聖書の学び-使徒言行録
初代の信仰に学ぶ

No.24

  神の賜物
(使徒言行録8:9−25)

 「エルサレムにいた使徒たちは、サマリアの人々が神の言葉を受け入れたと聞き、ペトロとヨハネをそこへ行かせた。二人はサマリアに下って行き、聖霊を受けるようにとその人々のために祈った。・・・人々の上に手を置くと、彼らは聖霊を受けた。」

 エルサレムでは大きな迫害が起りましたが、この迫害は福音宣教の新しい切っ掛けとなりました。七人の奉仕者の一人、フィリポはサマリアに下り、サマリア伝道が始まりました。多くの人々がフィリポの説教を聞いて、イエス・キリストを信じるようになり、洗礼を受けました。
 

 サマリアは宗教的に非常に複雑な地方でした。一方では、古くから伝わった旧約聖書の信仰が守られていたと同時に、さまざまな偶像礼拝や魔術がその宗教に入り込んでしまったのです。その代表的な人物としてシモンという魔術師が今日の話しの中に登場します。シモンも、フィリポの力強い説教に心が打たれ、信じるようになりました。
 

 サマリアの嬉しいニュースがエルサレムに届くと、ペトロとヨハネがこのように生まれた新しい教会を訪ねました。同じキリストを信じているのに、この教会に何かが欠けていることが彼らに分かりました。それで彼らは信徒たちのために祈ると、神さまは彼らの祈りに応えて、一人一人に聖霊の賜物をくださったのです。それは確かに目に見える形で力と喜びとして現れたのでしょう。
 

 シモンは、この不思議な出来事を見ると、お金でこの同じ不思議を起こす力を買いたいとペトロに求めたのです。シモンはイエス・キリストを信じるようになったとしても、まだまだ完全に前の生き方から抜けていなかったので、ペトロは彼が滅びないように厳しく警告したのです。
 

 シモンは以前魔術師として奇跡を行い、使徒たちの手によっても奇跡が行われましたが、その違いはどこにあったでしょうか?使徒たちが、主イエスの栄光を現すために宣教し、神様ご自身が彼らの手によって悪霊を追い払い、病人をいやし、信仰の弱い人に聖霊の力を与えてくださいました。しかしシモンは、自分自身を「神の力、偉大な人物」と自称したのです。即ち神様の栄光ではなく、自分の名誉を求めました。これは神さまの前では罪であったわけです。
 教会の伝道は、人間の力によるものではありません。神様は、キリスト・イエスの栄光を祈る人に聖霊の賜物を与え、その人を教会の伝道に用いてくださいます。


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