聖書の学び-使徒言行録
初代の信仰に学ぶ

No.36

 「神は人を分け隔てなさらない」
(使徒言行録10:23−35)

「神は人を分け隔てなさらないことが、よく分かりました。」

 主イエスは自分の使徒たちを「地の果てに至るまで」派遣されました。彼らの証しによって「罪の赦しを得させる悔い改めがその名(キリスト)によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる」と、これは主イエスが残された遺言でした。しかし、ユダヤ人の枠の中に育てられた使徒たちにとって、その枠を越えることは極めて困難でした。
 

 なぜなら、ユダヤ人の律法で異邦人との交際は禁じられていました。元々その意味は、神の民が正しい信仰から偶像礼拝に誘惑されないためでした。また、イスラエル人が、バベルの捕囚から帰った後、異邦人との関係がより厳しく禁じられました。たとえば、神様の怒りを免れるために異邦人との結婚も絶縁しなければならなかったのです。
 

 このような壁を乗り越えるために、神様の具体的な指導が必要でした。ペトロは、幻の中で、神様が汚れたものも清めてくださることを学んだのです。コルネリウスが派遣した使者がヤッファに到着し、ペトロに出合ったとき、ペトロは彼らを素直に迎えました。生まれて初めて異邦人と親しく話し合ったと思われます。勇気が必要でした。神様の特別な指示がなければ、ペトロには到底出来なかったでしょう。

 現代の社会の中にも、人を分け隔てる多くの壁があります。人種差別。障害者に対する偏見。無知や無関心の壁。宗教的な偏見の壁。私たちは自分の信仰やクリスチャンとしての生き方を標準にして、それによって相手をはかることがあるかも知れません。
 

 しかし神様は、人間の心の思いをご存じで、正しい裁きを行ってくださいます。また、私たち人間より憐れみ深い方で、ご自分により頼む人を受け入れてくださいます。この宿題を、私たちもペトロのように学びたいと思います。


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