2002年7月の柿のたねニュース

親の会報告と学校現場の実情

柿のたねでは、昨年の就健集会以来2ヶ月に1度くらいのペースで普通学級に通う障害児の親の集いを行なってきました。

今回は6月23日午後より鷹番住区センターで行ない、初めて参加された方も含めて10人以上の出席がありました。

各親からの報告があり、そこから見えてくる今の現状は学校によって対応が様々で、例えばプールの介助ひとつとっても対応がまちまちです。学校側で対処するところもあれば、何が何でも親が付き添えというところもある。特別要綱で学校長が申請すれば人を付けることができるといった情報も、学校の側から親たちに説明されることはほとんどありません。

個別に学校と対応しなければならない親たちのネットワークを早急に作り上げ、お互いに連携しあいながら学校の環境を全体的に底上げしていく必要性を痛感させられました。

実際、ある学校は入学の際の親が付き添うという条件を繰り返し言い続け、事ある毎に障害児学級への転級を薦めてきます。その度に親は普通学級に通わせることを宣言しなければなりません。その学校に私が付き添いで入ってみると、ちゃんとクラスの子どもたちととけ込んでいて、それなりにコミュニケーションも取れている。移動の時などもちょっと声を掛けて促せば、特に問題もなく、みんなといっしょに行動できる。少なくとも四六時中付き添う必要はない。

ある時、その子が休み時間が終わって掃除の時間になってもまだ校庭のジャングルジムで遊んでいました。そろそろ迎えに行くかと思って私が教室から下まで降りていくと、その時にはもうすでに同じクラスの子が呼びに行っているところでした。その様子を遠くから眺めていると特別ぐずることもなく、すっと戻ってきました。そしてみんなと一緒に掃除を始めました。

とかく普通級との引合いに出されるゆりの木学級(普通級から週数日通う通級制の障害児学級)の見学もしてきました。ほぼマンツーマンで発語の練習をしたり、行動に対する訓練やお金を使っての買い物シュミレーションなども行なわれていました。確かに普通学級では受けることのできない個別指導によって伸びる部分もあるかもしれません。けれど私が見学をしていることで、子どもたちが緊張したり気になったりしませんかと担当の先生に質問をすると、そういった反応がある子はいい方だという答えが返ってきました。1日それも数時間しか見ていないので、全てが解かる訳ではありませんが、ここにずっといたら人間関係は育まれないだろうというのが正直な感想です。そして思ったのはこういった個別学習は本当にここでしか身に付けられないのだろうか。ノウハウを持ちこむ事で、普通学級でも充分可能なのではないかということです。

学校が引きうけるべきだとただ原則論を展開しても、ほったらかされ、お客さん扱いをされていては子どもにとって辛い場面もでてきます。だからといって親が付き添っていたのでは、せっかく普通学級の中で身に付けていくはずの子どもたちとの関係や、親離れの機会を逸してしまいます。子どもたちは日々成長しています。それに目を向け、今現実に通っている子どもたちに何ができるのか、どういった環境を作ることで変っていけるのかを考えていくのが大人たちのしなければならないことだと思います。

最近チームティーチングを導入する学校が増えてきましたが、その延長線上に統合教育の道もあるなと思います。まず普通学級の受け入れを前提にさせ、そこから具体的な形を探っていくことが今後の課題です。

先々付き添いを外していくことが望ましくはありますが、今の現状を考えると必要な場面は確かにあります。でも親の付き添いはやはり間違っています。

みなさんぜひ今の学校の現実を直接見て下さい。そしてぜひ付き添い介助にご協力をお願いします。

(櫻原)

地域の中でみんなで生きる 品川で今やっていること

大崎高校定時制を定年退職してから1年がたちました。今、嘱託員としてH高校定時制で働いています。品川の地域で今やっている「みんなの家」「昼の学校」のことを報告します。

卒業を前にした「クラス通信」で、私は「4月からは、否応なく定時制高校が問われる。遠回りしたり、道を外れたり寂しい思いをした人が仲間の中でゆっくり生き直して来た定時制の卒業生が一歩に出ることで共生の時代を作ろう」と呼びかけました。 卒業後、1ヶ月たってみると世間の厳しさ・冷たさを身にしみて感じ始めます。学校に行かなくなる、仕事をやめる者も出てきます。「定時制はよかった」と知らせてくれます。そういう中で6月から活動を始めました。

活動は大きくいって定例会とイベントの2つです。定例会は毎月第3日曜日の夜、約2時間くらい10人前後が毎回テーマをきめて「自分の今」を語ります。みんなは話を聞きながらあまり批判や忠告をしたりしません。アドバイスをする時は自分の体験で返していきます。仲間との絆が深まり元気をもらえるようになると、もう「2次会で安くてうまいものを食べよう」という文句で誘わなくても集いに足を運んできます。

イベントは、花火大会、忘年会。「共生共走マラソン」に参加しながら沖縄そばを作ります。

大崎定時制の卒業式には後輩に花束贈呈、「潮干狩り」などの地域のイベントへの参加など仲間だけでなく地域の人や在校生徒とのコミニュケーションを広げ深めています。

 「昼の学校」は、定時制に通いつつも昼間過ごす場のない生徒にとって卒業後の進路を見据えてやっておくべきことがあるのではないかと思い「楽しく学ぶ」場をつくろうと思ったのがきっかけです。

いろんな人が一緒に学ぶ学校、「覚える」よりも考えることつきあいを育むという事を考えてきました。誰でも、保護者も地域の人も参加できます。「できる」「できない」ことをもって他人と比べることはしないと決めました。「夜の定時制高校」を主体としてその手助けができればと思っています。

そんなことで、毎週月曜日午後2時から4時半旗の台の福祉会館で参加費100円で10月から始めました。

ことなど基本にして行きたいと考えています。

これからの課題としては1つは、今男6名の参加ですが、是非女性の生徒に参加してもらいたい。2つは大崎定時制高校の先生達と連携していきたい。3つ目はもっと地域の活動に参加したい。

今日は「地域の中でみんな生きる」です。このことについてはまだわかりません。ただ、夜間定時制高校が厳しい統廃合攻撃に負けないでいくためには地域との結びつきが大事だと思います。定時制で生き直した青年達は卒業後もほとんど品川の地域で生活しています。彼らが定時制で培った「共に生きる」関係を地域の中で互助的ネットワークへと発展させていきたい。同時に定時制の在校生の居場所・社会参加の場を地域に広げて行きたいと思っています。

(由井薗忠良)

(「品川・地域で共に生きる会」の5月定例会での話を編集者の責任で編集しました)

知的障害者のためのガイドヘルパー連続講座を9月より始めます!!

現在自立生活を続けている無着邦彦さんの介助者不足は深刻な状態で、これまでも学生や派遣サービスを利用してきましたが、実際の場面では知的障害を持った人と初めて関わりを持つ時、どう付きあったらよいのかがわからず、本人も介助者も戸惑ってしまうという現実に直面していました。そこで当初は初めての人に対してもっと当事者の事を知ってほしい、そしてたくさんの人に関わってほしいと思い、知的障害者介助者養成連続講座を企画しました。

企画書を作り、財政面での支援を日本財団に申請したところ助成金を受けることになりました。

さあ、大変。助成金を受けられたことは嬉しい。しかし、これからのハードなスケジュールが待っている。やるしかない。頑張ろうという気持ちで一杯です。

第1回打ち合せでガイドヘルパー養成講座に決定

多摩の「たこの木クラブ」岩橋さん、八王子生活館「ステップ」の滝田さん、東大阪の「パンジー2」林さんに講師兼講座の企画メンバーとして参加して頂き、最初の打ち合せで今回のテーマを介助者養成にもつながる知的障害者のためのガイドヘルパー養成講座に決めました。

知的障害者のガイドヘルパーって何?

重度の視覚障害を持った方が、外出の際利用している外出介助と同じもの?イヤイヤそれだけではありません。知的に障害を持つ人が、地域で生活していくためにはいろいろな支援が必要です。身体障害者の人と比しても、その障害、(例えばコミュニケーションが取り辛いため、どう付き合っていいのかが難しい)介助内容に関して理解が乏しい。これまでも各地で知的障害者の自立へ向けたプログラムは行われてきましたが、それを支援する介助者を育成するためのプログラムはほとんど行われてきませんでした。

そこに目をつけたのはすばらしい

目黒区では昨年10月より、中・軽度の知的障害を持った人に対して、利用ができるようになりました。ガイドヘルパーの主旨は、自立と社会参加です。利用の多くは、集団でのレクレーションで利用することが多いと聞きます。一人で何処かへ出掛けるといった利用はまだまだ少数ですし、当事者がまず、この制度を使い、親・その周りの都合にとらわれず、外出の機会を多く持つことで、体験する楽しさを通して、自分に自身をつけてもらえればよいと思っています。

自立の支援としてのガイドヘルパー

当然、外出の付き添いにとどまらず、知的障害を持つ人が地域の中で自立して生活することができるように支援者としての自覚を促すようなガイドヘルパー養成講座にしていきたいと思っています。

講座参加へのお問合せは柿のたね櫻原まで。

(高橋)