キアゲハ〜4〜

 キアゲハ再び

2003年9月2日
キアゲハ幼虫

キアゲハの幼虫は芋虫類の中でもとりわけ愛らしいので、みつけると拾ってしまいます。
それにこの春越冬蛹からの羽化を試みたものの、あまり良い写真が撮れなかったので今少し頑張ってみようと思い飼育しました。

キアゲハ幼虫

終齢幼虫で、そろそろ蛹の時期が近いようです。
腹部あたりの表皮がだぶついてきて「しわしわ」してきています。表皮のキチン質等を体内に回収しているのだそうです。

キアゲハ幼虫

脱糞中。まだ固形の糞をしていました。蛹になる直前になると下痢便のような水分の多い糞をします。(蛹糞と呼ばれます。)

2003年9月3日
キアゲハ幼虫

この個体はケースの天井からぶら下がって蛹になることにしたようです。

キアゲハ幼虫

こちらは思惑通り割り箸を支柱に選んでくれました。
脚だけでなく腹足(腹についている吸盤のような突起物、これを使って葉っぱにしがみついたりしています)でもしっかりと支柱に体を固定しています。 既に体を支える糸も完成して背中をくぐらせてあります。
表皮のしわも目立ってきました。

キアゲハ幼虫

腹足が支柱から離れました。糸のみで体を支え、いよいよ蛹になり始めています。

キアゲハ幼虫

ところが、この個体が蛹化し始めたときに大きく揺らしたりしてしまいました。すると、蛹化に失敗、幼虫の表皮を脱ぎかけたものの 蛹になりきれず、グロテスクな姿で死んでしまいました。
脱皮や蛹化、羽化は昆虫たちにとって大変な大仕事らしく、その瞬間に風かなにかでほんの少し何かが触れただけでも失敗してしまうと言います。
3個体中2個体のみ蛹になりました。



 羽化

2003年10月13日
キアゲハ

前と同じように蛹が黒くなってきたのでそろそろだなあと思いなんとなくテレビの上に飼育ケースを置いてビデオを見ていました。
その偶然のおかげで羽化の瞬間を今度こそ捉えることができました。
時刻は午後6時頃、意外にも夕方になってからでした。(朝のうちに羽化するという印象が強いのです。)

蛹の殻を破るところこそ見逃しましたが、するりと出てきて高いところに登り羽を伸ばし始めました。
初めは羽がくしゃくしゃなので、非常に黒っぽい印象があります。

キアゲハ

口吻を丸めたり伸ばしたりしながら羽も徐々に伸びていきます。

キアゲハ

ここまで羽が広がると「急に黄色くなってきた」印象があります。蛹の殻から出てきてここまでで約2分。

キアゲハ

見る見る内に羽が伸びていきます。

キアゲハ

かなり広がりました、ここまでで約5分。
更に5分後にはすっかり羽も伸びきり羽化成功。

蛹の期間は約40日でした。しかし、この時期もう北海道の野外は寒いのです。室内で飼育していたので羽化が早まったと思いますが、 もし野外だったら10月末の羽化かもしれません。既に野外には成虫の餌になるような花もなければ、卵を産み付けるに適した「葉の生い茂ったセリ科植物」もありません。 (枯れてきているセリはありますが。)北海道のキアゲハにとって8月初旬頃の生まれの幼虫はロスになるようです。
ただし、昨年10月に蛹化した個体(おそらく8月下旬頃孵化した個体)は「越冬蛹」でした。(キアゲハ〜1〜キアゲハ〜2〜を参照してください。)
今回の幼虫は日長(昼の長さ)によって「越冬せよ」というプログラムが作動しなかったことになります。 9月ごろの北海道の日長がキアゲハの越冬プログラムに関係していると推測されます。
調べてみたところ、2003年9月初旬(今回の個体が蛹になる直前)の日長時間は晴れた日で10時間大、 2002年10月中旬(前回の飼育個体が越冬蛹になる直前)は9時間大でした。(ただし晴れた日は少ない。)
観察個体がごく少ないこと、正確に日長時間を計測していないこと、終齢幼虫以降室内飼育で弱いとは言え蛍光灯の光を浴びていること、 などからキアゲハの越冬プログラムのキーをこれだけで推測することはできません。
関東以南であれば今回の個体も繁殖のチャンスがあったでしょうね。

とりあえずキアゲハ飼育観察については一通り見れました。今後はよほど変わった写真が撮れないかぎりキアゲハについては「卒業」ということにします。


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