準備2
培地の準備
 


 

・培地の調整

 実験に使う微生物の餌(培地)は、微生物ごとに適切な培地があります。培地の選択を間違えると微生物が全く増えないこともありますから、自分の使う微生物がどんな餌(培地)を好むかきちんと調べておきましょう。一般的には、バクテリアは普通寒天培地(肉エキス寒天培地とも呼ばれる)でだいたい生育し、糸状菌はジャガイモ箭汁培地(PDA:ポテト・デキストロース・アガー、糖成分をシュクロースにしてPSAとする場合もある)でだいたい生育します。気むずかしい微生物もいるので気を付けましょう。

1.固形培地(寒天培地)

試薬類

(1)わたしの場合は、まず培地に用いる試薬を全て棚から出してきます。


培地の準備

(2)300mlのフラスコに200mlずつ作成します(300のフラスコは片手で操作しやすい。フラスコは、ぎりぎりまで液体を入れてオートクレーブにかけると突沸しやすいので、300のフラスコなら内容物は200mlくらいが適当。)
フラスコには培地200mlに必要な寒天(一般的に2.4〜3.0g)を入れます。それ以外の要素は必要量全量を計って大きなビーカーなどに入れます。肉エキスなどのペーストを用いるときは、小型のビーカーで必要量を計った後、少量の蒸留水で伸ばしていき、最終的に必要な蒸留水全量にメスアップします。

培地の準備

培地の準備

(3)寒天以外の材料を混ぜて、しばらくスターラー(マグネット式攪拌機:マグネット入りの攪拌子をビーカーに入れ、外部から磁力によってビーカー内部の溶液を攪拌する機器)で回します。ここで、pH調整も行います。一般的にはpH6.5〜7.2くらいにしますが、微生物によって最適生育pHは異なります。
 完全に溶けたら200mlずつ計って寒天の入ったフラスコに入れ、アルミホイルで蓋をし、蓋に培地名と作成日を記入して(場合によっては作成者名も)オートクレーブに入れます。


培地の準備

 滅菌の終わった培地(上写真)。左が冷えて寒天が固まったもの、右がまだ熱くて固まっていないものです。アルミホイルの蓋がきちんとしていれば、長期間室温で保存できます。こうして作った寒天培地は、用途に応じてシャーレなどに分注して実験に使います。一度固まった寒天培地は、湯煎や電子レンジで温めて分注します。(電子レンジで温める場合は突沸することがあるので設定時間に注意が必要。)

2.液体培地

 液体培地は、固形培地から寒天成分を除いたものです。液体培地の場合は、培養用のガラス容器に必要量分注してからオートクレーブをかける場合と、寒天培地と同様に仮に準備用のフラスコで調整・滅菌し、ディスポの培養瓶に分注する場合とがあります。後者の場合は、分注の際に培養瓶の口を培地で濡らすとコンタミの元なので、よく気を付けて操作しましょう。


・シャーレへの固形培地の分注

分注

 寒天は、融点と凝固点が異なるヒステレシス特性があり、固化したものを溶かすには80℃前後(融点)にしなければなりませんが、液化したものを凝固させるには40℃前後(凝固点)まで冷まさなければなりません。液化した寒天培地は、取り扱いやすいようある程度冷めるのを待ち、その後は固まる前に分注を終える必要があります。ある程度温度が高いほうが液だれしにくいと思いますが、何度も練習してきれいにシャーレに分注できるようにしましょう。9cmシャーレであれば1枚に20mlの寒天培地を(目分量で)入れていきます。

 シャーレに分注する際、培地を泡立てないように気を付けましょう。寒天培地に気泡があると特にバクテリアを扱う場合は、操作しにくい培地になります。

分注

 分注し終えたら、しばらく蓋をずらして蒸気を抜きます。培地が温かいうちに蓋をすると、蓋に水蒸気がつき、水滴が培地に垂れてバクテリアのコロニーを流したり、コンタミのもとになります。
よく冷めたら蓋をしてシャーレを重ね、供試します。 シャーレに分注すると培地は乾燥しやすくなるので、長期間は保存できません。ただし、実験によっては培地表面が若干乾いたほうが扱いやすいので、実験の5日前〜1週間前に分注しておくこともあります。

・スラント(斜面培地)の作成

 微生物の保存には、スラント(斜面培地)を用います。これは、寒天培地をオートクレーブ前に湯煎などで寒天を溶かし、中型試験管に8〜10mlずつ分注し、シリコン栓などで蓋をしてオートクレーブをかけ、温かい内に斜めに静地して固めたものです。
短期間の保存に用いられ、長期間保存する場合は微生物の種類によって冷凍等の処理が必要になります。