秘密 (東野圭吾著)
アクアリウムの夜 (稲生平太郎:角川スニーカー文庫)
鵺姫真話/鵺姫異聞 (岩本隆雄)
タイムマシン (H.G.ウェルズ:角川文庫)
銀扇座事件 (太田忠司著)
さみしさの周波数 (乙一著:角川文庫)
買ってはいけない
おもいでエマノン (梶尾真治著:徳間デュアル文庫)
さすらいエマノン/かりそめエマノン(梶尾真治著:徳間ディアル文庫)
黄泉がえり (梶尾真冶著:新潮文庫)
クロノス・ジョウンターの伝説(梶尾真治著:ソノラマ文庫)/この胸いっぱいの愛を(小学館文庫)
掌の中の小鳥 (加納朋子著:創元推理文庫)
ななつのこ (加納朋子著:創元推理文庫)
魔法飛行 (加納朋子著:創元推理文庫)
ささらさや (加納朋子著:幻冬舎)
ガラスの麒麟 (加納朋子著:講談社)
月曜日の水玉模様 (加納朋子著:集英社文庫)
いちばん初めにあった海 (加納朋子著:角川書店)
沙羅は和子の名を呼ぶ (加納朋子著:集英社文庫)
コンタクト (カール・セーガン著:新調文庫)
魔法遣いに大切なこと1 (枯野瑛著・富士見ミステリー文庫)
夏のロケット (川端裕人著:文藝春秋)
グッドラック (神林長平著)
宇宙探査機 迷惑一番 (神林長平著:早川書房)
ラーゼフォン時間調律師 (神林長平著:徳間書店)
六の宮の姫君 (北村薫著)
リセット (北村薫著)
廃墟の歩き方 探索篇
(栗原亨監修:発行:イーストプレス)
宇宙へのパスポート (笹本裕一著:朝日ソノラマ)
LAST KISS
(佐藤ケイ著:電撃文庫)
キノの旅I〜VI (時雨沢恵一著:電撃文庫)
アリソンI・II
(時雨沢恵一:電撃文庫)
指輪物語 第1部 旅の仲間(J・R・R・トールキン著:評論社)
ハリー・ポッターと賢者の石(J.K.ローリング著:静山社)
ハリー・ポッターと秘密の部屋(J.K.ローリング著:静山社)
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(J.K.ローリング著:静山社)
ハリー・ポッターと炎のゴブレット(J・K・ローリング著:静山社)
幻の動物とその生息地 (ニュート・スキャマンダー著:静山社)
七姫物語 (高野和著:電撃文庫)
アウトニア王国再興録1 でたまか
英雄待望篇(鷹見一幸著:角川スニーカー文庫)
アウトニア王国再興録2 でたまか
天地鳴動篇(鷹見一幸著:角川スニーカー文庫)
バトル・ロワイヤル (高見広春著:太田出版)
大唐風雲記1 (田村登正氏著:電撃文庫:挿絵・洞木ミノル氏)
アルスラーン戦記10巻 (田中芳樹著)
春の魔術 (田中芳樹著:講談社)
枯れ蔵 (永井するみ著:新潮文庫)
空の境界 (奈須きのこ著)
アンダー・ラグ・ロッキング(名瀬樹著:電撃文庫)
七回死んだ男 (西澤保彦著:講談社文庫)
純情FBA! (野島けんじ著:角川スニーカー文庫)
私と月につきあって (野尻抱介著)
タイムマシンの作り方 (広瀬正著:集英社文庫)
リベラ・メ (ヒョン・チョンヨル/ヨ・ジナ脚本;角川書店)
マイノリティ・リポート (フィリップ・K・ディック著:早川書房)
世界をだました男 (フランク・アバネイル著:新潮文庫)
エアフレーム (マイケル・クライトン著)
ポストガール (増子二郎著:電撃文庫)
千里眼 (松岡圭祐著:小学館)
R.P.G. (宮部みゆき著:集英社文庫)
パーフェクト・ブルー (宮部みゆき著:創元推理文庫)
心とろかすような (宮部みゆき著:創元推理文庫)
童話物語 (向山貴彦著:幻冬舎文庫)
銀河お騒がせアンドロイド(ロバート・アスプリン&ピーター・J・ヘック著:早川書房)
◆ここでは原則として著者別に五十音順としています。(不明確のものはタイトルで分類しています)
◆基本的に著者表記は敬称略とさせていただいております。
初めは友人に借りて読もうとしましたが、友人の手元に無かった為、買って読みました。
で、読後の感想>「買って読んで良かった〜!!」
多分、借りて読んでてもきっと後から自分で買ったでしょう。
まず、許されるであろう(と思われる)程度のネタバレで書くと
妻と娘が事故にあって、娘だけが助かった…かと思いきや
事故から目覚めた娘の人格は妻のものだった…という話で
娘の体に入った妻と夫の物語です。
居酒屋ゆうれいのイメージかと思って読み始めましたが
読み終わると、北村薫の「スキップ」に雰囲気が近い気がしました。
こういう話を読むと、どうしても「もし自分達がこんな立場になったら…」とか考えてしまいます。
(子供はいないけど)
結論は出ないですけどねえ。
映画がどういう話になってるかとても気になるけど
小説通りには無理な気がするなあ。
大分変わってそうだけど、見るのが楽しみなような期待出来ないような…
しかし、この話を読んでのホントの感想を書くにはどーしても
ネタバレで書くしかないので、以下ネタバレです。
★★★以下、超ネタバレ★★★
さて、
この本のラストを読んで最初に思ったことは
「なんて愛だ」
とゆー思いでした。
(まーイヂワルな見方をする人もいるかもしれんけど、私は素直に感動したのです)
しかし、最後まで読んで少しひっかかる事ですが
「直子」は何故平介に指輪のことを秘密にしたのだろう?
「母親に指輪の事を聞いていた」ことにしてオープンにしたほうが
「秘密」がばれる危険も少なかったのでは無いかと思う訳です。
あくまで私が思っただけですが。心のどこかで平介に知って欲しいという気持ちが
あったのではないかと思うのです。(とゆーかそう思わないではいられないのではないかと)
いずれにせよ、この「直子」さんは大した女性だと思ったのでした。
■アクアリウムの夜(稲生平太郎:角川スニーカー文庫)(2003/03/06)
放課後に見せ物小屋の「カメラ・オブスキュラ」を見てから転がり出す
少年達の不気味でミステリアスな体験を書いた作品です。
不条理で後味悪いなあ(^^;)
作中での出来事に説明や決着がつかないと気が済まない方にはお勧めしません。
見えないことの怖さや狂気が書かれていて、
学生時代に読んでいたらもっと怖かったかも知れないなあと思いました。
(その頃には出てません)
「星虫」「イーシャの船」に連なる、久しぶりに出た新作二作品ですが、
前二作との関連性を持ちながら、そのどちらとも違ったテイストの話を組み上げているのはさすがです。
「鵺姫真話」「鵺姫異聞」もまた、それぞれに関連しながら、全然違った話になっています。
どちらも楽しんで読めましたが、
「〜真話」と「〜異聞」とで比べると、「真話」の方が良かったです。
正直「異聞」は相当に御都合主義が目立って、ちと辛いなあ、と(^^;)
まあ御都合主義は「イーシャ」でもそうだし、
「真話」にしても御都合なのですが、「真話」の場合序盤から結構上手く伏線が張られていてあまり鼻につかなかったのです。
「異聞」になると、話が積み重なるにつれて人間関係が因縁でがんじがらめになってくるのも辛い原因でした。
こうなると世界観に広がりが感じられなくなってしまうのです。
(正直、「異聞」のエピローグは余計でした)
後は風呂敷の広げすぎとか、キャラクターの魅力の差とか・・・(^^;
・・・どうも二つを比較して一方を悪く言う状態に陥っているのでこの辺で止めときます。
(そういうやり方は本来好きではないのですが、続けて読んでしまった為もあり、
お気を悪くされた方がおられましたら申し訳ありません)
「真話」は「星虫」と違ったテイストの話と言いつつ、どこか近い空気も感じます。
主人公建の未来を応援したくなるような、気恥ずかしいような、読後感の前向きな気持ちよさが共通しているのかと感じました。
そんな訳で、「星虫」の次に「真話」は好きです。
「星虫」がアニメ化らしいですが、期待しつつ、ちょっと恐いですねえ。
■タイムマシン(H.G.ウェルズ:角川文庫)(2002/08/01 )
映画を見たら原作が読みたくなりました2。
こちらは映画と小説は完全に違いますね。小説は良かったです。
「花」のくだりが切なさがあっていいのです。
何度も何度も改稿を重ねて、そのたびごとに話も変わっていったそうで、
初稿と私が読んだものとでは全然別の話になっているそうです。
今ならリメイクという形になるのかも知れませんが、珍しいことに思えました。
野上探偵と狩野俊介の推理小説シリーズの第11作です。
上下巻ですが、現在は上巻を読み終えたばかりです。
さて、
★★★以下ネタバレ注意★★★
さて、
大小のレベル差こそあれど、
安穏な日常が変わることなく続く物では無いことを
分かってはいるつもりですが、
それでも今回の話は(まだ上巻ですが)ショックでした。
ラスト数頁を読んでかなり動転してます。
信じていた物が瓦解する感覚が読者としても実に恐い。
話としてはけりがついたかに見えるところで上巻の終わりですが、
はたして下巻はどうなっているのやら読みたいやら怖いやら…
★★★ネタバレおわり★★★
このシリーズに「美樹」という女の子が出ますが(今回は出てないけど)
小説の挿し絵では、おかっぱ頭にヘアバンドの女の子に描かれています
…やっぱりデビルマンだろーか
■銀扇座事件(下巻)(太田忠司著)(1999/08/06)
どうにも続きが気になって、一気に読んでしまいました。
さて、
★★★以下ネタバレ★★★
さて、
最後まで読まないで言うべきでは無いと思って
昨日は書かなかったですが、
上巻はかなりつらかったです。
正直、下巻もこの調子なら、もう読むのを止めようかとさえ思ったりしたのですが、
下巻を読んで…
やられました。
上巻を読みながら始終感じていた違和感がやっと氷塊しました。
あーちゃんと読んでよかった。
読んでない人にはさっぱり分からない書き方ですがすびばせん
■さみしさの周波数(乙一著:角川文庫)(2003/01/21)
4編からなる短篇集です。
さりげない淡々とした表現で印象深い話が綴られています。
未来が時々見えると言う友達を持った少年の話「未来予報」、
せつなさと希望のある話です。
「手を握る泥棒の物語」
タイトル通りの話です。(分からん)
ちょっとニヤリとしました。
フィルムに映っていた、そこにいないはずの少女の話「フィルムの中の少女」、
こわい話のように思えますが、
悲しさと、救いもある話です。
「失はれた物語」
ネタバレしたくないので内容は話しません。
厳しいなあ・・・
よくこんな話が書けるなあと、重い衝撃がありました。
先にも書いたように、全体的に淡々とした、水彩画のようなタッチで書かれた
小説ですが、なんとも言い難い印象深さが残ります。
どうにも微妙な感情を刺激されて、かえって言葉にしにくいのですが(^^;
ハッピーエンドとは言えない話が多いですが、そこの所がまた、余韻があっていいです。
そんな作品の余韻を吹き飛ばすような「後書き」での筆者の狂いっぷりが実にイカスですよ。(笑
味のある人だなあ(^^
筆者の小説を読んだのは実は初めてでしたが、
興味をひかれましたので、他の作品も読んでみたいと思います。
飲食物、洗剤、化粧品、薬、雑貨などなど
日常生活に溢れた商品から、健康面や、自然環境などに悪影響を与える商品を
取り上げて紹介した本です。
こうゆう本を読んでそのまま全てを鵜呑みにするのはどうかとは思うが
企業の宣伝をそのまま信じる気も毛頭無いわけで、
差し引いて読んだとしても、怖い本です。
下手なホラーよりもずっと
■おもいでエマノン(梶尾真治著:徳間デュアル文庫)(2002/07/12)
日本叙情SFの名作。
大分昔、学生の頃に読みましたが、
その後、続編が2冊(「さすらいエマノン」「かりそめエマノン」)出ていて、
かつ1冊目の「おもいでエマノン」も短篇を1本追加して
新たに鶴田兼ニ氏のイラストで新装版が出ている事に最近になって気付き、
3冊まとめて買いました。
といってもまだ1冊目「おもいでエマノン」を読み終えたばかりですが。
久しぶりに読みましたが、やはりいい話です。
特に1作目の「おもいでエマノン」の時を越えての驚きや刹那の感動、
「とまどいマクトゥーヴ」の運命的な残酷さは、
あらためて読んでも素晴らしいです。
(新たな1篇「あしびきデイドリーム」もいいのですが、
1作目の完成度には及ばないようにも。
思い入れの問題もあるのでしょうが)
巻末の梶尾氏と鶴田氏の対談で、エマノンのアイデアのきっかけが語られていますが、
まさかそんなきっかけがあんないい話を生むとはっ。笑ってしまいました。
これから残り2冊を読みます。未知の領域です。
私にとっても『おもいで』になりかけていた作品の続きが読めるとは
とても嬉しいのですが、大切な作品だっただけに怖い気持ちもあります。
少々使っている場面は違うのですが、巻末対談での言葉
「昔のSFファンにとっての『アルジャーノンに花束を』が長編になってるような怖さ」
という感じなのでしょうか?
もっとも私は短篇だった最初の「アルジャーノン」は読んでいないので、
短篇だった「のび太の恐竜」が大長編になった時の感じと考えれば・・・・・、
・・・アレは単純に嬉しかったので全然違う気がします。
■さすらいエマノン/かりそめエマノン(梶尾真治著:徳間ディアル文庫)(2002/09/03)
「おもいでエマノン」の続編で、前者は短篇物、後者は長編です。
ネタバレになるのであまり言えませんが
はるかな時間を超えての想いを感じる点で
筆者デビュー作の「美亜に送る真珠」を思い出しました。
こういったところは十八番ですね。しみじみでした。
エマノンの話を読んでいると、時列別に整理した『エマノン年表』とでもいうものが
見てみたい気になりましたが、時代が特定し難い話が多いので難しいかも知れません。
誰か作ってないかなあ。
■黄泉がえり(梶尾真冶著:新潮文庫)(2003/02/24)
死んだ人達が家族の元に帰ってくる話で、最近あった映画の原作にあたる小説です。
私は映画を見た後で読みました。
筆者の小説は好きですが、この作品は未読だったのです。
そんな経緯なので映画と小説を対比させての感想になってしまいますが御容赦下さい。
映画は人々の心の交流を抽出して組み上げたファンタジーという印象でしたが、
小説は人々の交流に加え、故人が黄泉がえってくることに対しての社会的な動きや、
現象の原因と成行きにも目を向けて語られていて面白く読めます。
小説の方はよりSF色が強い作品です。
小説を読んで思うことは、小説は小説として、映画は映画として、
それぞれの形態に合った語り口でうまく話を描いてくれたな、ということで
私としては小説・映画それぞれに好きです。
冷徹とも言える冷静な視点と、人々の情を描く暖かい視点の混在が筆者らしい持ち味だと思えました。
小説と映画では表層的な大きな展開の流れ自体はそれほどに大きく違うというわけでもないのですが(といいつつ違うといえば大分違う)、
同じ名の登場人物がかなり違った立場で出ているのは結構楽しいです。
映画化などで内容を変えるならこのくらいやってくれた方が気持ちいいかも知れません(^^?)
■クロノス・ジョウンターの伝説(梶尾真治著:ソノラマ文庫)(2005/11/05)
映画「この胸いっぱいの愛を」の原作であるところの梶尾真治氏の「クロノス・ジョウンターの伝説」(ソノラマ文庫)を読みました。
カジシンは好きだったけどこれは未読だったのです。
それにしても、見つける為に本屋7件ハシゴして、えらく手間がかかってしまったですよ。
ソノラマ文庫がまともに揃ってる本屋って少ないんだなあ;(あっても菊池秀行しか置いてなかったり)
で、読みました。
「過去に戻る」ことになった人達を描いた短編連作で、筆者らしい切なさを感じる、傑作と言っていい叙情SFでかなり満足しましたが、
映画は原作とは全く関係無かったんだな、と言うことがよく分かりました(笑)
映画と小説の共通項って「過去に戻った主人公が幼少時憧れていた人の命を救おうとする」1点だけなのね(^^;
過去に戻る原理も映画は「説明無しの不可思議な力」ですが原作は「過去に物質を射出する機械」となっています。
この機械で過去に戻るのですが、そこで発生するリスクが実にハードで作品のキモですね。
1作目の展開などかなり壮絶で、書かれ方は淡泊ですが「サラマンダーせん滅」(字が出ない)並の衝撃と言っていいかも知れません。
4作目などは身構えていたら別方向にすかされた気にもなりましたが、いい話です。
で、映画を見て気になっていたタイムパラドックスについては、原作は(当然)きっちり詰められていて安心しました。
映画を見ていて「カジシン原作にしてはタイムパラドックスを完全無視とは、ホントにカジシンなのか?」と疑ってたんですが、ここまで別物なら納得です(笑)
■後日(2005/11/24)追記
映画「この胸いっぱいの愛を」のノベライズ版小説(小学館文庫)を読みました。
元々は小説「クロノス・ジョウンターの伝説」を原作として映画が作られたのですが、映画は原作を大幅に脚色(というか全く別物)としてつくられた物になっていて、
で、今回の本は「映画のストーリー」を原作者である梶尾氏がノベライズ小説にしたもの、と言うことのようです。
ややこしいなあ(笑)
ちなみに自分の見た順序は、映画→小説(クロノス)→小説(ノベライズ)となります。
で、私は「映画」はきっちり感動して楽しみつつも、タイムパラドックス等の処理や説明の放りだし方やら細かい部分がかなり気になって不満に感じたりしてたのですが(困った性分だと思います^^;)、
今回の小説では気になっていたあたりがちゃんと納得の行く形で読むことが出来て、とてもすっきりしました(笑)
ラストも切なさと読後の幸福感を感じさせてくれて良かったです。
個人的には映画でもあった花の鉢植えの話がとても好きなのですが、映画では無かったセリフがいいなあ・・
■掌の中の小鳥(加納朋子著:創元推理文庫)(2001/11/19)
クールに見られる男とストレートに生きる女の出会いからはじまり、
日常のちょっとした不思議を描いたミステリーです。
死んだり殺されたりと物騒な話はありません。
そういう意味では北村薫の“円紫さんと私”シリーズに近いものがあります。
(印象は必ずしも重ならないけど)
何でもなさそうな文章が大事な複線になっている構成はなかなか旨いですが、
作為的な部分が見えすぎる気もします。
よく出来た話ですが、「出来すぎ」かなあ。
すんなり読めて面白い作品ではあります。
後、この作品はかなり“おしゃれ”というか何というか、
ぶっちゃけて言ってしまえば気取った所が目立つ作品ですので、
苦手な人はダメかも知れません。
ところで、これからこの本を読む人は決して巻末の解説(らしきもの)を先に読んではいけません。
話のあらすじから、人物の心理状態、ミステリーの種明かしまでバラしまくってくれます。
どういう意図でこんな文章を付けたのか、編集者の意図がこの本最大のミステリーかも知れません。
御注意下さい。
■ななつのこ(加納朋子著:創元推理文庫)(2001/11/27)
冒頭の一文より引用、
『拝啓 佐伯綾乃様
いったい、いつから疑問に思うことをやめてしまったのでしょうか?
いつから、与えられたものに納得し、状況に納得し、色々のことすべてに
納得してしまうようになってしまったのでしょうか?
いつだって、どこでだって、謎はすぐ近くにあったのです。
何もスフィンクスの深遠な謎などではなくても、
例えばどうしてリンゴは落ちるのか、どうしてカラスは鳴くのか、
そんなささやかで、だけど本当は大切な謎はいくらでも日常にあふれていて、
そして誰かが答えてくれるのを待っていたのです……』
…これまで本文そのものの引用は出来るだけ避けてきたのですが、
冒頭中の冒頭の文であることと、
作品の空気を伝えるにはこの文が最適かと考え引用しました。御容赦下さい。
私はこの文で一気に作品に引き込まれてしまったのでした。
主人公の短大生、入江駒子は一冊の童話集『ななつのこ』に感銘を受けて、
作家、佐伯綾乃にファンレターを出します。
近頃彼女の近辺を騒がせたちょっとした事件<スイカジュース事件>の話を交えて手紙を綴ったところ、
思いがけず作家から返事が来ます。
その返事には作家の想像によって導かれたスイカジュース事件の回答が書かれていたのでした。
主人公と作家の手紙のやり取りを通して、日常の深淵をのぞき込んだ短編連作です。
それぞれの短編は作家の童話集『ななつのこ』で書かれた話に呼応した形で書かれていて、
作品の中で劇中劇を追うような構成になっています。
先日の『掌の中の小鳥』の感想でも言いましたが、
北村薫氏の「円紫さんと私」シリーズに通じるテイストがあります。
『掌の中の小鳥』の感想でも書いたように、
この作品でも、ちょっと出来過ぎに感じるところが無いでも無いですが、
言うのは無粋でしょう。
推理ミステリーに一応分類されている作品ですが、それだけでは終わらない、
読んでいて目から鱗が落ちるような、爽やかな新鮮さを感じる作品です。
素直に、面白かったです。
割と淡々と進みますが、後半にとても盛り上がります。
■魔法飛行(加納朋子著:創元推理文庫)(2001/11/29)
このところ加納朋子づいてるのは文庫を3冊まとめて買ってしまったからです。
中身は全く知らずに、著者の作品自体読んだことがありませんでしたが、
表紙の絵だけで衝動買いでした。
つまには「あんたの好きそうな絵だと思った」と笑われました。くぅ
実はもう一冊ハードカバーも控えてます。
衝動買いでしたが、賭には勝ったと言えましょう。なかなか好みの作品でした。
「掌の中の小鳥」「ななつのこ」「魔法飛行」と、何の気なしにこの順番で読みましたが、
「魔法飛行」を後にして正解でした。駒子さんにまた会えるとは思っていなかったですわ。
シリーズで後に続いていないのか気になるところです。
「知らない」ことは、その人にとっては「何も起きていない」も同然でしょう。
それでも世の中は色々な要因が絡んで、色々なことが起こっているわけです。
知ってしまう事は、見知らぬ人や事象との繋がりの始まりであり、関わってしまうことなのでしょう。
知ってしまった事に、自分が影響を与えうる事をも知ってしまったら、
無関係を決め込んでいて正解でしょうか?
読んでいて【どきっ】としました。
まったくもって蛇足ですが、
この作品が最初に書かれてからまだ10年経っていないようです。
でも作中では「英文タイプ」が使われていたりします。
コンピューターの一般化って、ホントにここ数年の話なんですねえ、
と、しみじみ思ってしまったい。
★★★ちとネタばれ★★★
気が付くと彼は幽霊だった。
交通事故にあったのだ。
妻と生まれたばかりの子供を残して。
妻には幽霊の彼の姿は見えなかったが
彼を見ることが出来る人もいた。
そういう人にだけ、彼は身体を借りることが出来た。
(ただし一人の人に一度だけ)
成仏するまでは猶予期間があるようだった。
それまでの間、彼は、お人好しで頼りない妻“さや”と息子の生活を見守ることにした。
さやに事件が起きたとき、他人の姿を借りて助けられるように。
さやの日常と事件を描いた短編連作集です。
切なく優しい話です、じわっときます。
同時に人の“罪”についても考えてしまう本でした。
悪意のあるなしに関わらず、人は大なり小なりの罪を犯すのでしょう。
それを許せるのは優しさなのか、ただの弱さか、
さやの優しさ、というよりはどうしようもないお人好しさに
読んでいてはらはらするやら、いらつくやら、ほっとするやらでした。
ラストはやっぱり目がじんわりです。
■ガラスの麒麟(加納朋子著:講談社)(2002/01/16)
『ななつのこ』や『魔法飛行』で感じた筆の冴えが更に洗練されたと思えた作品です。
かなりお気に入りの一冊です。
ですが、ささいな部分が大事な伏線になっている構成の妙の巧みな作品で、ネタばれを極力避けたい為、
そのあらすじをここで紹介してしまうことはしません。
一人の少女の死からはじまる小さな謎の短編連作です。
一応ミステリーに分類されるかも知れませんが、謎を追うだけの話とは違う
(というより、謎自体はごくささやかです)、
人々の心を微妙に、細やかに描いた良作です。
やり切れなさと優しさ、哀しみと希望が入り交じった空気のある話で、読後感は爽やかでした。
謎を解く名探偵役にあたる人物がいますが、その人自身は超然とした神のごとき名探偵とは違う、
ごく弱い人間で、深みを感じて印象的です。
話は変わりますが、
先に挙げた『ななつのこ』『魔法飛行』ではまた別の「名探偵役」にあたるキャラクターがいました。
(この2作品については2001年11月27日と29日のたれ感日記で書いています。)
こちらの場合は推理力といい、かなり「神のごとき名探偵」で、その人物自身の描写が少ない事もあって
結構ミステリアスな人物だったのですが、
その人物を掘り下げるであろう、気になる要素こそ書かれていたものの、
話の続編は書かれていないようです。(少なくともまとまった書籍・文庫の形では、私が調べた範囲では。)
続き、出して欲しいんですけどねえ。
■月曜日の水玉模様(加納朋子著:集英社文庫)(2002/01/28)
筆者得意の“日常の中での不思議”を描いた作品、
本作の舞台は“会社”及び、身近な社会。
薄暗い奥行を内包しつつも、さっぱりした印象も残ったり。
「世の中って奴はよー」てな気分にもなったりします。
■いちばん初めにあった海(加納朋子著:角川書店)(2002/02/07)
うーむ、困った。
感想が書きにくいっす。
何を書いてもネタばれになりそうで、かつネタばれ御法度な内容なのです。
2篇からなる、深い、ミステリー(?)です。
前半あたりは、なんというか、正直うっとおしい内容なのですが、
最後まで読むと爽やかさが残り、もう一度最初から読み返したくなるような本です。
冒頭だけ解説…
★★★
アパートで周囲の騒音に悩まされた堀井千波は引っ越しを決意する。
引っ越しの準備を始めたところ、見覚えのない本が部屋に置かれていた事に気付く。
『いちばん初めにあった海』
本には未開封の手紙がはさまれていた。
差出人<YUKI>に心当たりは無く、
「私も人を殺したことがあるから」という、謎めいた文章の意味も分からない。
千波に何がおきているのだろうか…
★★★
…結局の所、作者に踊らされる楽しさを堪能しました。
ただ、好みが別れそうな作品ではあります。
(少なくとも明るい話ではありません。いい話ですが)
■沙羅は和子の名を呼ぶ(加納朋子著:集英社文庫)(2002/11/14)
共通したテーマで書かれた短篇集です。全部で10篇の短篇からなっています。
その「テーマ」がなに、かとは明確に言い難いのですが、巻末解説の言葉を借りれば
『「誰か』と出会うことで新しい世界が開かれる物語』といったところでしょうか。
少し不思議な超常的な話から現実的な仕掛けのある話、と、話の性格付けは色々です。
正直に言って、少し食い足りない印象が残りました。
もう少し書いた方が面白くなりそうなのに消化不足なような、
イマイチ納得しきれない話が多いような・・・。
「ななつのこ」「魔法飛行」が好きだったのでちょっと残念でした。
それぞれの短編についてひとことだけ書いてみます。
『黒いベールの貴婦人』・・・主人公と少女の接点はどこにあったのでしょう? 私が読み漏らしたのかなあ。
『フリージング・サマー』・・・一見きれいに終わってるようで、釈然としないものが残ります。こっちの方がよほど残酷に思えてしまう。
『花盗人』・・・こういう人に、ちゃっかりした憎めなさよりも嫌悪感を感じてしまうのは私の側の問題でしょうか。
『商店街の夜』・・・これはちょっと好きです。今度から街のシャッターとかが気になってしまいそう。
『オレンジの半分』・・・「掌のなかの小鳥」の番外編だと、解説を見るまで気づきませんでした(^^;)
この話も少々釈然としないものが残ったり・・・
「まさか本人ですとも言えないじゃない」のセリフに
「言えよ!」と素でつっこみそうになりました。そりゃ言い難いだろうけどさあ(^◇^;)
「沙羅は和子の名を呼ぶ」・・・表題作。
二人の少女の話、かと思ったら主人公は別なのですな。
読み始めでは和子に感情移入して読んでしまうこともあって
後半の、こういうことが起こった「原因」が示されたとき、
非常に唐突に感じてしまいました。
■コンタクト(カール・セーガン著:新調文庫)(1999/09/10)
数年前映画化された、宇宙人とのファーストコンタクト物の原作です。
ラストがかなり映画とは違うと聞いてはいましたが
たしかに、かなり本質的に違いますねえ
内容で最も違うのはマシーンに乗り込むのが主人公だけでなく
5人乗り込む事でした。
やっぱり宗教がかなり絡んだ話ですねえ、実際同じ事が起きたらこんな風になるんだろうか
■魔法遣いに大切なこと1(枯野瑛著・富士見ミステリー文庫)(2003/03/31)
メディアファクトリーから出ている小説『魔法遣いに大切なこと プライマル』(山田典枝著)とは別物です。
こちらは原作者の山田氏は監修として、違う作家さんが書かれていて、
コミック版やアニメともまた少し微妙に違った外伝のようですが(といってもアニメは関西の地上波ではやっていないので、
私が見られたのは最初の数話だけですが)、
東京で魔法遣いの研修中のユメが受けたある依頼のエピソードです。
「1」となっていますが、エピソード自体はこの本で完結しています。
いい話です。最後の辺りはなかなか来るものがありました。
1冊のまとまった話として依頼人のエピソードを描きながら、主人公のユメの成長も同時に見せてくれて、
また、登場人物達の生きた性格がにじんで見えるセリフまわしや、後からなるほどと気付く伏線など、
押えるところを押えてくれていて、読んでいてなかなか嬉しくなります。
続きも出るのであれば楽しみです。
話は変わりますが、上述した「〜プライマル」に出るユメの姉二人をkojitaさんの絵で見てみたいものです。(アニメでは出てるんでしょか?)
■夏のロケット(川端裕人著:文藝春秋)(2002/04/26)
“いつかは火星まで行けるロケットを造ろう。”
そう夢見てモデルロケットを造り、実験を繰り返し高校生活を過ごした“ロケット班”の同士達、
それぞれ社会人になり、大人になった彼らは再び集まり、手作りロケットの打ち上げを計画する・・・。
素人が自分達の手でロケットを打ち上げる話です。
以前感想を書いた漫画『なつのロケット』(あさりよしとお著)はこの小説『夏のロケット』に触発されて描かれたものだそうです。
(ちなみに漫画は小学生がロケットを打ち上げる話、なお小説と漫画はまったく別物です)
漫画『なつのロケット』を読んで以来、小説『夏のロケット』を読みたいとずっと思っていましたが、
なかなか本屋で見つからなかったのです。とうとう注文してしまいました。
実に!面白かったです。(そもそもこーゆージャンル自体が大好きなんですけどね)
熱い話にしてリアリティを感じてしまい、ドキドキしました。
小説はロケット開発の歴史にどうしても関わってくる影の部分、兵器としての側面も語られています。
(ロケットとミサイルは弾頭部以外は“同じ”ものなのです)
ロケットとミサイルの境界はあまりにも簡単にこえる事が出来るものであり、
だからこそロケット開発者は決してその境界を越えてはいけないのだと、この本は訴えかけてきます。
私が生きている間に火星への人類の到達は、果たしてあるのだろうか・・・?
戦闘妖精雪風の続編。1年位前に買ってたが、やっと読んだ。
面白かったっす。でも生きてるとは思わなかったよ。>零
■宇宙探査機 迷惑一番(神林長平著:早川書房)(2002/09/10)
かなり昔に書かれた作品らしく、ここ10年ほど絶版になっていたものの再文庫化。
初めて読みました。
筆者の作品は乱暴に分類すればシリアス系とギャグ系に分かれますが、こちらはギャグ系。
登場人物達の状況は実は相当シリアスですが、えらく不条理で面白いです。
深いテーマがあるんだかないんだか(笑)
パラレルワールドを横断する多元平行宇宙横断探査機マーキュリーと、
その言語出力機である“迷走する人工惑星一番機”こと“迷惑一番”と、
マーキュリーの実験に巻き込まれた宇宙軍“雷獣小隊”の能天気な面々の話。
よー説明しません。やはり神林氏の壊れた作品は楽しいっす。
■ラーゼフォン時間調律師(神林長平著:徳間書店)(2002/11/07)
この間までやっていた出渕裕監督のアニメのノベライゼーション・・・と言っても
なにしろ神林氏なのでただのノベライズに終わるはずもなく、
きっちり、氏独特のSF感溢れた作品になっています。
アニメとは展開も主人公も違い、他の登場人物もアニメ版のキャラクターを思わせる人物がまったく違った役回りで登場していますが、
読み終わると不思議にアニメ版にも通じる部分を感じるという作品で見事と言えます。さすがです。
(話は違いますが、アニメ版は最終回前の2回分を見逃したので、最終回がいまいち理解出来ませんでした。うぅ)
★
死ぬたびに16歳の春に戻ってしまい、微妙に異なる人生を何百回も繰り返すリプレイ状態に陥っている主人公、村瀬明。
どんな死に方をしようとそのたびに16歳のふりだしに戻ってしまう彼は、すでに1〜2万年の時間を生きていた。
何故そうなるのかも彼には分からない。
彼が分かっているのは、この16歳の春の朝の直後に、異時空からの侵略者MUの襲撃を受けて街が壊滅するということだけ、
彼は人生のループからの離脱を切望していた・・・。
★
一人の人物を表す名前がいくつも出てくるので、適当な読み方をしていると誰が誰か分からなくなりそうですが、
エジプトの神話をベースに展開して結構面白いです。
しかしまさかアニメ版のようにラーゼフォンやドーレムが出るとは思ってなかったです。
話の本質とはまるっきり関係ありませんが、
作中で世界の文明レベルが一気に20年分ほど退行するという描写があります。
携帯電話は消え去り、ネットワーク対応のパソコンも一気に旧式のネット機能のないパソコン(マイコン?)にもどってしまう。
考えてみると、20年でも、生活に見える部分だけで考えても、技術は随分進化するのだなと、今更ながら感じてしまいました。
今から20年前だったら、携帯電話もパソコンが一般に普及していなかった、どころか
今日それらがこれほど日常に浸透するとは考えもしませんでした。
(全然小説の感想じゃないなあ)
昔、友人からハードカバー版を借りて読んで、
文庫化したら買ってもう一度読もうと思っていました。
いつかまた読みたいと思える本に出会えるのは幸せです。
というわけで、文庫を見つけたので読んでる途中です。
人死にの(基本的に)出ない推理シリーズ「円紫師匠と私」の4作目です。
話としては、芥川龍之介の短編「六の宮の姫君」が書かれた意図を
卒業を控えた大学生の「わたし」が推理するだけの話なのですが、
読ませ方が上手くて実にわくわくします。
前に読んだとき、芥川の書いた「六の宮の姫君」他、小説中で扱われている
作品を読もうと思ってそのまま読んでなかったので
この機会に捜してみようかなあ。
◆(1999/07/21)
読み終わりました。
再読だけど、やっぱり面白いっす。
作中での人物のたわいない会話で、次のような話がありました。
「1回泥酔するとかなり脳細胞が壊れるそうですよ」
との会話から、何回泥酔すると脳細胞が無くなるかを計算するというくだりがあります。
結果作中の人物は「何だ、俺の脳細胞、もう無いぞっ」と言うことに
なるのですが・・・
ちなみに、小説の中で「1回の泥酔で壊れる脳細胞の数」は
記されていません。(こういう話がホントにあるなら、誰か分かりませんか?)
さて、人の脳細胞は生まれて以後は減る一方だそうです。
ですが、私、子供の頃に、母から「笑うと脳細胞が増えるんだよ」と聞かされておりました。
・・・恥ずかしながら、結構後までこの話、信じていましたよ、ううぅ・・・
人と時間の三部作完結編。前作「スキップ」「ターン」と比べてしまうと、
どーも話が出来過ぎというか、御都合主義が目立つ。
本の帯カバーの文句でオチが予想できるのは不味いんじゃなかろーか。
今は誰も管理しなくなった古いレジャー施設や病院、ホテル、廃校、炭坑後などなど、
日本各地に点在する『廃墟』を写真と文で紹介し、探索における危機管理やテクニックなどを綴った本です。
時代とともに廃れ、自然と一体に朽ち果てていく廃墟というものは
実に不思議な美しさをもっているもので、
懐かしさともの悲しさを持ちつつも奇妙に心惹かれるものであります。
室内まで苔むしたボーリング場や森林の中のホテルなど
絵的にも非常にくすぐられたりするのです。
写真が豊富で資料的価値の高い本ですが、しかしカラーが少ないのは残念でなりません。
特にこういう写真はカラーと白黒の表現力の差は歴然としてしまいます。
ホント残念です。(まあ、白黒なりのよさも否定しませんが)
自分でも見たい気持ちになりますが
しかし、この本の中でもさんざん繰り返して述べられていますが
廃墟探索は「建造物侵入」「住居不法侵入」「器物破損」その他諸々の罪に問われる可能性がある違法行為なのです。
軽い気持ちで行ってはいかんでしょうな。
(と言いつつ、摩耶観光ホテルって大学の授業で見学に行ったなあ・・・)
ところで本の中で、廃墟に残っていた「人の写真」とかも載っていたりするのですが
これはちょっと気分良くない気もします。
http://www2.ttcn.ne.jp/~hexplorer/
■ 宇宙へのパスポート(笹本裕一著:朝日ソノラマ)(2002/06/14)
副題「ロケット打ち上げ取材日記1999―2001」
小説ではなく取材記録の日記です。
1999年9月のH―2ロケット8号機(種子島宇宙センター)、
2000年10月のスペースシャトル(STS92)(ケネディ宇宙センター)
2001年7月のアリアンVロケット(ギアナ宇宙センター)
2001年8月のH―2Aロケット初号機(種子島宇宙センター)
これらのロケット打ち上げ取材に行った笹本氏他、「宇宙作家クラブ」の面々が書いた
「ロケットを見に行くためにどんな旅行準備が必要か、行った先でどんな目に遭うか、どんな事態が待っているか、何が見られるか、何を見たか」
ということを記した日記のようなエッセイのようなルポルタージュのような本なのです。
宇宙開発の流れや実情、日本の取材陣の実態等が垣間見えて、実に面白かったです。
車などであれば数百回、数千回の実験でトライ&エラーを重ねて欠陥をつぶしていくものですが、
ロケットはとかく高額で回数を重ねるわけにもいかず、部品の多くが使い捨てとなるため部品を回収しての検証も容易には行えない。
(スペースシャトルでもわずか100回余りの飛行を行っただけで、想定外の事態は当然まだまだ起こりえる)という話は特に興味深かったです。
ロケット開発が難しい訳ですね。
天候や各種トラブル等、さまざまな要素に影響されるロケット打ち上げは、ほぼ当然のこととして
予定通りのスケジュールでは進まないようで、
それを見に行くというのもなかなかに大変そうだ、ということがこの本を読んでいるとひしひしと伝わりますが、
出来ることなら一度はこの目で見てみたいものですねえ。
人は嘘をつく。
様々な理由で嘘をつく。
相手を偽るためだったり、騙すためだったり、
相手を守ったり、傷つけないためだったり、
かっこをつけたい為だったり、
相手が大事ゆえにつかねばならない嘘だったり、
相手が大事ゆえについてしまう嘘だったり、
前者のような嘘はともかく、
後者のような嘘は、
その嘘から洩れる本当の気持ちを感じられたとき
非常に愛おしいものを感じる。
この話は身内が死んでしまう話だ。
残された時間のない妹と兄の話だ。
みんながそれぞれに嘘を持っている。
小さかったり大きかったり
それは悲しく格好悪く、愛おしい。
文章の未熟さも感じますが、
いい本でした。
■キノの旅I〜VI(時雨沢恵一著:電撃文庫)(2003/03/15)
これまでも気にはなっていたのですが、このたび初めて読みました。
一話一話が短編で読みやすい事もあって、6冊分一気に読んでしまいました。
一度読み始めると途中で止められませんでした、面白かったです。
少しブラックな風味もきいた童話(寓話と言う方がふさわしい?)のような話です。
言葉を話すバイク(モトラド)の“エルメス”を相棒にして、各地の旅する若者“キノ”の旅の話です。
「ひとつの国に3日間だけ滞在する」ことを己のルールとして、キノは様々な文化を、様々な考え方を、様々な事情を持つ国々を廻ります。
ひとつの考え方を極端に押し進めたような特徴を持つそれぞれの国で
キノは様々な人々や出来事に出会うのでした。
物事をつきはなしたドライさと厳しさを持ちつつ、不思議な美しさと深さを持つ話です。
満喫しました。
時列が行ったりきたりする構成や独特の文体が魅力的です。
読んでいるうちにミスリードに気付かされたりするとなかなかニヤリとしてしまいます。
春からアニメになるとも聞きますが、この話の魅力は小説の形式ならではの分も多いのでそちらは少々不安な気もしますねえ。
本文とのリンクが絶妙な黒星紅白氏の挿し絵も実にいいです。
(とゆーか元々は挿し絵で惹かれたんですけどね)
モノクロ絵の黒のバランスが素晴らしい〜(^^
追記:ところで、巻を追う毎にはっちゃけていく“あとがき”が最高です。
■アリソンI・II(時雨沢恵一:電撃文庫)(2003/03/28)
“キノの旅”作者の「キノ」とは別の世界を舞台にした長編物です。
巨大な大陸がひとつだけある世界で、
大陸の東西それぞれの連邦国に別れて争いを繰り返してきた世界を舞台にした
頭のいい学生である少年“ヴィル”と飛行士である暴走列車少女“アリソン”の冒険小説です。
時代は地球で言えば1920〜30年頃の、飛行機が実用され始めた時代です。
筆者の代表作“キノ旅”は極めて露骨にシュールでブラックな風味の作品ですが、
このアリソンでは“毒”はかなり薄まっています。
(それでも作者ならではの「容赦のなさ」はありますし。やはりこの世界観もシュールでおとぎ話的には違いありません)
そういう意味では少し独自性は薄い感じもしますが、まっとうに冒険小説としてなかなか楽しめますので満足です。
基本設定からして今の世界情勢にリンクするものも感じたりします。
現実の問題は簡単には解決し難いものでもありますが、対立の根底は得てして馬鹿らしいコトのように思えてしまいます。
外の目による見方にすぎないのかも知れませんが。
主役コンビが微笑ましくていいですわー。
2巻の寝るアリソンが笑えてしまいます(^^
挿し絵は“キノ旅”同様に黒星紅白氏が描かれていますが、キノとはまた違ったテイストでよいっす。
■指輪物語 第1部 旅の仲間(J・R・R・トールキン著:評論社)(2002/03/16)
文庫版で4分冊になっている“旅の仲間”の2冊分まで読みました。
映画“ロード・オブ・ザ・リング”を先日見ましたが、恥ずかしながら原作は未読だったのです。
なにしろまだ話の途中ですので、大した感想も書きようが無いのですが、
うーむ、面白い、密度が濃いですわ〜〜
ただ、作品というか、2冊目の巻末の訳者あとがきなのですが・・・・・・
「まだ2冊目のあとがきに第3部(9冊目)の結末の内容を
匂わす様なことを書かんで下さい!!。・°°・(´Д`)・°°・。」
・・・・・・その時点であとがきを読むのは止めましたが、
たまらんことをしてくれる・・・・・・、ふぅ
◆(2002/04/04)
映画になった第1部分読了〜、面白かったです。
映画を先に見ているのでどうしても比べた話し方になってしまいますが、
何が削られて何が変えられたか分かりました。
それで思ったのは、映画には監督のメッセージが結構強く出ていたのだなということでした。
★★★以下おもいっきりネタバレ★★★
どこでそう思ったかというと第1部としての終わり方なのです。
原作は発表時には第1部、第2部という区切りはなかったとの話をどこかで聞いた気もしますが、
私が読んだ本では明確に第1部から第3部までの構成が本文中で書かれているのでそれに基づきます。
原作ではフロド(とサム)の仲間との離散のところで第1部が終わっているのに対し、
映画ではボロミアの死と、残ったアラゴルン達3人が連れ去られた仲間
メリーとピピンを助けに向かうことを決めるところで締めています。
仲間をこれ以上危険に巻き込みたくかったフロド、
フロドの心を察したアラゴルン、
一時は悪の道に堕落しかけながら仲間を守り、尊厳を守ったボロミア、
そして正直作中ではお荷物的存在に見えたメリーとピピンを、大切な仲間と認め
助けようと決意するアラゴルン達。
ここまで見せることで、自分とは必ずしも相容れない他者を認める友情や連帯を、
すなわち“旅の仲間”の話を描くことを、より強調したのだろうと思ったのでした。
作中(原作・映画とも)のやっかいな悪党ゴクリに対してのガンダルフのセリフ
「どんなものにも生きている意味がある、むやみに命を奪ってはいけない」というセリフが印象深いのです。
なんか小説と映画のどっちの感想か分からなくなりましたが、映画は短い時間で上手く、
かつ監督の味も入れてよく出来ていたように思ったのです。
これから第2部以降に入ります。この先は未知の領域なので楽しみです。
■ハリー・ポッターと賢者の石((J.K.ローリング著:静山社)(2001/11/22)
今さらながらですが読みました。(映画を見る前に読んどきたかったんですよね)
素直に面白かったです〜、世界中で人気というのも頷けますわ。
ほんとに今更ですので、とくに言うこともないのですが、わくわくどきどき出来る話の見本のようです。
現実社会側の世界はあくまで現代なところが効いてますね。
ダンブルドアのお茶目っぷりが結構好きです。
映画が楽しみですわ。
■ハリー・ポッターと秘密の部屋(J.K.ローリング著:静山社)(2002/01/06)
ハリー・ポッターの2冊目です。
面白かったです。
こちらも映画になるようですが、猫ハーマイオニーが楽しみです。
■ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(J.K.ローリング著:静山社)(2002/01/18)
ハリー・ポッター3冊目、
やっと読んだ。
おもしろい〜〜!
4冊目が待ち遠しい〜〜!!
拷問〜〜!!!(いや、まったく…、完結まで後4年もかかっちゃうんですね。
待ち遠しいような、あと4冊で終わりなのが残念やら、
4冊目、学生の頃にこの本に会っていれば原書に手を出したかもしれません。
今の私の語学力ではとてもあきませんが^^;)
巻を追う毎に話が深まって面白くなりますな。
これまでで一番好きかも知れません。
ダンブルドアも含めて、完璧な人間がいないところが好きです。
それにしても、まさか★★★★★★が実はああだとは…、驚いた驚いた。
次巻以降、◆◆◆◆と●●●●にまた出てきて欲しいですわ。
■ハリーポッターと炎のゴブレット(J・K・ローリング著:静山社)(2002/10/29)
ハリポタ4作目。全7巻の折返し地点で、内容も分岐点と思える話でした。
やはり読み出すとやめられません。
読み終わるとすぐにでも残り3冊が読みたくなりますが、後3年はかかるのですね。うぅ
以下ネタバレ気味。ご注意ください。(ネタばれワードは反転しています)
この作品ではその人が本当はいい人なのか違うのか? 敵なのか味方なのかが最後まで分からない、
という手法が、これまでにもよく使われてきましたが、
今回はショックでした。マッドアイ・ムーディー、いい人だと思ったのに・・・
何をもって人を信頼すればいいのやら、トラウマになりそうな体験です。
敵の厭らしさを際立たせるのには効果的と思いますが、読者としてもめげてしまいます。
そんな中、ルード・バグマンの正体には笑ってしまいました。今回の癒しキャラです。(違)
最後、“真実”を知って分かれた人々の態度。
現実を受け入れることが出来ないコーネリウス・ファッジや、
事態をむしろ好ましく思うマルコ達・・・、
非常時に人の本性が見えると言いますが、なかなか現実的で重い展開です。
現実に置き換えても、目をつぶる人々は多くいるでしょうし、
マルコのような人間も確かにいます。
(マルコって既に完全に悪役ですな。)
そうした人達に対しても見捨ててはいないと思われるダンブルドアの姿勢は尊敬に値しますが、
こういう人は・・・なかなかいないんですよねえ。(^^;)
個人的にはこうした状況でスネイプがどう動くかが注目です。
ファッジのような男が責任ある役職にあること、様々な差別のこと、この世界も結構問題を抱えているようです。
魔法使いだマグルだと分けても精神面では人間と変わらない・・・、むしろ強力な力を行使できる分、
人によってはマグルよりも抑制が利かずやっかいに見えます。
まったくもって現実の縮図ですねえ。
これから物語は佳境に入っていきそうで、どう着地するか楽しみです。
シリウスの今後や、・・・彼等の恋の行方とかが気になるなあ(^^
願わくば、善良なるセドリックに続く者が出ないことを・・・。
■幻の動物とその生息地(ニュート・スキャマンダー著・・・ということになってます:静山社)(2002/01/21)
ハリー・ポッター副読本、いわゆるしょーもない「人気作品の研究本」や「謎本」ではない。
原作者自ら書いた、ホグワーツ学園で使われている教科書の写しという内容の本で
ハリポタを3冊読んだ後だと結構ニヤリとさせられて面白い。
同シリーズの「クィディッチ今昔」はこれから読むけど楽しみ。
うちでリンクを貼らせていただいている「元祖おやじっ娘」の“おやじさん”、こと“尾谷おさむさん”がイラストを描いておられます。
おやじさんのサイト → 空想カーニバル
そんなわけで、読んだきっかけはおやじさんの絵が目当てだったのですが、小説としてとても面白かったです。
著者高野氏の第9回電撃ゲーム小説大賞の金賞受賞作かつデビュー作です。
★
ある大陸の片隅で、幾つかの主要都市が先王の隠し子と呼ばれる姫君を擁立し、国家統一を目指して割拠した。
孤児だったある9歳の少女も、都市・七宮カセンの“姫”として選ばれた一人だった。
武人のテン・フオウと軍師トエル・タウに担ぎ出された孤児の少女は“カラスミ”と名付けられ、“姫”としての役割を果たすことになる。
『三人で天下を取りにいこう』
武人のテンも軍師トエルも、大嘘つきで素性の知れない男達だったが、カラスミは幸せだった。
そして3年の月日が流れた・・・
★
“姫”の役目を担うことになった少女の視点で描かれた情景が瑞々しく、読んでいて新鮮な気持ちを感じる物語でした。
大きく動く事態に流されながらも少女が自己を確立していく様子にとても惹きつけられます。
和のテイストの、適度なのどかさと厳しさを含んだ世界観も心地よい、いい物語でした。
ストーリーとしてはまだ話の途中とも言えますし、この先が見たいと思いますが、
一つの物語としてはこれで完成しているようにも思えます。
この話の続きが書かれるのかどうかは分かりませんが、筆者の今後には注目したいと思います。
■アウトニア王国再興録1 でたまか 英雄待望篇(鷹見一幸著:角川スニーカー文庫)(2002/05/31)
とんでもないところで全3巻として完結してしまった「アウトニア王国奮戦記」の7ヶ月ぶりの続編、新シリーズです。
ちゃんと続きが出版されて本当によかったです。\(o ̄∇ ̄o)/
今回がどういう話かと書くと、前巻の大幅なネタバレになってしまうので
前シリーズの基本設定を紹介しますと、
銀河のあちこちに人類が進出している時代、
実力はあれど身分の後ろ盾の無かった貧乏貴族の青年“マイド”が
実力ゆえに同期の有力貴族のバカ息子の恨みを買い、
帝国軍士官学校を卒業後、宇宙の辺境国家“アウトニア”に連絡将校として飛ばされるところから話は始まりました。
アウトニア宙域には帝国とその敵対国家“ローデス”を結ぶ(極めて細い、戦艦1隻通るのがやっとの)回廊があり、
回廊を守りローデスの帝国への侵入を防ぐために、アウトニアの軍はローデス軍と小競り合いと続けていた・・・はずでしたが、
アウトニアは実はローデス側の辺境国家と連携して「ヤラセ」の出来レースの戦闘を続けており、
その方法で長い間国家の平和を保っていたのでした。
しかし、マイドが将校として赴任したその年の戦闘は様子が違っていました。
この年、指導者が変わっていたローデス側は本気の戦闘を仕掛けてきたのです。
実際、船も老朽艦ばかりでロクな軍備も無いアウトニア側は一方的に被害を受けるしかありませんでした。
事態に気付いたマイドが対応策の指揮を始めるまでは・・・
銀英伝のテイストのある銀河興亡物の話です。
当初割と軽いタッチで話が進みますが、第1部終盤はかなりハードで読み応えがあります。
作者の鷹見氏は大昔に『月刊OUT』で数々のパロディ・ギャグ企画で活躍されていた榎野彦氏ですが、
この小説は元々はOUT復活委員会(仮)のホームページの中でWEB小説として連載されていたものです。
とゆーか、今もまだWEB連載中なのです。↓
OUT復活委員会(仮)HP
http://www02.so-net.ne.jp/~kuniy/OUT/
ところで、“タツヨミ殿下”の登場、嬉しく思います。ありがとうございました>鷹見様。
・・・って、いきなり死んでるじゃないですか(爆笑)
■アウトニア王国再興録2 でたまか 天地鳴動篇(鷹見一幸著:角川スニーカー文庫)(2002/09/10)
鷹見氏こと榎野彦さんの小説。シリーズ5冊目。
いよいよ戦国時代に突入しそうで今後が楽しみです。
アリクレストがだんだん有能っぽくなってきてるように見えるのはいい感じな気がします。
(相対的にそう見えてるのかもしれないけど)
やはり敵は手強くなってくれねば
■バトル・ロワイヤル(高見広春著:太田出版)(1999/09/30)
いやはや凄い話です。
かなり分厚い本ですが(666頁)無理矢理1日で読んでしまいました。
内容の過激さから某小説新人賞選考委員全員から拒絶・落選させられながら
巡りめぐって別の出版社から発行されたというのも納得です。
感想を書こうにも、大筋の内容に触れないわけには行かないので
以下、ストーリーのネタバレです。
現在の日本でありながら、違った歴史を辿ったらしい管理社会の日本が舞台。
普通の中学生のクラス42人が国家のための戦闘シミュレーションとして
島に隔離されて死のゲームをさせられる話です。
つまり最後の1人になるまで学級内で、強制的に、殺しあいをさせられるわけです。
普通の中学生だったクラス42人の一人一人のことが結構細かく書き込まれて
恐ろしい臨場感にあふれてます。
何しろ読んだ2日後に42人のそれぞれのキャラクターがどんなキャラか
だいたい思い出せるところが凄い。
この本を貸してくれた友人が言ってた言葉
「すくらっぷブック(小山田いく)の世界で殺戮が起きてしまう感じ」
ってのが、なかなか適切な表現で、かなりたまらん話ではあります。
こんな世の中が来ないことを願います
■大唐風雲記1(田村登正氏著:電撃文庫:挿絵・洞木ミノル氏)(2002/02/26)
うちでリンクしている「芋屋」の洞木さんが挿絵デビューされています。
いや、めでたい。本屋や電車のポスターでも目立っているのが凄いです。
お話は中国の唐の時代、その少し前の時代の則天武后が活躍する話です。
2巻も出るようで先が楽しみであります。(小説の感想じゃないな、コレ^^;)
■アルスラーン戦記10巻(田中芳樹著)(1999/12/21)
いったい何年ぶりやら…
ザンデが死んでたってことまるっきり忘れてたぞ
耕平と来夢の「夏の魔術」シリーズの4作目にして完結篇。
古くからのシリーズを完結させずに放ったらかしにしたまま
次々と新シリーズを始めるので、最近では氏の作品を読まなくなっていたのですが、
久方振りにシリーズ完結ということで読んでみました。
・・・しかし、田中氏の本でまともにシリーズが完結したのってこれで何作目なんだろう(^^;)
私のいい加減な記憶では「銀英伝」と「マヴァール年代記」くらいだったような気もします。
銀英伝も外伝はまだ残ってるはず・・・だったんだけどなあ(最近の情報が無いのでよく分かりませんが)
で「春の魔術」ですが、
正直ちょっと満足感が足りない気もします。
これまでの話で大体語られてしまっているというか、
どーにも予定調和に見えてしまいます。
後、今回は耕平・来夢・北本さんのからみが少なくてその辺も物足りないのですな。
もうちょっと日常の描写が欲しいです。
今回の重要人物についても説明不足だなあ・・・。
後・・・悪口になっちゃうので以下は字を伏せますが、
本作ではそれほどでもないのですが、ある時期以降のこの人の作品には
『登場人物自身に「悪趣味」とか「新鮮みがない」と評されるような安っぽい悪役とか舞台とか事件』がよく登場する・・・というより、
安っぽい悪役や舞台や事件しか出なかったりするのですが、
・・・・・・それって、筆者に斬新なキャラクターや舞台や事件を考え出すことが出来なかったということなのではないかとか・・・
(ああ、言っちまった^^;)
ある時期以降のこの人の作品を読むたびに不満に感じていたのでした。
ううむ、昔の作品は素直に楽しめたんだけどなあ。(こっちが変わったのか?)
米作りを題材にした農業ミステリーです。
「なりゆきさん」のネタの参考にならないかと、お米に関する情報集めキャンペーンの中で教えていただいた本だったりします。
(先も考えずに米大会だなんて描くから・・・(^^;))
ショッキングな出だしに続き、
富山の田園に異常発生した、通常の対策も農薬も通じない新種の害虫トビイロウンカをめぐる騒動に、
農業試験場や食品メーカーの人物がそれぞれの立場から関わっていきます。
その一方で食品メーカーの社員・映美は友人の不可解な自殺を知るのでした。・・・
一見関わりのなさそうな様々な事象が次第に一本の話に絡んで集約していく様が、
なかなかに面白く読ませてもらいました。
最後が悲しいです。手段は間違っていると言っても、やりきれない切なさが残ります。
筆者の作品は他に「樹縛」を読んだ事がありましたが、あちらもこの作品同様に
様々な要素が集約していく組み立ての上手い作品だったなあと覚えています。
大変面白かったですが、なりゆきさんのネタになるかどうかは不明であります(笑
ティアで買った有名同人小説、同人と言えど、下手な商業作品より面白い。
人や物の死にやすい線が見えるようになった殺人鬼とお人好しの話。
序盤は少々文が読みにくい気もしますが、読んでいくにつれて気にならなくなりました。
序盤の読みにくさは、時列が行ったりきたりするのも要因でしょうが、逆にそれがミソとも言えます。
でも最初に書かれてるエピソードはちょっと記述が足りないようにも・・・。
クールな割にどんどん可愛くなる式がいいっす。
戦闘シーンがやたら痛そうです。
■アンダー・ラグ・ロッキング(名瀬樹著:電撃文庫)(2003/06/13 )
うちでリンクさせていただいているPafe
Cafe↓の“かずといずみさん”が挿絵を描かれています。
http://red.sakura.ne.jp/~izumi/
お初の挿絵文庫化ということで、おめでたや〜〜ヽ(´▽`)ノ
お話は、戦争に徴兵された少年と少女の話です。
柔らかいイラストに対して、お話はなかなかにハードです。
いや、イラストが可愛いがゆえに、尚更現実的なやるせなさや、日常に隣接した厳しさというものがより等身大で感じられて、
かなり切なさに「来る」ものがあります。
最後まで読んでからもう一度1話目を読むとまた・・・
つらつらと思った事ですが、
子供は人を傷つけながら自分も痛みを知って成長していくものですが、
状況から、極めて強力な「傷つける力」を小さい頃から持たされた子供は、悲しいなぁ・・・
■七回死んだ男(西澤保彦著:講談社文庫)(2002/11/29)
主人公キュータローは極めて特殊な“能力”・・・というよりは“体質”を持っていた。
ある1日が終わったと思ったらまたその1日が始まり、それが都合9回も繰り返される
時間の「反復落とし穴」に、月に数回ほどの頻度で(自分の意思とは関係なしに)はまりこんでしまうという体質だった。
その「1日」は基本的に「同じ日程」が繰り返されるが、それを自覚しているキュータローには「その日に起きるはずだったこと」を
自分の行動で変えることが出来るのだ。
9回繰り返されるそれの、最後の9周目が時間の「決定版」となって明日へと繋がっていくのである。
そんな体質故彼は、16歳にして精神年齢はその倍近い、やや年寄りめいた少年だった。
ある正月の日、親族一同が集まった祖父の家で、祖父が何者かに殺されてしまうという事件が起こる。
キュータローは自らの体質を利用してなんとか祖父の死を回避しようと奔走する。
しかしどうやっても、何周頑張っても、祖父は殺されてしまうのだった。
時間の「決定版」が決まる9周目までに彼は祖父を助けることが出来るのだろうか?・・・
★
SFな設定を生かしたミステリー、解説の言葉を借りればロジックパズラー。
張り巡らせた設定の中での戦いと言うとジョジョ的かも知れません(テイストは全然違いますが)
作者自ら「イロモノ」とか言ってますが、実に面白いです。
なかなかに納得力のある結末も見事と言えます。
設定の勝利のように感じる部分もありますが、しかしよくまあ、こんな設定でピタッとハマった話を作れるものです。
まさに言葉のパズルです。
ユーモアのある文体と合わせて楽しませてもらいました。
座布団投げで座り込んでるシーンがほのぼので好きですな。
kojitaさんこと、よしづきくみちさん(つちのこ準星群)が挿絵を描かれています。
表紙の青葉嬢のぽやぽやした様子や、
口絵の夕暮れの情景の迫力などさすがに素晴らしいであります。
主人公が憧れの彼女にラブレターを渡そう! と決めた朝に学校に行くと、
全校生徒が死んでいて、彼女の幽霊だけがその場に残っていた・・・
と、いう導入からスタートしますが、
やがて現在と過去が繋がって話の全貌が見えてくる構成が結構そそられます。
ハードさとぽやぽや感が絡み合って、素直に面白かったです。
ところでこの話の主役って、むしろ●●ですねえ。
もしも続きが書かれるなら、あちらの話が主軸になりそうですが、
今作の主人公たちもなかなか微笑ましくて良いです(^^
PS1:つちのこに刃物ってやけに似合う(笑)
PS2:「FBA」ってどういう意味なんでしょう?
検索してみたら、フレ■ツブロードアベニューとか、ファミリ■バスケットアソシエーションとか、福井ブラスアカデミ■とか・・・・・、
全然関係なさそう(^^;
PS3:↑のタイトルについては後日謎が解けました。そうか、あんな最初に出てたのか・・・(^^;
女子高生を宇宙飛行士にすることでロケットの機体重量を切り詰める
超ローコスト宇宙開発小説、ロケットガールシリーズの第3弾です。
一見軽そうなシチュエーションながらかなり考証が手堅くて読みごたえがあります。
笹本祐一の「星のパイロット」とか地道な宇宙開発物って、地味だけど好きだなあ。
ところで、イラスト描きのむっちりむうにい氏、メジャーになったなあ。
■タイムマシンの作り方(広瀬正著:集英社文庫)(2002/05/09)
昔読んだ漫画でこのタイトルの本の事が取り上げられていたので興味があったのでした。
(しかし調べてみると同タイトルのニック・ハーバート氏の本(講談社)であるらしいので、漫画で取り上げてたのはそちらの可能性も)
ただ、何の漫画で見たのか思い出せません。少女漫画だった気がするけど気になるなあ。
ストーリー物かと思ってたらタイムマシンがテーマのSFショートショート短編集でした。
中学の頃、星新一を読んでたのを思い出しました。
少々食い足りない印象ですが、水筒の話は良かったかなあ。
■リベラ・メ(ヒョン・チョンヨル/ヨ・ジナ脚本;角川書店)(2001/12/22)
放火犯と消防士の闘いを描いた映画の脚本を元に小説化されたものです。
映画がかなり説明不足で分かりにくかったため
(かといって忘れ去るには印象的すぎたため)読んでみました。
映画と完全に設定が同じかどうかは分かりませんが、
疑問に感じた点がかなりすっきりしました。
内容が内容なので、面白いと表現するのがなんだか不謹慎な気にもなるのですが、
見応えがありました。
ヒスの過去や目的、いくつかの事件の因果関係、主人公達の人間関係がよく分かります。
とゆーか、映画見てるだけでは、インスがミンソンの兄だったなんて分からなかったぞおい。
(セリフを一言付け加えるだけですむ話だろうに>映画)
てっきり主人公と三角関係だったのかと、映画を見ただけでは思ってました。
犯人が深いです。悲しい男だ・・・
■マイノリティ・リポート(フィリップ・K・ディック著:早川書房)(2002/12/19)
映画を見た後で原作を読みました。
短編集ですがとりあえず「マイノリティ・リポート」(少数報告)の感想。
予知能力者による犯罪防止の設定は映画と同様ですが、
こちらは古典的なSF作品だけあって、より、「予知による少数報告」が
そのまま話の鍵になっていました。
短編であることもあり、アイデアがストーリーに直結していて小気味よいです。
思い切りがある結末も流石でした。(その辺映画の決着はちと生温かった気もします)
■世界をだました男(フランク・アバネイル著:新潮文庫)(2003/04/03)
先日見た映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の原作で、
本物の元小切手詐欺師のアバネイル氏が書いた回想録です。
文庫としては割と分厚めの本で、現役時代の詐欺の記録が細かく書かれています。
読み始めてすぐに気付くのは、映画はかなり大胆に脚色していたのだなあ、と言うことで、
出来事の前後関係や人間関係も映画とは結構違っています。
この原作は小説、と言うよりは、本当に言葉通りの「回想録」としての性格が強いもので、
アバネイル氏の行動や小切手詐欺の手口などが細かく書かれていて、読み物としてなかなか面白く読めますが、
それは物語的な面白さとはちょっと違うものですので、映画は映画として物語性を重視した上手い切り口で描いていたのだな、と思いました。
この本を“小説”として読もうとすると、最後はえらく中途半端に思えてしまいそうですが、
“詐欺師時代の記録”としてはあそこで終わりということでしょうか。
「ターゲットは保険の効く企業等だけで、一個人は対象としない」という彼のこだわりも、
それでも所詮犯罪に違いないので「何を言ってるのやら」という風に思えなくもないですが、
やっぱりなんか憎めない人です。
本当は高校生なのに20代半ばを偽って、結局疑われずにすんだという、彼の当時の写真が見てみたいものです。
ところで、この本の表記では「アバネイル」ですが映画では「アバグネイル」でしたな。
どっちかが違うのか、発音の問題なんでしょーか。
ところで2、この本を読んで思うのは、
何かの間違いででも、『フランスでだけは逮捕されたくない』ということでしょうか。
・・・まあ、30年は前の話ですので今のフランスの刑務所がどうかは分かりませんが・・・。
冤罪でフランスで捕まった旅行者の話とかテレビで見たような気もしますが、
確かに「フランス」だったかどうかは記憶が曖昧です。
■エアフレーム(マイケル・クライトン著)(2003/01/10)
アメリカを舞台にした、旅客機の事故調査の話です。
事故自体は大規模なものではないのですが、マスコミの介入などを絡めた企業小説として
なかなか高い緊張感で読ませてくれます。面白かったです。
航空産業やマスコミの描写はかなりリアルに描かれているらしいですが、
全部を鵜呑みにはしませんが、とはいえ
「映像」のない事故はかなりの大惨事でもほとんどニュースに取り上げられないとか、
製作者の意図的なニュースの選別・誘導とか、
マスコミの問題点の描写は結構説得力を持って書かれていて興味深いです。
(あくまでアメリカの、ですが)
★ちとネタバレ
事故の真相はあれはあれで十分ニュースになるんじゃないかいとか思うんですけどねえ。
まあ登場人物との感覚の違いですか(^^;
あの結末でいいんかいなと、思わないでもありません。
■ポストガール(増子二郎著:電撃文庫)(2002/07/02)
戦争後の世界で郵便配達をするアンドロイドの少女の話。
・・・ポストマンって映画であったなあとか、思い出してみたり(見てないけど)
挿絵のイメージも手伝ってほのぼのとした暖かい印象を感じつつ
結構ハードな話です。割とお気に入りです。
今年映画化された小説「催眠」(以前この日記でも書いた事があります)の作者が書いた
「映画版・催眠」の続編という奇妙な内容の話です。
「催眠」は原作である小説版と映画版で180度全然違う作品になっています。
作品の方向性がまるっきり違う作品で、
小説は「催眠療法」を真面目に扱った良作と言えますが
映画は人が怪死しまくるショッキングホラーもどき作品です。
で、この「千里眼」は原作者が、何故か
「ショッキングサイコホラー(もどき)の映画版”催眠”」の続きとして書いた作品に
なっているわけです。(共通の人物が出てたりとかはしてないんですけどね)
そもそも小説版「催眠」では
「催眠術で人を殺す(自殺させる)事は出来ない」スタンスで書かれていたのですが、
映画版「催眠」では催眠にかかった人々が自殺しまくります。
この辺をどう書くのかと興味があったのですが、
結局「千里眼」では、その辺の説明は理屈づけられていました。
で、千里眼の作品としての感想ですが、結構面白かったと思います。
しかし、前の「小説版・催眠」に対すると、
かなり過激というか、エンターテイメント性が
押し出されてるなあと思いました。映画版の影響は結構強かったのかなあ
良い悪いとは言わないけど
■R.P.G.(宮部みゆき著:集英社文庫)(2001/11/09)
ネット上の疑似家族の「お父さん」が現実世界で刺殺された。
警察の取調室とネット世界とが交錯するミステリーです。
結構面白いですが、ネタばれ厳禁な内容ですので語れません。
タイトルが旨いです。
作者の別作品で、映画にもなった「クロスファイア」に登場した刑事が出ているようですが
クロスファイアを読んでない(見てない)のでよく分かりません。
映画は平成ガメラの金子修介監督作品で興味があるのでそのうち見てみようと思います。
(いつ見れるやら謎ですが)
■パーフェクト・ブルー(宮部みゆき著:創元推理文庫)(2001/12/28)
古い小説ですが未読でした。著者のデビュー長編とのことです。
探偵事務所で暮らしている元警察犬“マサ”の視点で描かれた作品です。
読みやすい文でさくさく読めて楽しめました。
続編もあるようなので読んでみようと思います。
■心とろかすような(宮部みゆき著:創元推理文庫)(2002/01/12)
著者のデビュー長編『パーフェクト・ブルー』の登場犬及び登場人物の活躍する、
5編からなる短編集です。
探偵事務所で暮らすロートルの元警察犬“マサ”の一人称で書かれた物語です。
より登場人物達のキャラクターが掘り下げられて書かれています。
宮部氏の他の作品はどちらかというと一歩引いた視点で
キャラクターを描写されているように感じていたのですが
(あくまで私の主観です)、この作品の登場人物(と犬)には愛着が沸きました。
暖かいムードやユーモラスな部分を持ちながら、
各短編とも、割と現実の無常を感じる部分が少なくありません。
最後の話、『マサの弁明』は「ニヤリ」でした。
犬や猫が実際何を考えているか、知ってみたいような、怖いようなですね。
理不尽な主人に飼われ続け、
それを普通の生活だと感じているボクサー犬“ハラショウ”の話は胸に重いです。
■童話物語(向山貴彦著:幻冬舎文庫)(2002/10/04)
ペチカという少女がいた。
貧しく家族もなく厳しい暮らしの中で
ペチカは誰も信じられず、世界の美しさも知らなかった。
ある日ペチカは伝説の存在“妖精”のフィツと出会う。
妖精は人の世に審判を下し、世界を滅ぼす存在だと信じられていた。
フィツは地上に9日間だけ、人間を調べにきたのだと言い、
最初に出会った人間、ペチカに拒絶されながらも付きまとう。
それが旅の始まりだった・・・。
超オススメです。実に実に面白く、心に残る作品でした。
いいから是非読めって感じであります。
この先も読み返す作品になると思います。
上巻「大きな物語の始まり」と、下巻「大きな物語の終わり」からなっていて、
前半はなかなか、いや、相当「痛い」内容なのですが
その前半があってこそ、終盤の言葉の一つ一つに心を揺らされます。
特に彼の得た「答え」は感動で、何度も読み返してしまいました。
優しいというのはどういう事でしょう。
誰かを大事に思うといはどういう事なのでしょう。
誰かに優しくされた経験が無ければ、
生きていく中での「余裕」が無ければ
他者に優しくは出来ないものなのでしょうか?
必ずしもそうではないかもしれませんが、一面の真理かも知れません。
それでも願わくば、「これまでの」ペチカや●●●●●ではなく、
「これからの」彼等のようにありたいと願います。
以下ネタバレモードです。未読の方は読んじゃ駄目です(^^
ペチカもですが、ルージャンにかなり感情移入してしまいました。
そして、おばあちゃんが大好きです。
個人的に少し悲しいのは、「誰もが変われる」という希望が、悪役であるヴォーや守頭には
当てはまらなかったこと。まあ変に救いが入るのもおかしいでしょうけど、
少なくとも“ヴォー”の心理をもっと掘り下げて欲しかったなあ、と思います。
彼が何を考えてああいう行動に及んだのか、最初は軽い悪戯のような気持ちでもあったのかも知れませんが、
もっと突っ込んで欲しかった気がします。
HPでクローシャの外伝も発表されていますので、機会もあるかもしれませんが。
それにしてもやっぱり思ってしまうのは
「守頭恐るべし・・・」
作中の“クローシャ大陸”を舞台に書かれた外伝が筆者の属する創作者集団スタジオ・エトセトラのHPの中で発表されています。↓
http://www.studioetcetera.com/
本を読んだ後で見てみると感慨が深かったです。
感想を書こうとすると、どうにも胸がいっぱいになって上手く書き出すことが出来ません。
いい本です。
細やかな描写に情景が心に浮かんで心地よく、
先をどんどん読むのがもったいなくなるような本でした。
懐かしさと、情景が目の前にあるかのような臨場感と、「死」の匂いのする話です。
3人の少年の夏の日々を描いた作品ですが、あらすじについては触れません。
これから読む人には出来るだけまっさらの状態で読んで欲しいですので。
この少年たち位の頃、私もよく「死」について考えていたのを覚えています。
夜になかなか寝つけない時など、
「生」がいつか終わってしまうことの理不尽さや恐怖、
生が終わった後、何も無くなった後にどうなるのかと言う訳の分からなさ、
時の向こうや、無限の宇宙の向こうを思っての虚無感など、
とめどなく考えが止まらなくなり、呆然とした気持ちになったものです。
そんなことは今でも考えに結論の出たものでは無いのですが・・・、
いつごろから自分はそういうことを考えなくなったのでしょうか。
或いはごまかしが上手くなったのかも知れません。
この小説は映画化もされているとのことで、いずれ見て見たいと思います。
この本を読んで、
日常のちょっとした事の大事さを思い起こされるような気持ちを持ちました。
話としては接点は無いのですが、以前「童話物型」の終章の一文を読んだ時も
同じような気持ちを持ったなあと思い出しました。
■銀河お騒がせアンドロイド(ロバート・アスプリン&ピーター・J・ヘック著:早川書房)(2002/02/01)
ボンボンの中隊長が、金に物を言わせて落ちこぼれの中隊を立て直した『銀河お騒がせ中隊』シリーズ4作目
いつも通り御都合主義のばかばかしい話。
今回は中隊長のアンドロイドが中隊に紛れ込んでアレだったり、
エ★ビスだったりです。
このシリーズ、読んでる間はそれなりに面白いけど、読み返すことってないなあ。