聖書の学び-使徒言行録
初代の信仰に学ぶ

No.15

  Diakonia 、食事の世話
(使徒言行録6:1−6)

 「霊と知恵に満ちた評判の良い人を七人選びなさい。彼らに食事の世話を任せよう。」

 教会が成長すると問題も生じました。最初の信徒たちの多くは”土地の人”で、アラム語を話すユダヤ人でした。しかし最初から、あらゆる国からエルサレムに帰ったユダヤ人も信仰に導かれたのです。信徒の数が増えると、少しずつギリシア語を話す別のグループが出きてきました。

 ユダヤ人の会堂では、地域の人々から施しを集める担当者がいました。毎週金曜日の午後安息日が始まる前にその担当者が貧しい人たちに次の一週間分のお金または食料品を配ったそうです。初代教会はまた、毎日の「愛餐会」の形で貧しい人の世話をしました。 
 ギリシア語を話すユダヤ人の中で、貧しい人や特にやもめがたくさんいたと言われます。なぜなら、あらゆる国の信仰深いユダヤ人は、聖地に骨を埋めて欲しいと願い、年をとるとエルサレムに戻りました。残された未亡人は、頼りになる人も財産もなくなると困ってしまいました。生活を支えるものは、教会の食事会でした。

 しかし、奉仕する人の手が足りないせいか、ギリシア語を話すやもめのグループから苦情が出ました。教会も人間の集団であるので、問題が起きたのは不思議ではありません。注目すべきことは、責任を持っている12使徒たちが、彼女たちの声をすぐ聞き入れ、問題に取り組んできました。彼らは信徒全員を集めて共に良い解決を求めました。前向きの話し合いの結果、日々の奉仕のために「霊と知恵」に満ちた7人が選ばれました。彼らのつとめは「diakonia」と呼ばれ、文字通り「給仕」でした。このようにして教会の社会福祉の形が整いました。そして使徒たちは、祈りとみ言葉の宣教と教えることに専念することができたわけです。
 

 「キリストの体」である教会では、人の体も心も大切にされ、また一人一人が与えられた賜物に応じて働く姿が私たちに描き出されました。


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