2001年12月の柿のたねニュース

誰もがともに生きることのできる社会の実現を目指してさらなる一歩を

今年はテロや報復戦争、狂牛病など本当に嫌な出来事がたくさんありました。また通信で何度も取り上げてきましたが、文部科学省が学校教育法施行令改定によって介助の必要な障害児を普通学級から締め出そうともしています。新しい21世紀こそ誰もが笑顔で生活できるような未来ある社会にしていかなければならないはずなのに、のっけからこの調子では、時代を逆行しているとしか思えません。されどこのまま頭を抱えていても何も変わりません。ダメなものにははっきりとNOを突きつけていかなければ、私たちの社会はますます住みにくいものになってしまいます。

柿のたねは今年15周年を迎えました。もうそんなに経ったのかと思う反面、この15年でいったい何ができたのだろうかという気持ちもあります。培ってきたものに自負すればこそ、このまま停滞していくわけにはいきません。これまで何年も財政危機を訴えてきました。地域で暮らす自立生活への道筋も邦彦さんだけでなく新たな展開につなげていかなければなりません。誰もが普通学級で学べるように周辺環境を整えていく必要もあります。来年はこれらの課題に対して具体的な方針を出し、目に見える形で皆さんに報告できるよう一つ一つ実績を積み重ねていきたいと思います。

こんな時代だからこそみんなで力を合わせ、誰もがともに生きることのできる社会の実現を目指して、さらなる一歩を踏み出していきましょう。これまで様々な御協力ありがとうございました。今後とも応援をよろしくお願いします。一人一人が真剣に考え行動していけば、社会は必ず変わります。柿のたねが20周年を迎える時はこんなに世の中がよくなったと思えるように、これからも頑張っていきます。

(櫻原雅人)

解決の道筋を自分達で作る
12/2就学時健康診断を考える集い報告

〜「荒川みんなネット」重富さんの話を聞いて〜

12/2恒例の就学時健康診断を考える集いがもたれた。

現役の親たちの関わりが大事なこの取組み、活動のテーマが学校後の自立生活に移っている柿のたね、どうも迫力が持てない。そこで、今回、荒川で親達で就学相談マニュアルを作り、自分達の就学相談をやっている「荒川みんなネット」の重富真一さんをお呼びした。20年前、養護学校義務化に対する闘いが盛り上がっていた頃こうした取組みは各地域で行われていたように思うが、今、なかなか話には聞かない。全国連絡会のパンフを利用するというのが現状だと思う。

重富さんの話は実に明快だった。「荒川みんなネット」は今年の3月31日に結成したばかりのグループで、「たんぽぽセンター」(目黒で言えば「すくすくのびのび」)の親達のネットワークで40余りのメンバーがいる。重富さんは就学時健康診断も就学相談も経験した上で就学相談は「相談」の場ではないという実感をもった。判定結果で「障害児学級へ」といわれた時、「理由は」と問うと学務課の職員は手元の資料を棒読みをすることに始終するだけだった。その間40分、次の人が待っているからと途中で打ち切られた。重富さんは情報公開を請求した。その結果、きわめて限られた項目について「できる、できない」と羅列されているだけでありそれを基に就学指導委員会では10分くらいで判断していることが明らかになった。お互いが、一人の子どもの就学についてやりとりする場所ではなく、何処に振分けるかを決める場所でしかない。こうしたひどい現状に対し自分達で「就学相談をやろう」という話になり実際に普通学級、障害児学級に入った人たちの話を聞いたりしながら自分達で情報を親達に提供していく相談日をもっている。

重富さん達は、学校介助の補助員制度の要求を活動のもう一つの柱にしている。マンツーマンで介助をするのではなくスクールサポーター的なもので、議会での3つの会派の支援を取り付けてきた。

今回の集会に重富さんをお呼びしようと思ったのは実際にぶつかった問題に対して自分達で具体的に解決しようとしている力をその活動に感じたからである。「情報開示請求」をやり、判定の内容を自分で知ること、「マニュアル」・相談日を作り自分達で情報を提供してくこと、今、そうした活動が必要ではないかと思う。目黒でも悩む親たちに頑張れと応援はしてきたが、解決していくための具体的な道筋を作っていくような取組みはできては来なかったと思う。

その後、当日参加した就学相談を断った親、相談を受けている親、付き添い続けている親、友人の子どもを皆で介助している親たちの現状が話された。その中で、親達が中心になった集まりを来年から作っていこうと言うことになった。

学校教育法の施行令の改定案が年明けには出される。もう自分達で解決していくための具体的な対案と道筋を作っていくことが必要である。そうした話し合いができる場になればいいなと思う。

(伊東)