2000年10月の柿のたねニュース

古布リサイクル存亡の危機!

《ボロの行き場がなくなった?!》

10月29日(日)のバザーに向けて着々と集まってくる荷物。中でも衣類の量は凄まじく、このところ毎月平均1トン弱のボロが出ています(衣類全体の3分の2くらい)。特に衣替えのシーズンに重なったのかこの一月で出た量は1,400kg強、2トントラック3台分にも及びました。そして以前からそろそろ厳しいかもしれないと言われていたのですが、先日とうとうボロはもう引き取れないと、取引先の廃品業者から申し入れがありました。

現在、目黒区とも交渉をし、他の流通手段を模索しておりますが、現状を考えると絶対量を減らさなければどうにもなりません。

また、古布業界の実情はどのようになっているのでしょうか?柿のたねのメンバーで、リサイクル問題をテーマに活動を続ける中村正子さんが、先日古繊維をリサイクルしているナカノ(株)秦野工場を訪れレポートをしているので(古紙問題市民行動ネットワーク―「まわれリサイクルの輪!」第37号)話を伺い、そこで訴えられている実情を紹介したいと思います。

《需要はいずれも頭打ち》

『10年前よりはるかに資源循環をさせねばという時代になったはずなのに、現実には古繊維リサイクルを担ってきた業界が押しつぶされようとしている。〜ここにもまた古紙問題と共通した、出口対策―需要策を考えずに回収量を増やすばかりの国、自治体、企業などの「リサイクル問題」がある。』(上記第37号より)

レポートによれば、10年前古布の再利用先は工場用のウエスが30%、輸出衣料30%、反毛材料(原料の繊維に戻す)30%、残り10%がゴミになるという割合だったが、その後ウエス利用が20%と減り、古着輸出が50%と増え、けれど現在はその需要先いずれもが頭打ちだという。

ウエスは作っても売れない(作業所のごみ減量のため、新品のレンタルウエス使用が増大)。反毛原料はこれまでの需要先である自動車業界の減産と、紳士服メーカーなどの下取り繊維が従来のルートに流入する事で大幅な供給過剰、反毛材料の20%がリサイクル不能でゴミになっている。中古衣料の輸出は、円高と廉価な韓国・台湾産に押されている。かくして秦野工場の倉庫には丁寧に梱包されたウエスや輸出用衣料が山積みされることになる。

《古繊維業界の窮状からの訴え》

全国ウエスト組合連合会は各自治体に対し、6月1日付で「古布のリサイクル不能品返却に関する要望書」を提出している。集団回収、分別回収で集まる古繊維に混入するリサイクル不能品20%を、無償で行政処理施設に戻してほしいというものだ。

日本の古繊維リサイクル率は9.5%と、欧米に比べ低く、(ドイツ33%、アメリカ26.2%―教会などの組織的回収システムによるため)ほとんどゴミとして焼却処理されている。再生事業はゴミの減量化であり、社会的費用(税金)を減らす事になるが、民業なので返却や廃棄には経費がかかり年々処理費は高くなっている。そうでなくても儲かっていないのに、処理費用を全て業界が負担する仕組みでは事業継続は困難、まして古繊維業会が扱っているものは100%家庭から回収されたもので、リサイクルされなければ行政が責任を持つ一般廃棄物なのだから無償で返却させてほしい、これは実情を知れば当然だと思う。

《海外輸出衣類に対する誤った認識》

 ファイバーリサイクルの仕組みがあちこちにでき、古繊維リサイクルへの関心も高まっているがほとんどこうした現状は知られていない。

中古衣料輸出先は日本人の体型に似ている東南アジア(中近東を含む)が中心だそうだ。南の国々が多いのだから、需要は当然夏物衣料や肌着が中心になる。ウールなどの冬物衣料の方が元値は高く価値があるのではないかと私もずっとそう思っていたのだが、体型の違いや欧州などにルートがあるため、日本から輸出されることはほとんどない。結果として需要先で欲しい物の量が少なく、需要に困る毛織物製品の回収量が増えてしまう。この誤った認識が業界に更なる負担を掛けているようだ。

《使う人の身になったリサイクルが必要》

「ファイバーリサイクルには、使う人の身になった“思いやり”がルール」ということも忘れてはならない。一度洗って出すのは基本として、濡れたもの、汚れたもの、痛みの激しいものは回収できない。セット物は一緒に合わせて出す。冬物衣料の他に回収できないものとしては、布団類、会社のユニフォーム、電気毛布、絨毯・カーペット、足ふきマットや便座カバーなどがある。ちょっと想像してみるとうなずけるものばかりだ。

 秦野工場五十嵐所長の『残念ながら、秦野工場は赤字なんです』という、大事な仕事を長年支えてきた誇りと無念さがにじんだ言葉でレポートは締めくくられている。

《柿のたねはバザー品が基本、ボロはNG》

こうして古繊維業界の実情を追ってみると、やはり見えてくるのは大量生産による衣類全体の供給過剰状態です。新しいものを安易に求めるのではなく着回しをする、ゴミとして出す場合でも、雑巾やフライパンの油ふきなど再利用してから捨てるなど、家庭での一工夫が必要ではないでしょうか?リサイクルに出せば何かの役に立ててくれるだろうと他人任せにするのではなく、その先の行方に目を向ける事も大切です。

柿のたねでは、みなさんからいただいた提供品をリサイクルバザーという形で循環し、その売上を活動費に当てています。中でも衣類は冒頭でも紹介したように膨大な量で、仕分け作業だけでも多くの時間を費やし、補修やクリーニングなどまで手が回りません。つまり即戦力になる物でなければ活用できないのです。元はタダなのだから、少しでもお金になればとおっしゃられる方もいますが、ある程度の水準を保つために質の悪いものは処分せざるをえません。なにぶん狭い柿のたねではストックしておく場所もあまりありませんので、今後ボロはお引取りできません。これまでにも何度かお願いをしてきましたが、出していただく前にあらためてご自身でチェックしてくださることをお願いいたします。お引取りできない物は下記の通りです。(柿のたねのリサイクルに適さないもの)

  1. 染み・黄ばみ・色あせがあるもの
  2. 痛みの激しいもの(ボタンがない物も含む)
  3. 虫食い・かびのあるもの(長期間保存していてかび臭いものも含む)
  4. ネーム入りのもの(縫込み・マジックなどで名前を書いたもの)
  5. 大量にある場合(目安・中型段ボール4箱まで)
  6. 他のバザーの残り物(売れ残った物は…)
  7. 季節に合わない物(春に冬物などはNG)
  8. その他、バザー品として適さないもの(下着類は新品に限ります)

冬物衣料は海外輸出には適さなくても、質のいい物ならば国内で循環する分には充分需要はあると思います。私たちも地域のみなさんから提供されたものは、まず地域に還元する事を基本に考え、市やバザー、ガレージセールなどをおこなっています。これはボロになるかなと思われるものはご家庭で処理していただけると助かります。

どんなものが大丈夫なのかよく解らない、という方もいると思います。ぜひ一度柿のたねにいらしていただいて、一緒にお話でもしながら仕分け作業をお手伝いいただけると百聞は一見にしかず、次回からの目安になると思います。

みんなで協力しながら、誰もが暮しやすい循環型社会を創っていきたいと思います。「めんどくさいからこれからはゴミに出すわ」などとおっしゃらずに、利用できるものは利用して、大量生産大量消費に歯止めがかけられたらいいなと思います。今後もご協力お願いいたします。

(櫻原)

平尾教育長様 思えば、学務課以来のおつきあいでしたね

いつ頃からでしょうか、一時期は恒例のようになっていた「目黒教育を考える会」主催の「就学時健康診断」について教育委員会と対区交渉を持つと平尾さんは必ず学務課として相対する席に座っておられましたね。平尾さんは必ずといっていいほど「みなさんがおっしゃりたい事は良くわかります」と云いその後には「しかし…」と続くのですが、それでも対立する交渉ではなくて少しでも歩み寄れる余地を感じさせて、交渉はこちらの思いを伝えその成果をわずかながらも「就学時検診」に反映させてきたと思っています。(もちろん、時代の流れという背景はずいぶんとありますが)

その平尾さんが教育委員長になられて、はや退任になるという…、そういえば、最近は対区交渉もサボリ気味で久しく平尾教育長ともお目にかかっていないし、退任に際して今までの確認事項と「目黒教育を考える会」との関係についても、次期教育長および教育委員会全般にも引き継いで戴こうと会見の申し入れをしました。

平尾教育長も事務引継ぎ等でお忙しいであろう中、時間を割いていただき退任間際の9月28日の午後3時に8名でお会いしてきました。

  1. 障害児が普通学級で教育を受ける権利を保障し、校舎など施設の改善、教職員への統合教育に関する研修会の実施など、受け入れるための環境整備を進めていく方向性を確認すること。
  2. 入学後に通学に親の付き添いを条件としたり、転級・転校を強要するなど、障害児が普通学級に通い続けにくい現状を改善し、他の子どもと同様に入学に条件をつけないこと。
  3. 就学時健康診断の通知に、以前のように「受信することが義務ではないこと、受信しなくても入学通知は出すこと」を文章として明記すること。

の3点を確認して引き継いでいただく事を要望書として提出しました。

障害を持った子どもを担任する場合という研修は新採用の教員の研修はあるが現任の定例研修にはない。つきそいについては区独自の予算で何人か介助者の手当てはしている。学校長と学務課の身障担当と親の3者間でケース別に話し合っているが強要はしていないつもりだ。段差・手すり・トイレ等の改善は順次進められている。エレベーターは、学校の構造の問題として難しい。介助者がいなくて普通学級にいられる状態が良いかどうかは障害の状況にもよるから、一概には云えない。1人の先生で40人を見るというのは無理がある。まず法律を変えなければ教育の現場は変わりませんよ。

との話で要望書の内容は次期教育長に引き継いで下さることを約束しました。

平尾教育長は今後は東南アジアの子ども達への教育に力を注いでいきたいと思っているようです。

(しまむら)