過去大本営

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2005年1月5日 水曜日

去年、旅行前の頃。食事中に口の中が突然ガリゴリいい始めたかと思ったら、昔に治療した歯の詰め物がとれていた。
臼状に陥没した歯は、何を食べてもその破片がすっぽり入って非常に不快。行き付けの歯医者を予約するも、当日になって我輩そこまで自力で移動できず、無念のキャンセル。
すっかりケチがついたため、それから二ヶ月ほど放置していたところ、気が付けば屋外の空気を口から吸うだけで飛び上がるほど痛んできた。
いろいろと対策を考え、最終的に我輩は一子相伝級の奥義「舌ガード」(内容はヒミツ)を自力で編み出して逆境と死闘を繰り広げていた。
しかし痛みは留まることを知らず、奥義は舌を噛み易いという致命的な弱点を露呈し、我輩は敗北を認めた。
さっそく行き付けの歯医者にTELしようとした手が止まる。今までも何度かキャンセルしてきたが、その度に肩身が狭くなる風潮があった。先日のキャンセルはさらに用事でもなんでもなく、単に歩行能力がなかっただけだ。予約すんなよ、そもそも。
それにこの歯医者は自宅の近所であり、仕事場から行くことを考えると非常に不便な場所にあるのも気になっていた。
これは新規開拓のチャンスかも知れないと思った。
で、いい歯医者ドットコムというあまりにそのまんまなサイトを開いてみる。
「あなたはnnnnnnn人目の歯ッピーさんです!」とか見た瞬間、液晶画面から2cmのところまで毒手を突きつけてる我輩みたいな人種には向いてないんじゃなかろうかと思いながら、条件を指定して検索。出力された歯科に予約を入れた。

そして数日が経過、執行の時はやってきた。緊張をしながらその診療室に足を踏み入れる。ほどほどにボロいが手入れの行き届いてそうな機材を横目に、電気(で上下前後に動く)椅子に座る。
我輩の歯については口で説明するよりも、文字通り口で説明するほうが手っ取り早い。実にスムーズに意思を伝達された執行人は、思いがけず優しい声で言った。
「まず、麻酔しますー」
え!削って埋めるだけで麻酔!そんな歯医者があるのか。我輩の知ってる歯医者といえば、超痛む治療を顔色ヒトツ変えずに突然開始する歯医者と、「超痛いよ」と言って嬉しそうに開始する歯医者だけだ。
そしてその麻酔がまた気が利いている。
歯の麻酔と言えば、麻酔だけでも相当痛いというのが定番中の定番。大量の麻酔薬を歯茎に流し込まれる時のあの苦しさは、ある意味麻酔のほうが痛いんじゃないかと思うほどだ。
しかしこの歯科ではまず微量の麻酔を施し、それが効いていたあとで必要量の麻酔薬を打つ。最初こそチクリとするが、一番の地獄タイムはすでに最初の表面麻酔が効いてるため無痛。そういう麻酔の手段があったのか。というかみんなやってくれや頼むから。思わずブラヴォーと叫びたくなったがまだ歯茎に針ぶっささったままなのでガマン。
いよいよ悪魔の器具が目を覚ます。禍々しいモーターの唸りを上げて、血に飢えた刃を我輩の骨に突き立てる。しかし、その間我輩はとてもおだやかな気持ちで居続けた。これが無我の境地という奴かも知れない。

治療が済んで会計を終え、次の治療日の予約をする。この際だからこのエクセレントな歯医者に他の放置虫歯も頼んでみる気になった。
こんな素晴らしい歯医者のことだから、さぞ予約はギッチリとかで早くて半年後とかそういう事態ではないかと思った。
三日後。
えーと、それは本当ですか。今までの歯医者は最低二週間の予約期間があったんで、ちょっと大掛かりな治療になったら一本の歯だけで完治までトータル数ヶ月かかるのが我輩的常識だったんですけれども。
しかも食事に問題のない範囲で複数の歯の治療を平行してやってくれる。今まででは考えられないマルチタスクの効率。
これは本当に歯医者だろうか。何か我輩、騙されてるんじゃないだろうか。
それとも今までの我輩が徹底的に騙されていたのか。今まで歯医者だと思っていってたところは実は、歯も治療するSMプレイルームとかそういう。


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