就学時健康診断の意味
みなさんは『ノーマライゼーション』という言葉をご存知ですか?それは障害のある人もない人も同じように、その一員として自立し生活できる社会を目指すという考え方やそういう意識の事を言います。今、世界の流れはノーマライゼーションの定着へと進み、日本でも社会においてはその意識が徐々に浸透しつつあります。けれど《学校》という教育現場は長年にわたり分離教育が継続され、残念ながらいまだに健常児と障害をもった子どもを文字通り分けて教育するのが当たり前の世界なのです。そして就学時健康診断とは、入学前の子どもの中から障害をもった子どもを見つけ出し、健常児と分けるひとつの手段でもある訳です。障害をもった子どもでも必要なサポートが充分にあれば、ともに遊んだ地域の子どもたちといっしょに普通学級へ通うことができます。誰でも受け入れることが前提ならばみんなが笑顔で受診できるはずですが、実際にはそうではないのが実情です。受診は強制ではありません。でも障害をもつ子どもや家族にとっては大きな関門なのです。
他人事ではありません
今でこそ『バリアフリー』という言葉が広く一般的に使われだし、駅や公共の施設にはかなりエレベーターやスロープ、手すり等が普及しています。けれど人の心はどれほどの変化をしたでしょうか?私自身もつい最近まで身近に障害をもつ方がいなかったので、どうやって接したらいいのかその術を知りませんでした。それはやはり学校教育を分離してきた弊害だと思うのです。
今学校でもアイマスクや車椅子の体験などボランティアに関する授業がほんの数時間はおこなわれています。しかしそれはいわゆる体験であり、実践ではないのです。日々過ごす学校生活の中に障害をもった子も一緒にいてこそ、それぞれの存在に目を向け、ごく普通に受け入れていくことができる《現実》なのではないでしょうか。子どもの心は驚くほど柔軟です。優しさを持つ反面、かなり辛辣な言動も取ります。でも実際に学校内の介助に入ってみると、最初は戸惑っていた周りの子も時間の経過とともに自然と手助けや会話をしている場面を目にします。それはともに生活する仲間として、関わることが当たり前になるからに他なりません。またそうした日常の積み重ねが子どもたちの優しい気持ち、他人を思いやる心を育むことにもつながります。そんな学校の環境を支えるためには、教師やPTA、地域が一丸となって臨まなければ、多様化する教育現場の問題解決は図れないとも思います。
現代社会では10人に1人がなんらかの障害をもち、またそれは生まれた時のものばかりとは限らず、後天的な要因も多いと言われています。誰もがともに学び育つ学校のテーマは決して他人事ではないのです。
今こそ変わるとき
現在東京都では文部科学省が出した指針に伴い、特別支援教育を検討していますがすべての子どもたちが一緒に学校生活を送るものとはなっていません。学校という子どもたちの成長の場は障害をもった子や家族が偏見にさらされたり、健常児とその保護者が誤解を抱くことのない環境であるべきです。私たちは普通学級の中で障害をもつ子どもの付き添い介助などを通し、お互いに理解しともに育ちあうためのお手伝いをしながら、本当の統合教育につながるような活動をしています。就学時健康診断を考える集いにご参加になり今の学校教育を一緒に考えてみませんか?
鷹番小バザー報告‐ありがとうございました
秋も深まりつつある11月7日(日)、柿のたね恒例の秋の鷹番小バザーを開催いたしました。おかげさまで天気もよく、開場前からたくさんのお客さんにお集まりいただき本当に感謝の限りです。
今回のテーマとしては衣類の一掃がありました。これまで地域の多くの方々からご提供いただき支えられてきた柿のたねの市やバザーですが、不況のあおりを受けて近年売上は伸び悩み、在庫は年間2回のバザーをおこなっても消化しきれない状態でした。必然、保管場所が充分にある訳ではない柿のたねでは常に二階の一間が倉庫代わりとなり、スペースの有効活用という点で支障をきたし、新たにご提供いただく品物も仕分けの段階で処分せざるをえないこともありました。逆にその分品物は厳選されてそこそこのよい物が並んでいたのではないかと思います。そのかいあってか、お昼を過ぎても会場はにぎやかなほどのお客さんで盛況でした。
またバザーをおこなうためには多くのスタッフが必要で、こちらについても毎回お手伝いいただく方々のご協力があってのことと、本当に感謝の限りです。
そして今回は新潟の中越地震の被災者の方々へ援助物資として冬物衣料を送付させていたくための送料カンパを呼掛けさせていただきましたが、こちらにもご協力いただき無事発送することができました。重ね重ね感謝いたします。
懸案事項の在庫スペースもこれまでの半分くらいに収まり、今後はバザーや市の主力である女性物の衣類を中心にシフトを変えていきながら男性物や子ども服については縮小していき、厳選しながらおこなっていこうと思っています。
毎月の市も年2回のバザーも本当に多くの方々に様々なご支援をいただきながらまかなわれております。今後とも篤いご支援をよろしくお願いいたします。
(櫻原雅人)
資源としての卵子・受精卵・胎児〜狙われる女のからだ
SFの世界がそこまで来ている?−狙われる卵・胎児、資源化される女のからだ
再生医療という言葉を聞いたことはあるでしょうか。再生医療とは、さまざまな組織に分化する能力を持つ細胞(万能細胞とも言われる)を探し出し、それをそのまま、または組織に分化させてから人間に移植しようとする、現在最も注目されている医療分野です。例えば、パーキンソン病、脊髄損傷、心筋梗塞なども治せるかもしれないと、文部科学省や厚生労働省は多額の研究費をつぎ込み、世界に先駆けて開発すると謳っています(いまだに一例も成功していない遺伝子治療の例を見れば、再生医療が本当に成功するかどうかには疑問があります)。
さてその万能細胞をどこから探すのでしょうか。表にあるようにさまざまな細胞がその候補に上がっています。でもちょっとじっくり見ると、成体から取る幹細胞以外はどれも、卵、胚(受精卵)、胎児が材料になっています。つまり、材料を手に入れるには女性が必要になり、女性のからだの資源化が始まっているとも言えます。
クローン胚作成に関しては、すでに今年7月に内閣府の専門倫理調査委員会で承認され、中絶胎児の利用に関しては、私が参加している厚生科学審議会の専門委員会で認める方向で審議されています(慎重派は私1人で孤軍奮闘しています)。それ以外にも受精卵の遺伝子診断が始めて承認され、個人の遺伝子に基づいたオーダーメイド医療(出生時からの医療による個人の管理とも言える)の実現化プロジェクトとして国内で30万人のゲノム収集が始まっている。2003年4月のヒトゲノム(人間のすべてのDNA)解読完了宣言に象徴される遺伝工学の知識と体外受精技術をベースにした生殖工学が結びつき、産業化の期待を背景に生命操作の大きな流れが進行しています。
こうした流れは、どれも聞きなれない、難しい言葉ばかりで、ついつい敬遠しがちになります。でも、卵や胎児は材料として使ってよいのか、材料とするために女性のからだから卵を取り出してよいのか…、これは私たちの生命観の問題です。
こんな問題を、女たちの視点からわかりやすく語り合おうと下記のシンポジウムを開きます。皆さんぜひいらしてください。
(さとこ)