聖書の学び-使徒言行録
初代の信仰に学ぶ

No.30

 忘れられない逃走
(使徒言行録9:23−25)

 「かなりの日数がたって、…ユダヤ人はサウロを殺そうと、昼も夜も町の門で見張っていた。そこで、サウロの弟子たちは、夜の間に彼を連れ出し、籠にのせて町の城壁づたいにつり降ろした。」

 主イエスは、サウロを伝道者として選んでくださいましたが、それは決して栄光の道ではありませんでした。サウロはダマスコで大胆に主イエスのことを宣べ伝えると、それはやはり熱狂的なユダヤ人の注目の的になりました。
 

 ユダヤ人がサウロを憎む理由がよく分かります。彼らの考えではキリストを信じる人々が異端でした。サウロ自身も前に弟子たちを迫害してきましたが、今の彼は前の仲間にとって裏切り者となりました。それに、ユダヤ人はサウロの熱心さをよく知っていました。あんなに熱心な人が伝道すれば、あの誤った信仰が全世界に広がるのではありませんか…。あんな人を殺さなければと、彼らは意気込んできました。
 

 サウロは以前、ファリサイ派の偉い先生であるとを誇っていました。しかし今彼は命がねらわれ、ダマスコを逃れなければなりませんでした。籠につり降ろされる有り様を想像すれば、確かに滑稽であったと同時に、人間的に考えて本当に哀れでした。キリストのためにサウロはこんなに弱く小さくならなければなりませんでした。彼は、ダマスコへの到着も、ダマスコからの逃走も一生忘れられなかったでしょう!
 

 信仰の友の助けによってサウロの命が助かったのです。主イエスのみ名のためにサウロは多くの苦しみを受けましたが、信仰の友に支えられ、ひたすら伝道者の道を進みました。そして、サウロの心に燃えている素晴らしい主イエス・キリストへの愛が一生消えることがありませんでした。


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