内容●[1]映像作品の感想文[2]蛍光灯の下で見た幻覚の記録[3]ピンク色が意識にもたらす影響の考察[4]しばしば混入される嘘 まめちしき●パースエイダーは銃器。この場合は拳銃
とりあえず明日の出勤は勘弁していただく。主任を置いてわたしは遊びに行く。ああ行くんだ行くんだとも。止めてくれるなおっ母さん。主任の分まで遊びに行くんだともさ。そりゃウチはアホや。せやかて、ウチはもう、あの人から離れらりゃしまへんのやわいなあ。
いまになってやっと出発時刻を計算する。明日の6時30分起床。7時出発。8時の新幹線に乗れば11時に東京に着く。それから池袋に向かって7/22(sun)の公演の切符を買って、それから開場入り。11時45分開場。終わったら買い物をして、深夜に帰宅。
今日はいままでの26年の生活の中で最も長い時間「カラーバー」を見た。
デジタルな画像は整数の集合である。計算機で絵を描いていても分からないけれど、デジタルな画像が人間の目に映るにいたるまでには複雑な処理が加わる。人間の感覚ではたいていのものを一次式で近似するけれど、整数の世界で複雑な処理をするものだから、場合によっては人間の感覚では予想しえない怪奇現象が起こる。ソフト屋さんは冷や汗もの。で、これをおもしろいと感じるのは、アナログな世界から整数の世界を見下ろしているからであって、本当におもしろいのは自分自身だ。本当は整数かアナログかなんてことは、おもしろくないのだ。
会社の売店には本も置いている。いくらか安くなるので読みたい本をここで注文する人もいる。レジのそばに取り寄せられた本が並ぶのだけど、そこに「なかよし」と「りぼん」があった。会社の売店をこういう風に使う人がいるのか。「なかよし」の背表紙に「東京ミュウミュウ」の絵が見えたので、妙にうれしかったり恥ずかしかったりした。
計画から30分遅れ。8時半の新幹線に乗って11時に東京着。いままで池袋の駅からどういうわけか迷わずにサンシャインまで行っていたのだけど、あれは偶然だった。メトロポリタンなんとかという謎な空間に出てしまい、困った。サンシャインとメトロポリタンは片仮名であるということ以外に共通点がない。うろうろしているうちにサンシャインシティの方に誘導してくれるありがたい看板があらわれたのでそのとおりに歩く。会場入りが11時20分ごろ。
サンシャイン劇場の入場券売場で夏公演7/22の公演の席を確保。5列め。うううう。ついにサンシャイン劇場で前の席で観られる。考えてみたらば、今日のファン感謝イベントを観なくても夏公演の切符が買えるんじゃないか。
いつになく客層が濃い。本公演のみならずファン感謝イベントなんていうものに手を出すぐらいだから、そりゃあもう気合が入ったお客である。変身女児と母親の組み合わせが相変わらず多いのだけど、本公演とは熱気というか気合が違う。なんだか、ふつーの格好で来るほうが恥ずかしいぐらいに。なんだか、おっきいウラヌスとかネプチューンとかもいた。巫女さんもいた。どこで着替えるのだろう。池袋でよく見かける土星ちゃんがもうすっかり大きくなっていた。推定6歳ぐらい。
「あっちにベスタがいるよっ」
てなもんで、後ろのちいさいお客が遠い前方にセーラーベスタ、またはベスベスを発見する。そんなマイナーな登場人物まで覚えているとは。わたしの隣の、二組の母と娘はセーラームーンのミュージカルははじめてらしい。どうも、母親どうしで情報が伝搬している。みんなして派手な衣装を娘に着せて公演を観に行く母親たちのことを、今日はじめてやってきたという母親たちは知っているらしい。いまでも新規の客がいたのか。
そんなわけで。はじめて来たのだけど、ファン感謝イベントとはどんなもんかいなと。次回公演の予告編みたいなのがあるのかと思ったけど、バンダイの人から簡単な説明があるだけだった。あとは知っていたとおり、歌って踊ったり質問コーナーがあったり。舞台裏でなにかあったらしくて開演が15分ぐらい押したのだけど、前作のダーク・カインの人の前説が妙におもしろかったので、これはこれでよきかな。
登場人物。今度うさぎさんを演る黒木マリナ嬢は12歳ですってよ。ひいいい。台本にない台詞になるともう途端にたどたどしくて。ひいいい。不安。すげえ不安。あと1か月で本番なのに。もうわが子の成長を見守る父親のよう。それでいて、見守っていたら伸び盛りの娘がいつの間にかどこかへ行ってしまう。どういうわけか最近は登場人物がずいぶん低年齢化していて、五人組は美奈子ちゃん以外は中学生ですよ。ひいいい。ほたるさんが前作に増して犯罪級にちっさくなってしまった。ひいいい。そんなわけで、ますますもってちびうさがちいさくなってしまった。まあこれが、ちゃんと歌詞を自分のものとして歌って踊れるわりと恐るべき8歳なのだけど、わたしの求めているのは「ちゃんとした」のじゃなくて、子供じみたように見えてホントは裏があって大人をだまくらかす小悪魔なちびうさなのにいいいいっ。Rのころのちびうさはほんとにちっさかったのだけど、それでいて子供らしさなんて900年前に置いてきたような子なので演じるのは8歳には難しいはずなんである。
悪者。前回の公演のアンケートで好きな敵キャラクターは誰かと問われたので、あやかしの四姉妹とブラックレディと答えた。これがえらいタイミングのよさで、次回公演はセーラームーンRの黒水晶編らしい。しかし、ちびうさ役の人には黒水晶ででっかくなる姿もいっしょに演るのは無理っぽく、昔ちびうさを演った人がいまやでっかくなってブラックレディとして戻ってくるらしい。あと「あやかしの三姉妹」が出る。四姉妹ではない。ベルチェよさらば。あやかしの四姉妹は、亜美、レイ、まこりん、美奈子の四人組と対になって話が作られたのに。最近の公演は登場人物が多すぎることに気づいたか。
中身。うむむ。公演一か月前だからまだ細部が固まっていないのだろうけど、歌があやうい。はらはらする。そんなこと言っても、すげえ楽しくて困る。思い入れが強すぎて、いちいち泣いたり笑ったりしてしまうので困る。いたる所にいるちっさなお客が、いっしょに歌ってくれる。たぶん、あの妖しい歌詞の意味なんて分かっていないのだろうけれど、おそらくは家でビデオテープがすり切れるほど観ているのだろう。あるいは母親が歌詞を教えているか。あんまりビデオばっかし見せてちゃ駄目ですよ、お母さん。幼稚園だとかで4歳かそこらの子が、
これ以上ムリよ待てないわ
スレスレで終わらせないで
あなたのすべて欲しい
(冬杜花代子作詞/La Soldier)
だとか歌っていると思うとどきどきである。
会場を出て、池袋の妖しい界隈をうろうろ。表通りから外れると、昼間は途端に人通りが減る。わけも分からずにまっすぐでない道をどんどこ進んでいくと、
きらめきメモリアルは名称をYou & Iと変更してリニューアルオープン致しました。
という看板があった。なにがあったんだきらめきメモリアル。40分12,000円きらめきメモリアル。裏通りは、昼間は寂れた商店街で夜は歓楽街である。どんどこ歩いていたら不安になってきたので駅に向かう。帰ろうかとも思ったけれどなぜか足は勝手に秋葉原へ。秋葉館という店で、PowerMac G4 CubeでMac OS Xを動かしていたので触ってみた。やっぱりG4でもFinderが重い。Cubeが欲しくてしょうがなかったのだけど、しばらく買えなくなった。あと、どれみさんの薄い本を一冊買う。カレーを食べる。あてもなく歩いていたら足が疲れたので引き上げることにする。
ううう。寄る年波にはなんとやら。一日で大阪東京間を往復するのには慣れたつもりだったけど、頭が痛い。ぎりぎりまで行けるかどうか怪しかったので新幹線にしたけれど、できれば飛行機にしたいもんである。帰りの新幹線の中での3時間、だまって座っていると腰が痛い。じっとしていられないから変な体勢になったりして、窓にもたれて頭を押しつけていたら今度は頭が痛い。
今日は「カルーアラムコーラ」を飲んでみる。コーヒー豆を酒に漬けたものがカルーアで、さらにラム酒とコーラを混ぜたら「カルーアラムコーラ」……ってそのまんまやがな。「かやくめしうどん」ぐらいそのまんま。コーヒーのにおいのするコーラ。ああまったり。
まったりのあと、そっち方面のイベント「コミックコミュニケーション」をのぞきに大阪国際会議場に行く。ゲーム方面のイベントには興味がないので行かないつもりだったのだけれど、みそおでんさんのどれみ本が欲しいなとのぞきに行ってみる。Close 2Uの絵を描いた人。11時開場のところ13時45分に到着。あとで聞いた話ではとんでもなく混んでいたそうだけども、この時点ではあっさり入れた。
が。そのどれみ本はすっかり売れてしまったのだった。ゲーム方面以外は焦らずとも買えると思っていたのに。不覚。で、てけとーにデジモンとどれみさんの本を2冊ずつみつくろって帰るのだった。さようならー。
で。今日はうっかりいつものくせで両手になにも持たずに家を出てしまったのだった。なんとか目立たない表紙を選んで外側に向けて、家まで本を素手で持って歩いたのだった。恥ずかしいぃぃっ。
大阪国際会議場、新福島下車。あとはあのふしぎな形をした箱を目指して歩けばよい。ただし箱がすぐに見えるとは限らないので方角には注意すべきである。駅から出たらまずは南を目指すのがよい。あとは、目指す場所に近づくにつれてそれらしき客たちが道路を歩くのが見えてくるから容易にたどり着くことができる。かくして、目的地への移動に迷いはなかった。
帰りが問題だった。来たときとは逆の道をたどったつもりが、いつしか見慣れぬ場所にたどりついてしまった。しかしどうやって軌道修正するべきなのかわたしには分からない。ただ歩き続けた。背の低い建物の間をどんどこ歩くのだけど、そこには人がいない。
かつて高僧が唐の国へ渡ったとき、大陸を目指すのは容易だったろう。だがしかし、狭い日本を目指して帰ってくるのは難しかったはずだ。ああ難しいに決まっている。宇宙基地から帰還する飛行士が地球に戻るはずが、進行方向が重力で曲げられてできる双曲線軌道に沿って地球から弾かれてあらほれま、というかなんというか、もう無理です。いまから最後の言葉を伝えるからな。「神はぴんく在れと言った。そこにぴんくが在った。神はそれを見て、よしとされた」 ああ地球にぴんくがありますように。聞こえるか、ヒューストン。おい。返事をしてくれよ。
大阪国際会議場は目立つかっこうをしているから分かりやすいけれども、新福島駅なんてどこにあるか分からないのだ。歩いて歩いて、高速道路の下をくぐったり「ビジュアルアーツ専門学校」という学校の前を通ったりしながら歩いていたら、大阪駅前第一ビルが見えた。ああ地球が見える。かくして、北新地駅に着いた。ここは街だ。ほら人がいる。
次に大阪国際展示場に行く場合にどうやって帰るべきかということを考えたいのだが、どこで間違えたのかが分からない。今日よりも進路を西寄りに取るべきだということだけが確かなことだ。進入角度の誤差は45度以内だと思われる。
おお。なつかしい書名が。『りぼん』のふろくと乙女ちっくの時代。大塚英志。1995年、大学の3年ぐらいのころに読んだ。あのころはもっとかしこい大学に進学しようと突然勉強しだしてすぐ挫折したりして結局なにも手につかない、ちびうさ漬けの日々なのであった。そんなカオスな時期。
あらすじ。70年代後半の「りぼん」に異変があった。「かわいいもの」の記号化が明確となり、また少女幻想はファンタジー世界のできごとではなく身近なものとして描かれるようになる。「りぼんのふろく」は「かわいいもの」を紙で組み立ててみせた。そこにTVアニメの後押しもあって筆者の言う「乙女ちっくの時代」が築かれる。しかし、80年代に入り消費のありかたが変化しだすと、街に「かわいいもの」が幻想ではなく現実に存在するようになる。そして、この種の幻想が必要とされなくなった「りぼん」は、幼年漫画誌に戻っていく。
感想。うううう。わしゃこんなの読んでたのか。70年代どころか80年代の漫画さえも知らないのに。当時のわたしは、大学で妖しい世界に片足を突っ込んでいて、そこにちびうさも加わってもう人生をますます踏み外すか、軌道修正するかの分岐点だった。この本を読んで、自分自身のことをすごく罪深いと感じていたのだと思う。わたしは「なかよし」だとか「りぼん」を捨てられなかった。高校三年の終わりに「セーラームーン」を読むためにはじめて買った「なかよし」以降、買ったものは全部保存している。
モノは心を充足してくれたあと、消えてなくなってはくれない。無駄な消費は悪だと思いながらも、新しいものを買ったり読んだり自慢したりせずにはいられない。当時、なにかと書いたりしゃべったりするネタとして必要だったこともあって、こっ恥ずかしいものに目をつけて収集していたのだけど、それはそれは後ろめたかった。やや人生を軌道修正して、進学して就職して電機製品を作るようになってもこの考えが抜けない。お堅いといわれる電機産業でやっている仕事はといえば、「絵」がやりたくて飛び込んだ映像機器の世界で、ちょっとした機能で差異化してお客の気を引こうとするのだから後ろめたい。
……おっといけない。あたしごときが語っちゃいけない。ただ、バブル期が過ぎて不良債権の山を横目に見ながら消費生活を反省するでもなく、90年代が通りすぎてもわたしは「りぼんのふろく」みたいなものに流されて生きているんだなあと。キャラクターは日用品にくっついていたころからさらに進化を遂げ、いまや人形だとかCD-ROMだとかまったく役に立たない姿で部屋に集積されていく。
うむむむ。わたしのいない間に新たな問題が増えていた。週末はうさぎさんを観に行ったり本を買いに行って迷子になっていたなんて言えやしない。ああ言えやしない。ソフト屋さんの泥沼っぷりがもうなんとも。ソースコードを見せてもらいたいような、恐いような。
きょうはようちえんできばんをこわしたの。きししし。
忙しくなると、職場はまずにぎやかになる。さらに忙しくなると職場が殺気立つ。今日は、出社したらすでに殺気が漂っていた。さらに状況が悪くなると期限が延びる。
かくして太陽系にはつかの間の平和が戻った。しかし敵は反撃の手を緩めることはないだろう。急げヤマトよ。夏休みまで、あと2か月しかない。
帰るのは早いが来るのも早い。8:15に来て、22:30に帰る。
毎日新聞の夕刊に、そばアレルギーの人の話が載っていた。修学旅行で行った先でそばを打った。そばが食べられないといっても信じてもらえない。先生もそばアレルギーなど聞いたことがないという。ならば見ていろと一気にそばをかけこんで、10分後に倒れて救急車で運ばれた、とあった。自分だったらどうするかを考えた。
[1]最初から修学旅行に行かない。以後、集団生活のできない生徒として過ごす。
[2]どんな目にあってもいいからそばを食べずに通す。わがままな生徒として、一時的にさげすまれる。
[3]素直にそばを食べて倒れる。学校に行けるようになったら、教室で担任の人差し指を寄越せと迫る。生徒の見ている中で担任の足を骨折させてから、人差し指が切断できるまで右手をシャープペンシルで突き刺し続ける。人差し指をかじっているところで警察が到着。そのあと少年院で過ごす。出所後は人の肉を食べた少年として作家活動を始める。
今日の昼食はまずかった。[1]作った人のところまで持っていって顔に投げつける[2]新たな被害者を増やさぬように「食べられません」の札を壁に貼って警告する[3]紳士的に抗議する、などの対応策が頭をよぎった。
食べたくなくなる絶妙な温度と、まずさの教科書のような、かむと口の中で崩れる麺。これを冷麺と呼ぶらしい。冷たくなくても冷麺。麺はさすがに食べられず、その上に乗ったひき肉だけつまんで食べた。しかして、どなりつけることもなく、投げつけることもなく、ちゃんとお金も払った。ただし、調理場にいる人を一人一人にらみつけながら食堂を出た。このまずい冷麺が家電製品だったらどうなる。これが公演や出版物だったらどうなる。あとで思い出しても腹が立つ。
会社の食堂は普段からまずいのだけど、今日は特別ものすごかった。やっぱり抗議の一つもしておくべきだと後悔した。独占的に商売をしているのをいいことにまずい料理を出すような業者なのだから、だまっていたら状況がどんどこ悪くなる。いい子ちゃんになっていてはだめだ。いつか耐えられなくなって、どこかでおいしくない弁当を買ってきて、はんだのにおいにする実験室で食べる日がくるんだと思う。あまりのまずさに絶望して、絶望が積み重なって、まずい昼食に牙をむくことができなくなるかもしれない。自分の会社なのに文句の一つも言えず逃げ出して、毎朝「コンビニ」というところに行って弁当を買うなんざ、わたしの誇りも自信も地に落ちて、会社に行けなくなるかもしれない。
売店で菓子と飲み物を買った。ここに菓子がある。だからわたしは幸せなんだと言い聞かせた。
コンビニとは「便利な店」という意味の言葉を略してできた20世紀末の流行語。日本の都市部に多い。品揃えが悪く値段は高いが、無駄が多く利益が出にくい。品切れを恐れるあまりに大量の入荷と廃棄をくり返し、異様な清潔感と明るさを持つ。現代の日本風俗や流通システムのよい見本。
「小さな恋人たち」という語句の解釈。[1]恋人同士である2人の子供{A, B}の組み合わせ、もしくはこの組み合わせの複数個からなる集合{iは自然数 | Ai, Bi}。[2]ある人物Aには恋人Biがたくさんいて、しかもその恋人はみな子供である。そんな子供たちの集合{iは自然数 | Bi}。ある人物Aは子供でなくてもよい。
後者の方がおもしろいと思った。
わたしはこんなに怒りっぽかったのか。怒るのがあまり好きではなくて、いままで怒らずにすむようになにも考えないようにして過ごしてきた。できる限りいやなことには目をつぶって、見なかったことにしてきた。その代わり、ここに怒りの素を封じこめてきた。そのせいで、いやなことに対する耐性が育たなかったのだろう。昨日も今日も殺意を育てている。一昨日の朝は、けたたましい音を立てて走るバイクにまたがった人物をどうやって無力化するかを考えた。今日は会社帰りに、二人乗りの自転車がわたしとぶつかりそうになった。わたしにぶつかったら、自転車を蹴倒してけがを負わせるべきか、捕まえてから親を呼び出させて交渉すべきかを考えていた。
次から次へと仕事がやってくると、なにも考えずに過ごせなくなってしまった。もう次から次へとどうでもいい考えが出てきては消えていく。きっと仕事中毒の人は、こんなふうにふわふわとした意識で過ごしているんだろう。
今月は残業手当が大台に乗るか、乗るまいか。
01/03 例のアレ冬公演
02/12 ぷにケット
03/24 例のアレとおもちゃショー
06/02 例のアレファン感
07/08 スイートハウスにようこそ
07/22 例のアレ夏公演
08/10 有明まんが大会
09/15 MAHO堂大バザール
10/14 ぷにケット
12/?? 有明まんが大会
今年はついに上京回数が大台に乗るのか。全部行く場合の予算は40万円ばかし。
会社帰り。腰が痛いなあ、と思った。例によって「腰が痛いなあ」という台詞を読んだのであって、腰が痛いという信号が腰から脳に発されたことだけを指すのではない。腰が痛いなあと思っていたら、姿勢制御の処理が追いつかなくなって、左側面の鉄柵にぶつかりそうになった。
まずいことになった。まっすぐ歩くという行為は「まっすぐ歩き続ける」という信号を発しておけば、他に考えごとをしていても勝手にまっすぐ歩けるものだと、いままで思っていた。だがしかし「腰が痛い」という台詞を書き言葉で考えないといけなくなったのと同様に、まっすぐ歩くという行為を、右足を出して左足を出すという具体的な動作を記述しないと歩けなくなったんじゃないか、と思った。いつか、呼吸ができなくなったりするんじゃないかと思った。そんなことは言っても、それからあとはまっすぐ歩くことができたし呼吸にも困っていないから、ただの考えすぎなんだろう。ああ考えすぎなんだろうとも。
まったく、日付が変わるまで仕事をする働きものもいるというに、まったくこの程度で疲れるとはまったく。いままでやっていた仕事の疲れとはどうも違う。身体を直接攻撃してくる。
朝っぱらから甘ったるいコーヒーを飲んで、実験室に向かう階段を上がる。すると、ぼへーっとしてくる。意識が。ここで、夜の10時まで働くという覚悟をする。わたしがこんな、決意とか儀式みたいなのに頼ることになろうとは。
いまのわたしになら、会社帰りに飲んだくれるおっさんの気分が分かる。夜の10時を過ぎてもいすに座れない列車への怒りも、甘ったるいコーヒーでへろへろになったわたしの脳でなら目をそらせる。
そういえば今日は帰りの電車の中で、自分の視界がとても狭くなっていることを発見した。視界の外側がとても暗いことに気がついて恐かった。
早い話が、新しい職場に来てからずうっと興奮状態にあるということなんだろう。ずうっと。
実験室で報道を見た。大阪の小学校に刃物を持った人物が侵入して、職員と児童を無差別に切り殺した。久しぶりにとんでもない殺人が起こった。この人物はわたしではない、と念じた。念じねばならなかった。それぐらい不安だった。
TOEICの本を買ってくる。1時間ぐらい悩んでやっと買った。わたしは文章を時間をかけて解読することはできても読むことなんかできない。ましてや書くことなど。そんなわけで、もちょっと早く読めるようになればと思って勉強をはじめてみた。これがとても苦痛で、1日分をやっつけることができずにやめてしまった。「がんばって」終わらせているようでは、そのがんばりは3日で途絶えるに決まっている。かといって、がんばらない限りは、永久に成績なんか上がらないようにも思う。
自ら進んで勉強をしたことがないから、もういらいらしてしょうがない。高校のときに、夏休みの宿題だかなんだかで文章を山ほど訳したことがあるけれど、あれはなんの役に立ったのだろう。辞書を引きながら文章を「解読」する方法を覚えただけであって、ちいとも文章が読めるようにはならなかった。大学でも同様で、だんだん学力は低下していった。
どうも、TOEICでいい点を取るための教科書ってのは、学校で読み書きができるようになった人のために書かれているような気がする。学校で習う英語は話したり聞いたりするのには役に立たないなんて批判がされるのだけど、そんなのは勉強のできるえらい人たちの自慢話である。読み書きさえも身につかなかった人は、しかたがないから読み方から勉強する。
この苦行で、いらいらしない人間になれるだろうか。もしなれるなら、TOEICの成績を別にしてもこの苦行に意味がある。わたしが勉強の仕方を知らないということが、ありとあらゆる勉強の妨げになっているのだ。
例のアレ。8/08(wed)神戸公演は今日発売だったけど断念。夏休み明けから生産に入らねばならないので、夏休み前に休めるとはとても思えない。
例のアレのイベントから一週間。机の上に、イベント会場でもらった冊子が置いたままになっているのに気がついた。見てなかったのだけど、登場人物の名前とか写真だとかが載ってたのか。
登場人物を眺めてみる。プリンスデマンドと蒼のサフィールを演る人が女性になっている。デマンド兄さんとサフィールの妖しい絡みはあるのか。どきどき。で、紅のルベウスがいなくなって、斑のティルムンという人物が作られている。名前しか分からないけれどおそらく女性。ブラックムーン一味を、男性をワイズマンだけにしたいための変更と考える。それにしてもなぜ、色ではなくまだら。原作とかTV版では、兄さんはうさぎさんを、ブラックレディはまもちゃんを手に入れようとするのだけど、このへんをどれぐらい描けるか。なんせ、うさぎさんを演じるのは12歳だしブラックレディは13歳だし犯罪だしアレだしナニだし。
遠い惑星から侵入者が地球にやってくるってな話は1999年の「かぐや島伝説」でもうやっているので、似たような話は勘弁だ。地球の侵略よりも自分たちの使命よりも母娘の再会が勝つってな話ではなくて、もう一歩突き抜けて欲しいなあと。
ここで。夏公演大予想ー。ドラクル伯爵の話で、お子さまの観客を無視して悪者側を詳しく描けるようになったのを踏まえると、夏公演でも同様の描き方ができることが期待される。ブラックレディはちびうさの心そのものなので、悪者としてのちびうさを描かざるを得ない、はずだ。ってことはー。父親のまもちゃんをだましてさらってアレやナニに及ぶことぐらい描かれてもおかしくあるまい。あるまい。
冬杜花代子作詩「またまたちびうさです」より引用。
またまたとつぜんのちびうさよ
もどって来ちゃったの30世紀から
やっぱりまもるさん素敵だわ
宇宙のおとこの子の中で
だんぜんいちばんかっこいい
うさぎなんかはほっといて
あたしひとりとあそびましょう
あたしのほうがかわいいもん
2番ではちびうさはやや暴走する。
あたしの王子さままもちゃんは
シゲキが足りないの30世紀って
だってさまもちゃんがいないもの
こんどははっきり伝えたい
ハートのドキドキ好きよって
うさぎなんかに負けないわ
あたしわかるのまもちゃんも
ほんとはあたし好きなんでしょ
1番と2番の間でちびうさの身になにがあったのだろう。30世紀にいる「シゲキの足りない」まもちゃんはスモールレディの父親、キングエンディミオンであってまもちゃんではないのだ。夏の公演でブラックムーン編を演るというのなら、まもちゃんまもちゃんとちびうさが誘惑し続けた、いけない願いがやっとかなう場なので、それを壊さないでほしいと思う。未来の旦那の浮気に怒り狂ううさぎさん12歳。無理ですか。ああ無理ですか。ついでに、馬鹿な母娘を陰から見ているプルート。そういうの希望。駄目ですか。ああ駄目ですか。
勉強を再開して1日分を終了させる。どの単語がどの単語を修飾しているのかを高速に探索する方法が分からない。時間がかけられないと、ばらばらに並んだ単語を眺めるだけで頭に入ってこない。高校では習ったのだろうけれど、そんなものを思い出していては文章は読めない。なんせ試験では30秒かそこらで1つの問題をやっつけないといけないのだ。わたしは日本語訳を見てやっと例文の意味を知る。
よくよく考えてみたらば、1問に60秒かかってもいいから半分の問題を確実に答えた方がはるかに効率がいいんじゃないだろうか。で、残り半分の問題はサイコロでも振って埋めておけばいい。埋めるだけなら英語のことを考えなくてもいい。前半の正答率を60%として、後半はサイコロを振って25%の割合で当てられれば200点ぐらい取れるんじゃないだろうか。で、聴く方の問題はあと何十点か引き上げて300点取れるようになれば、合計500点である。いんちきでもいいから500点まで行けば主任試験が受けられるやも。
久しぶりに落語を聴く。崇徳院。若旦那の一目惚れの相手を大阪じゅうを駆け回って探す話。手がかりは百人一首の崇徳院の上の句というのがまた火曜サスペンス劇場みたいでどきどき。あらためて聴いてみるとまあこれが落語らしい落語で、運よく愛しのいとはんは見つかってしまう。こんないかにもな作り話でも、たたみかけるようにして若旦那といとはんの対称性として無理矢理納得させられる演者はすごいなあと。
まったく無問題。
この日の日記はそれだけ書いてあって、あとで読み返すと意味が分からない。
ついにきたきた水曜日。定時で帰れるから早く寝られるし日記を書いたりログを読んだりできる。勉強なんかするもんか。
全身に力が入らない。これは困った。
明後日は「少年たちの病棟」の発売日。しかし日曜まで買いに行けない。買いに行けないと思うと欲しくなってしまう。……はっ。いつの間にか買うことになっている。
できる限り午後9時までに退社せよというお達し。緊急事態に備えて余力を持つというのは悪くない。しかし最近午前8時50分に出社しているのだけれども、これをさらに1時間早めるというのは勘弁だ。
晩ご飯。お風呂。ケーキ。紅茶。現在9時半。なんて優雅な水曜日。
9時半退社。1時間早いだけで、なんだかすごく楽になった気がする。
母上がいつのまにか例の「IT講習」を受けに行っていた。募集人数に対してずいぶん応募が多いらしい。予想通り、ワープロで文章を書いたりwebを見に行ったりする講習。一家四人アイティー家族の完成である。
やっと基盤の上の信号の流れが見えてきた。
1日経つとまた10時過ぎ退社に戻る。
どれみさんの映画はまたもや30分ものっぽい。
この夏の東映まんがまつりは、どれみさんとデジモンテイマーズとキン肉マンII世の3本立て。おそらくそれぞれ30分ずつとみられる。またしてもがっかり。長編のどれみさんが観たいのよ。
水着姿のぽっぷを観に行くのよさ。「魔女バッグ」をもらいに行くともさ。
例のおジャ魔女ミュージカルの切符を買う。8/14(tue)2PM。11AMごろに買いに行って2列めの席があった。せらみゅとえらい違い。ただ、端っこになってしまうので、中央よりの席として6列目を勧められる。こっちを買う。
難波のソフマップに「少年達の病棟」を買いに行く。俗にいう「ボーイズ」ものは売り場が隔離されていて、そこに近づくのにとても気合がいる。時間がないのになかなか近付けない。はあはあはあはあ。ちょっと一休みしてえろい方面の売り場に行ってみる。これがまた、いつのまにか居心地が悪くなくなっている。この違和感のなさ。ああいかんいかん。ふたたびさっきの隔離ゾーンに向かう。
問題のブツ発見。ああ、あるよ。いっぱいあるよ。あわよくば、なにか一本カモフラージュ用に買ってしまおうかなんて考える。また隔離ゾーンを離れて見つけた「Fifth Twin」廉価板をうっかり買いそうになるのをこらえる。つり目で金髪の絵に惹かれるのだが、遊ぶのに時間がかかりそう。しかし問題のブツの毒気を中和するなにかが欲しかった。いまなら「おにいちゃん、これ買ってえ」ってだれかに言われたらもうなんでも買ってしまいそうな勢い。佃煮とか。マンションとか。こういう勢いのときにはなにを買ってしまうか分からないもので、あたしは「少年達の病棟」といっしょになぜか「デジモンアドベンチャー02」のアクセサリ集を買っていた。
久しぶりに学生のころの人と再会。旅立つ人1名。会社を辞めた人1名。
[1]会社の仕事とまったく関係のない趣味をいくつ持てるか
[2]休日を寝て過ごしそうになるのをこらえられるか
[3]会社の仕事と関係のないことをやっているから会社の仕事をがまんできる
[4]会社の仕事も家族のことも趣味のことも調子がいいのも悪いのも全部引っくるめて生活を見通せるか
ははー。まいりました。
少年達の病棟。Windows版とMac版それぞれのCDが入っていた。Directorで作っているから移植は楽だろう。なもんで、林檎さんで遊んでみる。
まず、はるかたん。はるかたんはかなり期待どおり。かなり可愛くてお兄さん困ってしまう。抑圧、素直、くまさん。なんだけど。主人公が一線を越えてしまうのになんの抵抗もないってのはどういうことかー。はるかたんももっと嫌がってくれよう。全般に文章が短い。すなわちヤマなしオチなし意味なし。こんなんでいいのか。
しかして。昨日お昼寝ができなかったので、今日は寝て過ごす。晩は家族で焼肉を食べに行く。
実行ファイル「GAME」を起動させるとフルスクリーンでしか表示できないが、「GAME1」だと独立した窓で表示できることが判明。
2回め。幽霊のカヲルさんと出会ってアレしてナニしてしまう話。はるかたんを追っかけていたつもりなのだけど、浮気の度が過ぎたらしい。
3回め。ぎゃふん。小児科医にはるかたんを取られたー。父と母のけんかは止めに入る選択肢を取らねばならなかったらしい。
眠いー。
9時半退社。
Mac GIMPはGIMPをX WindowからCocoaに移植している。ということは。GTKから書き直すのかー。
性能確認会。暗い部屋でスクリーンを見ていると眠くなる。とても眠くなる。とても眠いのでスクリーンが見られなくなる。この設備を自分の部屋に用意したとしても、やっぱり眠くなるんだろうなあ。
「ハンダ付着物入れ」
ハンダ付着物は分別してこの容器に入れて保管すること。
これを「ハンダつき・きものいれ」と読んだ。原子力発電所の低レベル放射性廃棄物のように、ハンダのついた着物を分別しているのかなあと。でも箱の中には衣類は入っていなかった。これは「ハンダ・ふちゃぶついれ」だった。はんだの付いた素子を捨てる容器である。また「ハンダのついたもとこ」を捨てる容器ではない。
賞与の明細書はまだかまだか。さっき銀行口座の残高を見たら増えていたので、振り込まれてはいるらしい。
賞与も出たのでお買いもの大作戦。日本橋に行く。
新しい方のとらのあなで、おジャ魔女の薄くて高い本を4冊買う。これだけおジャ魔女なイベントに顔を出しているのに、それでもまだ見たことのない本があるとは。「コミックレヴォリューション」とかにも行かんとだめですか。そうですか。
ソフマップで「流聖天使プリマヴェール〜捕らわれの天使〜」と「魔女っ娘マリエルン」のどちらにしようか迷って前者を買う。7,000円ぐらい。高っ。で、ここで使うはずだった200円割引券を使うのを忘れる。またソフマップ2号店に行かねばならなくなってしまったのだが、この券は月曜から木曜までしか使えない。「純愛GirL」は今週の金曜日に発売なのだけど、来週の水曜まで待つか。
ディスクプラザで「花右京メイド隊」のDVD3巻。おジャ魔女ミュージカルのCDが出ていたのでこれも買う。
おジャ魔女のCDを聴いてみる。ミュージカルのために書かれたのは2曲だけ。残りは、廃盤になった無印の曲も含めて4曲をおジャ魔女5人で録りなおしたもの。「おジャ魔女カーニバル!!」をはじめてCDで聴いたけど、やっぱりおジャ魔女のテーマ曲の中で群を抜いて音が面白い。
ここで、夏のおジャ魔女ミュージカルは着ぐるみショーであることが判明。全国の遊園地でさんざん公演されてきた着ぐるみショーの豪華版とみられる。ああああ。着ぐるみなのかー。2,600円とは安すぎると思ったんだよう。着ぐるみショーを観に行くのなんて1993年の嵐の夏にうさぎしゃんを観に行ったとき以来である。
賞与。去年の給料2か月分と査定分が161,000円。アレしてナニして振り込まれたのは387,347円。
「流聖天使プリマヴェール」で遊んでみる。あはは。ふはははは。あーっはっはっは。作り手がよく分かっているんだわ。こういうのを買ってしまう人が好きそうなものを。
おはなし。おんなの子戦隊もの、と見せかけて、本当はおんなの子戦隊と戦う悪の秘密組織ものである。主人公は悪の秘密組織の将軍の弟であり組織の幹部でもある。世界征服の邪魔をする流聖天使プリマヴェールこと女子○学生の純菜さんをとっつかまえて洗脳して実験と称して以下略。まことに以下略。一方で、世界征服のために、妖しい商品を売ったり幼稚園児を誘拐したり要人を襲撃したりと地道な努力を重ねるのであった。
感想。まだ1回目が終わらない。文章がうまいなあ。ときに軽くて。すっとぼけていて。「実験」の絵がもうちょっと種類があってもいいんじゃないかとか、声がなかったりとか気になる部分はあるのだけど。ダークロウズのような、はまりこんだらやめられない感じがする。アレしてナニしていくうちに純菜さんがかわいく見えてくる。ふしぎと。午前2時半ぐらいまで遊んだ。
続きを遊ぶ。純菜さんはすっかり我がものとなり、われわれの組織は地上世界の征服を成し遂げたのであった。完。
……ああ違う違う違うんだよう。こんなことがしたいんじゃないんだ。世界征服に尽力しすぎて大事なものをずいぶん見落としたらしい。プリマヴェールはもう一人いるのだけど、ちいとも出てこなかった。要人襲撃だの園児誘拐だのに精を出している場合ではなかったらしい。
Cで書かれた8bit符号なし整数64要素からなる配列があった。で、配列の初期化で64個の整数を代入する。これを動かすとなぜか64番目の要素がとても小さい値になっているようだ。ディジタルの信号処理で音量を調整する係数で、わたしはアナログな部分しかあずかり知るところでないから、64番目の音量が聞こえないということしか分からない。で、最大となるべき音量がなぜ小さくなったか。
[1]256が代入されている。256はループして0になる
[2]たんなる書き間違い
[3]値が63個しか入っていない
正解は[3]だった。値を区切るコンマがピリオドになっていた。整数2個が小数1個と認識されてしまったわけだな。で、64個めには不定な値としてたまたま0が代入されていた。わたしが値の列を間違って書いてメールでソフト屋さんに送ったので、その誤りがそのまんまコピーとペーストで反映されてしまったのだ。
で。長さ64と宣言した配列の初期化で63個しか値が代入されていなくてもコンパイラは警告を出さないのだろうか。手元のgccで再現してみたら、なんの警告も出さない。実行させると64個めの要素に0が入っていた。ばっちり再現。とほほほほ。
で、こんなことのために他人の手をわずらわせるというのはとてもよろしくない。ハード屋さんもコードを触れるようにしたほうがいいような、いけないような。せめて見られるようにしてくれても罰は当たるまい。
やけにリモコンの効きの悪い個体が一台帰ってくる。ノイズと格闘。高価な電解コンデンサが2個増える。
会社にいても、今日は純菜さんをどうしてくれようかと考えてしまう。これですよこれですよ。こういうのが、心の中にお手軽に入ってきてしまう。
残業時間が60時間を越えそうな勢いなので、休日出勤はただ働きへの危険な一歩である。わたしだけは今日を休みにした。会社に行かずになにをしていたかということには目をそむけたくなる。
[1]昼まで寝る
[2]プリマヴェール2回め。世界征服ならず
[3]先日買ったおジャ魔女本4冊を読んでみる
夕方からまた寝る。起きて夕食。ああ。目をそむけたくなる。
中学校のときから心の中でむずむずしていた想い。それがなんなのか今日、気がついた。日本語の文法に出てくる「ラ行五段活用」ってかっこいい言葉だと思った。司会の人がマイク片手に「ラ行」って叫んで、客席の人が一斉に「五段活用」って続けたら音楽と煙が出て今週のゲストが登場したりなんかして、くだらないバラエティ番組みたいでいいなあと思った。あと「カ行変格活用」の「変格活用」って部分の人知を越えた感じがかっこいいと思う。超科学を駆使して世界征服をたくらむ組織の上級幹部の必殺技みたいである。あやうしカ行五段活用。そこへ謎の仙人が「カ行四段活用」をたずさえて現われたのだった。つづく。
日記を書きながらこうやって一日を振り返ると、休みの日はわけの分からないことしか考えないのかと思う。でも、本当はそうではなくて、休みでない日には一日を振り返る余裕がないのだ。
しかし、いつぞやの真空焼売から一向に進歩がないのはいかがなものか。
かといって、毎日が日曜日だったらどうやって生きたらいいのだろう。もしゲームとアニメと昼寝しか許されなかったら、ここに何を書くんだろう。アニメを観た感想ってアニメから得た情報だけで書けるんだろうか。さらに一歩進んで、毎日毎日一定の照度と温度で保たれたとっても快適な培養液の中で生きる羽目になっても、毎日毎日アホなことを考えながら楽しく生きられるだろうか。やはり、昼寝部屋とか培養液に入れられるより前にどう生きてきたかによるんだろう。輪廻転生の輪から解脱する勢いで笑い転げるぐらいの、絶望的におもしろおかしい人生を送っていないと難しいだろうなあ。いやはや、まさかわたしが会社での培養液生活に屈伏するとは、思ってもみなかった。
うーん。おかしい。水曜日まで行かないつもりだったのに、なぜか日本橋に行ってしまった。
えるぱれで「ぎゅ〜っと! どれみ」という本があったので買う。「も〜っと! おジャ魔女どれみ」の解説。いくつかの店で「魔法少女アイ」を探すも見つからず。人気のほどは確からしい。「純愛GirL」はたいていの店にあった。ソフマップでこっちを買ってしまう。あと、ディスクプラザで「ウェディングピーチ」のDVDの箱に手を出してしまう。ももこ、ひなぎく、ゆり、サルビアと4個あるうちの1個め。
帰りはわざと遠回りして帰った。どうも頭が痛い。昼間に飲んだ酒が回りすぎたのやも。
どれみさんの本は、ずいぶん前にソニー・マガジンズから出た解説本と似たようなものを期待していたのだけど、これが似て非なるものだ。各話の解説ではなくて、登場人物の紹介とか、おかしの作り方とか、そんなの。たぶん、幼稚園に通うぐらいの子が中心的な顧客なのであろう。でも買うんだ。おジャ魔女だから。
ももピのDVD。買ってしまったけど、いつ観るんでしょ。パッケージの絵をぼへーっと眺めているだけでしやわせ。
「純愛GirL」は登場人物が幼稚園児にしか見えないという問題作。ちょっとだけ遊んでみたけど、なんか、ものすごく、その。本当に問題作だった。
暑いー。昨日の昼も暑かったけれど、暑さがもうばっちり表面化して顕在化してだばだば暑いぜオレは暑いぜ暑くなったぜと実感したのは夜になってからだった。
夜中に「純愛GirL」の毒々しい話を読みながら、暑くて暑くて暑くて死にそうになったので、暖房をつけた。冷房ではなく暖房をつけた。これがちいとも涼しくならない。消費電力を抑えるために冷房を弱く動かす設定になっているのかと思ったけれど、いつまで経っても涼しくならない。そりゃあ暖房をつけているのだからそりゃ暑いさ暑いさ暑くて死ぬさ。冬の間に暖房を使っていたからその設定が残っていて、冷房を入れたつもりが暖房がかかる。
だから一旦、んがごんっと暖房を切る。コンプレッサーさんにすまなく思う。42.195キロ走って疲れたアキレスを携帯電話で呼び出して、こんどは逆方向に走ってくれというようなものだから、とてもすまない。ああすまん。こんどはスパルタまで走ってくれ。熱機関をんごごごごっと逆回転させて冷房を効かせるの巻。逆回転させるとさっきまで熱くなっていた部分を冷やして、冷えた部分を熱するのだから、熱機関にとてもすまなく思う。
この8月で1歳の誕生日を迎えるコンプレッサーさんの尽力により部屋は涼しくなった。めでたい。ああ実にめでたい。実にめでたいのだけど、いつまでも毒々しい「純愛GirL」で遊んでいる場合ではないので、もうおわかれね。さみしいワ。しーゆー、しーゆー、しーゆーあげーん。てなわけで寝る。計算機の置いてある部屋とわたしの部屋は別になっていて、わたしの部屋にはコンプレッサーさんは来てくれないので困った。ああ困った。
ふとんはその中に入るものの体温を保持する効果がある。で、その中に入るととても暑くなる。そこで、ふとんから脱出する。すると。なんと、同じぐらい暑いのである。本当は、わたしをとりまくこの透明な物体は、空気ではないのではないだろうか。ないのではなければあるのであろうか。ないのではないのでなければないのであろうか。これは空気ではなくてお湯ではないのか。水面は、遠く上空1万メートル。これでは逃げ場がない。寝ても起きても布団から出ても入ってもお湯である。でも、寝ないわけにはいかないから、そのままお湯の中で寝た。
残業手当99,666円。かろうじて大台に乗らず。住民税が急騰でびっくり8,700円。1年経ったら2倍になるとはすごい。去年は最初の一月が4,600円で、それ以後が4,000円だった。しかし大阪府の借金がどんどこ増えているから、住民税が2倍になったところでたかが知れている。アレしてナニして振り込まれたのが208,782円。
LSIの内部配線で45度単位の傾きを許容すると線長が平均20%低減される。うーむ。チップの下層のことはよく知らなかったのだけど、45度の配線はとっくに使われているものだと思っていた。多層プリント基板の自動配線ツールでも45度単位で線を引いている、と思う。ふつうは。
昨夜も暑かった。暑いとなかなか寝られない。寝ているのか起きているのかはっきりしないまどろみの時間が午前4時半まで続いた。4時半になると冷たい風が心地いい。朝になっても、ふしぎと寝不足を感じない。
去年、IBMは3,840x2,400pixelでの表示が可能な液晶ディスプレイを開発した。それが市場に出る。298万円。専用ビデオカードが付属し、DVIで接続する。大きさは対角22.2インチ。
うーん。ついに買えるようになったか。高いけど。いま同じ300万円を払うとして、黄色いビートルを買うのとこの液晶ディスプレイを買うのとではどっちが面白いか。かろうじて液晶ディスプレイの勝ちかなあ。買わないけど。
配給じゃあ。久しぶりの配給じゃあ。灼熱の天井裏から扇風機を五台出してくる。わたしの部屋と居間と両親の部屋と弟の部屋と客間に置いていく。
日曜日あたりから、わたしの首と背中の間のあたりに謎の物体Xが生成されている。Xは高さ8mm程度の突起物であり、赤く炎症を帯びている。また外部からの刺激に対して痛む。背骨が一つ増えたようにも見える。ここから羽根でも生えてこんかな。使い道がないけど。
うちの職場に壁があると気がついたのは、一か月ほど前に「がんばれ!! ゲイツ君」が見られなかったときだ。そこは「Cult」に属するから見ちゃいかんらしい。こんな判断基準はあてにならない。MicrosoftやWindowsを批判する人たちはCultなのか。
今日、職場で等身大人形のwebを見に行こうとした。いや、見に行こうとした時点ではそれがなんなのか分からなかった。どうも、どどさんいわく、あずまさん向けの何からしいのだ。ところが、壁で止まってしまって見ることができない。なんでも「Adult」に属するものだから見ちゃいかんらしい。家に帰ってからしばらく見て回って、どのへんがAdultに属するか分かった。
夕方に見る駅はぜんぜん違った。昨日の深夜に見た駅とも違うし、今日の朝に見たのとも、先週の夕方に見たものとも違った。駅から木が見えた。あと、目が悪いから得体が知れないけれども、赤とか白のつぶつぶも見えた。遠くは緑色。この駅にはこんなに色彩があるものなのかーと思った。あるものなのかーと。でも、色彩があるのはあたりまえで、たぶん、今日は夕焼けの光でいつもより赤色寄りの色彩が見えたもんで、そのせいでぜんぜん違う駅に見えたのだということにした。見えたのだと。
あるいは。いまのわたしは背中の違和感のせいで首を動かしにくいから、視線がふらふらしなくなって、ちゃんと前を見て歩くようになったからなのかもしれないとも思った。去年の今ごろは職場が違うところにあって、通る駅も違った。それから一年経って、梅雨どきの夕焼けの下でこの駅の外観を見るのはこれがはじめてなんである。はじめてならば、風景に新たな発見があって当然である。
そんなこととは無関係に、座る席のない電車に怒ったり、帰り際にお菓子屋さんに寄ろうとするもちびバイクを降りるのがめんどくさいから挫折して通りすぎたり、白泉社から出たCANDyがローティーン向けだから気になっていたりしつつもやっぱり本屋さんに行くのがめんどくさいから通りすぎたりするのだった。
そんなこととは無関係に、わたしの脳の中の歌い手さんは一日中AiMの「アシタハアタシノカゼガフク」を歌っていて、あたしゃいまでもデジモン02の余韻にひたっているのでした。好きなカップは「大×賢」でえす。この訴えは毎日していくつもりです!!
そんなこととは無関係に、昨日の朝の電車でそばに立っていた人の読んでいる雑誌に東海林さだおの文章の連載があって、おおこいつが東海林さだおの軽妙な語り口というものなのかーと思う一方で、どうして毎日新聞連載の4コマまんが「アサッテ君」はつまらないのにかくも長く毎日新聞社は放置するのか、加えて、どうしてかくもつまらないまんががどこぞの賞を取ったりするのか、ああ本当は文章のほうで大活躍のえらい先生だから、おたわむれにしたためたまんがにも賞をつけてあげようと思ったんじゃないか、とかそんな、いくないことを考えたのを思い出しもした。文章はまあ、なにかとわたしも影響を受けているっぽい共通のなにかを感じてしまってイイのだけど、とにかくアサッテ君はいくない。いくないんだっ。
てな感じで思いついたことをどんどこ書いていったらいつまで経っても終わらないから、こいつを書くぜこいつを書くんだ熱くて死ぬぜってなことを日記を書く前から考えておかないといけないのだと思う。あるいは3時間ぐらいかけて、一日を思い出しながら書くか。ここで救世主メモ帳に登場願いたい。ここにネタを書いておけばネタが蓄積されるというからふしぎ。
だがしかしメモ帳持ち歩き大作戦はついに敗北を喫し、会社にメモ帳をまったく持っていかなくなった。たまに電話機を持って遊びに行ったときに、親指インターフェイスでもう何分もかけて「池袋裏通り『きらめきメモリアル』40分12,000円。」とか入力するのが精一杯で、電話機に親指一本で入力するときにも括弧や句読点、全角半角の別に気を使ってハイテク機器をたどたどしく触りはじめたあずまさんはえんやこらと時間をかけたりする。これがわたし一人だからいいものの、誰かといっしょだったらこんなことやっていられないという後ろめたさも手伝ったりなんかして、現在、会社の行き帰りで電話機にメモを入力することも忘れてしまった。
そんなわけで、現状では時間をかけられないのと、メモ帳持ち歩き大作戦の敗北が重なって、もおだばだば意味のない文章が字数無制限デスマッチの様相を呈しております。あるいはたった一行「10時半退社」とだけ書かれているか、そんなジグザグ青春ロードまっただ中の日記なのであります。そして解説はマサ・斉藤さんにお願いしております。書きたいことがあって、これを誰かに仕えたいとかエプロンドレスとガーターベルトと首輪は必須だとか……キーック!! そうじゃなくて、書きたいことがあって、これを誰かに伝えたいとか書き残したいとか、そんな高級なものじゃなくて、単に書きたいから書いているんだということをこれほどまでに明確に感じたことがありましょうか。ああああ。なんて楽しいんでしょう。藤原組長、フリをするのがうまいんです。ふりをするから「フリテンダー」です。やおら立ち上がった藤原に……逆水平!! よろよろです。ちょっとガソリンが効きすぎじゃないのか藤原組長。藤原組長のちょっと一杯はすごいんです。
いまのわたしはとても自由です。もおどばどば書いちゃいます。りりかも知らないふしぎなおくすりがなくても自由です。エチルアルコール溶液なしで自由です。たぶん、昼間に飲んだコーヒーがいまだに脳の中を回ってます。首が上を向かなかったりするけれど、わたしは、元気です。あと6時間だけ自由です。
駅で見た風景の話を書くはずが、いつのまにか日記の話になってしまった。駅でなにか思いついたはずなのに思い出せない。思い出せないからイナズマレッグラリアートぉぉ!! ああ、ぴんくは効くね。こんなに強い刺激を受け続けていいのかしらなぜなのかしら。
新しい職場での緊張感とはんだの煙とコーヒーが同時進行でわたしの中に入ってくる。わたしの内部ではさらに妄想が発生して過去の記憶が混ざり合う。この感じを日記に書くことができない。できないから思ったことをそのまんま書こうとする。すると、とても不要な成分が多くなるので困った。いやホント、エルミナ姐さんと、メグの2体が、うさぎ・ちびうさ母娘に見えてしょうがなく興奮冷めやらない大阪府立体育館からお送りしました。また来週。
やっぱり会社には行きたくない。昨日はXの治療のために病院に行きたかったのだけど、行けなかった。試験で使うブツを1台仕上げないといけないから会社を休めなかった。しかし、ブツをよこせとせっついていた人が昨日はたまたま別の用件で離れられなくなって、その間わたしのブツは渡さなくてもよかった。なんだかくやしいので、今日は休む。今日の朝になって決心した。
しかし。健康保険証がない。昨日、あわよくば病院に行けないかと思って保険証を会社まで持って行ったのだけど、そのまま会社に置いて帰ってしまったのだ。労働者の証である会社の作業服のポケットに入れたまま、わたしは家に帰り、保険証つき作業服は会社の更衣室で留守番をする。
しかし。望みはあった。2か月前に行った病院なら、保険証がなくても今日だけは大目に見てもらえるかもしれない。だからその病院に行った。病院には行ったが、中に入ることはなかった。木曜日は休診なのだ。わたしと病院をへだてる扉にそう書いてある。
診察券の裏側を見ると、確かに木曜休診と書いてある。わたしは、水曜休診だとばかり思っていた。なぜならわたしの目は節穴だからだ。水曜日に終わらせなければいけない仕事があるから水曜日は仕事を休むことができない。だから水曜日には病院に行くことができない。そんな思いこみが、病院が休みとなる日を記憶の中で書き換えてしまった。こんな大切な情報を書き換えてしまった。水曜日は仕事から早く帰ることができるから、仕事帰りに病院に行くことだってできたはずなのに、その機会をわざわざつぶしてしまった。
がっかりした。このまま昼から出社することはできない。わたしは仕事をしようと思えば思うほどに堕していくのだ。だから今日は会社にも行かないし病院にも行かない。一日じゅう「流聖天使プリマヴェール」で遊ぶのだ。ああ純菜たん。どうしてあなたはピンクなの。それはね赤ずきん。おまえを一口で食べるためさ。ぎぃやああああぁぁっ。
家に帰って、HDDの整理をする。Mac OS Xを消去。青と白の林檎さんのHDDの2台のうちの1台を空っぽにして、PCに明け渡す。PCの古いHDDが余るが、もはや6GBでは使い道がないので処分する予定。このあと60GBぐらいのHDDを買ってきて林檎さんに積んで、あらためてMac OS Xを入れようかなと。MP3なファイルもどんどこ入れられるなと。
そんなわけで、PCにWindows 98を入れなおす。ドライバを入れたりしているうちに時間がどんどこ過ぎていく。ああ純菜たん。どうしてあなたは以下略。
ここで。別の病院に行くことを決意。健康保険証がないけれど、やはし病院には行くべきだ。夕方は6時から診察をすると電話で聞いたので、6時過ぎに顔を出す。しばし待つが、大きな病院と違って待ち時間はさほどではない。
この病院に来たのは久しぶりだ。わたしの古い記憶では、もっと待合室は広大に感じられた。待合室のすみのほうは底知れない闇に感じられたし、診察室までの廊下はもっと広くて、診察室もまた広いものであった。今日見た感じでは、さほど広いわけでもなければ、恐ろしい闇の世界でもなくなっていた。
でも、ほんとうは闇の世界は消えていない。看護婦はわたしに患部を見せるように言う。わたしは服を脱いで、寝台の上で背中を上にして倒れる。すぐに医師は患部を見る。同時に、これからはじまる地獄の惨劇をすべて理解したうえで、わたしに少しずつ、黒魔術ではなく日本語で説明する。
[1]もともとXは存在したと推定される。
[2]Xは最近になって化膿して、そのために顕在化したのであろう。
[3]治療には2-3週間程度の期間を要する。
[4]Xの内容物を切除する手術をせねばならない。
これだけ説明すると同時に、医師はわたしの寝台に、腰をひねるようにして腰掛ける。そうしてわたしの患部を至近距離から観察する。そして腕でわたしの首のあたりを圧迫した。取りかこむ看護婦がいつの間にか4人に増えている。墓地に集え。宴のはじまりだ。
医師は説明するのと同時にことを運ぶ。そして、
「麻酔するからね。痛いよ」
と言った。もう手には注射器があるのだ。医師の腕で押さえつけられたわたしは、自分の背中がどうなっているのか見ることはできない。背中に鋭い痛みが何度か走ったことと、わたしの頭部から最も近い位置にいる看護婦が、
「……あっ」
と、弱い声をもらしたことだけを知っている。
痛い。とても痛い。ただでさえ痛いのに、そこへ針を刺すのだから痛い。そして注射の後、医師は背中でなにかごそごそやっているのだけど、これも痛い。麻酔が本当に効いているのか怪しいものである。とても痛い。しばらくして医師は、ガーゼに乗った切除物をわたしに至近距離で見せた。赤いものと白いもの。赤いものは血液で、白いものが化膿の産物である。わたしが身体の内部で持つ防衛系と細菌が戦ってできた死体の山である。わたしは「白いんですね」と答えるのが精一杯だった。
このあと殺菌のための薬を塗る。また明日も病院に来なくてはいけないらしい。しかし、わたしは背中の宴がまだ終わっていないのでうまくしゃべることができない。「じ、時間は……」としか言えない。聞き返されて「時間はいつなんですか」というところまでひねりだした。8時までと言われたが、その時間に間に合うように会社を抜け出せる確証はない。なんとか、朝に病院に来るという意味のことをしゃべった。
宴は終わったが、なにもしていなくても痛む。手術痕の上にはガーゼかなにかでふたをしてある。水にさらしてはいけないそうだ。ゆっくりゆっくり歩いて、薬をもらって、ゆっくりゆっくり病院を出た。もし、わたしが年端行かぬ子供なら、今日の宴でまた病院の中に闇の領域を増やしたところだろう。わたしは待合室にいた推定5歳と4歳の兄妹のような、素直な笑みを持つ子ではなかった。
まず病院。待合室で「ゴルゴ13」を読んでしまう。1998年の作品。米国の諜報機関NSAが全世界の通信を傍受して、かつては戦争に備え、いまはテロリストと戦っているという話。大昔に「紫暗号」を開発した数学者が、いまになって強度の高い暗号の開発を始めた。NSAは数学者の暗殺を図るが、ゴルゴ13によって阻止されてしまう。で、話がいいところまで進んだところで診察室に呼ばれる。
処置で背中に鋭い痛みが何度も走る。背中でなにが起こっているのだろう。ガーゼの交換だけではないらしい。
また「ゴルゴ13」の続き。丈夫な暗号がテロリストに使われることを恐れるNSAと、通信の自由が大事だとする数学者がいる。あたしゃ読んでて泣いてしまった。背中も痛いけど。大きな数字の素数を計算するのに膨大な時間がかかるから、新しい暗号は宇宙の創世にかかる時間を費やさないと解かれることはない、という説明がある。残念ながら、最近ではもうちょっと速く計算できる。まあいいや。あんまり美しいので泣いてしまった。穴だらけになって死んでいくテロリストと、心臓を一撃で射貫かれて死んでいく特殊部隊の対比があんまり美しいので泣いてしまった。で、話がいいところまで進んだところで、診察料の請求で受付に呼ばれた。涙が出ているのに。
そのあと出社。どうも、決められた時間までに出社せねばならない規則があるらしい。それに間に合わなかったので午前半休にした。研究所にはそんな規則はなかった。いまから働けるのに、昼まで働けない。この規則があることで効率を落としている。
朝から病院。やっぱり背中でなにかやっている。この鋭い痛みは、針か刃物の感触だ。今日もまた、白い内容物が少量摘出された。
スーパーで買い物。100グラム98円のマグロの赤身を買う。「さかなさかなさかな、魚を食べよう」の歌が流れていて気になる。魚を食べると頭がよくなる。すごい歌詞なのだけど覚えられない。そのあとおとなしく帰る。手元の刺身がわたしを縛るのだ。買い物に行くなら刺身をあとにすべきだった。CDは腐らないけれど、刺身は腐る。
触手がわたしを呼んでいる。ああ呼んでいるんだ。離せ、離してくれ。アイさあああんっ。