「牧師の人事手続き(その2)」

 自分への招聘の連絡を受けた牧師は、その招聘を受けるか断わるかの決断をします。受ける場合も断わる場合も、その返事は、自分の属する教区の教区長に致します。教区長は、その返事を事務局長に伝えます。事務局長はそれを総会議長に伝えると同時に、招聘発信教会が所属する教区の教区長に伝えます。その教区長は、その返事を招聘発信教会に伝えます。

 もしその返事が、招聘を断わる返事であれば、この招聘はこれで消滅します。その返事が、受諾するという返事であれば、招聘発信教会は、その牧師に宛て招聘状を発送します。そのとき、その写しを、同時に、自分の教区長と事務局長と相手方の教区、つまり招聘した牧師の属する教区の教区長に送ります。

 招聘状を受け取った牧師は、応諾書を招聘発信教会に送り、同時に、その写しを自分の教区の教区長と事務局長と相手方の教区、つまり招聘した教会の属する教区の教区長に送ります。これで、招聘手続きが全て終わることになります。

 ところが、実は、私たちの教会の招聘と応諾を基本にしたこのような人事の手続きには、重大な欠陥が見えてきました。それは、人事の責任は常議員会にあるのですが、その責任を常議員会は充分に取れないということです。つまり、組織の中で責任を果たすためには、その責任が果たせるだけの権限が与えられていなければなりませんが、その権限が今の常議員会には与えられていないのです。即ち、牧師の人事は、各個教会からの招聘とそれに対する牧師の応諾に基づいて行われますので、常議員会の主体性が確保できないのです。常議員会が、日本福音ルーテル教会全体から見て、この人事はこうした方が良いと判断しても、それに対応した招聘と応諾が起るとは限らないからです。常議員会が、C教会には丙牧師を配置することがその時点の日本福音ルーテル教会にとっては必要だと判断しても、C教会が丙牧師を招聘するとは限りませんし、また、たとえその招聘が起っても、丙牧師がそれを受諾するとは限らないからです。

 勿論、常議員会は、常議員会が必要と判断した人事を実現するために、各個教会や牧師に意見を言うことはできることになっていますので、そのような招聘と応諾を実現させる努力はします。しかし、所詮は、意見を言うことができるだけであって、その意見が各個教会や牧師から受け入れられるとは限りません。受け入れられなければそれまでとなってしまう訳です。(続)