねばと主張する並木だったが、他の2組の夫婦は“子供の為に”スキャンダルを恐れ、隠蔽を申し出るのだった。
それが当然であるかのように・・
★
東野圭吾氏の小説「レイクサイド」(未読です)の映画化で、「EUREKA(ユリイカ)」の監督の作品です。
「EUREKA」は、私としてはあまり肯定的には見れなかったとは言え、監督の持ち味の強く出た極めて印象の強い作品だったのですが、
今作は、悪く言えば、軽めで、TVの2時間サスペンスのような作品、
良く言えば、エンターテインメント性の高い、敷居が低い“とっつきやすい”作品になっていて、
かなり「EUREKA」とは違った印象を受けました。
すんなりと見やすい作品になっていましたが、しかし、
ぐるぐる変わる状況に主人公も観客も心理を揺さぶられ、答えの出ない問題を観客にも突きつけられる、なかなか苦く後味も居心地も悪い気分にさせてくれる映画でありました。
こういう居心地の悪さは「EUREKA」にも通じる物があるかも知れません。
特に「親」の世代以上の観客は、子供がいる人も、いない人も、既婚の人も、独身の人も、
それぞれの立場毎に苦さや居心地の悪さを感じるのではないかと思いました。
私の場合は子供はいませんが、それゆえに「親であることを逃げている」「無責任」と糾弾される主人公の立場に一部重なるところも感じてしまって、なかなか痛いです;
いや、愛人はいませんが(笑)
子供のいる人にはいる人で、子供可愛さの為には日常の常識も曲げてしまうような所は、思い当たる人もいるのではないかと思ったりします。
それぞれの立場の人が“実際自分があの状況にいたらどうするか?”を考えさせられてかき乱される映画ではないかと思いました。
ストーリーは二転三転し、その都度状況や人々の外からの「見え方」もぐるぐる変化しますが、
「事件の謎」自体は正直あまり意外な物ではなく、正直言うと中盤くらいで読めました。
しかし、映画の見所は謎解きミステリーよりもむしろ人々の心理と「見え方」にあると感じます。
妻役の薬師丸ひろ子や、娘や、他の夫婦の夫役の柄本明氏などは、迫力と不気味さを感じる演技が臨場感があって引きつけられました。
正直ミステリー・サスペンスとしては未回収のままの伏線や不自然な演出や、少々作品に不釣り合いなSFというかホラーというか判断に迷うような不思議な描写が気になったりするところもありますし、
“お受験の問題”や現代の親子関係などに深くつっこんだ、と言うほどに深く切り込んだ作品とは言えませんが、
心理劇としては役者の存在感もあって、面白い作品だったと思います。
表面的には“めでたしめでたし”に見えなくもないラストが実に皮肉で後味悪かったです。(褒め言葉)
その後の“おまけ”はちょっと意図が不可思議でしたが、あれはあれで作品の不気味さと、見ている内に何が正しいのか分からなくなる“揺さぶられ感”にトドメの揺さぶりをかけている、とも取れるかも知れません(?)
まあ、正直あのラストカットは笑っちゃったのですが(^^;
追記1.
妻の夫・並木を見る目や、娘の父・並木を見る目など、“目”の演技が印象に残る映画でありました。
どちらの目も怖いですよ〜(^^;
ちなみにラストカットのアレの目は・・・、すみません、笑っちゃいました(^^;;
追記2.
娘が靴ひもを結んでやるあたりが、何故か無性に怖かった・・・;;
http://www.lakeside-mc.com/index.html
別れた恋人達は昔ある約束をしていた。
10年後の彼女の誕生日、ドゥオモの頂上に二人で登ろうと。
あの頃の愛は真実だったのか…?
http://www.excite.co.jp/event/jyonetsu/
実のところ、作品的には特に期待はしていませんで、
イタリアのフィレンツェの街が好きなので見に行ったのでした。
ドゥオモやウフィッツィ美術館等の有名所だけでなく、
ごく普通の街並みや路地裏などが結構描かれていて良かったですわ〜。
観光地的な名所はもちろんそれだけの見るべき価値があるところですが、
普段日本で感じることのない異国性はむしろ「普通の街並み」の違いで感じられるものなので、
今回はそういった街の描写に期待していました。
もちろん映画として絵になる部分を選り抜いて撮してはいるのでしょうが、
それでもなかなか堪能できました。
気軽に普段なじみのない世界を楽しめるのは映画の魅力の大事な一つですね。
しかしそれはそれとして、ドゥオモ登りたいなー、いいなー、悔しいわー。
新婚旅行で行ったのがイタリア・スペインでした。
フィレンツェにも行きましたが、
安いパックツアーだったのでほとんど自由には行動できないし、時間もないし、
ドゥオモ自体も確か工事をやっていたので登ることは出来ませんでした。
あー、また行きてー。
映画の主人公は絵画の修復師でした。古い痛んだ絵を修復する仕事です。
劇中でこの街は過去だけを見ている街だというようなセリフがあります。
新しい物だらけ、人工物だらけの日本の街と、古い物が残り続けたフィレンツェの石造りの街。
どちらが正しいなどというものでは無いでしょうし、日本の街は便利で明るく好きではあります。
(多くの問題を抱えているのも確かですが)
しかしそれはそれとして、古い石の街並みにどーにも愛しさを感じるのも確かなのでした。
…映画自体の感想をさっぱり書いていませんでした。
えー、とってもおしゃれで私には合いません。
あれこれ話が出来過ぎだったり御都合主義が目立ったり、
登場人物にイラついたりもしますが、
(もっとちゃんと言葉を使えと思いつつ、
主人公達が不器用な人間でなかったらこの映画成立しないですね)
これは映画の良し悪しではなく感性に合うかどうかの問題でしょう。
第一、その辺は予想の上で見に行ったので、私に文句を言う資格は無いのでした。
■レディ・プレイヤー1(スティーブン・スピルバーグ監督)(2018/5/4)
レディ・プレイヤー1観て来ました。いやー面白かった。
以下ネタバレ注意で。
元々は 「俺はガンダムで行く」 が目当てで行くことにしたのですけども(笑)
ガンダムの出番が思った以上に重要シーンでボリュームもあって満足でした。ガンダムVSメカゴジラいいですねえ。時間制限のある戦いはウルトラマンを思い出したりもしましたが(笑)
字幕版で見たので「俺はガンダムで行く」だけが日本語になって際立っていたのも最高でした。
ガンダム以外にもバック・トゥ・ザ・フューチャーやらキングコングやらアキラやらアイアン・ジャイアントやらシャイニングやらジュラシック・パークやらターミネーターやらストリートファイターIIやらミュータント・タートルズやら色々と色々と…、古今東西の映画やアニメやゲーム等のネタがてんこ盛り盛りで凄かったです。
正直全部はとても把握出来なかったですが、一体どれだけの種類のネタが仕込まれていたのかと思って「レディ・プレイヤー1 元ネタ」でググってみると、気付いていなかった作品が山程ありますね。よくここまで盛り込めたものですよ(^^;
これだけ様々な作品をそのものとして登場させるのは権利関係の調整とか物凄く大変そうですけど、やり遂げてしまうのが凄いです。
そしてとても重大なネタバレですが、あの人が親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙無しには見られなかったですよ。
てか、自分があの立場ならそりゃあ親指立てますよね!
チャッキー爆弾は爆笑でした。破壊力凄え。
ヴァーチャルな仮想世界に創始者が隠した鍵を探し出す争奪戦の話で、ストーリーとしてはシンプルですがテンポも良くてキャラクターも魅力的で楽しく見られました。でもまあ、あの世界に住みたいかと言われると嫌ですが(^^;
皆が仮想世界にのめり込んでいて、どうやって回ってるのだろうこの社会、とは思いました。歩きゴーグルで街の中でヴァーチャルプレイしてる人達が凄いですね。歩きスマホどころじゃない危険度ですよ(^^;
とりあえずこの作品を見ての大事な教訓としては、
・ネットでリアル情報をうかつに晒さない。
・PCにパスワードを貼り付けない。
でした。
PCにパスとかはリアルにやってるおっさんは割といそう…、と言うか実際いますけど(^^
この世界に鍵を隠したハリデーさん、立ち位置的にはSAOの茅場晶彦に近いのだろうけど、「リアルが大事」というあたりはかなり違うかなと。茅場はやっぱり狂人だなあ;
IOIのハリデー研究チームの人達が終盤での主人公の活躍に熱狂してるあたりが微笑ましかったですよ。一応敵側企業所属だけど、ただのマニアだこの人達(笑)
タイトルの「レディ・プレイヤー1」(原題:Ready Player One)は、検索すると「1」まで含めて「プレイヤー1、プレイ開始の準備を」と言う意味らしいので「1作目の1」では無いらしいですが、
でももしも2作目を作るなら「レディ・プレイヤー2」になるんでしょうねえ。
次の映画は「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星」に行きます。
「俺はガンダムに行く」
■RED SHADOW 赤影(中野裕之監督)(2001/08/12)
原作は言わずと知れた、横山光輝原作の『仮面の忍者赤影』
予告を見たときから予想(いや期待)していた通り、
立派なエンターテインメントバカ映画(注:誉め言葉です)に仕上がっておりました。
いやー脳天気で楽しかった。
最近深夜残業と休日出勤三昧で疲れ切った脳味噌の私には絶好の癒し系映画でした。
(なんか間違ってる気がする)
とりあえず、昔の特撮のイメージで見ると裏切られるかも知れません。
とゆーか、実は昔の特撮は子供の頃に見たっきりなので、どーにも印象がおぼろげなのですが、
赤影って、もっとクールなイメージだったよなあ・・・とか思ったりしました。
昔は青影がおバカなギャグメーカー的キャラだった(と思う)のに対して、
赤影と青影がコンビでバカでたまりません。(注:誉め言葉です)
白影(竹中直人)のバカっぷりも最高です。(注:誉め言葉です)
登場人物がむやみやたらに意味無く多いのはちょっと混乱しましたけどね。
追記>次の映画の予告編が仮面ライダーアギトとガオレンジャーだったのには意表をつかれました。
■レミーのおいしいレストラン(ブラッド・バード監督)(2007/08/07)
「ネズミ料理店」、或いは「ネズミの多い料理店」と言うべきか。間違いではあるまいと思いました。
料理の上手いネズミ・レミーと、料理の出来ない人間・リングイニが組んでフランス料理界の星を目指す話(微妙に間違ってる気がします)。
ピクサーらしく順当に満足感多く楽しめました。
ネズミ視点での描写が面白いです。
自分より巨大な存在に追いかけられたり、●●を操縦したりするあたりは、個人的には『ワンダと巨像』っぽい迫力と感じたりして。
あれは怖いよね。
ですが、「人間主観」で見ていたという妻にはやや不評だった様子。
確かに人間(リングイニ)主体で見てしまうと、そのダメダメさや問題解決に至る行動や描写のいい加減さや、ヒロインの描写の中途半端な掘り出しっぷりやヒロインと主人公の関係の浅さ等々、「それでいいんかい」という気分になるのは分かる気がします。
自分はネズミ主体で見ていたのであまり気にしてなかったんですが(^^;
しかし、(ネズミを)消毒したからといってあの料理を食いたいかどうかは微妙だ;
■レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語(ブラッド・シルバーリング監督)(2005/05/17)
ボードレール家の3姉弟妹、
発明好きで髪をくくれば凄い発明を作り出す長女ヴァイオレット、
本の虫でこれまで読んだ本の内容を全て記憶している長男クラウス、
何でも噛むのが得意な末娘の赤ん坊サニー。
彼等は幸せに暮らしていたが、火事で家が全焼し、孤児となってしまう。
両親を亡くした彼等は遠い親戚というオラフ伯爵のもとに預けられるが、
オラフは姉弟妹に残された遺産を狙っていた・・・
★
原作はアメリカの児童文学です。未読ですが(^^;
映画は子供向けではありますが、
ティム・バートン的(スタッフも被っているようですが)なダークさのある世界観が魅力でなかなか見ていて楽しいです。
しかし、話としては謎の残る部分も多く、結末もやや尻切れトンボで中途半端な印象が残ります。
映画では原作13巻の序盤3巻分くらいのエピソードらしいので仕方がないとも言えますが。
子供達は可愛く、それぞれの特技を生かした展開も面白い・・のですが、
特技を生かすという点でもどうも中途半端で、最後のエピソードでは姉も妹もほとんど活躍しないのは不満でした。
最後のエピソードは途中の話としてならともかく、一本の映画のクライマックスにするには物足りなかったかとも。
せめて最後は3人とも力を発揮して終わって欲しかったです。
(あの妹なら●●でも囓れるんじゃないかとか思ってしまったり(^^;)
ジュード・ロウがお話の進行役のレモニー・スニケットをやってましたが、
日本語版で見ちゃったのでジュード・ロウの恩恵が消し飛んでしまいました。
シルエットと語りだけだもんなあ。失敗しました(苦笑)
でもジム・キャリーの声が山寺宏一なのは楽しかったです(笑)
伯爵の「お前等も同罪だ」は思わず納得。ただ「お前が言うな(苦笑)」とは思いましたが。
大人の人達のダメっぷりが凄いですが、その辺は突っ込むのはヤボですね。
子供向けながら、やたら簡単にポコポコ人が死ぬのが気になりましたが、原作もそうなんでしょうか。
まあ児童文学や童話って結構残酷なものですし、アメリカの子供向け映画も元々容赦ないもんですけどね。
でもヘビ学者さんとか面白そうな人物なのに勿体ない使い方だったなあ。
お話的には物足りないと言いつつ、エンディングの映像は実に良かったです。
ナイトメア・ビフォア・クリスマス等が好きな人ならエンディングだけでも見る価値はあるかも知れず。
■烈車戦隊トッキュウジャーVSキョウリュウジャー THE MOVIE(渡辺勝也監督)(2015/01/18)
今年のVS映画を見てきました。以下箇条書きで。
・キョウリュウジャーがもう1年経ったかと懐かしかったですが、キングは髪型がさっぱりし過ぎて「誰だあんた」状態でした。ヅラってわけにもいかんのですかね。ノッさんはヅラなんじゃないかと思うけど。
・この手の映画だと大体同じ色だとか同じ立ち位置のメンバー同士が絡むものですが、明とウッチーの絡みは「変人枠」という感じで面白かったです。赤ん坊になったウッチーを子守して戦えない明が素敵(笑)
・あらためて並んでみるとキョウリュウとトッキュウはグリーンの色合いが随分違うなあ。
・ノッさんがトカッチを「老けて見られる仲間」と認識していたのがヒドい(笑)、トカッチまだ子供なのになあ(中身は)(^^;
・トリンの出番がちょっと泣けました。
・こどもトッキュウジャーは面白かったですが、本編のラストで子供に戻るのかどうかがやはり気になるところです。まあ、もし戻っても来年のVS映画では何らかの理屈を付けて大人になりそうですけどね。
・序盤でトッキュウ5人を守るべき対象のように見ていたキングが印象的でしたが、さすがに本当に子供だとは思わなかったようで、トッキュウジャーの正体にキングが意表を突かれているところは良かったです。
・ノア夫人がまだシャドーラインにいる時期の話(シュバルツはいない)と言うことで、ちょっと遡った時期の話だったんですね。本編はクライマックス中だし仕方ないですが、ちょっと切ないよ>ノア夫人
・ネロ男爵の名乗りシーンが最高でした。シャドーラインのメンバーはホントに仲が悪いな! キャンデリラとラッキューロが相変わらず仲良しだったので余計に仲の悪さが強調されて見えますよ。
・「ニンニンジャー」はスーツのデザインも派手ですが、それ以上に刀が派手で笑いました。「忍者一番」てあーた(笑)
・兄さんとか言ってたから、「ニンニンジャー」は兄妹戦隊なのだろうかと思いましたが、全員が兄弟姉妹というわけでは無いのね。いとこ戦隊か。
■ロスト・イン・ラ・マンチャ(キース・フルトン&ルイス・ペペ監督)(2003/07/07 )
「未来世紀ブラジル」「バロン」「12モンキーズ」等のテリー・ギリアム監督が、
10年に及ぶ準備期間を経て、映画化を試みた「ドン・キホーテ」
これは映画「ドン・キホーテ」が、いかにして作られなかったか?を描いたドキュメントです。
元々は映画「ドン・キホーテ」の撮影の様子を撮った普通のメイキングムービーになるはずだったのが、
映画「ドン・キホーテ」のトラブルと挫折の記録になってしまったという代物です。
そもそも「ドン・キホーテ」は過去にウェルズが映画化しようとして失敗したりと、
映像化がことごとく潰れてきた「呪われた企画」なのだとか。
宣伝文句は「悲劇か? 喜劇か?」
見る前は挫折を描きながらも笑えてしまうような作品なのかと思っていましたが、
・・・切ないです。
何らかの形で(どんな分野でも、趣味でも仕事でも)『モノを作る』事に関わる人間の視点で見ると、
滑稽ながらもヒジョーーーーーに切ない。
短くない日々を費やした大仕事が己の力の範疇外の要因で挫折を強いられるというのは、
やるせない事この上ないですな。
(まあこの映画の場合、監督の見通しの甘さや下見の不足も一部感じますが)
私は映画業界は詳しくないですし、テリー監督の所為が一般的なやり方かも知りませんが、
どうにもならないトラブルの発生とその推移を見ていると、
どうにか解決策を見つけようと、もがいてもどうにもならない様子が、
「特殊なケース」ではなく、とても「普遍的なケース」に見えるのですね。
たとえ大企業による大事業でも、壊れるときには驚くほど脆いですから。
全く他人事に見えません。
そして、もう一つ感じたのは、
物事を成すには、或いは頓挫した計画を再び動かすには、
他のどんな要因があろうとも、最終的にはその人の「情熱」の大小が大きく作用するのだなあ、とえらく実感してしまいました。
最初は情熱に満ちていた監督が、度重なるトラブルによってどんどん疲弊していく様子は非常にリアルです。(てかドキュメントですが)
蛇足ですが、例の男優が数年後には別の映画で賞を取ったと聞くと、なんとも皮肉です。
今回は挫折したテリー監督の「ドン・キホーテ」ですが、
何時の日にか完成した映画が見たいものです。
http://www.cqn.co.jp/LAMANCHA/
■ロスト・メモリーズ(イ・シミョン監督)(2004/07/14)
日韓共同映画
1909年のハルピン駅での伊藤博文暗殺が失敗していたら世界はどう変わっていたか?
との「if」を描いたSF娯楽作品です。
2009年、日本の領土となった朝鮮半島のソウルを舞台に、テロ事件の捜査に朝鮮系日本人捜査官と日本人捜査官の2人が当たるところから物語は始まりますが、
やがて物語は歴史の秘められた謎に関わっていきます。
一見、やや扱いが難しい問題を含む映画に見えますが、バランスの良い、良質な楽しめる娯楽作品として仕上がっています。
時間SFとしてパラドックスが気になる所もありますが、勢いがあるのでノープロです。
まあ、ツッコミ所が多いのは時間SFの宿命ではありますな(笑)
正直ちょっとSFのリアリティとしては拙い気もしますが、終盤のハルピン駅の映像など不思議な臨場感があり、全体的に映画として「ワンダー」を感じました。
楽しかったです。
前半は事件を捜査する刑事物的に話が進みますが、後半ではかなりSF的な要素が入ってきて様相が変わってきます。
正直ここまで変わるかと驚きましたが面白かったです。
事情によって道を違えていく主人公2人の心情が熱いのです。いいドラマだ。
日本の領土となったソウルということで、韓国人(朝鮮系日本人)である登場人物も多くは日本語を話します。物語序盤ではほとんど日本語です。
正直ちょっと聞き取りにくい部分もあるのですが、イントネーションの差がかえって不思議なリアリティを感じました。
「日本化したソウル」の映像描写が見所です。
ところでー、ちょっとツッコミ所を言いますと、銃撃戦の真ん中で立ち尽くすシーンが度々あるのはどうかと思いました(苦笑)
撃たれないのが不思議すぎです(^^;
あと、素朴に思うことですが、戦後間もなくならともかく今の日本人が「戦争で勝っていた歴史」を欲しがるかどうかは極めて疑問ではあります。
歴史の隆盛を考えればいい時期もあれば悪い時期もある訳で、意味のある行動ではない気もしますし、
過去を変える=今の自分や家族が存在すらしなくなる可能性があるということで、歴史を変えるメリットは甚だ疑問ですが、
まあ真面目に言っても仕方ないですな(笑)
http://www.gaga.ne.jp/lostmemories/
■ロック・ユー!(ブライアン・ヘルゲランド監督)(2001/11/05)
中世ヨーロッパを舞台に1970年頃のクラシックロックが流れまくる。
ノリノリの無時代的騎士出世物語です。
いやもう面白かったっす。
http://www.spe.co.jp/movie/rockyou/
★★★
鎧を着込んで馬に乗った騎士が一対一で向かい合い、槍を抱えて突進し、
すれ違いざまの一瞬で攻防を決する「馬上槍試合“ジュースティング”」
これは貴族にも平民にも熱狂的に大人気の“競技スポーツ”だった。
(なお、槍にはかぶせ物がしてあり、試合で死者が出ることはまれだった)
平民の若者ウィリアム(ヒース・レジャー)は騎士の従者だったが、
ある日主人の騎士が死んでしまう。
主人は馬上槍試合大会の途中、決勝まで駒を進めたところだった。
あと1回だけ勝てば優勝して賞品を元に従者達も食べ物にありつける・・・ハズだったのだ。
本来“ジュースティング”には平民が出ることは許されない。しかし
ウィリアムは主人の鎧兜を着込み正体を隠して決勝に出場、見事勝利する。
当座の金を得て喜ぶ従者仲間達、だがウィリアムはそれだけでは満足しなかった。
「再度大会に出て富と名声を手に入れよう。
一生平民は御免だ! 運命を変えてやる!」
かくしてウィリアムとその仲間達は文筆家チョーサーの協力で“貴族証明書(偽)”もゲットし、
階級社会に殴り込んでいくのだった。
★★★
中世にロックが流れまくり、観客達はクイーンの「We Will Rock
You」を熱唱、試合前には
従者がリングアナのようにノリノリで騎士を紹介する。
それが単なるお笑いにもならず、気が付くと画面に惹きこまれ音楽に合わせて身体の揺れる。
不思議な感覚の映画でした。
あー、もう、細かいことはどーでもいーです。素直に面白かったです。
ジュースティング試合も迫力があったし、実に単純にして痛快な映画でした。
映画館を出てもしばらく身体の揺れが止まりませんでした。
We〜 will we〜 will Rock You〜♪
■ローズ・イン・タイドランド(テリー・ギリアム監督)(2006/07/21)
母がドラッグで急死し、父と共にテキサスの祖母の家にやってきた10歳の少女・ジェライザ=ローズだったが、父もドラッグで旅に出てしまう。
彼女は首だけになったバービー人形と共に想像の旅に出るのだった。
★テリー・ギリアム監督の「不思議の国のアリス」をモチーフにしたダークファンタジーです。
ドラッグと死体と、子供の無邪気な邪気とで毒まみれで、素晴らしく不健全な映画です(笑)
精神的にも視覚的にもダークで悪趣味でヤバイヤバイ。
好き嫌いが大変別れる作品かと思います。
自分の個人的にはちょっと趣味じゃなかったかなあ。
中盤の展開に動きが乏しくて冗長なのがちょっと辛いです。
■ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間(2002/03/06)
既に説明の必要もなさそうですが『指輪物語』の映画化です。
・・・と言いつつ、原作は味読でした。
ですので原作に対して映画がどうこうは言えませんが、
世界に引き込まれ、独特の“空気”に酔う事が出来た映画でした。
3時間と長いですが、時間の経過を忘れて「もう終わりなのか?」という感じでした。
先に“空気”と書きましたが、ダークな面を含んだ世界観のムードが実に良いのです。
そして連綿と続くシーンの美しいこと・・・、実にうっとりでした。
(よく行くサイトの方で「巻物のよう」と表現された方がいましたが、正にそんな感じです)
三部作の一作目ですが、続きが非常に楽しみです。
『その指輪を捨てなければ、この世は闇になるー』
強大な魔の力を持ち、どんな聖人をも惑わし虜にする魔性の【指輪】
この物語は、【指輪】を捨てる旅をする、無力なホビットを初めとした
『旅の仲間』達の物語です。
ラストの各自の決断は、
その後に厳しい現実が待ち受けているだろうと思えながらも、爽快さを感じさせてくれました。
原作ではこの映画のエピソードにあたる話のタイトルは『旅の仲間』ですが、
とても秀逸なタイトルです。
これは魔法を捨てに行く話です。
便利で強力な力、大多数の人にとって手放し難い魅力をもつ一方で、
制御を損なえば滅びをもたらす力・・・、様々なものを想起させて実に象徴的です。
作中では、気のいいおじさんでも賢者でも聖女でも、誰でもが逃れられない【指輪】の誘惑を受け、
その恐ろしさがしつこいほどに表現されて、
皮膚感覚的にこちらに怖さが伝わってきました。
こうした表現が作品全体に魅力と説得力を与えていたのでしょう。
実に堪能出来たいい映画でした。
これから原作を読んでみるつもりです。
ただ映画の2作目、3作目も、内容を知らずにスクリーンで衝撃的に見たいという欲求もあるのですが、
とりあえず原作の『旅の仲間』を読んでから考えることにします。
余談、
巷にあふれる剣と魔法のファンタジーの基礎中の基礎になった作品ですが、
『魔法』に対するスタンスがいいのです。軽々しさが無く、
世界に溶け込んだ様子が魅力的でした。
(ハリポタのような明るい魔法も好きですけどね)
★小説「指輪物語」の感想
★えいが道「ロード・オブ・ザ・リング」
■ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔(ピーター・ジャクソン監督)(2003/03/03)
3時間の長編ですが、密度が濃くて飽きる暇がありません。面白かったです。
第二部ですが、説明シーンも余分な回想シーンも無い潔い作りになっている為、
序盤からぐいぐいと物語が進んで惹きこまれます。
特に冒頭の落ちシーンは迫力で、ここでグッと掴まれます。
やはり恰好いい爺はいいですわ〜
前作では9人の大所帯での旅だったので、1人1人に目が行き渡らないとか、
(今から思えば)ストーリーが単調な一本道に感じる部分もありましたが、
今回は、
「指輪を捨てる」フロド・サム、
「さらわれた仲間を追う」アルゴラン・レゴラス・ギムリ、
「敵にさらわれた」メリー・ピピン
と、3チームの視点に別れて、順次場面が切り替わっていくスタイルなので、
3時間の長丁場もだれることなく楽しめました。
(それでもあえて言うなら、アルウェンのシーンが少し長かったですが)
場面展開のタイミングが、原作がエピソードのケリがつく毎に、という感じだったのに対して、
より短いシーンでテンポのいい切り替えとなっているので、映画の見せ方として上手く感じてちょっとニヤリとしました。
チームが少人数な分、個々のキャラクターの描写もより掘り下げられていて良かったです。
個人的にはサムが好きですので、次作であるはずの活躍が楽しみだったりします。
今回の目玉の、異種族連合の大合戦は確かに凄い迫力でした。
特に大ピンチの中での■の登場シーンの格好いいこと。
ところであの駆け下りのシーンは、日本人には須磨・一の谷合戦を思わせますね。
結構原作とエピソードの順番が入れ替わったり内容が違ったりもしています。
それはそれでいいのですが、ファラミアが汚れ役になっているのは、ちょっと可愛そうでした(^^;)
指輪の怖さと人の弱さを強調するにはあれもアリと思いますけどね。
原作との相違でもう一点だけ。
原作(翻訳)では「ゴクリ」だったスメアゴルですが、映画では「ゴラム」になっていて、どうしてだろうと思っていました。
調べてみると、原作の原語では「ゴラム」が正解らしいですね。
「のどを鳴らす音」の表現から翻訳では「ゴクリ」の命名になったようです。なるほど〜
追記:食ってもらえてない兎が哀れですよ(゜дÅ)
http://www.lord-of-the-ring.com/
■ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(ピーター・ジャクソン監督)(2004/03/02)
三部作完結篇。
いやあ、面白い面白い。
3時間23分が苦にならないどころか、終わってしまうのが実に名残惜しかったです。
★以下ネタバレ注意
二作目「二つの塔」ではフロド組よりもアラゴルン組のスペクタクル溢れる戦いに目がいきがちになったのですが、
今作ではフロドとサムの道中が見せてくれます。
サムの男気が実に熱く格好良く、
そして、主人公としては一見守られてばかりでいいとこ無しも見えてしまうフロドが、
内心での指輪との葛藤が外からの映像では分かり辛いものではありますが、ちょっとした言動や目の演技等からも指輪の重みが随所で感じれて、
フロドの重要性を見せてくれたと思います。(オークに捕まった後のサムとのやり取りは見応えがありました)
そして二組、三組とバラバラになった旅の仲間達の行動が最後に収束していく展開の気持ちいいこと。
クライマックスに向け収束していく緊張感は、場面の切替えで映像作品ならではの長所が発揮されていたと思えます。
又、景色のダイナミックさも感動ものでした。
上空から見たミナスティリスは実に美しく迫力がありましたし、
なんと言っても山々を越えて“のろし”が次々と灯っていくシーンの壮大さと美しさったら・・
正直絵として、あのシーンだけでも満腹です。
★★★以下ラストネタバレ超注意
旅が終わった後の長いエピローグ。原作でも100ページを越える部分ですが(評論社版)、
実は、ここが飛ばされたりしないかと少し不安だったのですが(^^;
製作者がここの重要性を分かってない訳はなかったですね。
全てが終わった後のフロドが故郷に帰ってめでたしめでたし・・ では終わらない所が重いです。
Fさんも書いていた事ですが、何か大きな体験や出会いをしてしまった者は、事が終わっても、もう元の自分には戻れない、良くも悪くも。
人は体験や出会いを通して変化していってしまう物なのだと、痛みと共に感じたのでした。
ところで、出番が無かったサルマンはやはりDVD版では出るらしいですね(笑)
ガンダルフとの会話は出るだろうとして、エピローグ付近での出番もあるのだろうかと気になります。
原作から省略されている部分はたくさんあって、それもやむを得ないのですが、ピピンと仲良くなるベレゴンド・ベアギル親子には出て欲しかったなあとか。
http://www.lord-of-the-ring.com/
■ロード・トゥ・パーディション(サム・メンデス監督作品)(2002/10/16)
例によって前情報はいっさいなしで見ましたので、
見る前に知っていたのは“父と子”の話らしいということ位でした。
この映画は、1931年、大恐慌とギャングの時代のアメリカを舞台に、
裏社会に生きる父と、父のその姿を知ってしまった息子との話であり、
親子のように思いあってきた男達の決別の話でもあります。
裏社会に生きる男達の悲哀と愛の話なのです。
静かな描写ながらも見ごたえのある、重量感のある映画でした。
話の展開事態は割と先が読めてしまいますが、描写に深みがあって惹きこまれます。
正直、最初に事態が動き始めるまでは少し眠くなってしまったのですが、それ以後はもう目が離せませんでした。
ギャングの話であり、人がどんどん無情に死んでいく話なのに、静寂に満ちた美しい映画であります。
ラスト近くでの激しい雨の中での銃撃戦のシーンは悲哀に満ちた名シーンです。
画面の絵作りが見事で、悲しさと暗さと美しさが調和して本当に美しい映像でした。
一つ一つのシーンがいちいち『絵』として見事でありました。
病的な恐ろしさを感じさせるジュード・ロウの登場シーンなども印象に残ります。
主人公トム・ハンクスの行動は結局残虐でありとても共感できるものではありませんが、
己が正しいと思っているわけではないだろうに、愛ゆえに行動を変えることが出来ない
悲哀と矛盾のある深みを感じる姿でした。
私はジャンルとしての“ギャング映画物”にはあまり興味がなかったのですが、
この映画はギャングものである以上に3組の親子の愛と情と悲哀の話であり、強く惹きこまれました。
段々と信頼感が目に見えてくるマイクとマイケルの関係が良かったです。父マイクの傷を治療した後での親子の会話はいいシーンでした。
蛇足ですが、カポネってこの映画の時点ではもう逮捕されてたのですね。
映画を見ているときは(見落としていたのか?)その辺がよく分からなかったのですが。
ちなみに、パーディションとは街の名前でした。
http://www.foxjapan.com/movies/roadtoperdition/
平成ガメラシリーズの特撮監督だった樋口氏の初監督作品。
太平洋戦争末期を舞台に、原爆投下阻止に赴いた、特殊兵器“ローレライシステム”搭載の潜水艦・伊507の戦いを描いた仮想戦記潜水艦映画です。
或いは“仮想SF戦記潜水艦映画”と言った方がふさわしいかも知れません。
(なお、私は原作は未読です)
アニメや特撮のスタッフが多く参加していて、戦闘シーンなどはハイテンポで迫力のあるもので、
エンターテインメントとして面白い映画となっていますが、いわゆる「戦争映画としての重厚さや重苦しさ」というものは殆どありませんので、
そういった「戦争映画」を期待して見る方には合わないかもしれません。
あくまで軽快で楽しめる「娯楽作品」であります。
観る前には、ネットでの評判で「オタク向けすぎて一般性は今一」というような声も見かけたりしまして、賛否が分かれている印象でした。(ネタバレは嫌だったので深くは読んでいませんでしたが)
ですので、間口の狭い作品になってしまっているのだろうか、と少し不安もあったのですが、
観た後での感想としては、好き嫌いが分かれるのは分かりますが、一般人お断りという程に排他的な映画ではなく、十分普通に面白い娯楽作品ではないかと思いました。
うちの掲示板であんのさんやFさんも言ってられましたが(笑)
もっとも私などは、潜水艦に女の子が乗っていようが、秘密兵器が超能力で動こうが別にどうと言うこともなく受け入れて楽しんでしまえる人間ですので、あまり一般的な意見とは言えないかとは思います(苦笑)
秘密兵器“ローレライ”はヴィジュアル的にも面白いものでした。あんな物があれば水中戦で無敵なのは、現用兵器の知識に疎い私でもよく分かります。
水中での戦いの不便さも分かりやすく、人型の通常モビルスーツなんかが水中戦で戦う無謀さがよく分かりました(笑)
つっこみ所は多い映画ですが、あまりつっこむのも大人気ないと思いつつ少しだけ。
・ボールで殉職の人は、泣かせ用シーンだとは思いますが、あまりに唐突で強引で無意味でかえって冷めてしまいました;
・「生きろ」と言って海に消えていくネモ船長(違)は格好いいです。
・感動シーンがどうも様式美的でその辺には今一はまれなかった私(^^;)、良くも悪くも人物描写等の踏み込みは浅めではあります。
■ロング・エンゲージメント(ジャン=ピエール・ジュネ監督)(2005/03/22)
第一次世界大戦下のフランスで、婚約者のマネクが戦死したとの報を受けたマチルド(オドレイ・トトゥ)だったが、
彼の死を直接見届けた人がいないと知ったマチルドは、独自にマネクの死の真相を探り始めるのだった・・
★★★
「アメリ」の監督・女優コンビによる最新作です。
私は基本的には映画は前情報を極力入れずに見ますので、この映画も事前には「アメリの監督女優コンビ作で、戦時中の恋愛物らしい」程度しか情報はありませんでした。
ですので、アメリの様なユーモアチックな作品を予想していましたら、所々でユーモアやアメリに通ずる独特な表現方法は健在ながらも、
かなりシリアスに“戦争”の残酷さを激しく描いた作品だったので驚きました。
謎を追うヒロインの探索行と、戦場の描写が交互に絡み合って描かれる、上質で複雑な奥行きのあるミステリー風味の作品でした。
ストーリーは、恋人の生死の謎をヒロインが追い求める話で、話の主軸自体はシンプルですが、
大量に出る登場人物の人間関係が複雑で、更に顔と名前が判別しにくい(苦笑)ので、気合いを入れて見ていないと正直混乱しそうになりますので要注意です。
冒頭15分で「戦犯として死刑を宣告される5人の兵士の背景」が怒濤のごとく一気に語られますが、
ここが極めて重要で、ここできっちり5人と彼等に関係する人物の名前と関係を頭に入れる必要があります。そうでないと後が辛いです。
正直私は何人かの名前を失念してしまって後半ちょっと辛かったです(^^;)(苦笑)
だってですね、「アメリ」の時も冒頭で本筋と関係があるのかないのか不明っぽい情報が一気に語られるけど、大して本編に関わりがなかったではないですか。
ですので今回も「まさかこれが全部本編と絡む訳じゃないだろう^^;」と油断してしまったですよ;
やべーやべー(^^;;)
細かいちょっとしたシーンが伏線だったりしますので、なかなか目が離せない映画であります。
このように、やや分かり難い面もありますが、本筋自体はシンプルですので映画を楽しむには大丈夫ではないかと思います。多分(笑)
話自体はシリアスですが、出てくる人々はどこかユーモアや親しみやすさがあって引き込まれます。
調達の鬼の人や郵便屋さんは味があっていいですねえ。
ヒロインも率直に言えばゴーイングマイウェイで言ってしまえば迷惑な性格とも言えるかも知れませんが、映画のタッチと合わせて何とも憎めない素敵さでした。
この辺の味はやはりアメリにも通じるかも知れません。
ラストは(以下反転)見方によっては今後への不安を悲劇的にも感じる方がいるかも知れませんが、
私としてはたとえマネクが記憶を無くしていても、「歩くとき痛くないの」との子供の時と同じ言葉を率直に使った彼本来の物は変わっておらず、
彼の記憶が今後戻ろうとも戻るまいとも、2人で新たなスタートを切れる希望のあるラストと感じたのでした。
正直中盤くらいまで、私も「マネクは生きてはいないだろう」と思っていたのですが、
どんでん返しの見せ方が上手く、いい意味で予想を裏切ってくれて、かつ納得のいく展開でした。
いいラストであり、いい映画だったと思います。
http://long-eng.warnerbros.jp/
ウエスタン風味のレトロSF作品です。
お話は思った通りに話が進んで意外性は無いし
キャラクター的にもいまいち感情移入が出来なかったりして
正直どーも印象が薄かったです。(あくまで「私的には」ですが)
クモメカの動きは面白かったけどね
■若おかみは小学生!(高坂希太郎監督)(2018/10/18)
評判がいいので行ってきましたが、実に良い映画でした。劇場で観てよかったですよ。
原作・TVアニメシリーズを知らなかったので大丈夫だろうかとか少し思っていましたが、映画はTV版とは繋がりの無い独立した作品という事で問題なく楽しめました。(TV版もプライムで見れるようなので、時間がある時に見たいところ)
旅館の若おかみになった小学生・おっこの頑張りと成長を軽やかに楽しく描きつつ、かなり重いテーマに踏み込んでいて引き込まれました。
各エピソードが最後に向けて綺麗に繋がって収束していく感じも心地よくて、ホントによく出来た作品だったかと。
登場人物達も皆魅力的で良かったです。見ていて自然におっこを応援したくなるのがいいですね。
以下ネタバレ注意。
クライマックスの展開は、(一応)年少者向けと思われた作品で、親しい人の死と別れや赦しと言った重いテーマにそこまで踏み込むのかと少し驚かされました。
両親を喪ったおっこの傷はそこまででも各所で描かれていましたが、最後のお客様がそう来るとは思っていなかったですよ。
あの人にしても巻き込まれた被害者のようで責め難いところはありますが、当事者にしてみれば完全に加害者ですし割り切れるものじゃないですよね。
真月の旅館に移動ということになっても心苦しくても誰も責められない状況で、若おかみとしてお客様を受け入れたおっこの立派さには本当に泣けました。
そして最後の御神楽でのウリ坊とみよちゃんとの別れのシーンも素晴らしかったかと。“4人”で踊っているところは別れと成長を爽やかに描いていて素晴らしい名シーンでした。
登場人物は誰も皆魅力的でしたけど、特に“ピンふり”こと真月が格好良くて良いキャラでしたね。
一見わがままツンデレお嬢様に見えるのですけど、人に厳しく自分にも厳しい努力家で、容易にデレずに静かに相手を認める様が実に格好良かったですよ。
それでいて気遣いも出来て優しいところがいい子だなあと。旅館の大人の人達からも敬意を持って愛されてると思えるのがいいですね。
クライマックスのおっこの試練の状況でのハッとした真月の様子だとか、沐浴の場で姉の話をするところがまた良かったですねえ。沐浴のシーンは厳しい彼女がおっこを認めてくれたのだなと思えるのも嬉しかったです。
あの場で“姉の話”を聞いたおっこが軽々しく返事を返さないところも粋でした。
元は児童文学ということで一応年少者向けの作品ではありますが、子供でも大人でも高齢者でも、それぞれの立場で楽しめると思える良い作品でした。
■WATARIDORI(ジャック・ペラン監督)(2003/04/21)
世界中を縦断して北極を目指し、春になればまた元の場所に戻ってくる渡り鳥、
この映画は100種類を超える渡り鳥達の路程を、鳥と共に飛んで克明に撮影したドキュメンタリー映画です。
とにかく、映像が凄いです、『凄い』と以外に言葉がでないくらい。
超軽量航空機で渡り鳥と一緒に飛んで撮影したという映像は、CGなどではない、まさにナマな迫力があります。
(鳥達のうち40種、1000羽は人や超軽量航空機が近くにいても自然に動けるように、卵の頃から慣れさせたそうです)
私は元々、鳥にさほど感心があったわけではありませんが、
鳥はこんなに美しいものだったか、と感動がありました。
鳥を直近で捕らえた映像は、優雅に飛んでいるかのように見えた鳥の力強さを感じさせて目から鱗が落ちるようでした。
また、鳥を追いかけ40カ国で撮影されたという、その国々の風景、人が普通足を踏み入れることのない世界の美しさと迫力は素晴らしく壮大で、
一見の価値のある映像です。
とゆーか、風景・背景描きの絵描きさんは見るべしです。
いわゆるお話らしいストーリーのある映画ではありません。
ナレーションはありますが、ごく最低限で、大部分は映像(と音楽)のみで構成されています。
(故に、たまに「解説してくれよお」とか思ってしまうところもありましたが^^;)
ですので、人によっては退屈かもしれません。
しかし、生き物たちの死をも含んで生きる姿はそれだけで実にドラマチックです。
一体の生物が、機械などに頼るのではなく自分の力で遙か遠くの場所に旅をする・・・
もちろん知識としては渡り鳥が遙かな道のりを旅するということを知ってはいましたが、
こうして映像で見せられると、ああ、本当に凄い事なのだと、心で感じました。
追記、
人間が近くにいて育った鳥達は撮影後に問題ないのだろうかとか思ってしまうのですが
どーなんでしょ、
調教して人がいないと生きれないようにしていた訳ではないから大丈夫なんでしょか
追記書き足し、
うりゅさんに教えてもらったところ、その鳥たちは監督が面倒を見るそうです。
なるほど〜
原作脚本:三谷幸喜
戦争の影がちらつく昭和15年の日本。
そこでは大衆娯楽にも検閲のメスが入っていた。
演劇作家の椿一(稲垣吾朗)は喜劇の台本の検閲のため警視庁の取調室に出向く。
そこで待っていたのは、これまで笑ったことがないというカタブツの検閲官、向坂(役所広司)だった。
非常時の日本で笑いなど無用と考える検閲官はあらゆる無理難題を作家にふっかけるが、
作家は検閲官の要求を逆手に取り、前以上に笑える台本として手直ししていく。
いつしか二人の台本直しはエスカレートしていき、台本は喜劇の傑作と化していくのだった・・
★
劇中の大部分が取調室での二人のやりとりで進行するコメディ的作品です。
元は(私は未見ですが)舞台劇とのことで、舞台や役柄の限定具合がなるほど舞台劇らしい作品であります。
舞台劇の魅力の一つは、背景や舞台が不明確、いやファジーであるからゆえの、観る者の想像に委ねられる表現の自由度の高さだと思いますが、
この映画は映画として、実際の映像表現で観客を楽しませられるという映画としての利点を上手く生かした映画となっていたのではないかと感じました。
いやまあ、舞台の方を観てないので本当のところは分からないんですけどね(^^;)
作品の大部分が二人の会話劇であるにも関わらず、二人の演技や見せ方が上手く、退屈することなくマンネリにならずに、適度な緊張感も持続して、
楽しめる映画になっていたと思います。
面白かったです。
「ラヂオの時間」も好きでしたが、演劇的な芝居を映画に落とし込むのはさすがに三谷氏は上手いですねえ。
二人の関係が徐々に変わっていくのが楽しいです。というか、変わっていってるのは主に役所広司演じる検閲官ですか。
役所氏の変化していく演技が実に楽しいのです。
走り出してからは最高であります(笑)
ラストは切ないですが、これはこうなるしかないのかな、とも思います。
ややクライマックス部分は冗長に思えなくもなかったですが、
最後に蛇足なくすっぱり終わる部分の潔さは印象的です。
http://warainodaigaku.nifty.com/
■笑う大天使(ミカエル)(小田一生監督)(2006/08/03)
うーむ、それなりに楽しめるところもあるけど、正直微妙です。
原作者の川原泉には昔から思い入れがあって、「川原泉の作風を実写で表現するのは無理だろう」と思ってましたが、やっぱり無理でした(苦笑)
あの独特なリリカルに哲学チックな空気感はありません。
本来なら映画と原作との比較はあまりすべきでないと思うのですが、
自分の原作者への思い入れが強いので今回は無理です。すんません(^^;
見ているとスタッフは「川原節」を再現しようとする意欲すら放棄しているように見えるので、
『何故わざわざ(ファン人気は根強いけどあまり有名とは言いにくい)18年前の作品を掘り起こして、
下手なオリジナル要素で劣化させた“俺映画”にしてしまうのか?』くらいの文句は言いたくなります。
これが元から超メジャーな原作なら話も違いますけどね。
何故にこの作品で、中途半端なVFXアクションにあれ程比重が置かれるのやら。
映画は映画で、漫画チックな表現もまあまあハマって、それなりには楽しる部分もありますが、
しかし、どうにもテンポが悪く、映画単体として見ても、やはり良い出来とは言えません。
安っぽいCGは別にいいんですが、映画全体のバランス感覚がどうにもおかしい。
聖ミカエル学園というお嬢様学校に紛れ込んだ庶民3人娘が猫を被りつつもそれぞれらしく生きたり誘拐事件を解決する話です。
お嬢様という生き物と庶民とのギャップがミソ。
原作での1・2巻の誘拐エピソードをベースに、3巻の史緒さんと兄ちゃんの話を混ぜ込んでいます。
史緒と兄ちゃんの関係も固まってない段階で3巻の話を混ぜるのはどうかと最初は思いましたが、
ソコを入れて盛り上げたくなる制作者の気持ちは分かります。方法論としても正しいと思う。
ただ、それをやって妙に湿っぽいセンスが漂ってしまうのは、やはり「普通の感覚」で作るとこうなってしまうのかなあと思いました。
“本”のオリジナルエピソードはちょっと良かったですけどね。
史緒がメインになっている事自体はいいのですが、
ほぼモノローグが史緒の一人称だけで進むこともあり、他の2人の影がとても薄いです。
そして2人のバックボーンがほとんど語られないため、3人が互いに猫を被っていた事を知って友情に目覚めるシーンがまるで生きず、
結果として史緒のキャラクターも上手く生きてこないのがどうにも悪循環かと。
そして、劣化キルビル的なエセアクションシーンがやたらと無駄に無意味に長いのが最大の問題点かと。
制作者は力を入れるべきところを完全に間違えていると思いました。
まあ『巨大化史緒』まで見てしまうと、あまりの馬鹿馬鹿しさにちょっと許せる気分にもなりますけど(^^;
しかし、“お嬢様と庶民のギャップ”だとか、3人のそれぞれの個性の掘り下げだとか、もっと作品として生かすべきシーンは多かったとは思います。
「それを描写する時間が無かった」などとは言わせません。
監督はVFX出身の人だと言うことなので、アクションを優先させたかったのかも知れませんが、
やる作品を間違えてるのではないかと。
CGで描かれた黒犬ダミアンはちょっといい味でした。
しかし「てえーてえー」が無いのが甚だ残念ですけどね。
甘い物好きだと伏線まで張ってるのに、なんで回収しないんだろ。やらないならあんな伏線張るなよ。
あの不可思議な制服のセンスは本当に不思議です。道着にしか見えない体操服も。
あれがお嬢様学校の制服と言われても、その…なんだ、困る。
ところで、なんで史緒が関西弁キャラになってるんだろう(^^;?
…「モノローグ」と「口で話すセリフ」を区別しやすくする為なのだとしたら効果的ではあったかも知れないか?
■ONE PIECE FILM STRONG WORLD(ワンピース劇場版)(境宗久監督)(2009/12/13)
先日ジャンプ本誌で第0話を読んでいた事もあって、素直に面白かったです。
また、現在の連載では麦わら一味と離れ離れになっていることもあって、仲間が揃っている事が感慨深かったかと。
最近の原作本編では話がかなり大きく拡大していますが、
今回の映画は「仲間や故郷を守るための戦い」という本編の初期〜中期に見られたベーシックなテーマで、
2時間程度の映画で描くにはしっくり来るいいテーマだったかと思います。
「空に浮かぶ島(空島ではない)」という舞台も海軍に介入させずにルフィ達を活躍させるよくできた設定だったかと。
それでいて、今回の敵である「金獅子のシキ」の野望もスケール感と脅威はちゃんと出せていましたし。
冒頭の動物達の連続バトルはアイデアに満ちて見ごたえがありました。動物達のデザインがいいなあ。
本編はとても任侠映画っぽかったかと。ルフィ達の殴り込みシーンはテンションが上がります。
ゾロまでが銃を使っているのはちょっと違和感でしたが、雰囲気重視と見るべきか。
シキ自身は流石に伝説の大海賊と言える強大さでしたが、手下の海賊達は弱めですね(^^;
まあ、長々と戦わせるよりいいですが。
手下にあまり強力なコマが無いあたり、シキ自身は伝説級の海賊でもその辺りは白ひげに劣ると言えるでしょうか。
現在の連載での白ひげの強さを見ていると、白ひげと同格の相手にルフィが勝てるのだろうかと思いましたが、
その辺はどうにかなりましたね。
いくら相手が強くてもロギアでなければ(攻撃が効くなら)どうにかなるんでしょうか。
対シキ戦はもうちょっとガッツリ描いて欲しかった気もしますが尺的に仕方ないか。
シキの異名「空を飛ぶ海賊」の呼び名を連載本編で最初に見た時は「トリトリ」系の能力者かと思いましたが、そう単純では無かったのね。
あれはほとんど念動力みたいなものかなあ。(一度浮かせたものは意識しないでも浮かせてられるようだけど)
シキが「東の海」にこだわるのは、第0話を見ているとよく分かりました。
シキがナミを欲しがる理由は納得がいくものでした。ナミってグランドライン級の航海士と比べても相当優秀だなあ。
「シキの仲間になる」ことになるナミですが、アーロン編の時のような裏切りの不安感を感じないあたりは流石に信頼関係が出来ているなと。
以下、原作に絡みそうなネタバレ度が微妙に高いので注意。
今回の映画が原作の「いつの時点」かはよく分かりませんでした。
ブルック参入後(スリラーバーク後)からシャボンディ諸島到着までの間の部分になら綺麗に入りそうなんだけど、
シャボンディでのトビウオライダーズ戦でブルックが「“麦わらの一味”における初陣」なんて言ってるので、厳密にはこの間にも入りそうも無い。
現在の原作展開の後、と考えるべきかどうかは、海軍がどうなるかが分からないからなんとも言えないなあ。
この手の映画だとこういう「どこのタイミングの話なんだよ」問題は発生しがちなものだけど、
今回は尾田先生原作だからその辺りはちゃんと考えていそうだし、「ルフィの“17歳最後の冒険”」とも尾田先生自身が書いてるしなあ。
→追記:ラストを考えればやっぱりインペルダウン前ではありえないか。と言うことは海軍は…。
■ONE PIECE FILM Z ワンピース フィルム ゼット(長峯達也監督)(2013/2/11)
遅ればせながら観て来ました。ちなみに千巻はもう無かったです。
ジャンプでの紹介ページも殆ど目を通してなかったのでほぼ前情報無しでしたが、ルフィと言うよりは「Z先生」が主役の映画でした。実に男臭くて渋い話でしたよ。
最後に戦った海賊がルフィで良かったんじゃないかと。ラストの子供時代のZ先生が泣かせます。
Z先生は映画オンリーのキャラではありますが、海軍の主だったメンバー全員の先生だったという辺りが熱いです。中将の涙がグッと来ました。
ちょい役ながらも存在感を見せる中将や、出てくるたびに美味しいところをかっさらいZ先生との絆を見せる青キジに対し、ただ戦闘狂な黄猿ときたら…(苦笑)、まあブレない人だとは言えます。
ただ、Z先生は最初に世話になったチョッパーとの絡みももうちょっと欲しかったかなと。
ところで「Z先生の教え子達を殺してZの右腕を斬った海賊」が新規七武海って、誰なのやら。
ロー…ってことは無いだろうし、そういう事をしそうな黒ひげは2年前時点で抜けてるし、バギーと言うのもピンと来ないし。
現役七武海と思われるのは、ドフラミンゴ、ミホーク、くま、ハンコック、ローの5人なので、仮にバギーが入っていたとしてももう1人枠がありますね。普通に未登場キャラでしょうか。
エンディングで出た主要キャラの子供時代は楽しかったです。ローもサボも出てたけど、ロー=サボ説は普通に否定ですかね。
■ONE PIECE STAMPEDE(大塚隆史監督)(2019/8/11)
ワンピ映画は前のGOLDは行かなかったので2013年のFILM Z以来ですが、全勢力オールスター映画ということで興味が湧いて観てきました。
いやー、面白かったです。やっぱりこういう大集合映画はそれだけで理屈抜きで楽しいですね。
海賊、最悪の世代、七武海、海軍、サイファポール、革命軍と言った歴代主要キャラが一堂に介して、最後は(一瞬とは言え)勢力の壁を超えて共闘する流れが熱いですよ。
原作だと時系列とか考えるとこのメンツが勢揃いとかまず無理そうですけど、お祭り映画と言うことで気にするなですね。
ルフィ一行ではウソップに焦点が当たっていて見どころだったかと。最後に美味しいところを持っていくし、ルフィの決断も予想してるところがいいですよ。
今回出てくる“お宝”に対してのルフィの判断は、「やっぱりそうなるよねー」でした。お宝の内容が明かされた辺りからオチは読めた気もします(笑)、てかあんなもの処分しないと本編でも扱いに困ります(^^;
そして、当のロジャーがあれを良しとしていなかったというのがまたいいですよ。
ラストバトルの面々はそれぞれルフィと因縁・関係の深いメンバーですが、それが揃っているのはやっぱり凄い絵ですよ。
そして最悪の世代の中でもローはやっぱり共闘展開がよく合うなあと。もう友達と言っていいんじゃないですかね(笑)
あと、バギーの(ギャグキャラとして)便利なことですよ。
クロコダイルは七武海の中で最初に倒した相手なのに、ここに至っても強者としての格が落ちていないのがいいなあ。
■ONE PIECE FILM RED(谷口悟朗監督)(2022/9/19)
遅ればせながら観ました。
面白かったですが死ぬとは思わなかったよウタ。
シャンクスの血の繋がらない娘だったのは想定内でしたけども。
以下ネタバレ注意
映画オリジナルキャラのウタはなかなか魅力的でした。場面によって印象が変わるのがいいですね。
(シリーズの映画を全部観ているわけではないですが)これまでで最大級の世界の危機だった気がしますよ。1個人の能力と魔王の組み合わせで世界が滅びかけるとは恐ろしい。…この世界、破滅の種がそこらに転がりすぎだろう;;;
ウタは色々な面で悲劇的なキャラではありました。ルフィが海賊であることを知らない時点で世間知らずなのか?とは思ったけど、本当に世間のことを全然知らずに育っちゃったんですねえ。
その上でいきなり配信で世間の負の感情をまともに受け取ってしまったのが悲劇だったのかと思うと…、インターネットこわい…(違)
何と言うか、ネットの声で祭り上げられて破滅する人っているよなあと思いました。
エレジアが滅んだ後、シャンクスやゴードンはどうするのが正解だったんですかね。幼少時のウタに責任なんて無いけど、真実をそのまま告げるわけには確かにいかないしなあ…。善意の選択の結果なのが辛い。
ウタは薬を飲めば助かったんでしょうけど、あれはもう自殺みたいなものですかね。あれだけのことをやらかしてしまったら鬼メンタルでもなければ生き延びられないんですかねえ。切ない。
ルフィとの幼馴染描写が微笑ましかっただけに結末が切ないですよ。ウタの左手のマークが麦わらの絵だったのが泣けます。
シャンクスとルフィが「出会わないままに」共闘する流れは熱かったです。本編外で合わせられないですし、ウタワールドと現実のそれぞれで同時に戦うのは上手かったかと。
ところでシャンクスはどういう戦い方をするのだろうとずっと思っていましたが、普通に剣と覇気ってことですかね。
ウソップとヤソップの通じ合っての共闘もよかったですよ。
すぐ音を鳴らしてしまうベポさんには和みました。
バルトロメオは本編だと今頃どこにいるんですかねえ。先日名前は出ていたけど。
ブルーノのドアドアやブリュレのミラミラ便利だなあ。
映画だし、本編とは繋がらない話だけど、一応はマム編とワノクニ編の間くらいということにはなるんですかね。