2001年6月の柿のたねニュース

人権ネット総会報告

2001年5月26日「障害児・者人権ネットワーク」の総会が総評会館においておこなわれた。このネットワークは2001年5月現在会員数279名の個人会員で形成されている。会の目的は「障害児・者の人権の確立を目指し、誰もが安心して生活できるような平等な社会を作るための法整備のための学習会、研究会をおこなうことにより最新の情報の提供につとめ、相談活動により障害児・者のおかれた困難な環境の改善を進めることを目的とする」としている。

総会の次第は2000年度活動報告、会計報告、NPO法人進捗状況について、2001年度活動計画、休憩をはさみ午後からは講演会2本、法律試案の検討(仮称・障害者権利法を創るに当たって)、交流会が順次おこなわれた。講演内容は以下の通り。

  1. 「障害者基本法の改正から権利法の制定へ」 講師・DPI障害者権利擁護センター 金政玉氏
  2. 「障害者差別禁止法の世界の動きとわが国における制定について」 講師・弁護士 池田直樹氏

日常の活動

人権ネットでは人権相談窓口を開設している。手紙、FAXや運営委員会が開かれる日に電話相談も受け付けている。2000年度の相談件数は35件。弁護士が一件一件丁寧に相談に応じている。障害者自身やその周辺、またこれからは高齢になった時などに、人権侵害を受けた時は泣き寝入りしたり、消極的になって流されてしまうのではなく、声を出す事によって自らの権利を守っていく〜それが記憶に新しいハンセン氏病国賠訴訟のような少数者の闘いであっても勝ち抜いて人権を取り戻す事に繋がっていくのではと思う。他に社会福祉施設、労働、福祉六法、生活寮の各プロジェクトが活動した。

世田谷ホームヘルパー事件の裁判の支援

この裁判の東京地裁民事部での判決も、視覚障害者の生活への配慮もなく利用者の権利も無視された判決。12年5月10日結審。6月14日判決言渡し期日。控訴棄却。6月26日上告受理申立。その後原告が亡くなられ、原告側で訴訟手続受継ぎの申立てをしたが最高裁から期日の指定のないまま審理はおこなわれていない。

(仮称・障害者権利法を創るに当たって)法律試案は裁判官が基本的考え方の指針になるようなもの、障害者の権利を守るためのものを、あるべき姿をそのまま考えとして作ってみたいとして作成された。

学習会に是非ご参加を

2001年度活動計画の中の一つ、「障害をもつ人が地域で自立して生きるときバリアとなるものは何か、バリアの検証をしていく」として定例学習会をおこなう。次回のテーマは「柿のたねの実践を通して自立へのバリアを考える」。発題者は櫻原がおこなう。日程は下記の通り。多数のご参加をお待ちしています。

(無着麗子)

持続可能な社会をめざす

大量リサイクルだけでは資源循環できない

「持続可能な社会をめざす」表紙写真
中村正子著 つげ書房新社
【bk1】 →【Amazon】

柿のたねのメンバーでこれまでもゴミ問題を中心に活動を続けてきた中村正子さんの新刊本が、このたび出版された。この通信でもボロの行方や古紙をめぐっての状況など何度かテーマ毎に報告をしてきているのでおなじみの方も多いと思う。

私も廃品回収を担当して随分経つが、回収業者の方と話をするたびに悪化していく資源回収の現実に頭を悩ませてきた。現在柿のたねで回収している品目のうち新聞・段ボール・雑誌(新聞の中に混入してくるもの)は買い取り価格は0円で、唯一アルミ缶のみが60円で引き取ってもらっている。ボロに関しては逆有償で、こちらについては柿のたねの活動に理解をしていただいている荒川区の業者さんに半ばボランティアのような形でただで回収をお願いしている。目黒区からの資源回収団体報奨金が出ていることと、リサイクルだけでなく邦彦さんや孝広さんといっしょに仕事をするという目的のためになんとか続いているが、現実はかなり厳しい。

さて、本書だがサブタイトルにもあるように、何故大量リサイクルだけでは資源循環できないのか、各章毎にゴミ問題を整理し、具体的な数字や例をあげながらわかりやすく書かれている。

一般的にリサイクルに対する理解はかなり浸透してきたと思う。コンビニの前にはペットボトルの回収ボックスが置かれ、ゴミの減量化のために古紙を集めては資源回収にまわしている方も多くいると思う。けれどここで目を向けてほしいのはそれらリサイクルされたものがその後どうなっているのかという現実である。

大量に回収されたペットボトルが引き取り手のないままに自治体の分別センターなどに山済みされている。分別回収が進みゴミの減量化に伴なう新たな雇用確保のために、わざわざ資源の日を設け高い税金を使って回収された古紙が大量に出回ることで、これまで資源回収を支えてきた民間回収や業者にしわ寄せが行きシステムそのものを崩壊させている。ゴミの減量化は確かに現代の私たちが抱える命題ではあるけれど、とりあえず目の前からなくなればそれでいいということではないと思う。リサイクルを大量消費の免罪符にしてはならない。

持続可能な社会実現のために何をすればいいのか、その答えが本書の中にある。第一にゴミの発生回避(リデュース)、第二に再使用(リユース)、第三に再資源化(リサイクル)の順に優先させることだという。つまり私たちが思い違いをしている大きな点なのだがリサイクルはいわば最後の手段なのだ。

具体的に何をすればいいのかは、この本を読んだ後皆さん一人一人が考えていただければいいと思うが、例えば大量生産、大量販売されている、さして必要ないものを100円ショップで買い求めることがいかがにつまらないことか理解していただきたい。買い物をすることでストレスを発散させたいという方には毎月第三日曜日にリユース商品の柿のたね市で…(ちょっと宣伝)

この本を読んでみたいという方には定価1,700円+税のところ柿のたねにて1,500円で販売しています。ゴミ問題にとても興味がある方は第1章から、ちょっと読んでみようかという方には第5章から最後まで読んだ後第1章という風に読み進むのが私のお勧めです。参考までに。

(読後感想記=チェリー)

腹鼓の音はポンポコポン

どういうわけかバーベキューの様子を書いてくれと言われ、断ることの苦手な性格の私は、結局こうしてパソコンに向かっている。あらら、こんなはずじゃなかったのに。まぁ、おいしいものをいっぱい食べさせてもらったんだから、少しくらいは働かなきゃダメか、しょうがない。

さて当日。せっかくのバーベキューだというのに、朝からしっかりと雨。私の家は川崎なので、もしかしたら目黒は大丈夫かもしれないと、淡い期待を持って柿のたねに電話したけど、やっぱり雨のため、本町社教館でやるとのこと。怠け心の誘惑に負けてゆっくり11時過ぎについたら、もう3階に上る階段の途中から、おいし〜い香りがまわりに漂っていた。

私がついたときには準備が一段落ついたところで、天気のようにどんよりとした空気が流れていた。少し間を置いて、調理開始。まず、メインの肉と焼きそばから焼き始める。あんまりでしゃばらないようにと控えめにしていた私は、子供たちが焼きそばを作るのをそばで見ていた。「大丈夫かな?」と見ていたつもりが、いつのまにか気がつくと、菜ばしを持って、中華鍋をふっていた。長年の習性というのは恐ろしいものだと思ってしまった。(ちなみに私は、10数年目黒区内にある精神障害を持つ人々の通う地域作業所で、職員という役割をしていた者です。)

肉、焼きそば、トン汁、野菜焼き、アサリのバター焼きと、次々に出来あがってくるものに手を伸ばしているうちに、みんな落ち着いてきたのか、どっしりとイスの上に腰がすわってきたようだ。

そして、大人たちはあちこちで話し始め、最初はおとなしかった子供たちも、本領発揮とばかりに遊び始めた。邦彦さんは、早く帰りたくなったのか、フッと部屋を出ていってどこか散歩して来たり、かくれんぼのようにその姿を探しに行ったり、そんな様子を見ていて孝広さんは楽しそうに笑っていたり、午後はだいぶにぎやかになってきた。

そして、真打にお手製のソーセージが登場。燻製に出来なかったのが残念だけど、お腹いっぱいのはずなのにバクバクと食べてすぐなくなってしまう。さらに、なんとデザートまで。これも手作りのケーキが登場。バーベキューのフルコースを楽しめました。

気がつくと、外の空は明るくなってきていて、雨も上がっていた。

予想よりも食べなかったのか、食べる人がこなかったせいなのか、食材が大分あまってしまって、ありがたいお土産までついていた。なんか得した気分だなぁ。

でも、やっぱり次回は大空のもとで、青葉の香りをスパイスにして、バーベキューをやりたいな。

(新城寺たぬき)