2002年10月の柿のたねニュース

最後の公会堂バザー報告 それでも精一杯がんばりました!!

とうとう、最後の公会堂バザーが終了しました。思い起こせば柿のたね設立以来ずっと続けてきました。初めの頃は確か年1回の特別企画、まだバブル期の余韻が残っていた頃でしょうか?回を重ね、春秋の年2回開催が定着し、柿のたねの恒例行事になっていきました。

秋のバザーは9月末の開催が多く、台風直撃の危機に何度もさらされながら、雨天決行ということはありましたが、幸いなことに中止になったことは一度もありませんでした。

春バザーは桜も散った4月の末頃。運動会などの行事にぶつかってお手伝いのスタッフが揃わず苦労したこともありました。 財政危機をなんとか乗り切るため、またたくさんの冬物衣料を大放出するため、年間4回開催した年もありました。

また以前は会場を当日だけ借りて、朝の短い間にいっせいに運び込み、それこそ蜂の巣を突ついたような大忙しの状態でしたが、ここ数年は前日午後から部屋を借り、搬入や品物の展示など余裕を持っておこなうことができました。

振りかえってみるとあらためていろんな歴史があるなと感慨深く思い出します。

さて、今回のバザーですが、やはり天候が不安定で当日もどうなることかと心配しましたが、なんとか当日は雨も降らず、バザー日和で迎えることができました。

この日は鷹番小学校でも創立70周年の 大バザーが開催されていて、競合する形となってしまいましたが、それでも多数の常連さんの来場で開始当初は行列ができるほどの賑わいを感じることができました。最近はガレージセールの定着で販売方法も増えてので、昔のように広げきれないほどの品物があふれかえることはありませんが、それでも手作りの飲食品を扱わない純粋なバザーとしては、他のグループと比較してもかなり規模の大きなものだったのではないでしょうか。

今回の売上金額は497,261円。諸般の事情を考えると、健闘した結果ではないかと思います。

バザーを開催するのには、通常の柿のたねスタッフだけでは賄いきれません。生協関係で昔からお手伝いいただいた方をはじめとして本当に多くのご支援があったからこそ続けてこれたのだと思います。あらためて感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

今回で公会堂バザーにいったん幕を引く形となりましたが、柿のたねとしてバザー開催は会場を新たにし、今後も続けていきます。 今後ともあついご支援をよろしくお願いいたします。

(櫻原)

知的障害者のガイドヘルパーとは何か?
〜当事者と支援者の話の中から見えてくるもの〜

こちらの予想を大きく上回る受講者の方に参加していただいている「知的障害者のためのガイドヘルパー講座」。関心の大きさに喜びを感じつつ、結構プレッシャーもかかってます。はたしてどれだけ当事者のことを理解してもらえるだろうか?講座が終了した時、参加してよかったと何人の方に言ってもらえるだろうか?ついついそんなことばかり考えてしまいます。

さて、今回は両親の元を離れ自立生活を始めてからもうすぐ2年になる梅村涼さんと、生活をサポートする介助者のひとりである大野わかばさんを講師に迎え、10月26日(土)前回と同じ上目黒住区センターでおこないました。

司会は多摩市で当事者の生活支援をする「たこの木クラブ」の岩橋誠治さんにお願いしました。岩橋さんは今回の講座にあたって何度も梅村さんと打ち合わせを重ね、そこで彼女はあんなことも話したい、こんなことも言いたいとずいぶん張りきっていたようです。なんでも毎日のように梅村さんから電話がかかってきたとか。

そしていよいよ本番を迎えたのですが、彼女はやっぱり緊張してしまい、なかなかうまく言葉がつながらない。言いたいことは山のようにあって、なんとか必死に岩橋さんがその思いを引き出そうと、いろんな方向から話を振りながら進んでいきました。

梅村さんが家を出たいと思ったいきさつでは、おとうさんやおかあさんがうるさいのよと何度も話し、洗濯が大好きな彼女は介助者が勝手に洗濯をしてしまったこと(悪気はなかったと思うのだけど)に腹を立てた話などを語ってくれました。寝坊をしてしまった時の失敗談では、会場から諭すように早く寝ないといけないよとの意見があったり、一方で私も同じような失敗をしてしまうというフォローが入ったりしていました。

今の状況の中で、懸命に生活している梅村さんの姿は受講者の方たちにどのように映ったのでしょうか?確かに話の中では質問していることと違う答えが返ってきたりもしましたが、彼女の心の中には溢れんばかりのいろんな思いがあって、それをうまく伝えることがちょっと苦手なだけ。けして話すことが嫌いなわけでもないし、自分の意思ははっきりしているのです。

知的障害者と言われる人たちが抱えているのはそういったコミュニケーションの問題です。それは受け手の側がどうやってその思いを引き出していくか、相手の伝えたいことを理解しようと努力していくかでずいぶん変わってくるのです。

講座終了後、スタッフミーティングを経て梅村さんとの交流会を会場近くの居酒屋でおこないました。そこではすっかりリラックスしたのか、みんなでビールを酌み交わしながらいきいきと語る梅村さんの姿がありました。岩橋さんとは当事者の声をうまく伝えていくのは、なかなか思うようにいかないよねと、自分たちの力量不足を反省もした1日でした。

(チェリー)