聖書の学び-使徒言行録
初代の信仰に学ぶ

No.29

 主イエスに選ばれた器
(使徒言行録9:19−22)

 「サウロはすぐあちこちの会堂で、「この人こそ神の子である」と、イエスのことを宣べ伝えた。」

 主イエスご自身がサウロを、「わたしの名を伝えるための器」として選んでくださいました。そして伝道者になるように準備をなさいました。ダマスコの道で主イエスがサウロに出会いました。「サウル、サウル、なぜわたしを迫害するのか」と、この有名な質問はサウロを止め、180度の方向転換をさせたのです。
 

 ガラテヤの信徒への手紙の中でサウロ(後パウロ)は主イエスとの出会いについて次のように書きました:「わたしはこの福音を人から受けたのでも教えられたのでもなく、イエス・キリストの啓示によって知らされたのです。」(ガラテヤ1:12)
 

 サウロは若い時ファリサイ派の最も高い教育を受けていたので、優れた聖書の知識をもっていました。それは、人間がどのようにして神さまの律法を守ることが出来るかという知識でした。しかし、復活の主イエス・キリストの啓示によってサウロは初めて「福音」を知りました。即ち神さまご自身が主イエスによって救いを備えてくださったことを悟ったのです。
 

 アナニアというクリスチャンの兄弟がサウロを訪れる時、サウロは洗礼を受けました。洗礼によってサウロは、過去の罪が赦されたことを確信し、新しいクリスチャンの歩みが始まりました。ダマスコの信徒たちはサウロを信頼し、兄弟として受け入れたこともまた、主イエスの秘められた働きであったと言えます。
 

 サウロは「主イエスが選んだ器」で、これらのすべてのことが伝道者となるための準備でした。サウロはすぐ、ユダヤ人の会堂で主イエスのことを伝え始めました。しかし世界伝道のために選ばれたサウロの準備期間がこれで終わったわけではありません。あらゆる困難を通して彼は、主イエスの厳しい訓練を受けなければなりませんでした。そういう中でも、自分を愛し選んでくださった主イエスへの感謝はサウロの心から一生絶えませんでした。


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