イスラエルの北部のダンという地方には、美しい小川が流れています。ここはヨルダン川の源の一つです。岩の中からあふれ出る水が乾いた土を潤し、真夏でも緑が爽やかで、体も心も休める涼しい木陰をつくります。ここはエデンの園とも呼ばれ、神さまがこんなに美しい大自然を創造してくださったと思わせる場所です。

小川の周辺にはテル・ダン（ダンの遺跡の丘）という丘があります。発掘された遺跡は昔の神殿のあとだそうです。三千年ほど前に、ヤロブアムというイスラエルの王がここに神殿を建て、金の子牛を一体ここに起きました。人々がエルサレムの神殿に登るのをやめて、ここで礼拝するためでした。しかし実際にそれは、王様の名誉を高めるための企てでした。

この美しい世界を創造してくださった神さまを忘れて、手で造られた像を祭るという、人間の悲劇を語っている遺跡です。しかし、目を神さまの大自然に向けて、感謝するようにという呼びかけも、ここで聴いたような気がいたします。＜Ｖ.ソベリ＞