聖書の学び-使徒言行録
初代の信仰に学ぶ

No.33

 タビタ、起きなさい
(使徒言行録9:36−43)

「ペトロが…ひざまずいて祈り、遺体に向って、『タビタ、起きなさい』と言うと、彼女は目を開き、ペトロを見て起き上がった。」

 

 使徒ペトロは、各地方に生まれた教会を訪問したときの出来事です。
 

 ヤッファの教会には「タビタ」と言う婦人の弟子がいました。「婦人の弟子」という言い方は新約聖書の中でここだけです。しかしイエス様が地上で歩まれた時、その一行には既に多くの婦人たちが従い奉仕していました。タビタも、あの女性たちのように、心を込めて教会のために奉仕をしてきました。彼女は特に貧しい未亡人たちを助け、衣類を縫ったりしてきました。
  

 ところが、タビタは病気になって死に、それはヤッファの信徒、特にこの貧しい人々にとって大きな悲しみでした。使徒ペトロが近くに、歩いて3時間程のリダに滞在していると聞くと、急いでペトロをヤッファに迎えました。
 

 タビタが生き返った記録は、主イエスご自身がヤイロの娘を生き返らせた話しと似ています。あの出来事をペトロも見てきたのです。(ルカ8:49以下)イエス様が大声で泣いている泣き女を外に追い出したように、ペトロも人々を外に出し、一人でタビタの遺体に向って祈りました。そして、イエス様がヤイロの娘を命じられたと同じ言葉を用いて「タビタ、起きなさい」と呼んだのです。それで、主イエスが彼女を生き返らせて下さったのです。
 

 「このことはヤッファ中に知れ渡り、多くの人が主を信じた」と、この言い方には、ユダヤ人以外の人々も含まれます。福音は、ユダヤ人の枠を越えて外国人にも渡り始めたのです。これからペトロも外国人に向って主イエスにある救いを伝えるようにと、主ご自身が彼に新しい道を示されました。その話しは次回からいたします。


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