準備1
滅菌
 


 

・滅菌

 微生物は、基本的に肉眼では判別や確認ができない生物です。従って、微生物の生化学的な反応を見ることで実験をすることが多くあります。こうした反応から微生物の性質を判断するためには、微生物を1種類ずつ培養したり保存しなければなりません(純粋培養)。
一方で、空気中には多数の微生物が漂っています。もちろん実験室内の器具にも何かの微生物が付着していることでしょう。このまま実験に用いると、そうした雑菌が被験菌と混ざり(コンタミ:contamination、汚染)、正確に被験菌の反応を見ることができなくなります。コンタミを防ぐために器具を滅菌処理して雑菌が付着していないようにしなければなりません。また、実験の際には実験者自身が清潔である必要もあります。

1.器具の滅菌

 ガラス器具は、乾熱滅菌を行うのが基本です。温度制御が精密にできるオーブンのような機器を使って、140℃4時間熱をかけるのが一般的です。(場合によっては160℃2時間とか250℃1時間ということがあります。) ガラスシャーレは、5枚ずつ組にして新聞紙に包んで滅菌をするのですが、新聞紙がほどよく焦げると焼き芋的な臭いが拡がり、なかなかオツです。その他のたいていのガラス器具はアルミホイルで密封して乾熱滅菌を行います。

 最近はディスポ(ディスポーザブル、使い捨て)のプラスティック器具も普及しています。これらは熱処理はできないので、ガス滅菌されることが一般的です。ガラス器具のように使い回せないため割高感がありますが、自分で洗ったり滅菌したりする手間は省けます。個人的には、培養瓶などはディスポのが便利ですが、シャーレはガラスが好きです。プラスティックシャーレは軽すぎてちょっとしたことで蓋が開いたり、厚みがないので掌の上で操作するときにやりにくいと感じています。


2.液体の滅菌

 実験に使う水や微生物を培養するために使う培地のような液体は、圧力鍋の大型で精密な機器「オートクレーブ」にかけて滅菌します。蒸気圧をかけることで、水も100℃より高い温度になります。一般的には121℃20分の処理を行いますが、オートクレーブ内の温度を上げるまでに時間がかかりますし、処理が終わったあとも蓋を開けられるようになるのにやや時間がかかり、オートクレーブの大きさにもよりますがだいたい1時間半は必要です。
 もちろん、乾熱滅菌もオートクレーブも、処理が終わった直後の器具や液体は高温になっているため、すぐに実験には使えません。実験計画をきちんとたてて、予め全ての準備を整えておきましょう。(ケーキを焼くときに予め全ての材料を計り、小麦粉はふるっておいたりバターは室温にもどしておいてから作り始めると全てがスムーズにいって、ケーキが成功しやすいのと同じ理屈です。)

・操作の基本

1.クリーンベンチ



 一般的な微生物実験の場合は窓を開けない実験室内にあるクリーンベンチという機器で行います。設備の整ったところでは、入り口にエアカーテンのあるクリーンルーム内に設置したクリーンベンチで行います。バイオハザードでない限り、この程度で充分、昔の人はガスバーナー一本で上手に滅菌操作をしたそうです。

 クリーンベンチは、上部にフィルターがあり、上から下へエアーが流されることによって、シールドを開けても雑菌を含んだ空気がベンチ内に入らないようになっています。またガスバーナーが中にあり、この火を用いて適宜熱処理をして雑菌の混入を防ぎながら操作します。

Wikipediaでの解説(写真あり)


2.アルコール消毒
 実験者は、滅菌操作をする際、70%エタノール(アルコール)を霧吹きでクリーンベンチ内や自分の手指に吹きかけ、滅菌します。この消毒用アルコールを素肌に付けると肌荒れしますので、ラテックスの手袋をはめたほうがいいです。因みにラテックスも一々使い捨てにしていると高いので、わたしはよほど汚れたり破れたりしない限り、3日くらいは使います。ラテックスをはめると手指に徹底的にアルコールをかけられるので、滅菌効果は高いと思う。時には操作を一つするたびにアルコールをかけることもあります。

 


 微生物実験で最も大切なことは、コンタミさせない(雑菌を混入させない)ことです。これらの準備は全て、そのためのことです。単純な植え継ぎ操作を繰り返すことで、コツが身に付きます。何度も練習しましょう。