内容●自分でもわけが分かりません。
だるい。
夜になると、全身がだるい。寝床に入っても眠れない。寝たいのに眠れない。
点滴。
病気のことを書くのが楽しくってしょうがなく、苦しみながらも文章を考えていた。できることなら苦しんでいる最中にキーボードを叩きたいものだが、残念ながらいま1日遅れでこの日記を書いているから、病んだ4ビットの脳の覚えたであろう感動を書きつけることができないのが残念だ。
2年ほど前にウィルス性腸炎というもので一晩苦しんだことがあるのだけれど、あれほどにはひどくはない。とにかく寝たいのに眠れず、ときどき意識がなくなるのだけれど、また目が覚める。こういった拷問のような過ごしかたは、なかなかに絶望的であった。自覚症状としては、熱はなく、嘔吐感があるけれど吐きはしない、強い脱水症状がある、というものである。
朝になって病院に向かう。診察開始が9時で、その5分前に病院についた。わたしの2倍以上生きてらっしゃる方々がもっと早くから集まっているので、待ち時間がけっこうある。じっとしているのもまた、なかなかに絶望的であった。医師の話によれば、嘔吐と脱水症状はいまえらく流行しているのだそうで、職場や家でも似たような話を聞いた。
一時間ほど横になって点滴を打つ。こうして歯医者さんに行く時間はなくなった。
歩ける。あたし歩けるわ!! 点滴を打ったら背筋を伸ばして歩けるようになった。
「シネ・リーブル梅田」にまた「エコール」を観に来た。へんてこな映画で、2度観てもやっぱりわけが分からなかった。
稽古は無理だと思い、そのまま帰る。
同行の人の前ではウィルスたちも活動を待ってくれていたようなのだけれど、一人で帰りの電車に乗ってつり革を持って立っている間に、乗り換えの電車を待つ間に、どんどこ彼らは元気になってきた。電車の扉が開くごとに寒くってしょうがない。
拷問タイムが終わり、駅を降りるとまた寒い。駅前の駐車場に停めているバイクに乗るのはあきらめて、タクシーに乗って帰る。
今度は眠れた。
回復。
ずっと眠っていたわけではないけれど、寝たり起きたりしていた。朝には食欲がある。昨日は食べられなかった夕食のカレーを朝から食べる。2杯食べる。やっぱりスパイスが好きだ。かなり好きなのだ。
回復。
ずっと眠っていたわけではないけれど、寝たり起きたりしていた。朝には食欲がある。昨日は食べられなかった夕食のカレーを朝から食べる。2杯食べる。やっぱりスパイスが好きだ。かなり好きなのだ。
梅田のヨドバシカメラにて、台詞を録音するためにICレコーダを買ってきた。今度はなくさないようにしよう。
休めず。
休みにしたかったのだが休めず。
特記事項なし。
歯医者なし。
歯医者に行かずに稽古。
特記事項なし。
すぐ出てくる。
全身に力が入らない症状が抜けない。もう限界と感じ会社を休みにする。
「ホワイトローズ」へ。129回め。
開店直後にお帰りして、つぐみ嬢のチョコバナナの飲みものを飲む。すぐ出てくる。
眠い。
眠い眠いああ眠い。早起きして台詞を確認していたら遅刻。朝から会場を作る。昼に絵が届く。ぎりぎりまで準備して夕方に幕開け。笑いがないところでも反応があるのを感じる。
忘れもの、マドモワゼルのかわいい傘が一本。
終わる。
出来はよかったと思うのだが、反応は意図したものと違う。ヨン様のものまねが通じた。
終わって片付け。ピンクのカクテルを飲み続ける。
休む。
また休んでしまう。一日なにもせずに過ごせば社会復帰できるような気がする。
4日間にあれこれ刺激を受けるうちに写真展をやれと背中を押されまくり、路上の写真を探しはじめる。A3の大きさに印刷した写真を200枚ぐらい壁にびっしり貼りたい。で、ギャラリーを探すのだけれど、どうも考えているのと違う。
お決まりの1週間契約みたいなのは、ずっと貼りついているわけにもいかないので無理なんである。だいたい平日に見に来る人なんかいないのである。アートの世界に名乗りを上げようだなんて全然思ってはおらず知り合いが見てくれたらいいのであって、もういっそのこと自分の部屋でやれって感じである。さすがにそうもいかないのでうんうん考えるうちに、メイド喫茶を一日借りたらいくらかかるのかを考えだした。
社会復帰。
社会復帰。やっぱり全身に力が入らない。なんだこれは。階段を降りてまた上がってくると、遠足のあとのような心地よい疲労感が。ふう。なんなんだこれは。
異世界に入り込んでしまったわたしには新鮮で、そりゃもう、見なれた文字がゲシュタルト崩壊を起こしてしまうぐらいに新鮮で、キーボードを叩く指が鉛直下向きにかける荷重は何ニュートンであったかを意識してする寸前の気分でキーのばねの硬さを感じ、階段を蹴る足には重力を感じ、電話をかけて人を捕まえておくのがいちいち面倒で、こんなことを毎日やっていたのか。4日間会社に行かない間に違う人になったみたいだ。
飲み会。
会社の飲み会。途中で明治製菓の「Fran」をたくさん置いている店を見つけた。飲み会ではピンクのものばかり飲む。
特記事項なし。
また事故らしい。
同じ路線で3日連続の「人身事故」だ。
今回は駅からの飛び込みで、肉と骨の引きちぎられたさまがよく見えたそうである。強い力で押しつぶされ引きちぎられた死体は、猫のものは道路でよく見かけるが、人間のものはまだ見たことがない。
自殺の名所の駅をふだん使っている人とそうでない人とでは、そういった機会で差を生じる。路線には快速が止まる駅と止まらない駅があって、ぼくは快速の止まる駅を使っているものだから、自殺の名所にはなりにくい。で、そういったものを目にする機会に恵まれてしまった人は、慣れてくるものなんだろうか。人間の死体はかなり特別なものと考えられていると思うのだけれど、見る機会のないまま過ごす人となにか考えかたが変わるのだろうか。
徒労感。
「ホワイトローズ」へ。129回め。
めぐ姐に「楽しんできてください」と言われて出てきたが、このあと起こることはあまり楽しいものではなかった。
もう無理。これからもうまくやっていけそうにないと悟る。ものすごんごい徒労感といっしょに、とぼとぼと帰る。帰り道にも追い討ちをかけるようなことが起こり、もう会うまいと決める。別れの挨拶もないまま。
とぼとぼと鶴橋へ。
「ホワイトローズ」へ。130回め。
キリカたむが例のはがきを持っていたというのが、けっこう驚きであった。劇場で配られるパンフレットにはさまれていたのであった。
負けずにすんだ。
「ホワイトローズ」へ。131回め。
みさ嬢の誕生日会だったのだが夜はちと都合が悪い。夕方に出てくる。
1週間ぶりに集まってまずは経費を精算する。あいかわらずけっこうな出費である。売り上げから会場代を出して、それ以上にかかる残りの経費は持ち出しという按配である。こういうところまであいかわらずで、まだ損益分岐点の半分ほどでしかない。
そのあと肉を食う。じゃんけんには負けずにすんだ。
どろどろ。
自由に身になったのも束の間。まったくおしごとはどろどろとした世界へ入りこんでいく。
やりたくない。
会議中に別のことを考えてしまって、目の前のえらい人の話が聞こえてこなくなった。会議が終わったあと、やるべきことを整理してがくぜんとした。小さい声でしか話せなくなった。この給料ではつき合いきれない。
まあそんなことは言っても仕事はやっつけないといけない。幸いにしてこの事業も成熟してきたから、やっつけ仕事でも製品はできあがってしまう。いままで別の事業部にいたときと同じように薄利多売の道を歩む。ここは過去に業績がよかったがゆえに、いろんな事業部の社員が集まる墓場となった。傾いていく事業のありさまを見てきた人が多いであろう。
過去に沈んでいった事業からなんの教訓も得られずに、いまゆっくりと事業の成熟と死に向かっていくのを、またも黙って見ていることにあらためて無力感をわがものとしている人も多かろう。そういった過去のない人は、新鮮な気持ちでがっかりしてくれていることであろう。勢いがなくなった事業が崩壊に向かう順序をいまごろになって知っているのだ。ははは。
山は超えたっぽい。
午前8時10分。駐車場の券はまだわずかに残っていた。
なんとか前進する。次から次へと呼び止められて、全身の力が抜けていく。もう山は超えただろう。早くこいこい冬休み。
萌え萌えす。
帰ってきてTVをつけると、たまに「きよしとこの夜」の放送に出くわす。氷川きよしに萌え萌えする。
特記事項なし。
衣装がロリータだ。
「ホワイトローズ」へ。132回め。
黒いドレスのチルたむ、赤のチェックのスカートのめぐ姐と写真を撮ってもらう。今日はロリータの日だ。衣装が。
「マジックスパイス」なんば店に行ってみた。「チキン」の「虚空」は辛くなくなっていた。「アクエリアス」以来、しばらく辛さに対して拒絶反応があって「虚空」でさえもひどく辛く感じたが、もうもとに戻ったみたいだ。
「ホワイトローズ」へ。133回め。
黒いひなつ嬢といちご柄のドレスのみさ嬢と写真を撮ってもらう。
ぼくとすれ違いで出ていった人が、ずいぶんしでかしたらしい。
ひさびさに「下寺住宅」にやってきた。北側の取り壊しがはじまったと聞いてあわててやってきた。でも、週末は工事をやっていないから、柵の中を見るのが難しい。こりゃだめだ。
姉ちゃんの詩集。
昼ごろまで寝る。携帯電話をいじっていて、犯行予告みたいな文章を目にしてふとんから飛び出す。
「ホワイトローズ」へ。134回め。
開店から1時間経ってたどり着いた。ずいぶん集まりが悪いなあ。昨日の人はもう出ていったらしい。そのあとも姿を見せなかった。
ワインレッドのドレスのひめあ嬢、いちご柄のドレスと赤いめがねのみさ嬢と写真を撮ってもらう。まだロリータの日は続く。ひめあ嬢は「ゾンビ屋れい子」ではリルカ姉さんが好きらしい。
難波のジュンク堂書店。サマー「姉ちゃんの詩集」を2冊買う。
「ホワイトローズ」へ。135回め。
黒と花柄のドレスのつぐみ嬢、これまた黒ドレスのみる姉さんと写真を撮ってもらう。
結局、なにごともなかった。こうして一人の住人が消えていった。
閉店時間になったが長話が終わらない。「ミルクカフェ」に移る。11回め。
ミルクカフェに2回めにお帰りしたときに、貴嶺嬢に「ピンクマン」というえらく恥ずかしいあだ名を頂戴したのだが、まだその名前で呼ばれる。
黒いクリスマスがやってきたぜコンチクショウめ。突然メールが来て「8時にロケット広場で待っています♥」……みたいな展開はもうないのだ。こちらからお断りだコンチクショウめ。そんなわけで安心して飲んだくれる。
すごい話を聞きおよぶ。話しこみすぎて電車がなくなり、途中からタクシーで帰る。この日は32回ぐらい「メリークリスマス」と言った。
黒いクリスマス。
仕事はあったのだが、早く抜け出す人が多いのに便乗してわたしも早く抜け出してみた。
「ホワイトローズ」へ。135回め。
サンタメイドの日。アオイ嬢とひなつ嬢が赤いドレスのサンタさんであった。写真を撮ってもらうのを忘れていた。
つぐみっくすがここを見つけたらしい。以前はもっと時間をかけて書いておったのだが、いまのありさまではがっかりだ。
また「ミルクカフェ」に向かう。12回め。
黒いクリスマス2日め。昨日に引き続きまたすごい話を聞きおよぶ。そのついでに昨日と同じことを言われて焦る。
この日は4回ぐらい「メリークリスマス」と言った。前日よりちょっと早く出たのだがやっぱり間に合わず、途中からタクシーで帰る。
仕事だ。
おとなしく仕事する。おとなしく帰る。
仕事だ。
やっぱり仕事する。おとなしく帰る。
「ホワイトローズ」のつぐみっくすが辞めるという話が周知になる。
明るいうちから飲む。
仕事納め。そのあと明るいうちから会社の飲み会。
「ホワイトローズ」へ。136回め。
今年最後のお帰り。キリカたむとひめあ嬢だった。
サンタメイドの日に出されていたひなつ嬢のクッキーがまだあった。なので食べる。持って帰る人もいて、これで全部なくなった。
「ミルクカフェ」に向かう。しばし足が遠のいていたが最近お帰りしまくりだ。13回め。
ムシューGが自分は呪われてるとおっしゃるが、ここまでくると本当に呪われていそうだ。彼の暗黒面がみるみる分かった。
帰るところがいっぱいある人がうらやましい。いったい「mo"A」には一体なにがあるのか。萌えはないですよーなんて言いながら、彼らは狂わされていく。
急に寒くなった。
髪を切る。
4か月ぶりに髪を切りに行く。もう黒ずくめの刑事の役は終わったのだから髪を切りゃいいのだが、伸ばしてみるとなかなか切れないのである。
昨晩日本橋でブラックルシアンを飲みながら、ぼんやりと切ったあとの姿を想像できた。髪を黒く戻していたがもうやめである。髪もまっすぐにする。いつもの店で4時間かかってやっと終わる。
買いものに行きたかったが、あんまり寒いのでやめにした。もう夜だ。「ホワイトローズ」が開いていないと、もう行き先がないような気になってしまう。こりゃあなんと寂しい老後だろう。
部屋に戻って、自分の髪のさらさら感を記録するべく、携帯電話と一眼レフでがんばって撮ってみる。
こういう局面で、でかい一眼レフの不便なことときたらないのである。一眼レフは、写す絵と同じものがファインダーで見られるという利点のために、あんなにでかい図体を強いられるわけだけれど、腕を伸ばしてカメラをこっちに向けていたらファインダーなんか見えるはずがない。ただ腕が疲れるだけなのである。
セルフポートレートを撮る人はきっと三脚を使うのだろう。地面ばかり撮ってきたから気付かなんだ。まったく、こんな姿は人に見られたくない。しかし、家族に代わりにシャッターを押してもらうのもやっぱり恥ずかしいのである。
白昼夢。
朝起きてまた寝る。
仲のいい男女がぼくの部屋を訪ねてきた。なのに、あんまり眠いので寝てしまう。川の字になって寝ていたら、突然マイ母上が入ってきて年末なんだから掃除しなさいとたたき起こす。……という夢だった。夢の中でも寝たり起きたりできるのか。
昼起きてまた寝る。
ピンクの携帯電話でメールを書いていた。返事が来た。なんだかすごいことが書いてある。わたしを捕まえたかったらここまでいらっしゃい、みたいなことが書いてある。ここってどこだ。……やっぱり夢だった。夢の中で読み書きができるのかどうか、ちょっと疑問だ。
ああすごい。ぼくは年に一度ほどしか夢をみないというのに。さよなら二十歳のわたしと、溺れるあなたの四十の生命。……みたいな脱力感。部屋を片付ける予定であったが、すぐにあきらめる。
急に気になって日本橋のメイド美容室「mo"A」の値段を調べだした。
縮毛矯正とカットは18,000円からと書いてあるから、値段はいつもの店とそんなに変わらない。のだけれど、ぼくはいつもの店では染色だとかお金のかかるものは、値引きのあるキャンペーン期間にやったりするのでもうちょっと安い。そうすると18,000円ってけっこうな値段だ。
GさんやOさんを狂わせるのはなんなのか。やっぱりよく分からない。聞いてみても「萌えはないですよ、ふふふ」なんて言われるだけだ。はさみを持ったメイド美容師にどんないじられ方をしているのかをのぞきに行きたい。気の遠くなるほど先の長いポイントカードも気になる。プラチナ会員になる人って何回染めたり引っぱったり切ったりするのか。
ただこういうのは、ほかの人に切ってもらいたくないのである。あとでいつもの店に行ったら浮気がばれてしまう。染色やパーマネントといった薬剤処理も髪に長く残るものだから、メイド美容室の扉を開けるのはけっこうな覚悟がいるのである。
あなたの名前を呼ぶわたし。
どういうわけか、戸川純の「さよならをおしえて」を聴く機会を持ってしまった。間奏の台詞の途中で声が変わるところの萌えっぷりときたら。あはああ。
たとえ大惨事が起きて、濁流が走り、街中が廃虚と化しても、
シェルターの重い扉を開けて、あなたの名前を呼ぶわたし
ぼくの知っている「Comment Te Dire Adieu」はこんな曲じゃないよう。Françoise Hardyの原曲の切ない感じを無視して違う曲にしてしまいっぷりときたら。
音源がほしくなったのだが、「東京の野蛮」という古いCDをどうやって手に入れたものか。次にカラオケ屋さんに行くことがあったら、これをやりたい。ああやりたい。
EOS 5Dを買う前にEOS Kiss Digitalというカメラを使っていて、それと一緒に買った安いズームレンズを久しぶりに引っぱり出してみた。
トキナーという会社が出した、標準ズーム28-70/F2.8と、広角ズーム19-35/F3.5-4.5の2本を2年ぐらい前に買った。前者はペタさんにEOS Kiss Digitalと一緒に譲ったので、もうない。で、後者は広角の使いかたがよく分からなくてほとんど使わなかった。で、久しぶりに練習がてらカメラにがちゃこんとくっつけてみた。
ファインダーの暗さ、周辺の暗さ、さすがは安いズームレンズである。しかし、当時、この楽しさが分からなかったとは、なんともったいない。