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ぴこていこく

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2007/06/15(Fri)

[]ミリヲタ入門 第四回その一 各種兵器について:陸上編

いちおーこのシリーズは「軍」についてのつもりで、あんまり個々の兵器とかそういう細かい類を取り上げるつもりはなかったけど、 ネタもないし ミリヲタでない人は「大砲ついた車はみんな戦車」「軍隊のひこーきを全て戦闘機」という傾向があるのも確か。この辺を乗り越えるのもまたミリヲタ入門かという気もした。

死ぬほど長くなりそうなので、三回に分ける。まず陸上の兵器から。

このへん過剰に詳しく突き詰めるのはミリヲタとはまた違う「兵器ヲタ」という種類になる(併発してる人もいる)。俺はミリヲタに関しては底辺とはいえ範囲内といえるけど、兵器知識は底辺にも達してないので、かるーく上辺だけ。画像はwikipediaおよび陸上自衛隊のサイトから引用。各種類っぽいものをてきとうにチョイスしたので、特に各項目の「例」に挙げたものを意図して選んだりはしてないので悪しからず。


・戦車

image おーミリタリーって感じ。強力な主砲、頑丈な装甲、強靭な機動力を持つ「たたかう車」。特に区別するときはMBT(MainBattleTank)とも。

任務

端的に言えば、防御されてる場所を突破することや、逆に攻撃されるとわかってる場所を防御すること。戦車の正面装甲は世界一強靭な壁。相手にサイアク一発食らっても反撃する、という覚悟を決めることができるのは全兵器中で戦車以外にない(とうぜん一発も食らわずに済むことを目指しはするけれども)。

特徴

前述の通り、強力な主砲、頑丈な装甲、強靭な機動力を全て揃える(国や時代によって重視する要素は異なる)ため、地上兵器としてはすごく高コスト。の割に天敵は多く、対戦車火器や地雷にはかなり弱い。特に対戦車ミサイルを運用するヘリコプタに対しては不利どころかほぼ公開残虐ショー。そのデメリットからミリヲタにも戦車不要論を唱える人もいるくらい。実際にはマトモな軍隊なら、死角がなく小回りが利き状況にあわせて柔軟に動ける歩兵(随伴歩兵)と連携をとりつつ行動するため、戦車部隊というくくりで見ればそれほど脆弱でもない。

成り立ち

戦車のなかった時代の戦争は、掘った穴(塹壕)に隠れてライフルで撃ちあってた。キッチリ作って機関銃を置いた塹壕を攻略するのにえらい苦労した連中が「攻撃を跳ね返し、塹壕を踏み潰しながら一気に防御線を突破する車」を開発したのがはじまり。その車に対抗するための車ができて、以下無限ループ。

M1エイブラムス
つおいアメリカのつおい戦車。実戦前は「えーあの特徴まるでない奴?」と言われてたが、中東で壮大なワンサイドゲームを繰り広げて名をあげた。たいへん反エコ(アイドリングの概念がない。常にフルスロットル)。
メルカバ
イスラエルの事情に合わせて乗員保護を過剰に優先した防御力の戦車。エンジンや燃料タンク(!)まで装甲にしている。

・自走砲

image パッと見が戦車に見えるその1。戦車との外見上の違いは、主砲が異様に太い、その砲がすごい上を向く(こちらの写真がわかりやすい。手前が戦車、奥が自走砲)、車高を低くしようと努力してなさそう、なんか装甲ペラそう、等。

任務

戦場の支援攻撃。味方が相手をしてる敵を、強力な砲弾でブッ叩く。相手を直接狙って水平に撃つことは少なく、砲弾をナナメ上に打ち上げて放物線で当たるようにする。戦場を把握する観測班と共同することで、撃つ人からは直接見えない相手にも攻撃をする。

特徴

なによりも強力な砲。威力を単純比較すると戦車砲を上回る。しかし戦車みたいに時速70kmで突っ走りながら相手に直撃弾くらわすような使い方はせず、基本的には停車して撃って移動して停車して撃って移動して、を繰り返し*1。砲弾も直撃狙いの徹甲弾ではなく、炸裂して破片を撒き散らし広い範囲を攻撃するのに適した榴弾を使う。装甲はヘボく、戦車砲なんか直撃したら一発で終了だけど、そもそも戦車砲が届かない場所から撃つので問題ナシ。敵の自走砲は射程がほぼ同じになるので、その砲弾破片からの防御力のみ考慮されている。

成り立ち

元々、大昔から人間や馬でひきずってた「大砲」に、エンジンとキャタピラつけて砲じたいが動けるようにしたもの(だから「自走」砲)。昔は戦車を直接狙って撃つ自走対戦車砲もあったけど、戦車の発達に置いていかれ、今では完全に棲み分けられてる。

75式自走榴弾砲
自衛隊の自走砲。日本人だと最も見る機会が多く、そのため最も戦車と間違われてる機会も多そう。無骨すぎる外見がたまらんストイックさ。後継の99式は少しスマートになってイマイチ。
MLRS
これを自走砲に入れたら兵器ヲタは怒るかもだけど。厳密には多連装ロケットなので「砲」じゃないから。でも仕事は一緒で、遠距離からの戦場への支援砲撃。一発でサッカー場くらいの広さに打撃を与えるロケット弾を、連続で12発発射する。

・歩兵戦闘車

image パッと見が戦車に見えるその2。戦車との違いは、主砲が細かったり短かったり。砲塔とくらべて車体がずんぐりしてる。後ろに兵員輸送用のハッチがついてる*2など。

任務

戦車んとこで書いたように、戦車は視界が悪いので随伴歩兵の支援が必要。でも普通の兵隊は装備をかかえたまま時速70kmで走る戦車に追いつけないので、戦場まで歩兵を運び、その歩兵を援護できるようにしたのが歩兵戦闘車。

特徴

戦車と足並みを揃えて戦場に突っ込めるよう機動力は戦車と同等。でも戦場に突っ込んだ後は、自分が運んだ歩兵の脅威となる敵の歩兵や機関銃車両の排除に専念する。装備している機関砲や榴弾は強力で、相手が戦車以外なら大抵は撃破できるため、湾岸戦争での「軍事車両撃破数」では戦車よりも歩兵戦闘車によるほうが多いほど。

成り立ち

いかに最前線に歩兵を放り出すかを研究し尽くした偉大なるソ連的発想の産物。昔は戦車の上に直接歩兵を乗っけてた(もちろん銃弾、砲弾に盛大に晒して)ことを思うとずいぶん人道的になったもんだ。

89式装甲戦闘車
自衛隊の歩兵戦闘車だが、へーわけんぽーのある自衛隊には「歩兵」はいない(いるのは普通科の隊員)ので変な名前になっている。自衛隊にたいへんありがちな点として、異様に高コストであり、下手な戦車より高いといわれる。
BMP-3
100mmもの砲を積んでるので本当に戦車にしか見えない(戦車砲は105〜120mmくらい)。ここまでになると、さすがに最初から知ってないと戦車と見まちがえても仕方がない。でも装甲も砲弾も、あくまで歩兵戦闘車の任務にあわせてあるので歩兵戦闘車。ロシア製なのに、何故か西側組の韓国でも運用されてる。

・装甲車

image 名のとおり装甲つけた車の総称。広義では上記の戦車、自走砲、歩兵戦闘車を含有するけど、フツーは上記を除いたものをさす。大砲のっけてたりすることはあまりなく、戦車と見間違えるのはちょっと厳しい。けど、実際に戦車呼ばわりされてるのも見たことがあるので世の中は侮れない。キャタピラでなくクソ馬鹿でかいタイヤを並べたものもある。

任務

ぶっちゃけ戦場で使えるようにしたトラック。汎用性が高く、いろいろと便利に使われる。最も一般的なのは装甲兵員輸送車で、上記の歩兵戦闘車ほどの戦闘力はないものの、戦場で気軽にタクシー代わりに大活躍。他にも対戦車ミサイルや対空ミサイルを積んだり、強力な通信機能を積んだりと、特定の用途に特化させ運用される。治安の悪い地域では警察も放水器とか積んで使ったりする。

特徴

ふつう装甲車の車体に直接ついてる武装はせいぜい小口径の機関銃があるかないか、位で、主役はあくまで積荷。そのぶん車体だけのコストは他の車両と比べると安価な傾向がある。また「装甲」車といっても、やっぱり戦車みたいなものじゃなく、あくまで銃弾や破片に対する防御。装甲がすごい順に書くと戦車>>>歩兵戦闘車>=装甲車>自走砲かな(てきとう)。

成り立ち

単なるトラックで歩兵や機材を運んだりしてたが、とうぜん普通のトラックは銃弾や破片でぽすぽす穴があくため、銃弾や破片くらいでは穴があかない乗り物が必要になった。戦車と一緒に戦場に突撃する歩兵を運ぶ任務は歩兵戦闘車に譲りつつあるものの、市街戦などではタイヤ式の装甲車が凄まじい機動力を発揮することで仕事はどんどん増える一方。

M113
装甲車の定番。兵員からミサイルまで様々なものを運用する便利さん。派生型は多すぎて覚えられない。しかし地雷に弱いとのことで、運ばれる兵員はだいたい車内じゃなく車の上(もちろん装甲されてない)に乗るのが嗜み。装甲車イミねぇー。
チェンタウロ戦闘偵察車
戦車にも使われている105mmライフル砲を載っけておきながら、防御力は装甲車のままという攻撃バカ。なぜこんなモノが要るんだろう。対戦車ミサイルでいいんじゃなかろか。*3

・その他の軍事車両

image 戦車と間違えそうな車両はこんな感じだけど、他にも色々と軍隊の使う車両はある。厳密に書いていくとキリがないのでざっと。

たたかう車では、ヘリコプタや低空飛行の飛行機からの脅威と戦う対空車両は重要。装甲車や歩兵戦闘車の車体に対空機関砲やミサイルを積むことが多い。戦車はヘリに弱く、ヘリは対空車両に弱く、対空車両は戦車に弱い、という食物連鎖がキホン。

直接たたかわない車では、戦場で撃破されたり故障したりした車両を回収する戦車回収車(右写真)なんてものまで軍隊は運用する。工兵とゆー土木工事が仕事の人達はクレーン車とかショベルカーを使い、橋をかけたり陣地を作ったり地雷を除去したりする。これまた戦場の大事な仕事。盲点なところとしては、兵員の食事を供給する炊事車も軍には絶対に欠かせない。

パトリオット
有名な地対空ミサイルシステム。すげー大掛かりで、ミサイル車、レーダー車、管制車、電源車など複数の車両が一団となって活動する。戦場用というより自国防衛のための代物なので、前線に出ないため、装甲はされていない。
野外入浴セット2型
……兵器?まあ陸自の装備ではある。こちら参照。基本的には隊員の入浴用だけど、災害派遣では被災地の住民に大人気。自前で水を運び、湯をわかし、一日で1,200人もの入浴能力を誇る。さすがに入浴にここまで固執してるのは日本だけだと思う。

*1 撃ったらすぐ移動しないと、射撃地点を計算や対砲兵レーダーで割り出されて反撃をくらう。

*2 メルカバは例外で、後ろにハッチがあり、歩兵の運搬ができるけど戦車。

*3 アメリカもストライカーMGSとゆー似たものを運用してる(対戦車ミサイル運用のストライカーATGMが別にあるのに)から意味あるんだろうな。

本日のコメント(全5件) [コメントを書く]
is (2007/06/16(Sat) 16:13)

当方、軍隊とか兵器関係の知識は皆無ですが、野外入浴セット2型に感動しました。<br>考えてみれば、当たり前ですが兵隊さん(隊員さん?)にとっては都市機能が無いところで生活しなきゃならないわけでこういうのも必要なんですね。

はしゃ (2007/06/16(Sat) 22:21)

ういす。連中は衣食住といった生活手段だけでなく、トラックやヘリ等の移動手段も当たり前のように自前で運用し、<br>あらゆるインフラ整備がないところで活動可能なことはキホンとなってます。<br>(だから世界のどこでも災害派遣があれば軍が出て行く)<br><br>それでもさすがに初めて野外入浴セットを見た時は私も感動しました。<br>シャワーでも濡れタオルでもええやん、という突っ込みがばかばかしいほどの入浴っぷり。戦闘より銭湯を重視してんじゃねえか奴ら。

役場の人 (2007/06/17(Sun) 00:36)

旧サイト時代から楽しませていただいています。<br>我が町には、師団の自動車教習所があります。陸自のト<br>ラックが大量にあって、初めて見たときはびっくりして<br>しまいました。

GEL (2007/06/17(Sun) 02:06)

>砲付きの装輪車両<br>ストライカーの場合はアレ、戦車を撃つんじゃなくて榴弾で中の人ごと建物を吹き飛ばしたりするのに使うんじゃないでしょうか。<br>フォークランドみたいにいちいち陣地にお高い対戦車ミサイル放り込むのももったいないし。<br>戦車代わりに使うことは多分考えてないんじゃないかと思います。いや、根拠はないですけど。

はしゃ (2007/06/17(Sun) 02:24)

>陸自のトラック<br>戦車も免許が要た気がしますので(まあ公道走らなけりゃ要らないとは思いますが)、実は戦車の教習車もあるかも?<br>あーでもあれば大型特殊のキャタピラ限定か。免許試験では別に戦車いらないですね。<br><br>>ストライカーMGS<br>あれM60や74式と同じL7戦車砲で、榴弾も使いますが、普通にAPFSDSぶっ放すよーなのです。さすがにAPFSDSは戦車用としか思えん。<br>でも確かに榴弾で陣地攻撃と思うと、砲の意味はありそうですね。<br>なんかどっかで、ファルージャの戦闘ではM2ブラッドリーの25mmだと建物を射撃したらバスバス抜けて付随被害がシャレにならず、<br>むしろM1の主砲でHEAT-MP撃つほうが「正確に一部屋」吹っ飛ばせて便利だった、とか見た気がします。


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