「フィンランドを訪ねて」

 フィンランドルーテル福音協会のお招きで、6月28日から7月7日まで、妻と共にフィンランドをお訪ねしました。

 フィンランドはルーテル教会が国教となっている国です。そのルーテル教会の信徒と牧師によって組織されている海外伝道を実践する団体の一つがフィンランドルーテル福音協会です。フィンランドにはこのような伝道団体が幾つかあります。

 私たち日本福音ルーテル教会とフィンランドルーテル福音協会との関係は、100年前に、フィンランドルーテル福音協会から、日本伝道のために宣教師が派遣されてきたことに始まります。

 そのフィンランドからの最初の宣教師は、25歳の牧師一家と17歳の女性信徒でした。私は、このフィンランドから日本へ福音宣教のためにはるばるとやって来た最初の宣教師の中に、17歳の少女がいたということに大きな驚きを覚えます。

 当時のフィンランドは、ロシアの圧政に苦しんでいました。決して豊な国ではありませんでした。そのような中にあって、何千キロも離れた国に福音宣教のために出かけるということは、まさに、人生を掛けてのことです。そのような生き方を、17歳の少女が決意したということに、いや、そのような決意を17歳の少女にさせるフィンランドという国に、私は驚きと共に敬意を抱かざるを得ません。

 私たちが招かれた主な目的は、フィンランドルーテル福音協会が毎年行っている海外への宣教師の派遣式に出席することでした。今年も日本やアフリカ等へ五家族の宣教師が派遣されましたが、その派遣式で、派遣される宣教師一人一人の頭に手を置きながら、人口500万人の国から、このように宣教師が毎年海外に派遣されていることを思い、神様は確かに生きておられるという思いに突き動かされるような気が致しました。

 今、教会の世界的な低迷や衰退が言われています。確かにキリスト教国フィンランドでも、この20年間に人口の90%から85%へと、キリスト者の割合が減ったということです。

 しかし、私は、この国でのこのような派遣式が毎年行われていることを思うとき、キリスト教はまだまだ捨てたものではないという思いを強くもつことができました。特に、この派遣式に大勢の子どもたちが参加していた姿は、キリスト教の将来に大いに希望を抱かせてくれました。