思い出のティベリアス

未だにお湯が湧いているヘロデ時代の浴場の遺跡

 ガリラヤ湖の西の湖畔には、ティベリアスという町があります。この町は昔から温泉で知られ、現在は有名な観光地となっています。ガリラヤの領主ヘロデはこの町を自分の領域の首都として建て、当時のローマ皇帝ティベリアスの名前をつけました。町はギリシアのスタイルに建てられたモダンな町で、その中に娯楽のための温泉浴場もありました。しかし信心深いユダヤ人はこの町を嫌っていたと言われます。

ティベリアスの会堂の遺跡

 温泉の周辺には、ユダヤ人の会堂の遺跡が発掘されました。この会堂もヘロデ時代のものだと見られます。イエス様がこの会堂で教えられた記録は新約聖書にはありませんので、恐らくティベリアス町も訪れたことがなかったでしょう。領主ヘロデはイエス様の奇跡の噂を聞いて、イエス様に会いたかったのですが、自分の町で会うことがありませんでした。ヘロデがイエス様に出会ったのは、エルサレムの過越際のときでした。イエス様が祭司長たちに訴えられ罵られたとき、ヘロデも自分兵士たちとイエスさまをあざけり、侮辱したという悲しい話は、ルカによる福音書23章に残されています。

ティベリアス町周辺の湖畔

 ガリラヤ湖は、ティベリアス湖とも呼ばれます。ティベリアスのヘロデ領主は、ローマ人を手を組んで、イエス様の死刑に賛成したのです。しかしイエス様は復活なさったのです。ティベリアス湖畔で復活の主イエスは、途方にくれた弟子たちに現れました。夜通し働いても何も取れなかったペトロたちに大量の魚を与え、そして疲れ果てた弟子たちにパンと魚を食べさせてくださったのです。

 春の朝この湖畔を歩くと、大きな魚の群れが泳いでいるのが見えます。「子たちよ、何か食べるものがあるか」(ヨハネによる福音書21:5)と、復活されたイエス様のやさしいみ声が聞こえているようです。

 ティベリアスの思い出を通して、主イエスが復活され、生きておられる喜びを、皆さんと分かち合いたいと思っています。イースターおめでとうございます。


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