2001年2月の柿のたねニュース

介護保険学習会報告

2月1日に柿のたねで開催

2000年4月1日、スタートした介護保険。40歳以上から、死ぬまで保険料を払い、その代わり高齢者、特定疾病になった時サービスが受けられるというもの。ドイツでは、この保険を導入するにあたり、20年位論議をしたそうですが、私たちのこの国は、僅かな期間で決めざるをえない背景があり、2025年には65歳以上の人が町に町にあふれるほどと思うほどだそうです。

1.介護保険の目的とは

  1. 老人医療費を押さえる(実際には押さえられていない様子)
  2. 社会的入院の解消(医療行為はないが、自宅に帰れない事情がある)
  3. 公的サービスから一部自己負担の導入(一割負担)
  4. 公的サービスを民間にシフトする(介護の市場化、民間活力の導入)

介護保険の法律のはじめに、加齢に伴なって生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保険医療サービス及び福祉サービスの係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、国民の保険医療の向上及び増進を図るとなっています。

ドイツの介護保険をみると、要介護者が援助を必要としながらも、人間の尊厳にふさわしい、可能な限り独立し、かつ自立性のある生活を送る援助となっています。

日本の目的だけを見ると、本人の出来ない部分は本人の能力の責任として、能力の範囲内で能力に応じた生活を強いる可能性があるのではないでしょうか。では、能力がないと在宅ではなく、施設となってしまうのでしょうか。このことについては、5年後40歳以上の障害者も介護保険制度に組み込まれます。在宅を支援する介護保険なのに、能力がないということで、施設となってしまうのでしょうか?疑問点です。

介護保険は「民間活力」を旗頭にし、「地方分権」の大きな目玉として宣伝されてきました。日本の社会福祉を大きく転換させるスタートでもあります。「措置」から「契約」へと謳われていますが、何の事はない行政が公的サービスを放棄し、福祉分野から撤退する以外の何物でもないともとれると思います。自治体では、福祉分野での直接的なサービスの撤退(ヘルパー派遣)で4月以降、縮小しています。

2.要介護認定申請の流れ

  1. 保険福祉サービス事務所に相談に行く
  2. 区職員が訪問―85項目の聞き取り(全国共通)
  3. 85項目調査書+医師意見書(一次判定)
  4. 介護認定審査会(二次判定)
  5. 要介護決定
    • イ自立
    • ロ要支援
    • ハ要介護 1度〜5度

3.サービスの利用開始について

介護支援専門員にケアプランの作成を依頼(無料)

ケアプランとはもともと無駄を省くという意味。不要なサービスを一切入れないということです。

目黒区の人口おおよそ24万1,千人、65歳以上の方がおおよそ4万1千人、介護保険で認定された方が4,840人(H12年12月1日付)。そのうち利用している人が在宅2,509人、施設1,110人(いずれも12月1日現在)。実際に認定はされたものの利用については二の足を踏んでいるのでしょうか?ちょっと少ないと思う数字が伺われます。今までは福祉的なサービスは無料に近かったのに、一割負担が入ることで利用を控える高齢者が多い事と、低所得者が利用しづらい制度になっていることも利用が伸びない一因かと思います。

4.今後について

介護保険が寄りよいものになるためにはどうしたらよいのでしょうか。今まで介護というと女性が中心になってきました。介護保険になり、一方で介護を社会的に支えるという点が評価されています。しかし、利用が低いという事については行政の責任として何らかの対策を講じてほしいものです。反面私たち区民が地域福祉の中で何ができるのかも一緒になって考えていかないといけないと思っています。

介護保険制度はまだ始まったばかりです。これからの問題として老若男女ともに考えていきましょう。

(佐々木 梅子)