聖書の学び 1月

ガリラヤの春を待つ 〜 アネモネが咲き始めた

「死の陰の地に住む民に光を」

マタイによる福音書4:12−17)

 「イエスは、ヨハネが捕らわれたと聞き、ガリラヤに退かれた。それは、預言者イザヤを通して言われていたことが実現するためであった。『異邦人のガリラヤ、暗闇に住む民は大きな光を見、死の陰の地に住む者に光が射し込んだ。』そのときから、イエスは、『悔い改めよ、天の国は近づいた』と言って、宣べ伝え始められた。」(マタイ4:16-17)

 表題の言葉は預言者イザヤ書9章からの引用です。クリスマスのイブ礼拝に朗読することで、多くの皆様に親しまれています。暗い礼拝堂の中でローソクを灯し、主イエスのご降誕を喜び祝う時のメッセージです。
 

 イザヤ9章は美しい歌ですが、それは当時の歴史な悲惨な現実を語っています。他国の宗教が入り込んで、偶像礼拝が増える中で、真の神様への信仰が薄れた暗闇の時代でした。また、アシリア帝国によってイスラエルの北国が滅ぼされ、住民が捕らわれては殺され、特に北の果てのガリラヤ地方は文字通り死の陰の地であったと言えます。このような絶望の中でイザヤは希望を見出し、神様が約束してくださった救い主の到来を歌っていました。
 

 およそ700年後に、イエス様がガリラヤ地方で伝道を始められました。この出来事を私たちに書き残したマタイは、イザヤの歌を挙げています。イエス様が、この見捨てられた地方、宗教的に軽蔑されたガリラヤを選び、そこで「悔い改めよ、天の国は近づいた」と宣べ伝え始められたのです。神様は死の陰に住むガリラヤの人々を見捨てることなく、自ら彼らに近づいておられ、イエス様の口を通して一人ひとりを招いてくださいました。「悔い改めなさい」という招きは本来「立ち返りなさい、父なる神様のもとに帰りなさい」という愛の招きです。
 

 父なる神様のもとに立ち返る者に天の国が近づき、希望の光が射し込むと、イエス様は約束されました。暗闇や死の陰の時代を生きている私たちにも与えられる素晴らしい約束です。


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