聖書の学び-使徒言行録
初代の信仰に学ぶ

No.27

 サウロの回心
(使徒言行録9:1−9)

 「サウロは地に倒れ、『サウル、サウル、なぜわたしを迫害するのか』と呼びかける声を聞いた。」

 サウロは、ファリサイ派に属する人で、神様のみ前で完全な人間になろうとしてきました。その熱狂的な生き方が、キリストを信じる弟子たちを迫害することに至りました。しかしサウロの人生には劇的な出来事が起りました。主イエスご自身が彼に出会い、その人生に180度の方向転換をさせたのです。これは一般に考える「改心」ではなく、回心と言われます。
 

 「弟子を殺そう」と意気込んでいたサウロは、天からの光の中で主イエスを見ると、地に倒れました。目が見えなくなり、力が完全に抜けてしまったのです。自分でダマスコまで歩くことさえ出来ずに、同伴者に連れてもらわなければなりませんでした。そして次の三日間を暗闇の中で過ごしたのです。
 

 サウロのそれまでの信仰も生き方も徹底的な過ちであったことが明らかにされ、すべてが崩れてしまいました。しかしこの”破たん”こそ新しい歩みの始まりでした。先がまだ見えませんでしたけれども、サウロは祈っていました。
 

 主イエスがサウロの自己中心的な信仰を壊してしまいましたが、サウロを見捨てることをなさいませんでした。アナニアという弟子を用いて救いの恵みを伝え、サウロの人生を作り替えてくださいました。サウロを「伝道の器」として予め選んでくださったからです。
 

 「あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだ」と主イエスが言われました。私たち人間が気がつかないうちに主は回心への道を備え、信仰に導いてくださいます。サウロほど劇的ではないかも知れませんが、主イエスの導きを数えきれないほど多くの人々が経験してきました。


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