「牧師の人事手続き(その1)」

 私たちの教会では、牧師の人事は、常議員会の責任で行われますが、実際の人事の動きでは、各個教会からの招聘とそれへの牧師の応諾を基本に、次のような手続きがとられます。

 A教会が甲牧師を招聘したいと思えば、A教会の代議員がまずA教会が属するS教区長と協議します。その協議によって、A教会がその招聘を断念すれば、この招聘はここで消滅します。

 教区長との協議の結果、この招聘を進めようということになれば、教区長は事務局長を通して総会議長と協議します。この協議の中で、この招聘は日本福音ルーテル教会全体から見て止めたほうが良いということになり、その観点から総会議長と教区長がA教会を説得し、それによってA教会がこの招聘を断念すれば、この段階でこの招聘は消滅します。

 総会議長と教区長との協議でこの招聘を進めようということになったり、あるいは、総会議長と教区長の断念の説得にもかかわらず、A教会が招聘をしたい意思を変えなければ、事務局長から甲牧師の所属するT教区長へ招聘の連絡が行くと同時に、他の教区長へも甲牧師に対する招聘がないかどうかの問い合わせがなされます。もし、他にU教区のB教会からも甲牧師に招聘があれば、それを含めてT教区長は自分の意見をまとめます。そのとき、T教区長は、この招聘は自分の教区にとってよくないと思えば、その時点でつまり、甲牧師に招聘の連絡をする前に、総会議長、相手方の教区長を通して、甲牧師を招聘しようとするA教会及びB教会にこの招聘を断念するように申し出ることができます。この意見を聞いてこの両教会がこの招聘を断念すれば、この招聘はここで消滅することになります。

 T教区長もこれらの招聘を進めようということになったり、あるいは、T教区長の断念の説得にもかかわらず、A教会あるいはB教会もしくはその両教会が招聘をしたい意思を変えなければ、T教区長から甲牧師に初めて、A教会あるいはB教会またはその両教会から招聘がある旨、連絡が行きます。そのとき、T教区長は、甲牧師に対して、甲牧師のT教区での位置付けや期待について説明し、この招聘を断るよう意見を言うことができます。さらに、T教区長は、S教区長を通してA教会に、U教区長を通してB教会に、甲牧師への招聘を伝えた旨、連絡をします。この段階に至って、ようやく、招聘発信教会のA教会もしくはB教会は、甲牧師と直接交渉ができるので
す。(続)