聖書の学び-使徒言行録
初代の信仰に学ぶ

No.11

  貧しい人がいなかった
(使徒言行録4:32−37)

  「信者の中には、一人も貧しい人がいなかった。」

 
 
 初代のエルサレム教会は実際に貧しい人が多かったと言われます。ガリラヤからイエス様に従ってきた人々がエルサレムに残りましたが、仕事は中々見つかりませんでした。教会員の中で未亡人や孤児も多くいました。またみ言葉の宣教に専念した使徒たちの生活費も皆で負担していました。
 

 ユダヤ人の社会では元々貧しい人、やもめや孤児の世話をする義務がありました。たとえば畑や葡萄園に貧しい人達のために麦の穂や実を残さなければならないと言う掟がありました。これはイスラエルの社会福祉の始まりでした。そして、もしイスラエル人は神様のみ心に従うならば、民の中で貧しい人がいなくなると言う、神さまの約束も旧約聖書に書いてあります(申命記15:4)。
 

 この約束は初代教会の生活の中で実現されました。エルサレムの信徒たちは、心を一つにして祈り、礼拝を守りました。この新しい交わりは、日常生活にも及び、互いの思いやりと持ち物の共有の形で現れました。信徒たちの中で「持ち物を自分のものだ」と言う人がいませんでした。イエス様がある金持ちの青年に「持っている物を売り払い、わたしに従いなさい」と進められた通り、自分の土地や畑を売り、費用を皆に分け与える信徒がいました。
 

 エルサレムの教会で、持ち物の共有はあくまで自由でした。売らなければならない義務がありませんでした。エルサレム以外の教会ではこんな形の共有がありませんでしたが、他の教会はエルサレムの貧しい教会を助けるために募金活動をすることがありました。
 私たちの全てが神様から与えられたものであるので、捧げるとき、神様のものを神様に帰するだけです。
 

 それから、「貧しい人がいない」ことの秘密がもう一つあります。最初の信徒たちが「喜びと真心をもって一緒に食事をし、神を賛美していた」。エルサレムの信徒たちが、持ち物に憧れている私たちに、本当に豊かな生き方を教えています。


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