聖書の学び-使徒言行録
初代の信仰に学ぶ

No.21

  最初の殉教者
(使徒言行録7:54−8:1)

 「主よ、この罪を彼らに負わせないでください。」

 ステファノの説教は厳しい訴えで終わりました。神様は自分の民イスラエルを愛し、守り導いて下さったのに対して民が罪を犯し、神様に背いてしまったのです。これを聞いた人々は激しく怒り、歯ぎしりしました。ステファノの説教は彼らの罪を明らかにさらけ出し、彼らの心が痛く刺されましたけれども、彼らは自分の罪を認めることも、悔い改めることもしませんでした。そして自分を正当化する心の頑なさは、恐ろしい悪事の原因となったわけです。正式に始まったステファノの裁判は不法な形で終わりました。ユダヤ人は死刑をくだす権威をもっていませんでしたが、人々はステファノをローマ警備隊の目が届かないところに引っ張り出して、そこで石を投げ始めたのです。
 

 その時ステファノの目の前に天が開かれました。「人の子」主イエスがステファノを迎えるように、父なる神さまの右に立っておられるのが見えました。「人の子」というのは、神様が遣わされた救い主の敬称でした。イエス様は、自分が「人の子」であると告白された故に、神様を冒涜する者として死刑にされました。今ステファノも皆の前で同じ信仰を告白すると、キリスト教会の最初の殉教者として死を迎えたのです。
 

 ステファノの熱心な伝道活動は悲劇的に終わったようですが、実際にこの出来事は新しい始まりでした。ステファノは、主の元に天に召されました。そして最後の瞬間、イエス様が十字架上で祈られた言葉を叫んだのです。「主よ、この罪を彼らに負わせないでください」と。
 

 ステファノの殺害を賛成する人のうちにサウロという若者がいました。ステファノの執り成しの祈りは、彼の人生を大きく変えたのですが、サウロはあの時そんなことを考えてもいなかったでしょう。 


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